司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 十一番目の志士(下)

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    天堂の読者が知る得る最後の仕事が儚い。壮大な死を予想していただけに空虚であった。勇ましい剣豪は時代に作られた化身で、元来、根は優しい人だったのかと下巻を閉じ思った。

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    2012年12月18日
  • 菜の花の沖(二)

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    ネタバレ

    兵庫でひとかどの海の男として認められた嘉兵衛さんは、創意工夫と度胸のある行動力で、ついに若くして自分の船を作るまでになりました。
    江戸幕府もここにきて制度のひずみが顕著になり、農村での自給自足主義の建前の裏で各種商業が発達し、貨幣経済が確実に浸透してきて、商品や原料を運ぶ運送業の重要性もアップ。
    ここでいちかばちかの大勝負をかける男気のあった人が、のちに大きな財を築き上げたんだね。
    でも、嘉兵衛さんの努力と根性を読んでたら、これだけやらなきゃダメなんだなぁ…って思った。
    生半可な気持ちじゃかえって地獄へ一直線。
    それと、運もなければ話にならない。
    人生って大変だけど、頑張ってみたいと思わせれく

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    2012年12月18日
  • 菜の花の沖(一)

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    ネタバレ

    函館旅行で屋敷跡などを見てきた高田屋嘉兵衛さんの物語。
    この巻では、淡路島の貧しい農家に生まれた嘉兵衛さんが村独特の閉鎖的システムになじめず、そのうえ他の組のお嬢さまと(結果的に)仲良くなってしまったことから過酷ないじめにあって、命からがら兵庫に出て行くまで。
    とにかく我慢と忍耐と努力で、お嬢さまと世帯を持ち、自分の人生を切り開いていく嘉兵衛さんは芯の強い人です。

    江戸幕府の弊害と、日本には「いじめ」というものが昔から当たり前のように定着していたという司馬さんの説明がわかりやすくて、とてもお勉強になりました。

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    2012年12月18日
  • 十一番目の志士(上)

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    幕末の時代の流れに翻弄されているのか自分の意志で道を開いているのか。
    丁寧な書きぶりで描写がよく思い浮かぶ。もっと語彙力があれば頭の中で鮮明に思い浮かべられるだろうにと思った。
    おもしろい。

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    2012年12月16日
  • 新装版 大坂侍

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     どの話も洒落ていて面白い。江戸の小話を聞いているようだ、6話とも上方(大阪)の町人と武士の駆け引きが軽妙に語られる。司馬遼太郎の長編もいいが、ここ最近読んでいる短編もまた格別に面白い。人情モノは今の時代だからこそ読む価値があるのだ。

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    2012年12月04日
  • 新装版 アームストロング砲

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    わたしの創作に多大なる影響を与えた本の一冊です。
    「歴史」というのは(幕末に限らず)有名人が巻き起こす大事件だけで出来ているわけではなくて、色んなところで色んな人が色んなことをやっている結果……なのでしょう。
    短編集ですが、『斬ってはみたが』が、一番強烈に印象に残っています。
    こういう話が、実際にいろいろあったのではないか、とすぐに思いました。
    大きな出来事の「狭間」で起こる日々の小さな出来事が、もっと知りたくなる一冊でした。

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    2012年11月29日
  • この国のかたち(六)

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    ネタバレ

    本書は天皇、統帥権、仏教、神道、儒学など我が国にまつわるテーマとした短編コラム(1986年~1996年)をまとめたもので、日本人や日本をかたち作っている何かを探す意味で興味深い。

    <印象深かった内容>

    【第4巻】
    (日本人の二十世紀)
     ・我が国の為政者は手の内(特に弱点)を明かさない-不正直は国を滅ぼすほどの力がある
     ・日露戦争の時は武士の気分がまだ残っており、軍人も外交官も武士的なリアリズムや職人的な合理主義があった(故に海軍、陸軍、外交においてロシアに一矢報いることができた)
     ・知識人に軍事的教養がないことが、第二次世界大戦に繋がる軍部の戦略を批判することもなく、軍部の気分に乗る

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    2012年11月29日
  • 幕末

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    血なまぐさい幕末を暗殺というテーマでまとめた短編集。司馬遼太郎さんがあとがきで暗殺はきらいと書かれていたように暗殺が行われたことにより歴史は動いたのだろうか?

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    2012年11月20日
  • 十一番目の志士(下)

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    主人公の天堂晋助は架空の人物と。おそらくモデルもない。一子伝承の二天一流の継承者という。土の岡田以蔵、薩の田中新兵衛、肥後の川上彦斎(げんさい)、長の天堂晋助で人斬り四人男だなと龍馬に述回させている。

    周りは司馬さん馴染みの実在千両役者の総覧騒乱。主人公が架空で自由であるから、物語はそれは自由自在だ。高杉、桂、龍馬、西郷、伊藤俊輔、井上聞多、勝海舟、近藤勇、土方歳三、小栗上野介、さらには剣祖としての宮本武蔵。

    面白くないはずがない。虚構の中で実在役者に与える台詞に、司馬さんのそれぞれを主人公とした物語には書けなかった、推量の部分での本音がずけりと現れている様な。

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    2012年11月08日
  • 十一番目の志士(下)

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    とにかく晋介かっこよすぎる。
    ぜひ映画化とかしてほしい作品。
    ただ最後までキッチリ感がないのが残念…まぁ晋介はまだまだ続く!という感じでしょうか。
    しかし女性とどこまでも絡むなぁ晋介。
    そして斬って斬って斬りまくる晋介が凄い。
    ラストでは高杉晋作との別れもあります。
    途中では坂本竜馬との出会いもあります。
    あ、あと個人的に小栗上野介との戦いが見たかったなぁ。
    ということで星四つ。

