司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 夏草の賦(上)

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    ネタバレ

    四国の戦国大名、長宗我部元親を描いた小説。才覚に恵まれ、調略・謀略を用いながら四国を統一していく様子を、司馬遼太郎の小説らしく、一歩引いたスタンスで描いています。
    四国の歴史はなじみが薄いので、一方の主人公である元親の奥方が、織田家中の明智光秀の親族で、兄は本能寺の変後に秀吉に敗死、姪は家光の乳母・春日局として取り立てられた云々、元親が採用した屯田兵制度である「一領具足」が山内藩政では郷士となり、土佐の明治維新の中核を担う事になった等々、本著を通じて初めて知る事ばかり。

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    2014年04月27日
  • 菜の花の沖(六)

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    高田屋嘉兵衛の人生の華?とも言うべきロシア外交の部分であるが、実際の文献(当時の記録)からの引用を多用し淡々と述べられている。小説なのか?という印象だ。

    ロシアの考え方を理解するために5巻があり、高橋三平との関係があったから廻船問屋の主人で商人でしかない嘉兵衛が今で言う外交官のようなことをできたことを示すためにその前、函館での話しから官船の扱いから御用船頭になった話があり、全てはこの部分の話を理解するために必要な「壮大な前置き」だったと言えるであろう

    そのせいか、嘉兵衛の人生の最後の山場、クライマックスであるはずであるのに、読んでいて妙に淡々としすぎて簡単に過ぎた印象も残った。

    ドラマ性がない文章になっているという感じか。

    このあたりが、司馬文学が冗長とも言われる所以なのかとも感じたが、黒船以前の外交の日本史、特に対ロシアの歴史の流れを知るお話、としてはいいものではなかったかな、とも感じた。

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    2014年04月26日
  • 胡蝶の夢(一)

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     1巻目は明治維新前夜、幕府の奥御医師、松本良順は弟子、島倉伊之助を佐渡から呼びよせ、長崎出島にてオランダ人から直接蘭学を学ぶまでのストーリーである。弟子の伊之助が異才の持ち主であり、2巻目からの話しに更なる期待が膨らむ。

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    2014年04月23日
  • この国のかたち(五)

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    神道の話。教義も偶像もない。宗教というよりかは、文化なのか。だからこそ、神道は、こと挙げぬこそ相応しいのだろう。
    朱子学という型を大事にする空論は、やがて、太平洋戦争にも。
    朝鮮の日本への見方。夷としてみているのだろう。
    昭和は、やはり突然変異だったのだろう。なぜ、合理主義を失ったのか?
    日露戦争で勝利し、反省しなかったからか。

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    2014年04月14日
  • 新装版 播磨灘物語(1)

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    ネタバレ

    初、司馬遼太郎本。
    大河ドラマの影響で読み始めたけど面白い。

    播磨で退屈していた官兵衛がこれからどんな天下いじりをしていくのかが楽しみ。

    それと意外と信長の評価の低くて驚いた。
    でも天下への野心は毛利や他大名よりも強くて、だからこそ天下統一の一歩手前まで昇りつめることができたんだろうなと思った。

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    2014年04月10日
  • この国のかたち(四)

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    韓国が日本を下に見ているのは、儒教の影響なのかもしれない。日本は何故、儒教をとりながらも、リアリズムを忘れなかったのだろう。
    靖国の前身である招魂社は、明治維新後、戊辰戦争で戦士した人を祀り、統一国家を示す為に作られた。

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    2014年04月14日
  • 新装版 播磨灘物語(4)

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    信長の本能寺の変から、明智光秀を追い込み、官兵衛が如水として隠居し、亡くなるまでを描いている。頭で生きるそんな官兵衛の生き方に共感する。

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    2014年03月07日
  • 街道をゆく 43

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    未完の最終巻。桶狭間から、戦国時代の武将たちの逸話をたどる。
    名古屋は名医の街だそうで、藤田保健衛生大学が出てくるくんだりで眼科の話があって楽しかった。
    話は家康が信玄に大敗したところで未完に終わる。
    後半に収められている安野光雅画伯の挿画の中に、犬山城から臨む木曽川があった。あの犬山の不思議な歴史について司馬遼太郎の軽妙な語り口で聞きたかったものだ。

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    2014年03月05日
  • 新装版 播磨灘物語(3)

