司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 新装版 アームストロング砲

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    短編集。
    肝付又介という頑固者の薩摩藩士を取り上げた「薩摩淨福寺党」。倉敷の町人の息子に生まれながら、まっすぐな正義感から不正を働いた商人を抹殺し長州へ奔った立石孫一郎を描いた「倉敷の若旦那」など、名も無き者たちの幕末における悲劇を集めたもの。
    「斬ってはみたが」「侠客万助珍談」「五条陣屋」なども面白かった。

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    2014年07月31日
  • 新装版 播磨灘物語(2)

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    羽柴秀吉の播磨入りから荒木村重の謀反までを描いた第二巻。官兵衛や秀吉、信長の心情などを細かく書いているので読み易く面白い。

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    2014年07月28日
  • ロシアについて 北方の原形

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    ロシアという国家の原形をとらえ、日本との相互作用を辿っていく。

    原形に触れるという作業は、体制の如何を問わず、その国が持つ、固有の国土と民族と歴史的連続性を取り出すことである。

    武力のみが国家を保つという物騒な発想を、ロシアはキプチャク汗国から学び、引き継いだ。

    シベリアという巨大な荷物の、経済的うまみを創出するために、清国領、満州の一部を手に入れ、朝鮮にまで手を出そうとしたことで、日本に恐怖を与えた。それが日露戦争につながった。

    日本は明治末年、この戦勝によって、柄にも無く、”植民地”を得た。それに見合う陸海軍を持たざるを得なくなり、政治までもが変質していった。そして国家の器量に見合

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    2014年07月28日
  • 翔ぶが如く(四)

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    四巻はやや進行が淀む。
    淀まざるえないほどに、明治日本にいろんなことが起き混乱する。

    西郷下野、佐賀の乱、鹿児島私学校設立、台湾出兵…。
    明治維新により一夜にして近代国家としての日本ができたのではない。
    混乱を解決することにより少しずつ作られていく。
    大久保利通の冷酷さが恐ろしい。

    日本人必読の書だと私は思う。
    どうして人気がないのだろう?

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    2014年07月19日
  • 新装版 播磨灘物語(1)

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    著者の感想を散りばめながらの小説は今更ながら新しく面白かった。
    官兵衛の妻の名前が違っていたがこれはあえてなのかな?

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    2014年07月13日
  • 街道をゆく 2

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    韓国の旅の紀行文。
    古代の日本と朝鮮半島の関係が想像も交えながらわかりやすく考察されている。
    司馬さんの観察眼で見る韓国の物の考え方は今の政治情勢にも一脈通じるものがある。
    朝鮮に対する愛情と怜悧な観察はさすが。

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    2014年07月12日
  • ペルシャの幻術師

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    短編集 8作品中3作品は新潮文庫の「果心居士の幻術」と被る。ペルシャの幻術師、コビの匈奴、兜率天の巡礼、下請忍者、外法仏は初。

    磯貝勝太郎氏の解説で、またまた改めて知る司馬遼太郎さんがありました。外語大のモンゴル語、何で? 以前から疑問でした。司馬氏が生まれたのは、奈良県北葛城郡當麻町竹内。磯貝氏はそこをシルクロードの終点と解説。その地点から反対の始点であるシルクロードまで、場所がら司馬氏は少年時代からシルクロードへの夢想、詩的想像力を飛翔させるベースがあって、蒙古語を専攻せしめたのだと。子供の頃の病気治癒のお礼参りで、根本霊場の大峰山に行き、山頂の蔵王堂の不滅の灯明と闇にショックを受けたと

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    2014年07月04日
  • 歴史を紀行する

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    司馬遼太郎の紀行文。
    戦国時代や幕末において重要な意味をもった土地を中心としている。
    ザ・司馬史観といった書き方だが、あとがきで述べられているように、風土で個人を判断するのは危険だが、集団となったときにあらわれる気質は存在し、地方の住人を総括して理解する上で風土を考える必要がある、という考え方は納得がいった。
    街道をゆくシリーズもそのうち全部読破したい。

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    2014年07月02日
  • 城塞(上)

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    大坂の陣を描いた作品。真田幸村をはじめとする優秀な牢人達がせっかく助けに来てくれたのに、家康の策略にまんまとハマり彼らの邪魔ばかりする無能な大坂方の上層部がもどかしい。それでも家康を何度か窮地に陥れる場面があり歴史のifを感じずにはいられない。

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    2014年07月02日
  • 幕末

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    幕末の暗殺に関する短編。書の中で一番印象だった言葉は(一流の人間は死んで残ったのは三流の人間だった。)くだり。多くの歴史小説を読んだか本当にそうだとうなづけた。司馬遼太郎はきちんと取材してあるので話に重みがある。

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    2014年06月24日
  • 胡蝶の夢(一)

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    語学の天才にしてコミュ障の島倉伊之助、その兄貴分の蘭方医・松本良順の物語。伊之助は本当にどうしようもない奴ですが、憎めないのです。
    (余談)HNを決める際、たまたまPCの傍らに置いてあったのがこの「胡蝶の夢」でした。もし、これが「菜の花の沖」であったならば、私のHNは高田屋嘉兵衛になっていたことでしょう。

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    2014年06月21日
  • 新装版 播磨灘物語(4)

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    最初で最後の野望が自らの差し金である息子・長政の活躍により、終止符を打つことになるとは皮肉なものだなーと思いました。

    稀代の軍師として戦場や外交では活躍し、百姓からも慕われ、部下の働きをしっかり見、しっかり報酬を与える。上司に持つならこういう男を持ちたい。

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    2014年06月17日
  • 花神(下)

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    ネタバレ

    靖国神社に聳え立つ男の物語(下)大村益次郎は花坂爺さんやったんや!!


