司馬遼太郎のレビュー一覧

  • この国のかたち(五)

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    ネタバレ

    オケラもカエルもアメンボもそしてヒトも等しく生き物である。しかし歴史の中に生まれてくるのは人しかない。だから先生は歴史を書く。


     歴史というのは人間特有の文化なんだな。言語を持つ生き物だから、時間を超えた人間同士の交流ができる。司馬先生は未来の人と繋がるべく、歴史を書いている。そう悟った。

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    p16  八幡神社
     八幡神社は大分の宇佐に総本社がある。祀る八幡神は自然と一体になった日本の神と一風変わっている。巫女に憑依し託宣し、人間の世に口出ししてくる。八幡神は朝鮮から渡来した秦氏の住む地で祀られた。
     八幡神は仏教が日本に流行ると「私は昔インドの神だった。今は日本の神をやって

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    2014年09月23日
  • 豊臣家の人々 新装版

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    源頼朝、足利尊氏らは源氏の宗主であり、それぞれに鎌倉、室町幕府を開く。幕府を開くためには征夷大将軍でなければならない。しかし、源氏でなければ征夷大将軍は宣下されないのだ。秀吉は源氏の姓を得ようし、足利義昭に乞うてその養子になろうとしたが承知されない。なので、秀吉は人臣最高の職である関白という資格をもって天下を治めようとした。関白は藤原氏でなければならないという。秀吉は近衛家の養子になり藤原秀吉を名乗ることで無事に関白の資格を得るに至る。

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    2014年09月19日
  • 新装版 播磨灘物語(4)

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    以前読んだ記憶があったが、どうも勘違いだったようだ。中国大返し以降の叙述が簡素になっていくのが、大河ドラマとの違いかな。本作品とは関係ないが、徳川家康役の寺尾聰が腹黒そうで好き。ルビーの指環歌ってたんだよなぁ。

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    2014年09月17日
  • 新装版 播磨灘物語(4)

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    前半に官兵衛の人となりを記述するのに筆を多く使ったためか、それとも秀吉の寵愛を受けている時がピークだからなのか、山崎の戦い以後がかなり短くまとめられている。

    それ以後もドラマは多く、宇都宮氏との戦いや、関ヶ原前後の動きなど、書くべきところはかなりあるはず。司馬遼太郎の官兵衛像からはみ出る部分が多いからかとも思えるが、それも含めた人物の解釈をしてほしかったところ。

    ただ、やはり司馬遼太郎が書く官兵衛は魅力的。

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    2014年09月14日
  • 新装版 播磨灘物語(4)

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    中国大返しの後、秀吉が天下を取った後は、官兵衛の人生のピークを過ぎたのだろう、以後はごく短く書かれている。
    官兵衛の交渉、秀吉との関係、等非常に面白かった。サラリーマンと代わりないんだなと。
    作者が言う通り、とてもいい男でした。

    読んだあと、小早川隆景が印象に残っている。
    あの戦国時代、中国を守るため、拡大方針はとらなかった。それを金科玉条とした。もし、昭和に彼が政治家としていたら?

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    2014年12月24日
  • 新装版 軍師二人

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    後藤又兵衛と黒田長政って敵対したんだな。。大河ドラマ見てると仲良いのに。これからわかるか。楽しみだ。
    真田幸村より又兵衛のほうが軍略に優れている書かれぶりは初めてでした。あとは短編の中に女性物が複数。

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    2014年09月03日
  • この国のかたち(四)

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    ネタバレ

    親の昔の写真を見ると、少なからず驚きがある。予想できるだろうに「かたち」が違うと驚く。この国にも昔のカタチがある。同じような驚きがきっとある。

     そういえばプラトンのイデアも「形」が語源だったな。

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    p21  足利幕府の無能
     足利幕府は235年も続いたが、先代の鎌倉幕府のような威厳もなく、後代の江戸幕府のように巨大な行政機構も財力もなかった。義満の全盛期も金閣寺を作ったくらい。領国統治なんてしないし、だから地侍衆が力を持つようになる。それでいて文化や農業は最高の発展を遂げ、現代の日本の原型になっている。


    p45  士農工商は中国語源
     紀元前の中国に「士農工商」という四民の

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    2014年09月03日
  • 新装版 播磨灘物語(4)

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    司馬遼太郎は黒田官兵衛が好きだから播磨灘物語を描いたとあとがきで書かれているがこの作品の中では官兵衛を少し軽視している描き方だなと感じた。官兵衛が中心に行ったとされる備中高松城の水攻めや中国大返しなどは秀吉の案として描かれている。真実はどうにせよ個人的にはそういったエピソードが読みたかった。黒田官兵衛が好きなだけにこういった見方でも描けるのかとも思いました。

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    2014年08月27日
  • 花妖譚

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    【本の内容】
    清の八十翁・松齢の庭に突如咲いた一茎の黒い花。

    不吉の前兆を断たんとしたその時に現われたのは(黒色の牡丹)。

    人間稼業から脱し、仙人として生きる修行を続ける小角がついに到達した夢幻の世界とは(睡蓮)。

    作家「司馬遼太郎」となる前の新聞記者時代に書かれた、妖しくて物悲しい、花にまつわる十篇の幻想小説。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    本の帯に<幻の初期短篇、初の文庫化!>とあるが、文春文庫が、司馬作品を「幻」と銘打って出すのは初めてではない。

