司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 関ヶ原(中)

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    作者の家康憎さが随所から伝わってくる。石田三成視点で話が進むため、読み手もやはり石田三成に気持ちが入ってしまう。もし家康視点の話があるのなら、彼なりの解釈のもと石田三成を邪険に思うのであろう。島左近が徹底して石田三成に仕える姿勢は格好良い。石田三成には分が過ぎる従者と言われるのも納得かもしれない。島左近には、最後まで石田三成の味方であってほしい。

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    2019年01月16日
  • 城塞(下)

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    ネタバレ

    大坂冬の陣後の休戦状態から、大坂夏の陣の終わりまで。
    誰がどういう理由でその役に付くことになったのか、どうしてこうなるに至ったのかがなど広く細かく描かれている。
    小さな点を積み重ねていき、大局が出来ていくのだなと実感できる。
    その分というか全体的に盛り上げるべきところ、熱を入れて読みたくなるであろう所をあえて外して、淡々と簡素に進めてある。
    特に大坂方の武将勢については家康に比べ描写がかなりあっさりしている。心情風景などに深入りすることがあまりない。最期の奮闘というのも薄味。
    彼らの個人個人の想いや行動を読みたいと思っていると、肩透かしを食らうと思う。
    その中でだが体感では後藤又兵衛が一番濃厚に描かれ、次点が真田幸村だったかと思う。
    真田はどうも他に短編が出ているようなので、そちらで補完してくれということかもしれない。
    あくまで全体的に同じ熱量で描写しているという体だと思う。
    それがこの作品の作風にもなっていて、熱狂しているはずの最後の大戦をどこか冷えた感覚で読むことが出来る。物語を俯瞰しているという気にさせてくれるのだ。

    秀頼の最期について、実際は毛利勝永が秀頼の介錯をしたのだが、今作では違う形になっていた。
    それはそれで寂しい雰囲気が漂っていて悪くないのだが、そこの描写に期待していたので個人的には残念。
    有名所はこの後どうなったという点に触れられているのだが、最後の見せ所を失った毛利はその説明もなく。少々不憫…。

    作中で「古今にない」とか「史上類を見ない」というような表現が頻出するのだが、本当にそうなのか?誇大では…と疑問が。真偽のほどは分からない。

    上巻で大物風を吹かせて主役格の動きをした小幡勘兵衛は、当然後藤や真田のような活躍を見せることも無く、名を馳せることも無く、すっかり小さな男になってしまった。
    作中で半生を無駄にしたというようなことが書かれていたが、本当にそうだなと。そしてこの程度の事を考え、実行した有象無象が多くいた時代なんだろうなとも。
    身の丈に合わない自信や成り上がりをこの時代に夢見た男の代表として、彼は描かれたんだろうと思う。
    この点現代にも通じる部分があるように思えて、少し考えさせられる。

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    2018年05月25日
  • 花神(上)

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    長州の田舎町で町民として生まれた有能な蘭学者が、いかに江戸の身分制度に不遇になりながらも生きる場所を選択していくか、という話です。

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    2018年05月19日
  • 花神(中)

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    この巻では大村益次郎の活躍やエピソードは少ない。
    代わりに司馬先生の余談がたくさん読めて、司馬幕末歴史観をよく学ぶことができます。幕末の世界がどんなもんだったのかを知るのにとてもいいです。※ただし司馬先生の考える、ですが。

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    2018年05月19日
  • 「明治」という国家[新装版]

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    NHKの吉田直哉氏が退職の制作のためにと、司馬遼太郎に持ち込んだ「モンゴロイド家の人々」という企画が発展して「太郎の国の物語」というタイトルになって、NHKでの「幻の放映」と言われる司馬遼太郎が出演した貴重な作品となった。
    それが出版され、タイトルも「明治という国家(上下)」になった。

    司馬遼太郎は「いまさら、テレビという人前に出るなどは、自分の節制のゆるみ―老化である―としかおもえないが、しかし少年(*吉田直哉氏のこと)には抗しがたかった」と恥じて(実際は照れ?)いる。

    内容は明治という時代を、「江戸時代からの遺産」「青写真なしの新国家」「廃藩置県―第2の革命」「勝海舟」「サムライの終焉あるいは武士の反乱」「自由と憲法」等々、多方面から分析しているので、一概には纏めにくいが、明治維新というのは、本当に想像を絶するというか、めちゃくちゃな革命と思われるが、世界史的にも流血の少ない形で成功したのは、何故だろうかと改めて考えさせられる。
    常に手元に置いて読み返したい一冊である。

    余談ではあるが、放送されたものはDVDになっていて、今や3万円というプレミアムが付いている。一度見たいと思っているが、二の足を踏んでいる状態が続いている。

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    2018年05月06日
  • 翔ぶが如く(九)

