司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 新装版 王城の護衛者

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     幕末、最後まで幕府を助けたがために「賊軍」として天下の官軍に追いつめられた会津藩主・松平容保。彼は純粋で正義感の強い人物だった。
    「勝てば官軍」
    という文句を彼ほど悲痛を以て実感した者は居ないだろう。

     明治維新は勝者である薩長の目線で描かれる事が多いが、幕府側に立った物語がもっとあっても良いと思う。その点、この『王城の護衛者』や『峠』、『燃えよ剣』は輝きを放っている。

     ところで、明治維新という革命は正しかったのか、という問いに対する答えはいつか出るのだろうか。

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    2012年07月27日
  • 空海の風景 上巻 (改版)

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    前半生をうすく語ると、

    幼少の頃より天才の誉れ高く、讃岐の人々の期待を背負い、上京、大学入りするもすぐ中退。

    20代のほとんどを仕事もせず山中をプラプラするか寺に引き篭るかして過ごす。

    30ぐらいの時「口の中に明星が飛び込んだ!」と大騒ぎ、出家する。

    その後「わが国に真の密教をもたらす」と唐への留学を決意。

    地元の名士、奈良仏教界の大物達をたらし込み、留学資格と20年分の留学費用を捻出させる。
    ※とにかく達筆で文才があったので、ここ一番は口八丁ならぬ、筆八丁で難局を乗り切る。

    しかし、留学するも20年分の滞在費をたった2年で使い切り、本来20年間の滞在期間を筆八丁で屁

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    2012年07月26日
  • 空海の風景 上巻 (改版)

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    空海の生きた時代背景をよく調べ、資料の解釈も小説家らしくおもしろい。司馬さんの他の多くの小説と異なり、会話が少なく、テンポが遅く、読む方はなかなか進まない。じっくり読みたい。12.7.22

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    2012年07月22日
  • 尻啖え孫市(下) 新装版

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    読むに連れ雑賀孫一の人間味に引き込まれていく。自分の考えを信じ世間の尺度や見方を全く無視できる自然体の強さに感動した。好色で、織田信長との戦いに生き甲斐を感じるあたりはガキ大将そのもので憎めない。しかも戦をさせたら連戦連勝、見方によっては男のあるべき姿のような人物だし生き方だ。また、戦国時代の浄土真宗の影響力や考え方は今日のものとは随分違う事に驚いた。私にとっては読むと前向きな気持ちになれる本です。

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    2012年07月19日
  • 街道をゆく 10

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    『佐渡のみち』の中の、孫悟空と佐渡、の話が良かった。面白くて、何回も繰り返し読みました。よくこんな話を思いつくな、と感心します。
    西遊記なんて子供用の物語だと思ってましたが、そうでもないようです。今度一回読んで見ます。

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    2012年07月11日
  • 菜の花の沖(一)

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    身分や立場によってではなく、一人の裸の人間としての尊厳があれば、相手もそうならざるを得ない。それが人間の初等力学のようなもの。今の社会は上下関係と、立場関係でだんじがらめになっている。
    人は大人になると、子供より劣ってしまうのではないか?という疑問が湧いてくるのはこのため。今も昔も人間のこういうところは変わらないみたい。そのなかでどう生きるかを考えるのが社会人?
    喜兵衛は海の上では全てが平等に扱われると感じてる。今の世の中にも船はある?

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    2012年07月01日
  • 城塞(中)

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     徳川方の間諜、勘兵衛を通して大阪夏の陣のドタバタ劇を描く。関が原では石田三成の西軍に味方した大名は領地を奪われることになる。だが、大阪城には淀殿と秀吉の子、秀頼が公家化した様子で侍女と生活をしている。将来にわたり火種になり得る秀頼を、亡き者とする計画を立てる家康であった。

     難航不落の大阪城の堀を埋める過程では、大阪側の軟弱化した様子とは対照的に家康の執念が凄まじい。二代目将軍秀忠の凡庸さにあきれる家康と、実は愚鈍ではない秀頼の対比が面白い。家康も高齢のため徳川幕府の将来を憂い、本当の敵はいつ尽きるともしれない己の寿命であると言い切るところがブラックジョークである。

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    2012年06月19日
  • 夏草の賦(上)

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    戦国時代の土佐の武将、長曽我部元親を主人公とした歴史小説。
    上巻は織田信長との衝突、間に入って苦闘する明智光秀を描えたところで終わる。早、下巻が楽しみ。
    土佐藩の勤王志士が山内家(上士)から蔑まれていた長宗我部一派(郷士)から出ていることは有名であり、今一度、理解を深めてみたい。

    以下引用~
    ・・・このとき元親がおもいついたのは、のちに長宗我部軍の戦力の中心になり、日本史にその特異な名をとどめた一領具足の制度である。一領具足とは、屯田兵のことである。
    ・・・
    後世、この階層が郷士になり、幕末この階層から土佐藩の勤王奔走の志士のほとんどが出たことを思えば、元親のこのときの発想は日本史的な事件で

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    2012年05月29日
  • 城塞(下)

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    これぞ司馬遼太郎の戦国ものだよなぁ。
    最後は唯一の創作人物お夏のシーンで終わるのが印象深い。
    女を饅頭をくうように扱う男が好きである、お夏は今でいうハードボイルド系が好きということであろうか。
    違うか。

    終始一貫して豊臣秀頼の描写が好きだった。

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    2015年07月14日
  • 新装版 軍師二人