    2001年刊の『ペルシャの幻術師』は<幻のデビュー作>、03年刊の『大盗禅師』は<幻の司馬文学、復刊!>。

    「幻」をうたうこと

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    2014年08月24日
  • 花神(中)

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    大村益次郎を主人公にした司馬遼太郎の小説。全3巻の2巻目で、長州藩に取り立てられて医学から軍事の仕事をするようになり、幕長戦争では指揮官として活躍していく。
    百姓だった主人公が自分の技術によって出世していく様は、現代のサラリーマンにも重なる部分を感じました。

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    2014年08月24日
  • 城塞(上)

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    大坂の陣を描いた作品。謀略の限りを尽くして豊臣方を追い込んでいく徳川家康の悪辣振りは嫌悪感を覚えるほど。そして、彼に翻弄される淀君は自ら滅亡の道へと歩んでいきます。最後に一花咲かせようと、死に体の大阪方に馳せ参じた真田幸村、後藤又兵衛ら武将たちの生き様は胸を打ちます。

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    2014年08月23日
  • 新装版 軍師二人

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    ネタバレ

    司馬さんの短編は、さらりと読める。ただ、関ヶ原と大坂の陣に関係する話(この短編集にもあり)は、こんな時だけ、関西人の血が騒ぎ、冷静に読めなかったりする。一度、真田幸村の大阪夏の陣の行動通り歩いてみるなんてのもやってみたいような気もする。こんなおじさん、すでにいっぱいいるんだろうなあ。

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    2014年08月23日
  • この国のかたち(三)

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    ネタバレ

    symbol(象徴)はギリシャ語のsymbolon(割符)から来ている。司馬先生は我々に文章によって知識の割符を与えてくれている。
     読者はその割符の対を自ら用意しなければ、その知識を得たことにはならない。そう先生は後語っている。
     まさにこの本はそんな感じ。非常に興味深い内容なのに、もう半分足りていない。読者の向学心を刺激してくれる。
     
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    p26  ドイツも後進国だった
     明治新政府がお手本にした外国が、蘭・米・英・仏でなくドイツだったのはなぜなのか。それは日本とドイツが似た境遇だったから。ドイツはヨーロッパの中では後進的で、明治新政府ができたくらいの普仏戦争(1870)に

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    2014年08月21日
  • 新装版 播磨灘物語(1)

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    大河ドラマが急に面白くなってきたので、見始めたところ、書店でたまたま見つけた作品。

    室町という中世的な旧体制が少しずつ壊されていく過程。それは、キリスト教と茶の湯に代弁されている身分の相対化が物語っている。そして、その象徴ともいえるのが信長だったのだろう。門閥に囚われない、人物徴用。これに魅了された官兵衛。

    戦国時代の外交、処世術もなかなか面白い。

    司馬遼太郎が好きそうな主人公である。

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    2014年08月17日
  • 新装版 王城の護衛者

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    峠と花神の別視点からのレビュー。
    表題作もいい。

    それぞれの人がそれぞれの人なりに、同時代に全力で参加した事例集

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    2014年08月15日
  • 翔ぶが如く(五)

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    大久保利通の執拗さが、頼もしくも恐ろしい。後世からの不人気さは致し方ないところか。

    明治維新後の日本が、いかに頼りなかったかが心に沁みる司馬遼太郎の名作。もっと評価されていい小説である。

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    2014年08月14日
  • 新装版 播磨灘物語(1)

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    官兵衛がまだ世に知られる前のはなし。くすぶっている様子がよく伝わってくる。世の中の変化をみている点は参考になる。

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    2014年08月12日
  • 新装版 おれは権現

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    色々な短編があるが。「けろりの道頓」という話がもっとも感動した。大阪の道頓堀の名の由来となった安井道頓。
    彼が豊臣家に殉じていたとは全く知らなかった。
    魅力ある男の物語だ。

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    2014年08月08日
  • 新装版 播磨灘物語(1)

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    2年前に読んだものをもう一度・・家もなく薬売りだった家からなぜ小寺家に仕えるようにまでなったのか祖父の時代から詳しく書いてあります。
    そして官兵衛が荒木村重に出会うまでを描いたもの。
    物語がかなり回り道をすることもありサクサク読み進められず前回も1巻で断念。今回大河が面白いのでもういちど1から読んで続きも頑張って読んでみようと思う。。

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    2014年08月06日
  • 夏草の賦(下)

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    ネタバレ

    長宗我部元親を描いた歴史小説下巻。上巻は元親が策略を硬軟取り混ぜ、土佐・四国を統一していく様が見ものだったものの、秀吉による四国征伐で土佐一国に押し込められ、毒気を抜かれた感じ。九州征伐の先鋒での敗北・長男の討死と精彩なく、元親死後の長宗我部氏は関ケ原は西軍で組して領地没収、大坂の陣で完全滅亡と精彩なし。史実ではあるものの、小説的にはもう少し盛り上がりが欲しいものですけど。

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    2014年08月02日