司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 菜の花の沖(六)

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    高田屋嘉兵衛の人生の華?とも言うべきロシア外交の部分であるが、実際の文献(当時の記録)からの引用を多用し淡々と述べられている。小説なのか?という印象だ。

    ロシアの考え方を理解するために5巻があり、高橋三平との関係があったから廻船問屋の主人で商人でしかない嘉兵衛が今で言う外交官のようなことをできたことを示すためにその前、函館での話しから官船の扱いから御用船頭になった話があり、全てはこの部分の話を理解するために必要な「壮大な前置き」だったと言えるであろう

    そのせいか、嘉兵衛の人生の最後の山場、クライマックスであるはずであるのに、読んでいて妙に淡々としすぎて簡単に過ぎた印象も残った。

    ドラマ性

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    2014年04月26日
  • 胡蝶の夢(一)

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     1巻目は明治維新前夜、幕府の奥御医師、松本良順は弟子、島倉伊之助を佐渡から呼びよせ、長崎出島にてオランダ人から直接蘭学を学ぶまでのストーリーである。弟子の伊之助が異才の持ち主であり、2巻目からの話しに更なる期待が膨らむ。

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    2014年04月23日
  • この国のかたち(五)

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    神道の話。教義も偶像もない。宗教というよりかは、文化なのか。だからこそ、神道は、こと挙げぬこそ相応しいのだろう。
    朱子学という型を大事にする空論は、やがて、太平洋戦争にも。
    朝鮮の日本への見方。夷としてみているのだろう。
    昭和は、やはり突然変異だったのだろう。なぜ、合理主義を失ったのか?
    日露戦争で勝利し、反省しなかったからか。

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    2014年04月14日
  • 新装版 播磨灘物語(1)

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    ネタバレ

    初、司馬遼太郎本。
    大河ドラマの影響で読み始めたけど面白い。

    播磨で退屈していた官兵衛がこれからどんな天下いじりをしていくのかが楽しみ。

    それと意外と信長の評価の低くて驚いた。
    でも天下への野心は毛利や他大名よりも強くて、だからこそ天下統一の一歩手前まで昇りつめることができたんだろうなと思った。

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    2014年04月10日
  • この国のかたち(四)

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    韓国が日本を下に見ているのは、儒教の影響なのかもしれない。日本は何故、儒教をとりながらも、リアリズムを忘れなかったのだろう。
    靖国の前身である招魂社は、明治維新後、戊辰戦争で戦士した人を祀り、統一国家を示す為に作られた。

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    2014年04月14日
  • 新装版 播磨灘物語(4)

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    信長の本能寺の変から、明智光秀を追い込み、官兵衛が如水として隠居し、亡くなるまでを描いている。頭で生きるそんな官兵衛の生き方に共感する。

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    2014年03月07日
  • 街道をゆく 43

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    未完の最終巻。桶狭間から、戦国時代の武将たちの逸話をたどる。
    名古屋は名医の街だそうで、藤田保健衛生大学が出てくるくんだりで眼科の話があって楽しかった。
    話は家康が信玄に大敗したところで未完に終わる。
    後半に収められている安野光雅画伯の挿画の中に、犬山城から臨む木曽川があった。あの犬山の不思議な歴史について司馬遼太郎の軽妙な語り口で聞きたかったものだ。

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    2014年03月05日
  • 功名が辻(四)

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    山内一豊の4巻目。一豊が土佐に入り、国守となるまでだったが、国主となって千代と政策を練るのかと思っていたのだが、どうも守りに入ったような気がした。一豊を応援していただけに、残念な結末。しかし立場が付けば一豊のように守りの面も出てくるものなのか。物事様々な視点で考えないといけないと痛感した作品だった。

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    2014年03月04日
  • 新装版 播磨灘物語(3)

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    官兵衛が荒木村重によって囚われ、牢を出てからの変貌について語っている。牢の中のすさまじい状態、それでも希望を見出して生きようとする官兵衛の健気な姿に感激した。

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    2014年03月03日
  • 功名が辻(三)

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    山内一豊の3巻目。
    秀吉の老いとその周辺にまつわる話から、秀吉没後の、さてどっちに付くというところまで。
    一豊自身、律儀者で通っているが、巻の終盤、名将っぷりを発揮する一場面の印象がかっこいい。

    成算など無い。そういうことはわからん。わかっておればもともと合戦などする必要の無いものだ。徳川殿を勝たせるのだ。

    の一節は感慨深い。この一戦で家運を開く、と言い切った一豊の覚悟は腹に響く。

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    2014年02月27日
  • 功名が辻(二)

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    山内一豊の2巻目。
    本能寺の変から秀次の謀反計画まで。
    1巻に引き続き、妻千代の才女っぷりが頼もしい。しかし旦那の一豊は相変わらずのキャラクターでついつい応援したくなる。
    サラサラと読み終わった。

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    2014年02月27日
  • 新装版 播磨灘物語(3)