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    官兵衛が荒木村重によって囚われ、牢を出てからの変貌について語っている。牢の中のすさまじい状態、それでも希望を見出して生きようとする官兵衛の健気な姿に感激した。

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    2014年03月03日
  • 功名が辻(三)

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    山内一豊の3巻目。
    秀吉の老いとその周辺にまつわる話から、秀吉没後の、さてどっちに付くというところまで。
    一豊自身、律儀者で通っているが、巻の終盤、名将っぷりを発揮する一場面の印象がかっこいい。

    成算など無い。そういうことはわからん。わかっておればもともと合戦などする必要の無いものだ。徳川殿を勝たせるのだ。

    の一節は感慨深い。この一戦で家運を開く、と言い切った一豊の覚悟は腹に響く。

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    2014年02月27日
  • 功名が辻(二)

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    山内一豊の2巻目。
    本能寺の変から秀次の謀反計画まで。
    1巻に引き続き、妻千代の才女っぷりが頼もしい。しかし旦那の一豊は相変わらずのキャラクターでついつい応援したくなる。
    サラサラと読み終わった。

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    2014年02月27日
  • 新装版 播磨灘物語(3)

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    本巻ではいよいよ黒田官兵衛が織田信長を裏切った荒木村重の人質になってしまう。官兵衛の人生における痛々しい代表的シーンである。吉川英治作品とは異なり、有岡城へ到着するや否や、荒木村重に談判することなく牢に放り込まれる。このあたりの枝葉末節を他の作品やドラマと比べてみるのも面白い。大河ドラマではどう描かれるのだろうか。第3話で山賊に襲われる官兵衛を助けるというアングルを仕掛け、友好関係を築かせているため、後々の裏切りがかなりドラマチックになることは確実。
    1年にわたる人質期間を経て、何か悟りを開いたような官兵衛。元々私利私欲には走らない策士という一風変わったキャラクターだったのだが、それに輪をかけたようである。自分を売った元主君の小寺藤兵衛や惨い仕打ちをした荒木村重に対して、その後攻めることなく何事もなかったかのように振る舞う…。凡人には理解しがたい境地である。
    戦線復帰後は今まで通り秀吉の与力として東奔西走の官兵衛。一時的ではあるが、淡路島や四国にも赴き攻略活動を繰り広げる。そして最終巻である次巻はいよいよ本能寺の変が待っている。秀吉の名参謀がどう智恵を授けていくのか、楽しみである。
    今回舞台として登場した有岡城、三木城などの城跡を訪ねてみたいな。春頃に青春18きっぷを使って。

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    2014年02月22日
  • 新装版 播磨灘物語(1)

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    言うまでもなく、今年の大河ドラマ「軍師官兵衛」の司馬遼太郎版。「世に棲む日々」に続く今年2作品目の長編。黒田官兵衛に関しては、大河ドラマを順調に観ているほか、「大河ドラマ・ストーリー」「黒田如水(吉川英治著)」、「新書太閤記(吉川英治著)」などを読んでいるため、流れはほぼ掴んでいる。あとは、司馬遼太郎氏なりの色付けを楽しむだけである。

    本作品では、冒頭のかなりの部分を官兵衛の代よりも前の黒田家について説明がしてあり、家の成り立ちをしっかり理解出来た。その過程で、官兵衛の曽祖父高政が連歌の点者ではないかという想定で進めようとしていたところがユニークだった。根拠はまったくないにもかかわらず、近江から備前福岡までの移動について、旦那の館に泊まり、連歌の会を催し、行路も安全に次の土地へ進んだのに違いないという仮定をは半ば強引に打ち立てていく。

    そして面白かったのが、足利義昭を奉じた細川藤孝に対して、たまたまそこに随行していた官兵衛が「織田どのがよろしかろう」と足利義昭の庇護先を提案するシーン。官兵衛はまだ信長に会ってもいないのである。これにより、後にそれが実現し、信長の天下取りの大きなきっかけになっていくのだ。官兵衛の先見の明を表すのにぴったりなアングルである。

    以下はその他興味深かった点。

    「人を罠にかけて殺す者は必ず似たような目にあう」ということを重隆はしきりに言い、人を憎むよりも憐れみをかける方がよほど身の安全になる、ということも絶えず言っていた。その重隆の性格や家訓がその後の黒田氏に重要な影響を与えることになる。
    →因果応報ということである。この家訓が官兵衛を歴史に名を残しめたのだろう。

