司馬遼太郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
豊臣秀吉の軍師として名高い、黒田官兵衛の生涯を描いた、司馬遼太郎氏の歴史小説、第三巻。
『起承転結』の『転』に該当する通り、物語は荒木村重の謀反によって風雲急を告げる。いよいよ、織田勢と毛利勢との争いの色が濃さを増し、黒田官兵衛を始め、播州勢はその渦中に否応なく巻き込まれることになる。
織田につくか。それとも毛利につくか。
黒田官兵衛は、予てからの先見性から、荒木村重の説得に奔走する。しかし、既に自他の勢力は潜在的にも顕在的にも毛利勢に傾き、また御着城主の小寺藤兵衛(政職)に仕掛けられた罠により、1年以上もの間幽閉されてしまう。このことが、官兵衛に心身に大きな影響を及ぼしてしまう。
『身体』 -
Posted by ブクログ
☆☆2013年6月レビュー☆☆
幕末動乱期、明治維新を主導したのは
それぞれの藩の藩主ではなく、主に下級藩士であり、脱藩浪人であった。江戸300年の間に、多くの藩主はいわゆる飾り雛のような存在になっていたのだ。
しかしそんな中でも、英明な藩主もいた。
この短編集ではそれらの藩主を中心に取り上げている。
土佐藩主 山内容堂
薩摩藩主後見人(実質藩主) 島津久光
宇和島藩主 伊達宗城
肥前佐賀藩主 鍋島閑叟
皆それぞれに個性があって面白い。
宇和島藩主の伊達さんは、黒船造りを市井のちょうちん張の職人に任せるような人物で、そうしてそんな発想が生まれるだろうと驚かされた。
鍋島さんは肥前の妖怪と呼 -
Posted by ブクログ
ネタバレロシア。ユーラシア大陸の多くの部分を占めるこの国の成り立ち、歴史。『菜の花の沖』『坂の上の雲』という二つの大作を書く中で司馬氏はロシアについて綿密な研究を行った。
その成果をまとめたのがこの本。
ロシア人は、長い間モンゴル人の支配下にあり、自前の国家を持ったのが非常に遅かった。独立後は東へ東へを領土をひたすら拡張。
黒貂(こくてん・クロヒョウのこと?)の皮のもたらす莫大な利益を求めてシベリアを侵略。ユーラシアの東の果てに発見したのが日本という島国だった。その時日本は江戸時代であった。
この本を読むと、ロシアというのは地理的に日本に非常に近いというのを改めて思い知らされる。そして、シベリアの大 -
Posted by ブクログ
ネタバレ下巻は元親の憂悶と葛藤をメインに 悲壮感漂っています…
信長に反攻したものの圧倒的戦力で攻められ とうとう重臣らから「降伏」をすすめられてしまいます。人生の大半をささげた“四国平定”──それによって失われた時間・労力・大勢のいのち。それが無に帰してしまう…そう考えると元親の苦悩はいかほどだったでしょう。しかし国を滅ぼすわけにはいきません、息子・信親に継がせる地を遺さなければなりません。そのためついに元親は信長に対して膝を屈してしまうのです。
その同時期に、明智光秀による本能寺の変が起こり、信長は滅ぼされてしまします。(信長ってほんと・・危機感なさすぎよね!重臣が謀反を起こすとか、考えもしなかっ -
Posted by ブクログ
幕末の時代にピュアに筋を通す生き方をしたか、したたかに時代の潮流にのり、カメレオン化したか、後者の方が明治まで存命し位までついているように思う。
蛤御門ノ変の後、逃げ隠れする桂小五郎(のちの木戸孝允)を描いた「逃げの子五郎」。明治元年に英国公使の列に切りつけた朱雀操と三枝シゲル(草冠に翁)は、その罪として平民に落ちさらし首となった「最後の攘夷志士」、三ヶ月前では烈士と称えるられたはずで、司馬さんも「節を守り、節に殉ずる」生き方として心よせている。
婚礼資金の借りと「刀どおしが兄弟」と言われ坂本竜馬の仇討に加担するお桂と後家鞘(後の土居道夫大阪府県知事)。その個人的な気持ちの繋がりが暗殺する