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    私学党の決起による西南戦争勃発からその激戦を経て薩摩軍の宮崎地方への潰走までの第9巻。西南戦争の生々しい経緯が様々な資料を元に描かれていてまさに歴史資料の感かある。
    桐野、篠原、桐野等幹部の無能、と言うよりは薩摩隼人気質と、西郷の沈黙が事態を悪化させていく。村田新八や永山弥一郎のような逸材を含む多数の民を犠牲にしながら。西郷は薩摩隼人が死にゆく原因を自ら作っていることになんの呵責もなかったのか。その存在だけが薩摩軍の一部幹部大いなる価値を生み出すだけである意味において大罪人とも考える。銅像建立までの経緯に興味が湧く。
    不謹慎だけど、戦争描写は政治的駆け引きと心理に比べて読み応えがあります。

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    2018年05月04日
  • 功名が辻(二)

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    賢妻の代表と言われるだけあって、千代さんの亭主操縦術はよく出来ているなあ、と感心する。
    会社での上司操縦術に通じるところありそう。
    そういう現金な話を抜きにしても、これまで読んだ国盗り物語や太閤記とは別の視点から同じ出来事が描写してあるのもおもしろい。

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    2018年04月28日
  • 翔ぶが如く(八)

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    いよいよとと言うかようやくと言うか、西南戦争が勃発し、高瀬での第三次開戦までの第8巻。相変わらず小説の体は成しているが、作者の歴史研究の成果物的な様相が濃いです。決起に至った群衆心理がわかりやすく描かれています。
    そしてこの巻以前の、やや退屈な登場人物の心理描写中心の展開から一転し、興味をそそる開戦の展開に。
    しかしながら薩軍の幹部達は人間的魅力が乏しい上、愚策を展開してしまい、読み進める上で虚しいものを感じる。戦いの結末を知りつつなのでことさらなのかも。薩軍目線ではなく官軍目線で読みたくなりますね。
    西郷隆盛と言う人物は愚物として描かれており、銅像まで立てら皆が尊敬する人物とはかけ離れて不思議に感じます。維新前の倒幕の功績のみが輝く人物なのか。その人物に惚れ遣えて死んでいく兵士たちが哀れとまで感じます。

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    2018年04月15日
  • 翔ぶが如く(七)

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    神風連熊本鎮台襲撃、萩の前原一誠決起から、西南戦争に向けて西郷が動くまでの第7巻。
    変わらず進行が遅く途中余談が過ぎるところもあり間延び感は否めないが、その当時の空気感や、人物の心理をを細かく描写しており歴史資料としてとても貴重たと思われる。特に筆者が登場人物の子孫に直接取材した内容を織り交ぜ、執筆時点でしか得られない内容となっており、そういう意味でもとても貴重な一遍と感じる。西郷は、事象の原因的な存在で描くと前の巻で筆者が書いていたが、維新後の西郷は自分が思考し行動することを本当に止めてしまっているようで、西郷という人物感が大きく変わってしまいます。西郷が血気盛んな薩摩隼人を重用したのが西南戦争の悲劇を産んだとすれば奉り上げられた虚像の英雄とも言えるとではと考えてしまいます。
    西南戦争は薩摩の身内同士の戦いとも言える事実、政府と薩摩私学校の確執が、川路大警視が大久保の薩摩鎮圧命令を過激に実施した結果であることが大変興味深い。

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    2018年04月07日
  • 翔ぶが如く(十)

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    薩摩軍は転戦の末、鹿児島へ帰る。終焉地・城山に籠る薩摩兵は3百余人、包囲する政府軍は7万、西郷に続き桐野利秋、村田新八、別府晋介らは斃れ西南戦争は終焉する。反乱士族を鎮圧した大久保利通も翌年、凶刃に斃れる。

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    2018年03月26日
  • 空海の風景 上巻 (改版)

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    空海に関しては少し前まで一般知識として名前を知っている程度だったのですが、高野山の存在に興味を持ったことや、映画になったことなどから、もっと深く知りたくなって読んでみた。
    あまりに時代が古いせいで史実を追うだけだと味気なくつまらない内容で終わってしまうところを、司馬氏が想像を思う存分駆使して物語を構築してくれたお陰で活き活きと動く姿を味わうことができます。
    他の登場人物の描写がこれまでの自分の認識と異なる点が幾つもあるので、空海に関しても事実というより、あくまで1つの側面から見ればという前提付きで読めば良いと思います。
    下巻に期待。

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    2018年03月22日
  • 翔ぶが如く(九)

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    全十巻の「翔ぶが如く」も終盤、政府軍を田原坂での激しい攻防戦で圧倒するが、銃弾の不足に悩まされ薩摩軍は遂に田原坂から撤退するが・・・。

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    2018年03月19日
  • 「明治」という国家[新装版]

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    司馬遼太郎の書く明治の小説はいくつか読んだことがあったが、明治という時代全体に対して論じているのを読むのは初めてだった。たびたび話が脇道にそれるものの、それらが全て興味深くこぼれ話満載な一冊だった。

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    2020年06月16日
  • 翔ぶが如く(十)