    「頑健だからいいというものではない。おのれが脾弱であれば人の病弱をいたわることができ、また頑健な家来を大切にするという気持ちも出てくる。ゆらい、黒田氏の家系から頑健な者が出たことがない」
    →幼少時代の官兵衛が父から言われた言葉。なるほど、物事はとらえようである。秋冬になるとかなり頻繁に風邪をひく私も脾弱なのかもしれず、ここ数年の悩みであったが、こう捉えれば良いのか。

    信長は富士山に登ったようなものだという見方だろう。誰でも足腰さえ達者なら登れる。が、富士はその裾野を3カ国にまたがらせている。3カ国を平定してから登らねば、降りるにも降りられず、結局は下から槍で突き殺されるのが落ちだという。
    →信長が足利義昭を奉じて京へ登った後を説明したものだが、実に巧いたとえである。

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    2014年02月22日
  • 新装版 播磨灘物語(2)

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    官兵衛が秀吉に協力し、活躍をし始める頃を描く。自分も組織人としてこうありたいと思う。歴史小説としてだけではなく、振る舞い方として参考になる。

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    2014年02月21日
  • 新装版 播磨灘物語(4)

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    終始一貫、勘兵衛が秀吉の観察者として描かれている作品。

    勘兵衛の内面や戦術よりも、秀吉の幸運さと信長の政治面や実行してきた偉業の面が印象的だった。

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    2014年02月20日
  • 新装版 戦雲の夢

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    長宗我部元親の末子の盛親が主人公。意志とは別に関ヶ原の戦では西軍として参戦ししかも戦わずして敗戦の将となってしまった。自分が生まれて来た意味を大阪夏の陣、冬の陣で取り戻して行く武将としての苦しみが描かれている。せめてその最期は若狭の本願寺末寺で僧となり、一婦人とともに余生を送った、という伝説を信じたい気持ちになる。

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    2014年02月18日
  • この国のかたち(三)

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    三巻目になるとネタが尽きそうにも思えるが、泉のように湧きでる知識、考えた筆をとどめるところを知らないようだ。本当に歴史が好きなんだなぁと思う。

    三巻で印象的だったのは次の点。
     -室町時代というのは、現代にも続く様々な事柄の源流であったという。司馬は「私どもは室町の子といえる」と言っている。たとえば、書院造、華道、茶道、行儀作法、婚礼の作法、貿易...
     -遷都
      平城京で大寺で失敗して平安京に遷都した。このため平安京には大寺が無い。京の古刹は豊臣期、江戸時代に興されたもの。平安京時代に二つの大寺(延暦寺、金剛峯寺)これは都から遠ざけられている。

    室町時代って豊かな時代だったのね。

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    2014年02月16日
  • 新装版 歳月(上)

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    他の作品では深謀遠慮から程遠い人物として描かれているだけに、優れた実務家、司法家としての表現、エピソードの数々は非常に興味深い。妾宅がわからず1時間待つ姿は苦笑せざるを得ない。「私は・・・」の後のセリフ、想像すればするほどこの人物に興味がわく。

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    2014年02月15日
  • 十一番目の志士(上)

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    新装版になっていたため、ジャケ買い 笑
    天堂晋助という長州藩の架空人物の人斬りの話。確かに、明治維新前後の天誅や辻斬りの中には、長州藩の凄腕は史実としては着目されていない。薩摩、土佐の暗躍が目立つ。司馬文学の醍醐味はほんとうにこういうことがあったのかと思わせてどっぷり追体験させるところであると思う。まるで見てきたかのような文体は常に惹き込まれる。
    また、晋助が使う剣術も二刀を礎としている凄腕なので、それもまた惹き込まれる。下巻ではどのような情景を描くのか楽しみである。

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    2014年02月12日
  • 幕末

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    春の雪を血で染めた大老井伊直弼襲撃から始まる幕末狂瀾の時代を、十二の暗殺事件で描く連作小説。

    歴史はときに血を欲す。
    暗殺者も凶刃に倒れた死骸も、共に我々の歴史的遺産である。

    これも何度も読んでます。ww

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    2014年02月01日