司馬遼太郎のレビュー一覧
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激動の時代に大いなる功績を残した人物の足跡を辿る。松本良順がそうした幕末小説のテンプレートに沿ったキャラクターとするならば、伊之助は独特の立ち位置に存在する男だ。目をみはる栄達をしたわけではないし、書き連ねられるのは、社交性に著しく欠けるため相手を苛立たせるというエピソードばかり。そんな伊之助も、歴史のうねりの中で、何がしかの役割を果たしている。作中で痛快なことを成し遂げるわけではないが、何だか自分の周りにももしかしたらいそうに思えて、伊之助のくだりになると少し和んだ気にさせられた。
司馬遼太郎も、書き進めるに従って伊之助に最も感情移入したのかもしれない。『国盗物語』で一番人間味を感じたのが、 -
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ネタバレグダグダの台湾出兵。第二次大戦の軍部の暴走はこの時に倣っているようだ。歴史に学ばないとこうなるのだ。
台湾出兵は秀吉の頃とあまり変わらない海外遠征で、つくづく征韓論は時期尚早だったとわかる。
学校の教科書だと、台湾出兵なんて2行程度で、薩摩士族への申し訳程度の出兵だとしか書いてない。もちろん興味もわかない。こんなにもグダグダだったなんて、この本を読まなければ一生知ることはなかっただろう。サンクス。
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p28 佐賀の乱は大久保の餌食になった
江藤新平の起こした佐賀の乱は、政府の根幹を揺るがすどころか、却って政府の結束を強めることになった。この乱のために、臨時的に明治 -
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…巨星、堕つ。1996年2月12日、十年間続いた『文藝春秋』の巻頭随筆「この国のかたち」は、筆者の死をもって未完のまま終わることになった。…
電車に乗って「さぁ最後の完だぞ!」と本書を手にとった瞬間に飛び込んできた文字列。裏表紙に記載されていた。とてもショックだった。司馬さんが亡くなられていたのは知っていたが、この本が絶筆になっていたとは…とても悲しくなった。呆然とした。なぜだか…
1996年2月といえばわたしが役人を辞めて一年ほどフラフラして退職金を使い果たしてやっと仕事を始めた頃であった。それから18年。全く何をやっていたのか?ただ、生きてきた。ずいぶん思い悩んだが、まぁそれでよかった -
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神道や宋学についてまとめて書いてある。なので思想というものについて考えさせられた。
宋学は宋の時代漢民族が自分は文明人(華)で、北方の異民族(蛮)に圧倒されて屈折した気分を何とか晴らしたいと考えだされた考えだったようだ。ものの考え方としては悪くはないだろう。どうせ考えるのなら気分が良くなるように考えたらいいと思うからだ。しかし、実態に合わない考え方をすると虚しい空論になる。頭の中だけが満足して生活は苦しくなる一方だから、当然滅びる。
思想というものは気分から始まるのかもしれない。生きづらいと感じている気分をどうにかこうにか「いやこれでいいじゃないか!」にひっくり返すためになされる大変な営為な -
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ネタバレ征韓論前夜の一部始終の歴史物語。西郷隆盛がモンモンモンモン…悶々悶々悶々悶々…ひとりで…。
魚釣りに出かけてる。
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p20 尺度は人の業
人間の相克は、利害にもよる。しかし尺寸にもよる。人間の不幸は、人によって尺度の大小異なっていることである。
p22 西郷の尺度
西郷は征韓論という言葉を使ったことはない。遣韓論という言葉を常用した。あくまで西郷は使節として話し合いに行く。ただ、和解は無理な協議だから、自分の死を以て日本の、ひいてはアジアのために列強に対抗するアジアの連携を達成しようと考えていた。
p24 西郷は好戦的か嫌戦的か
「誰が戦を好むものか」⇔「道 -
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司馬さんは日露戦争に勝ったあたりから日本人がリアリズムを失って地に足がつかなくなり、幻想に縋って生き延びようとし始めたから、国が滅んだとおっしゃる。しかも、夏目漱石は「三四郎」なかで三十有余年前にそれを予言していたと…
わたしが、社会に出て悩んだことの一つに、自分の給料や仕事のリアリティーを感じるのが難しいということがあった。「こんなんで生きていていいのだろうか?」ずっとそう思っていて、今でもそう考えることがある。もしかすると、いまでもほとんどの日本人は幻想に縋って生きているのではないだろうか。リアリティーは脳が創るものだから、それも当たり前といえば当たり前かもしれないけど…あまりにも浮つい -
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どんどん面白くなっている。とまらない!もっともっとと読みたくなる。
多分、司馬さんの文章を読み慣れてきたせいだとは思う。しかし、それにしてもわたしはものを知らない。特に字を識らない…とは言いながらもズンズン読んでいこう!
昔の偉い人がたくさん出てくる。偉い人ってほんっとすごい!例えば東京帝国大学の土木工学の初代日本人教授だった古市公威という方なんかはとんでもない勢いで勉強されたみたいである。留学先のフランスでそのあまりの勉強ぶりに下宿の女主人があきれて、“公威、体をこわしますよ”と忠告すると、「わたしが一日休めば、日本は一日遅れるのです。」と言ったそうである。全開フルスロットルで生きていたの -
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安倍内閣の内閣改造、ネット上に飛び交うヘイトスピーチ。この国はどうなっているのか?政権内部あるいはネット上のごく一部の現象だろうとは思うが、かなりうんざりして幻滅している。司馬さんは終戦の時に参謀本部が滅ぼしたこの国の愚かさにうんざりし、昔はそうじゃなかった。こんな愚かしさを生み出したものは何だったのかを知りたいと思ったと書かれている。
今の私の気分にとてもマッチした、そういう考え方をしなければやりきれなくなるこの状況に読むべきであろう本のような気がする。全6巻。文字が大きいし行間もわりとあるので恐らく読めるだろう。
この本を知ったのは、内田樹さんが中小企業の社長さんが読むべき本として推奨され