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    本巻ではいよいよ黒田官兵衛が織田信長を裏切った荒木村重の人質になってしまう。官兵衛の人生における痛々しい代表的シーンである。吉川英治作品とは異なり、有岡城へ到着するや否や、荒木村重に談判することなく牢に放り込まれる。このあたりの枝葉末節を他の作品やドラマと比べてみるのも面白い。大河ドラマではどう描かれるのだろうか。第3話で山賊に襲われる官兵衛を助けるというアングルを仕掛け、友好関係を築かせているため、後々の裏切りがかなりドラマチックになることは確実。
    1年にわたる人質期間を経て、何か悟りを開いたような官兵衛。元々私利私欲には走らない策士という一風変わったキャラクターだったのだが、それに輪をかけ

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    2014年02月22日
  • 新装版 播磨灘物語(1)

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    言うまでもなく、今年の大河ドラマ「軍師官兵衛」の司馬遼太郎版。「世に棲む日々」に続く今年2作品目の長編。黒田官兵衛に関しては、大河ドラマを順調に観ているほか、「大河ドラマ・ストーリー」「黒田如水(吉川英治著)」、「新書太閤記(吉川英治著)」などを読んでいるため、流れはほぼ掴んでいる。あとは、司馬遼太郎氏なりの色付けを楽しむだけである。

    本作品では、冒頭のかなりの部分を官兵衛の代よりも前の黒田家について説明がしてあり、家の成り立ちをしっかり理解出来た。その過程で、官兵衛の曽祖父高政が連歌の点者ではないかという想定で進めようとしていたところがユニークだった。根拠はまったくないにもかかわらず、近

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    2014年02月22日
  • 新装版 播磨灘物語(2)

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    官兵衛が秀吉に協力し、活躍をし始める頃を描く。自分も組織人としてこうありたいと思う。歴史小説としてだけではなく、振る舞い方として参考になる。

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    2014年02月21日
  • 新装版 播磨灘物語(4)

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    終始一貫、勘兵衛が秀吉の観察者として描かれている作品。

    勘兵衛の内面や戦術よりも、秀吉の幸運さと信長の政治面や実行してきた偉業の面が印象的だった。

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    2014年02月20日
  • 新装版 戦雲の夢

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    長宗我部元親の末子の盛親が主人公。意志とは別に関ヶ原の戦では西軍として参戦ししかも戦わずして敗戦の将となってしまった。自分が生まれて来た意味を大阪夏の陣、冬の陣で取り戻して行く武将としての苦しみが描かれている。せめてその最期は若狭の本願寺末寺で僧となり、一婦人とともに余生を送った、という伝説を信じたい気持ちになる。

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    2014年02月18日
  • 新装版 播磨灘物語(1)

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    秀吉の天下取りを支えた武将 、黒田官兵衛が主人公のお話。他の作品と同様に著者の綿密な下調べに裏打ちされた小説、それだけにとどまらずこの作品は官兵衛論を書いた歴史書としても十分な価値がある。特に司馬史観に基づき官兵衛のフィルターを通して観た信長に仕える秀吉像はとても新鮮。14年んの大河ドラマ主人公でもあり、ドラマを楽しむ上でも必読。

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    2014年02月16日
  • この国のかたち(三)

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    三巻目になるとネタが尽きそうにも思えるが、泉のように湧きでる知識、考えた筆をとどめるところを知らないようだ。本当に歴史が好きなんだなぁと思う。

    三巻で印象的だったのは次の点。
     -室町時代というのは、現代にも続く様々な事柄の源流であったという。司馬は「私どもは室町の子といえる」と言っている。たとえば、書院造、華道、茶道、行儀作法、婚礼の作法、貿易...
     -遷都
      平城京で大寺で失敗して平安京に遷都した。このため平安京には大寺が無い。京の古刹は豊臣期、江戸時代に興されたもの。平安京時代に二つの大寺(延暦寺、金剛峯寺)これは都から遠ざけられている。

    室町時代って豊かな時代だったのね。

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    2014年02月16日
  • 新装版 歳月(上)

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    他の作品では深謀遠慮から程遠い人物として描かれているだけに、優れた実務家、司法家としての表現、エピソードの数々は非常に興味深い。妾宅がわからず1時間待つ姿は苦笑せざるを得ない。「私は・・・」の後のセリフ、想像すればするほどこの人物に興味がわく。

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    2014年02月15日
  • 十一番目の志士(上)

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    新装版になっていたため、ジャケ買い 笑
    天堂晋助という長州藩の架空人物の人斬りの話。確かに、明治維新前後の天誅や辻斬りの中には、長州藩の凄腕は史実としては着目されていない。薩摩、土佐の暗躍が目立つ。司馬文学の醍醐味はほんとうにこういうことがあったのかと思わせてどっぷり追体験させるところであると思う。まるで見てきたかのような文体は常に惹き込まれる。
    また、晋助が使う剣術も二刀を礎としている凄腕なので、それもまた惹き込まれる。下巻ではどのような情景を描くのか楽しみである。

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    2014年02月12日