     明治維新のことは事実しか知らなかったから、新政府がこんなにバラバラだったとは思わなかった。大村益次郎がいなかったらきっと維新は成功しなかっただろう。

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    p42  長州毛利は地生え大名
     江戸幕府では各藩を国替えして、土着の勢力を築くことができないようにした。しかし、長州藩は戦国時代からずっと毛利が治めてきた(領地縮小はあったものの)。ここで生まれた「藩民族主義」というもののおかげで、領民が国難に対して自国を守る行動に積極的に参加した。挙国一致の体制があったから、長州は長く反幕戦争に臨むことができた。

    p45 

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    2014年06月14日
  • 項羽と劉邦(中)

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    「それらの一人が、この紀信という無名の下士の陰口について劉邦の耳に入れ、それについて劉邦が関心を示したということをきいたとき、紀信はあやうく昏倒しそうになった。」

    関中は落ちた。その門を閉ざした劉邦に怒る項羽。和解の後に行われた漢軍の東進。またもや追い込む楚軍。漢軍には韓信、陳平が参入し、楚軍からは蕭何が脱退。潰走した漢軍の進む先は勝利か敗北か。

    最後の紀信の話がとても好き。鬱屈し、現世を批判的にしか見る事ができない男が、最後に誇りに思う者を見つけた。そして、彼らの友も気づかぬうちに紀信の影響を受け、まっすぐに生を終えた。

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    2014年06月08日
  • 花神(中)

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    ネタバレ

    靖国神社に聳え立つ男:大村益次郎の物語(中) 戦略家としての頭角を現し始める。幕府が…崩れ始めた…。


     蔵六は相変わらず蔵六であるけど、彼の周囲が彼を放っておかなかった。火吹き達磨を見出した桂小五郎のすごさが際立つ。
     さらに、若かりし頃の明治の大物が次々登場するから読んでいてウキウキしてきます。

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    p15,~18    開明論と攘夷論(司馬の見解)
     開明論(漸次的な開国)は江戸幕府の国政制度を抜本的に改革するものではなかったはず。だからこの当時、日本が西欧列強に喰われない術は過激な攘夷論しかなかった。はず。
     西郷隆盛は戊辰戦争で徹底的に戦争し、日本全土を焼き尽くして新しい

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    2014年06月05日
  • 義経(上)

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    義経に関してほとんど知識を持ち合わせていなかったので、歴史的背景もすっと入ってこなかったし、登場人物もわからない人ばかり。
    それでもおもしろかった。
    源氏と平家の複雑な血の関係。人間のいろいろな欲。
    弁慶と弓の名手与一の登場。
    下巻が楽しみ。

    “後世、人前での涙はめめしいものという規律ができたが、この時代、人はよく泣いた。頼朝ははじめてあうこの弟の顔をじっとみつめ、亡父の面影をさぐっていたが、すでに両眼から涙があふれ、見つづけることができない。義経も頼朝をあおぎ、なき義朝はこのようなお顔であったかとおもううち、顔をあげられぬほどに涙がこぼれた。どちらもあいさつのことばすらなく、見つめては泣き

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    2014年05月22日
  • 新装版 播磨灘物語(2)

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    荒木村重の謀反は起きるべくして起こったことだと思う。
    本にも書かれていたけど、信長は新しい世の中を切り開く力はあっても、それを維持する仁徳はなかった。

    家族にまで手をかけ、延暦寺焼き討ちや石山本願寺攻め、そして上月城を見捨てるなど、未来の天下布武のためとはいえめちゃくちゃである。
    後に光秀にも裏切られたように遅かれ早かれ信長の運命は決まっていたのかもしれない。

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    2014年05月15日
  • 風神の門(上)

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    才蔵が格好いいですね。真田幸村や猿飛佐助も魅力いっぱいです。男性陣が光ってます。ただいろんな女性に惚れられてハーレムみたいになってたのは…お色気はそんなにいらなかったかな。

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    2014年05月06日
  • 胡蝶の夢(二)

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     良順は軍医ポンペを師と仰ぎ医学伝習所を開講後、付属病院まで建てることに成功する。一方、語学の天才、伊之助はそのポンペから嫌われ放校される。伊之助は成り行きから医学伝習所で知り合った藩医の婿になるのだが・・・3巻以降の展開が読めず(笑

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    2014年05月05日
  • 夏草の賦(上)

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    ネタバレ

    四国の戦国大名、長宗我部元親を描いた小説。才覚に恵まれ、調略・謀略を用いながら四国を統一していく様子を、司馬遼太郎の小説らしく、一歩引いたスタンスで描いています。
    四国の歴史はなじみが薄いので、一方の主人公である元親の奥方が、織田家中の明智光秀の親族で、兄は本能寺の変後に秀吉に敗死、姪は家光の乳母・春日局として取り立てられた云々、元親が採用した屯田兵制度である「一領具足」が山内藩政では郷士となり、土佐の明治維新の中核を担う事になった等々、本著を通じて初めて知る事ばかり。

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    2014年04月27日