司馬遼太郎のレビュー一覧

  • ロシアについて 北方の原形

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    ロシアという国家の原形をとらえ、日本との相互作用を辿っていく。

    原形に触れるという作業は、体制の如何を問わず、その国が持つ、固有の国土と民族と歴史的連続性を取り出すことである。

    武力のみが国家を保つという物騒な発想を、ロシアはキプチャク汗国から学び、引き継いだ。

    シベリアという巨大な荷物の、経済的うまみを創出するために、清国領、満州の一部を手に入れ、朝鮮にまで手を出そうとしたことで、日本に恐怖を与えた。それが日露戦争につながった。

    日本は明治末年、この戦勝によって、柄にも無く、”植民地”を得た。それに見合う陸海軍を持たざるを得なくなり、政治までもが変質していった。そして国家の器量に見合わないことをやるようになる。1918年から数年続いたシベリア出征である・・・

    このように日本とロシアは、交渉が始まって、200年あまりの間に、作用と反作用が累積しすぎた。お互いに、“おびえ”という心理作用が存在する中では、慣習や儀礼を重んじる成熟した国家関係に成長することはできない。

    翻って、現在のロシアとウクライナの問題を考えると、ある種の連続性が存在する。やはり、その国の行動を理解するには、その国の歴史を学ぶ必要がある。

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    2014年07月28日
  • 翔ぶが如く(四)

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    四巻はやや進行が淀む。
    淀まざるえないほどに、明治日本にいろんなことが起き混乱する。

    西郷下野、佐賀の乱、鹿児島私学校設立、台湾出兵…。
    明治維新により一夜にして近代国家としての日本ができたのではない。
    混乱を解決することにより少しずつ作られていく。
    大久保利通の冷酷さが恐ろしい。

    日本人必読の書だと私は思う。
    どうして人気がないのだろう?

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    2014年07月19日
  • 新装版 播磨灘物語(1)

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    著者の感想を散りばめながらの小説は今更ながら新しく面白かった。
    官兵衛の妻の名前が違っていたがこれはあえてなのかな?

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    2014年07月13日
  • 街道をゆく 2

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    韓国の旅の紀行文。
    古代の日本と朝鮮半島の関係が想像も交えながらわかりやすく考察されている。
    司馬さんの観察眼で見る韓国の物の考え方は今の政治情勢にも一脈通じるものがある。
    朝鮮に対する愛情と怜悧な観察はさすが。

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    2014年07月12日
  • ペルシャの幻術師

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    短編集 8作品中3作品は新潮文庫の「果心居士の幻術」と被る。ペルシャの幻術師、コビの匈奴、兜率天の巡礼、下請忍者、外法仏は初。

    磯貝勝太郎氏の解説で、またまた改めて知る司馬遼太郎さんがありました。外語大のモンゴル語、何で? 以前から疑問でした。司馬氏が生まれたのは、奈良県北葛城郡當麻町竹内。磯貝氏はそこをシルクロードの終点と解説。その地点から反対の始点であるシルクロードまで、場所がら司馬氏は少年時代からシルクロードへの夢想、詩的想像力を飛翔させるベースがあって、蒙古語を専攻せしめたのだと。子供の頃の病気治癒のお礼参りで、根本霊場の大峰山に行き、山頂の蔵王堂の不滅の灯明と闇にショックを受けたという少年時代のい逸話もあるようです。それ以来、その大峰山を開いた修験者、役行者(えんのぎょじゃ)への憧れもあったと。つまり山伏や忍者への関心は少年時代より。つまり、実はその後の大作群から見れば特異な一連の怪奇譚への必然を少年時代から司馬遼太郎氏の体内に萌芽させていたのだと。やなるほど。

    景教。英国人 A.G.Gordon 秦氏のルーツへの考察。散楽雑技、傀儡、秦の弓月(うづき)の君 ペルシャ語 ハタ=はるばるきた ウヅ=第一の キ=人と

    ゾロアスター拝火教の僧=magi これが magic の語源とする説明もおもしろかったです。

    ペルシャの幻術師こそが司馬遼太郎のペンネームによる第1作なのだという。第8回講談社倶楽部賞に応募されている。他の選考委員が評価しないなか、海音寺潮五郎氏が終始好意的に評価したことで当選作となったのだと。後日の梟の城の直木賞受賞の際の選考でも、「歴史の勉強が足りない!」と主張した吉川英治氏をなだめて、受賞作に決定したのも海音寺潮五郎氏であったいう。ご本人は梟の城以前の作品は、作家としての作品として認めたくないと述懐されているという。