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    2012年11月04日
  • 歴史と風土

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    ネタバレ

    この作品は司馬遼太郎さんが月刊誌などで談話されたものがいくつも紹介されている。

    「中央と地方」では現代社会、現代人の中央文化に危機を感じ、薄っぺらい主体性の無さを嘆いている。
    かつて坂東武者達が縁者を頼りに京に行き、あってもなくても変わらぬような官位を欲しがり、そしてそれを故郷で権威として振りかざした。
    だが次第に戦国大名のような力を持ったものが各地に台頭すると地方ごとに文化が生まれ、江戸期にはさらにそれが顕著に現れてくる。

    だが明治維新でそれは崩壊し、約300年間培われた地方文化は薄れ、東京こそ正しいというような風潮を特に若者が抱いているのが現代かもしれない。
    我々は坂東武者に戻ってしま

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    2012年10月28日
  • 花妖譚

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    これは 短編であるが 花にまつわる話が うまく描かれている。
    司馬遼太郎と名乗っていない「福田定一」の頃の作品である。

    言葉の運び方 使い方など 妖しいほどに うまい。
    「森の美少年」を読んで・・・
    インスピレーションがわいた。

    花にまつわる話が 歴史を深く掘り下げていくのが楽しい。
    こういうジャンルの 物語を紡ぐ必要がある と感じながら
    最初から 再び読み返した。

    司馬遼太郎は 短編で十分の そのチカラを発揮する。
    私は 『睡蓮』 が一番よかった。
    そのタクミな広がりは 衝撃を与える。

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    2016年08月09日
  • 新装版 戦雲の夢

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    前半つまらなかったのに、盛親覚醒後は読ませるなあ…くうう。主人公の人生観とシンクロする物語の緩急。
    歴史大河の片隅の、内省的な青春小説(というほどまで青くさくはないが)。主人公が傑人でないだけに共感しやすい。
    「城塞」は大坂の陣を政治的に理解できるが、こちらは文学的に理解する感じ。

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    2012年10月25日
  • 菜の花の沖(六)

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    クライマックス。喜兵衛とリコルドの友情が外交上の成功を納める。他国の言語が話せなければコミュニケーションはとれないと思いがちだが、心や他人に対する尊敬がないと本当の会話はできないんだと思った。人間や社会について書かれたこの本をこの齢で読めて良かった。

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    2012年10月20日
  • 歴史と風土

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     作家が膨大な知識の中、日本の風土を鑑みながらその歴史観を披露する。歴史小説を読む手引きとしても利用できるほど本書は優れている。290ページ程度の薄い本ではあるが内容は濃い。

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    2012年10月17日
  • 夏草の賦(上)

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    BASARAで元親兄貴にはまり、すぐに購入した本。司馬作品はよく大河になりますが、夏草はならない…。負けたからなのか?戦国無双の元親のとなりが奥さまの名前になっててちょい感動した。
    上下巻。

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    2012年10月18日
  • 故郷忘じがたく候

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    【胡桃に酒】細川ガラシャこと"たま"の生涯。ガラシャは他の小説などで悲劇の女性と言われ出てきてはいたが、あまり知らなかったので。父は明智光秀だという事を知り合点。本能寺の変による謹慎生活。夫の細川忠興の常軌を逸する嫉妬深さからくる性格の不一致、食いあわせ。悲運としか言いようがない。切支丹大名の高山右近の伝道による切支丹への傾倒。名前だけは知っていたが歴史小説を読むことで頭の中で結びついていくとおもしろい。

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    2012年10月14日
  • 幕末

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    桜田門外の変から始まり、幕末の暗殺事件の連作になっている。歴史小説は要所に若かりし頃の偉人が出てくるから面白いが、本作はあまり知られていない人間が多く描かれている。
    「土佐の夜雨」「逃げの小五郎」「死んでも死なぬ」の3編がなかなか面白かった。「死んでも死なぬ」には、小心者の伊藤俊輔(博文)が登場する。
    「最後の攘夷志士」では、志士たちが倒幕のために攘夷思想を利用された末路で、少し切ない。

    幕末小説を読んでいて面白いのは、のちの子爵だの男爵だのとカッコ付で書いてあったり、剣の腕はなんたら流の目録だのと紹介されるのがちんぷんかんぷんで、果たして凄いかどうかなかなか汲みきれないところ(笑)

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    2012年10月13日
  • 功名が辻(四)

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    初めは千代の賢しら加減が嫌味で、一豊サイドも戦ばかりでつまらずあまり楽しめなかった。
    2巻あたりから、戦国スターものの作品で語られない、秀吉衰退期や、関ヶ原で家康側につく人の様子などが描かれているところに面白さを見出した。
    最後はかなしい。「竜馬がゆく」の上士、郷士につづいていく。
    かっこいい!好きだ!おもしろい!という想いで(書き手も?)読み手も進んでいくタイプの小説ではなかった。

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    2012年10月08日
  • 風神の門(下)

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    下巻は合戦の様子が伊賀忍者 才蔵を通して描かれ おもしろい。忍者の当時の合戦の中での役割がよくわかる。日本独特の歴史。なぜ、日本にだけ忍者が出没したのか、戦国の中で如何に諜報活動が重要であったかなどから伺える。 横山光輝の伊賀の影丸の影響も受けているようでした。

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    2012年10月08日