司馬遼太郎のレビュー一覧
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…巨星、堕つ。1996年2月12日、十年間続いた『文藝春秋』の巻頭随筆「この国のかたち」は、筆者の死をもって未完のまま終わることになった。…
電車に乗って「さぁ最後の完だぞ!」と本書を手にとった瞬間に飛び込んできた文字列。裏表紙に記載されていた。とてもショックだった。司馬さんが亡くなられていたのは知っていたが、この本が絶筆になっていたとは…とても悲しくなった。呆然とした。なぜだか…
1996年2月といえばわたしが役人を辞めて一年ほどフラフラして退職金を使い果たしてやっと仕事を始めた頃であった。それから18年。全く何をやっていたのか?ただ、生きてきた。ずいぶん思い悩んだが、まぁそれでよかった -
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神道や宋学についてまとめて書いてある。なので思想というものについて考えさせられた。
宋学は宋の時代漢民族が自分は文明人(華)で、北方の異民族(蛮)に圧倒されて屈折した気分を何とか晴らしたいと考えだされた考えだったようだ。ものの考え方としては悪くはないだろう。どうせ考えるのなら気分が良くなるように考えたらいいと思うからだ。しかし、実態に合わない考え方をすると虚しい空論になる。頭の中だけが満足して生活は苦しくなる一方だから、当然滅びる。
思想というものは気分から始まるのかもしれない。生きづらいと感じている気分をどうにかこうにか「いやこれでいいじゃないか!」にひっくり返すためになされる大変な営為な -
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ネタバレ征韓論前夜の一部始終の歴史物語。西郷隆盛がモンモンモンモン…悶々悶々悶々悶々…ひとりで…。
魚釣りに出かけてる。
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p20 尺度は人の業
人間の相克は、利害にもよる。しかし尺寸にもよる。人間の不幸は、人によって尺度の大小異なっていることである。
p22 西郷の尺度
西郷は征韓論という言葉を使ったことはない。遣韓論という言葉を常用した。あくまで西郷は使節として話し合いに行く。ただ、和解は無理な協議だから、自分の死を以て日本の、ひいてはアジアのために列強に対抗するアジアの連携を達成しようと考えていた。
p24 西郷は好戦的か嫌戦的か
「誰が戦を好むものか」⇔「道 -
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司馬さんは日露戦争に勝ったあたりから日本人がリアリズムを失って地に足がつかなくなり、幻想に縋って生き延びようとし始めたから、国が滅んだとおっしゃる。しかも、夏目漱石は「三四郎」なかで三十有余年前にそれを予言していたと…
わたしが、社会に出て悩んだことの一つに、自分の給料や仕事のリアリティーを感じるのが難しいということがあった。「こんなんで生きていていいのだろうか?」ずっとそう思っていて、今でもそう考えることがある。もしかすると、いまでもほとんどの日本人は幻想に縋って生きているのではないだろうか。リアリティーは脳が創るものだから、それも当たり前といえば当たり前かもしれないけど…あまりにも浮つい -
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どんどん面白くなっている。とまらない!もっともっとと読みたくなる。
多分、司馬さんの文章を読み慣れてきたせいだとは思う。しかし、それにしてもわたしはものを知らない。特に字を識らない…とは言いながらもズンズン読んでいこう!
昔の偉い人がたくさん出てくる。偉い人ってほんっとすごい!例えば東京帝国大学の土木工学の初代日本人教授だった古市公威という方なんかはとんでもない勢いで勉強されたみたいである。留学先のフランスでそのあまりの勉強ぶりに下宿の女主人があきれて、“公威、体をこわしますよ”と忠告すると、「わたしが一日休めば、日本は一日遅れるのです。」と言ったそうである。全開フルスロットルで生きていたの -
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ネタバレオケラもカエルもアメンボもそしてヒトも等しく生き物である。しかし歴史の中に生まれてくるのは人しかない。だから先生は歴史を書く。
歴史というのは人間特有の文化なんだな。言語を持つ生き物だから、時間を超えた人間同士の交流ができる。司馬先生は未来の人と繋がるべく、歴史を書いている。そう悟った。
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p16 八幡神社
八幡神社は大分の宇佐に総本社がある。祀る八幡神は自然と一体になった日本の神と一風変わっている。巫女に憑依し託宣し、人間の世に口出ししてくる。八幡神は朝鮮から渡来した秦氏の住む地で祀られた。
八幡神は仏教が日本に流行ると「私は昔インドの神だった。今は日本の神をやって -
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ネタバレ親の昔の写真を見ると、少なからず驚きがある。予想できるだろうに「かたち」が違うと驚く。この国にも昔のカタチがある。同じような驚きがきっとある。
そういえばプラトンのイデアも「形」が語源だったな。
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p21 足利幕府の無能
足利幕府は235年も続いたが、先代の鎌倉幕府のような威厳もなく、後代の江戸幕府のように巨大な行政機構も財力もなかった。義満の全盛期も金閣寺を作ったくらい。領国統治なんてしないし、だから地侍衆が力を持つようになる。それでいて文化や農業は最高の発展を遂げ、現代の日本の原型になっている。
p45 士農工商は中国語源
紀元前の中国に「士農工商」という四民の -
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【本の内容】
清の八十翁・松齢の庭に突如咲いた一茎の黒い花。
不吉の前兆を断たんとしたその時に現われたのは(黒色の牡丹)。
人間稼業から脱し、仙人として生きる修行を続ける小角がついに到達した夢幻の世界とは(睡蓮)。
作家「司馬遼太郎」となる前の新聞記者時代に書かれた、妖しくて物悲しい、花にまつわる十篇の幻想小説。
[ 目次 ]
[ POP ]
本の帯に<幻の初期短篇、初の文庫化!>とあるが、文春文庫が、司馬作品を「幻」と銘打って出すのは初めてではない。
2001年刊の『ペルシャの幻術師』は<幻のデビュー作>、03年刊の『大盗禅師』は<幻の司馬文学、復刊!>。
「幻」をうたうこと