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    2014年07月04日
  • 歴史を紀行する

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    司馬遼太郎の紀行文。
    戦国時代や幕末において重要な意味をもった土地を中心としている。
    ザ・司馬史観といった書き方だが、あとがきで述べられているように、風土で個人を判断するのは危険だが、集団となったときにあらわれる気質は存在し、地方の住人を総括して理解する上で風土を考える必要がある、という考え方は納得がいった。
    街道をゆくシリーズもそのうち全部読破したい。

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    2014年07月02日
  • 幕末

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    幕末の暗殺に関する短編。書の中で一番印象だった言葉は(一流の人間は死んで残ったのは三流の人間だった。)くだり。多くの歴史小説を読んだか本当にそうだとうなづけた。司馬遼太郎はきちんと取材してあるので話に重みがある。

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    2014年06月24日
  • 胡蝶の夢(一)

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    語学の天才にしてコミュ障の島倉伊之助、その兄貴分の蘭方医・松本良順の物語。伊之助は本当にどうしようもない奴ですが、憎めないのです。
    (余談)HNを決める際、たまたまPCの傍らに置いてあったのがこの「胡蝶の夢」でした。もし、これが「菜の花の沖」であったならば、私のHNは高田屋嘉兵衛になっていたことでしょう。

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    2014年06月21日
  • 新装版 播磨灘物語(4)

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    最初で最後の野望が自らの差し金である息子・長政の活躍により、終止符を打つことになるとは皮肉なものだなーと思いました。

    稀代の軍師として戦場や外交では活躍し、百姓からも慕われ、部下の働きをしっかり見、しっかり報酬を与える。上司に持つならこういう男を持ちたい。

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    2014年06月17日
  • 花神(中)

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    ネタバレ

    靖国神社に聳え立つ男:大村益次郎の物語(中) 戦略家としての頭角を現し始める。幕府が…崩れ始めた…。


     蔵六は相変わらず蔵六であるけど、彼の周囲が彼を放っておかなかった。火吹き達磨を見出した桂小五郎のすごさが際立つ。
     さらに、若かりし頃の明治の大物が次々登場するから読んでいてウキウキしてきます。

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    p15,~18    開明論と攘夷論(司馬の見解)
     開明論(漸次的な開国)は江戸幕府の国政制度を抜本的に改革するものではなかったはず。だからこの当時、日本が西欧列強に喰われない術は過激な攘夷論しかなかった。はず。
     西郷隆盛は戊辰戦争で徹底的に戦争し、日本全土を焼き尽くして新しい国家を建設しなくてはならないとまで考えていた。それほど徳川300年の歴史は日本人の政治・思想・慣習あらゆるものを硬直化させていた。西郷は戦争が足りないと思っていたから征韓論派だったし、西南戦争も起こした。自ら明治の人柱になった。かっこいい。
     鎌倉末期や室町末期も、崩壊した原因は腐敗した幕府や朝廷などによる国体の硬直化だった。江戸幕府も結局同じような結末を迎えることになってしまったのは、歴史の周期性を感じる。足利尊氏、織田信長、ペリー、硬直した国の在り方を破壊するものが歴史を作っていく。

    p444  「哲学」の語を作った人
     幕末期、外国の新知識をどうにかして日本語に訳さなければいけないから、いろいろな造語が生まれた。それがちょくちょく話題に出る。蔵六も軍事用語などいくつも造語した。
     西周。島根の津和野藩に生まれた明治の哲学者。森鴎外の近所の子だったそうな。philosophyを頑張って哲学と名付けた男。この人のことは前から気になっていたからもっと知りたい。


     装条銃…銃弾にスパイラル回転をつけ、弾道の安定と射程の長距離化を実現した。外国人商人は日本に旧式の兵器を最新式として売りに来ていたが、蔵六は世界の本当の最新式を知識として知っている。「情報」を持つものがいつの時代も勝者になるのである。
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     この間は著者の雑談が多かった気がする。紙面ですらついつい語りたくなってしまうほど、幕末期は話題豊富なのだ。


     次巻で終結。残りはほぼ戦争の話だから読むスピード早くなりそう。

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    2014年06月05日
  • 新装版 播磨灘物語(2)

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    荒木村重の謀反は起きるべくして起こったことだと思う。
    本にも書かれていたけど、信長は新しい世の中を切り開く力はあっても、それを維持する仁徳はなかった。

    家族にまで手をかけ、延暦寺焼き討ちや石山本願寺攻め、そして上月城を見捨てるなど、未来の天下布武のためとはいえめちゃくちゃである。
    後に光秀にも裏切られたように遅かれ早かれ信長の運命は決まっていたのかもしれない。