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    とにかく長く、特に原文表記の箇所などは流し読みしてしまった所も多い。それでも読み終わってみると、維新後10年の激動の余韻の一部に触れられた感がある。
    日本史の授業において、西郷隆盛や西南戦争については、その歴史的意義とは裏腹にそこまで大きくは取り上げられない。それは、当時の人々にとっての西郷隆盛という人物の持つ神話性や、薩摩藩固有の価値観、西郷と大久保の個人的感情など、幾多の事物が絡み合って勃発した西南戦争に至るまでの過程を語るのは困難の極みであることの表れなのだろう。
    武士の時代と近代国家の血生臭いぶつかり合いを丁寧に描き切った巨作。

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    2018年03月03日
  • 翔ぶが如く(四)

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    廃藩置県が、西郷さんに重たい十字架を背負わせ、それが西南戦争に繋がっていく要因になるんだなと感じました。西南戦争前の西郷さんは、革命を成就させるためだったとは言え、色々と辛かっただろうなと思う。

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    2018年02月21日
  • 翔ぶが如く(五)

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    大久保利通が北京に談判に行くところから宮崎八郎が評論新聞社に入社するまでの第5巻。相変わらず進行が遅く娯楽読み物というより歴史教科書といった体です。
    前半の大久保外交は交渉力が凄いですね。ことを優位にすすめるには多弁にならず我慢する駆け引きも大事なのかな。胆力がかなり必要で常人には出来かねるでしょうけど。
    宮崎八郎の話は余談かと思って読み進めるとルソーの民役論と中江兆民に繋がるのでもはや新展開の様相で、西郷隆盛は出番なし。
    専制政治、共和制政治、元老院、三権分立と、終盤は政治の勉強モードとなりしんどく感じられたが、読後感は知的好奇心を満たして悪くないです。

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    2018年02月12日
  • 国盗り物語(三)

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    美濃の蝮・斎藤道三が義理の息子・義龍のクーデターの前に倒れ物語の主役は信長・光秀へ。
    かつて野望のために利用した土岐家の血そして自らが築き上げた軍勢と対峙し散っていった道三の姿に乱世の梟雄としての意地と風雅を愛したこの男ならではの美学を感じずにはいられない。
    その革新性とリアリズムは後継者と見定めた娘婿・織田信長へと、教養と知性の深さは幼少期より薫陶した明智光秀へと受け継がれていく。
    桶狭間の戦い、美濃の攻略と覇道を進む信長、放浪の身から室町幕府の再興を志す光秀。
    道三の相反する個性を体現した二人がどのように交わり、ぶつかり、「本能寺の変」に繋がっていくのか。
    私事だが以前住んでいた場所の近くに道三と信長が会見した富田・聖徳寺跡の石碑があった。三巻の中でもこの会見シーンが大好きなので創作と分かっていながらワクワクして読み進めた。

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    2024年06月08日
  • 国盗り物語(二)

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    美濃において国主・土岐頼芸の信頼を得て着実に力を高めていく庄九郎。腐敗と内紛、侵略の危機を見事に乗りこなしついには国を「盗る」。
    前巻は才気と切れ味で活路を見出す印象のあった庄九郎が洞察力と胆力を身に付け、周到に狡猾に美濃を飲み込んでいく。まさしく「蝮」の道三そのもの。
    ライバル・織田信秀との知恵比べやこれまでの常識を覆す自由市場の建設。充実の時を迎えながらも「天下」の野望を達成するには残り時間がないことを自覚する庄九郎にこれまで見られなかった弱さが見え隠れし哀愁ある姿がなんとも切ない。
    その野望と理想を受け継ぎ体現するのがしのぎを削った信秀の子・信長というのがまた歴史の皮肉でありロマン。

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    2024年06月08日
  • 酔って候

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    幕末の4大名(土佐の山内容堂・薩摩の島津久光・肥前の鍋島閑叟、そして、宇和島の伊達宗城)をとりあげているが、一番面白かった大名は科学かぶれで傑出した頭脳を持つ肥前の妖怪でした(明治維新後数年で亡くなったのはほんと勿体ない)。伊達の黒船の主役は下賤の平民嘉蔵ですが、司馬遼太郎の作品は平民を描かせた方が史実の拘束を受けないぶん自由度が高く面白いです。
     他方、きつね馬は島津久光の無能ぶりを書いているので、今後、西郷隆盛と大久保利通は大河ドラマでえらい苦労させられるんだろうなあと思い溜息ひとつ。酔って候は以前大河ドラマの龍馬伝を見てたので新発見もなく特に普通な感じ

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    2018年02月09日
  • 翔ぶが如く(三)

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    征韓論激論の末、西郷吉之助さんの東京退去に始まり、岩倉具視右大臣の襲撃事件が発生。山縣有朋や伊藤博文の台頭の様も描かれている。これを読むと今も続く長州閥がこの時から脈々と形成されたと思う。。

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    2018年02月07日