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    「雑賀の船鉄砲」…(羽柴秀吉の中国攻めの際の)三木城が舞台
    「女は遊べ物語」…伊藤七蔵政国と妻小梅の話
    「嬖女守り」…上杉討伐の際、大阪に居残ることになった佐野綱正の話
    「雨おんな」…歩き巫女おなん、稲目左馬蔵、尾花京兵衛の話
    「一夜女官」…小若と岩見重太郎の話
    「侍大将の胸毛」…大葉孫六の妻由紀と、渡辺官兵衛了の話
    「割って、城を」…古田織部正の話
    「軍師二人」…後藤又兵衛と真田幸村の話

    「雨おんな」、「一夜女官」、「侍大将の胸毛」、「割って、城を」が、
    良かった。

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    2012年07月27日
  • 街道をゆく 39

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    ニューヨークの歴史のみならず、そこから日本文化への考察まで展開している文章は見事。普通にいい勉強が出来た。

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    2012年05月07日
  • 新装版 箱根の坂(下)

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    最終巻。北条早雲が伊豆に入り、小田原を手中に収めるまでを描く。最終巻では、関東での三浦氏、大森氏等との争いが舞台となり、読んでいても小気味よい。
    早雲は時間をかけてでも自分の目指すところを実現し、その実現の過程で軸(「義」なのであろう)を貫き通す。

    「あとがき」にもあるように、早雲が「領国制」という戦国時代に先駆けての新たな行政区を作ったことが歴史的にも意義のあることであり、その意味でも歴史上、押さえておくべき人物なのであろう。

    以下引用~
    ・早雲は、やれようがやれまいが、四公六民ばかりはつらぬかねばならないと思っていた。
    ・戦国とは、百姓をじかに支配しない守護が消え、代わって大名とよばれ

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    2012年05月07日
  • 風神の門(下)

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    ネタバレ

    (上巻に記載したものの続きです)
    小説版は、ドラマ版と違って「あるじは持たない」と言っていた才蔵の主義を変えさせた(かに見えた)幸村とは、最後の挨拶を交わすシーンも無し…。(又兵衛とのそれっぽいシーンはありまするのに…)
    小幡勘兵衛のエピソードを入れるくらいなら、その辺をちゃんと書いて欲しかった気が…。
    まぁ、情緒に流れず、独特の『軽ろみ』とドライ感があるのも司馬作品の特徴なので、ウェットなシーンはあえて省いているのやも知れませぬな。(第一、『成長物語』というつもりでお書きではないのでござりましょうし)

    たぶん原作では、佐助もどこかで生きていることでしょうし、孫八さんに至っては伊賀で悠々自適

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    2012年04月23日
  • 風神の門(上)

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    ネタバレ

    今回の再読で改めて気が付いたのは、原作の才蔵が、物語の始まりと終わりとで、人間的にあまり変わっていない…ということです。
    (以下、TVドラマ版との比較が入った感想文です。数年前の過去ブログからの転載です)

    物語の骨子としては『惚れた女を追いかけているうちに徳川Vs豊臣の戦に関わり、栄達等は得られなかったものの、かけがえのない恋人を得る…』というものですが、ドラマ版の才蔵は、その過程で大切な人とのつらい別れを幾たびか経験します。

    己の才を恃み、自由気まま、無邪気で無鉄砲に世の中に飛び出したドラマ版・才蔵、いろいろな人々と関わるうち、人間的に『何か』が少しずつ変わっていくのが伝わって参ります。

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    2012年04月23日
  • 十一番目の志士(下)

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    面白かった。登場人物がいちいち大物だらけで「それは出来過ぎだろ」と思うところもあったけど、そこは司馬エンターテイメント。

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    2012年04月22日
  • 新装版 箱根の坂(中)

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    中巻では早雲が京を離れ駿河に下り、今川義忠の嫡子・竜王丸を後見し、とうとう今川新五郎を討つ。討伐の舞台設定も興味深い。
    当時の加賀藩の政情の考察は、当時の権力構造の一端を知ることにもなり、早雲の治世のヒントを窺うことができる。
    最終巻が楽しみだ。

    以下引用~
    ・それまでの城といえば山城で、山塞というようなものにすぎなかったが、江戸城は平地に設けられたという点で画期的であり、かつ自然の地形と人工の堀を掘り、土居を築き、さらには複数の郭を組み合わせることによって、防御力の点で従来の居館とはまったく異なる土木を独創した。
    道灌の名声の何割かは、かれが設計した斬新な構造をもつ江戸城が負っている。

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    2012年04月21日
  • 城塞(上)

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    いやぁ、すばらしい。
    久しぶりにこれぞ司馬良太郎を読んだ。
    明治ものもいいが、戦国ものはまさに司馬遼太郎の真骨頂だと思われる。
    徳川家康が悪すぎる。
    目の前で徳川家康が小躍りしているのが、手に取るようにわかる。
    それに対しての、大阪。
    次巻も大期待。

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    2015年07月14日
  • 韃靼疾風録 (上)

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    関ヶ原から十年二十年経ったあたりの日本から話が始まる。
    新しい世になった日本と、終末の近い明と、勢いの増してきたヌルハチなど女真族、そして明を倒して順を打ち立てた勢力(李自成)がちょっと出てくる。

    上巻は主人公の周りで起こる話が多く、下巻は大きな時代の流れを俯瞰する形で描かれている。
    下巻の時代の奔流は圧巻。
    下巻だけなら星5つ。

    ヒロインがアビアが気丈でしかも猫っぽくて可愛かった。

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    2012年04月21日
  • 草原の記

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    「雲の影が草原に映る」という下りがあった。
    確かにgoogleマップで見ると映ってる!
    実際に立ってみると開放感抜群でしょうね。

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    2012年04月20日
  • 韃靼疾風録 (下)

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    清朝成立時の話。筆者の韃靼人への温かい眼差しが感じられる。架空の主人公桂庄助の眼を通した文化、文明がよくわかる。12.4.8

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    2012年04月08日