あらすじ
司馬遼太郎という作家の大いなる魅力のひとつに、その話術の妙がある。歴史に対する深い造詣から紡ぎ出される数々の興趣つきない逸話は人の心を捉えて離さない。全集第一期の月報のために語り下ろしたものと、「雑談・隣の土々」という表題の雑誌連載から三篇を収めた珠玉の談話集。
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Posted by ブクログ
この作品は司馬遼太郎さんが月刊誌などで談話されたものがいくつも紹介されている。
「中央と地方」では現代社会、現代人の中央文化に危機を感じ、薄っぺらい主体性の無さを嘆いている。
かつて坂東武者達が縁者を頼りに京に行き、あってもなくても変わらぬような官位を欲しがり、そしてそれを故郷で権威として振りかざした。
だが次第に戦国大名のような力を持ったものが各地に台頭すると地方ごとに文化が生まれ、江戸期にはさらにそれが顕著に現れてくる。
だが明治維新でそれは崩壊し、約300年間培われた地方文化は薄れ、東京こそ正しいというような風潮を特に若者が抱いているのが現代かもしれない。
我々は坂東武者に戻ってしまったのかもしれない。
Posted by ブクログ
作家が膨大な知識の中、日本の風土を鑑みながらその歴史観を披露する。歴史小説を読む手引きとしても利用できるほど本書は優れている。290ページ程度の薄い本ではあるが内容は濃い。