司馬遼太郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
高田屋嘉兵衛の人生の華?とも言うべきロシア外交の部分であるが、実際の文献(当時の記録)からの引用を多用し淡々と述べられている。小説なのか?という印象だ。
ロシアの考え方を理解するために5巻があり、高橋三平との関係があったから廻船問屋の主人で商人でしかない嘉兵衛が今で言う外交官のようなことをできたことを示すためにその前、函館での話しから官船の扱いから御用船頭になった話があり、全てはこの部分の話を理解するために必要な「壮大な前置き」だったと言えるであろう
そのせいか、嘉兵衛の人生の最後の山場、クライマックスであるはずであるのに、読んでいて妙に淡々としすぎて簡単に過ぎた印象も残った。
ドラマ性 -
Posted by ブクログ
本巻ではいよいよ黒田官兵衛が織田信長を裏切った荒木村重の人質になってしまう。官兵衛の人生における痛々しい代表的シーンである。吉川英治作品とは異なり、有岡城へ到着するや否や、荒木村重に談判することなく牢に放り込まれる。このあたりの枝葉末節を他の作品やドラマと比べてみるのも面白い。大河ドラマではどう描かれるのだろうか。第3話で山賊に襲われる官兵衛を助けるというアングルを仕掛け、友好関係を築かせているため、後々の裏切りがかなりドラマチックになることは確実。
1年にわたる人質期間を経て、何か悟りを開いたような官兵衛。元々私利私欲には走らない策士という一風変わったキャラクターだったのだが、それに輪をかけ -
Posted by ブクログ
言うまでもなく、今年の大河ドラマ「軍師官兵衛」の司馬遼太郎版。「世に棲む日々」に続く今年2作品目の長編。黒田官兵衛に関しては、大河ドラマを順調に観ているほか、「大河ドラマ・ストーリー」「黒田如水(吉川英治著)」、「新書太閤記(吉川英治著)」などを読んでいるため、流れはほぼ掴んでいる。あとは、司馬遼太郎氏なりの色付けを楽しむだけである。
本作品では、冒頭のかなりの部分を官兵衛の代よりも前の黒田家について説明がしてあり、家の成り立ちをしっかり理解出来た。その過程で、官兵衛の曽祖父高政が連歌の点者ではないかという想定で進めようとしていたところがユニークだった。根拠はまったくないにもかかわらず、近 -
Posted by ブクログ
三巻目になるとネタが尽きそうにも思えるが、泉のように湧きでる知識、考えた筆をとどめるところを知らないようだ。本当に歴史が好きなんだなぁと思う。
三巻で印象的だったのは次の点。
-室町時代というのは、現代にも続く様々な事柄の源流であったという。司馬は「私どもは室町の子といえる」と言っている。たとえば、書院造、華道、茶道、行儀作法、婚礼の作法、貿易...
-遷都
平城京で大寺で失敗して平安京に遷都した。このため平安京には大寺が無い。京の古刹は豊臣期、江戸時代に興されたもの。平安京時代に二つの大寺(延暦寺、金剛峯寺)これは都から遠ざけられている。
室町時代って豊かな時代だったのね。