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    2014年05月15日
  • 風神の門(上)

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    才蔵が格好いいですね。真田幸村や猿飛佐助も魅力いっぱいです。男性陣が光ってます。ただいろんな女性に惚れられてハーレムみたいになってたのは…お色気はそんなにいらなかったかな。

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    2014年05月06日
  • 胡蝶の夢(二)

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     良順は軍医ポンペを師と仰ぎ医学伝習所を開講後、付属病院まで建てることに成功する。一方、語学の天才、伊之助はそのポンペから嫌われ放校される。伊之助は成り行きから医学伝習所で知り合った藩医の婿になるのだが・・・3巻以降の展開が読めず(笑

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    2014年05月05日
  • 夏草の賦(上)

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    ネタバレ

    四国の戦国大名、長宗我部元親を描いた小説。才覚に恵まれ、調略・謀略を用いながら四国を統一していく様子を、司馬遼太郎の小説らしく、一歩引いたスタンスで描いています。
    四国の歴史はなじみが薄いので、一方の主人公である元親の奥方が、織田家中の明智光秀の親族で、兄は本能寺の変後に秀吉に敗死、姪は家光の乳母・春日局として取り立てられた云々、元親が採用した屯田兵制度である「一領具足」が山内藩政では郷士となり、土佐の明治維新の中核を担う事になった等々、本著を通じて初めて知る事ばかり。

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    2014年04月27日
  • 菜の花の沖(六)

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    高田屋嘉兵衛の人生の華?とも言うべきロシア外交の部分であるが、実際の文献(当時の記録)からの引用を多用し淡々と述べられている。小説なのか?という印象だ。

    ロシアの考え方を理解するために5巻があり、高橋三平との関係があったから廻船問屋の主人で商人でしかない嘉兵衛が今で言う外交官のようなことをできたことを示すためにその前、函館での話しから官船の扱いから御用船頭になった話があり、全てはこの部分の話を理解するために必要な「壮大な前置き」だったと言えるであろう

    そのせいか、嘉兵衛の人生の最後の山場、クライマックスであるはずであるのに、読んでいて妙に淡々としすぎて簡単に過ぎた印象も残った。

    ドラマ性がない文章になっているという感じか。

    このあたりが、司馬文学が冗長とも言われる所以なのかとも感じたが、黒船以前の外交の日本史、特に対ロシアの歴史の流れを知るお話、としてはいいものではなかったかな、とも感じた。

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    2014年04月26日
  • 胡蝶の夢(一)

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     1巻目は明治維新前夜、幕府の奥御医師、松本良順は弟子、島倉伊之助を佐渡から呼びよせ、長崎出島にてオランダ人から直接蘭学を学ぶまでのストーリーである。弟子の伊之助が異才の持ち主であり、2巻目からの話しに更なる期待が膨らむ。

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    2014年04月23日
  • この国のかたち(五)

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    神道の話。教義も偶像もない。宗教というよりかは、文化なのか。だからこそ、神道は、こと挙げぬこそ相応しいのだろう。
    朱子学という型を大事にする空論は、やがて、太平洋戦争にも。
    朝鮮の日本への見方。夷としてみているのだろう。
    昭和は、やはり突然変異だったのだろう。なぜ、合理主義を失ったのか?
    日露戦争で勝利し、反省しなかったからか。

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    2014年04月14日
  • 新装版 播磨灘物語(1)

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    ネタバレ

    初、司馬遼太郎本。
    大河ドラマの影響で読み始めたけど面白い。

    播磨で退屈していた官兵衛がこれからどんな天下いじりをしていくのかが楽しみ。

    それと意外と信長の評価の低くて驚いた。
    でも天下への野心は毛利や他大名よりも強くて、だからこそ天下統一の一歩手前まで昇りつめることができたんだろうなと思った。

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    2014年04月10日
  • この国のかたち(四)

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    韓国が日本を下に見ているのは、儒教の影響なのかもしれない。日本は何故、儒教をとりながらも、リアリズムを忘れなかったのだろう。
    靖国の前身である招魂社は、明治維新後、戊辰戦争で戦士した人を祀り、統一国家を示す為に作られた。

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    2014年04月14日
  • 新装版 播磨灘物語(4)

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    信長の本能寺の変から、明智光秀を追い込み、官兵衛が如水として隠居し、亡くなるまでを描いている。頭で生きるそんな官兵衛の生き方に共感する。

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    2014年03月07日