司馬遼太郎のレビュー一覧
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5巻では、嘉兵衛の話を離れ、当時のロシア事情や間宮林蔵について紙面を割いている。脱線と思いきや、6巻で嘉兵衛がロシアに行くことになる背景に繋がってくるのだが。
ピョートル大帝がロシアの近代化の開祖であるが、当時、その近代化を進めたのは北欧やドイツ系の人だったりする。
エカテリーナ2世もドイツ人だ。
また、コサック、農奴などロシアの特殊性に関しての考え方は「坂の上の雲」にも繋がっている。
ロシアだけなく、欧州の近代国家について興味深い考察が散りばめられている。
『ポーランドはロシアと同じくスラブ人であるが、宗教は(ロシア正教でなく)ローマ・カトリックを国教としている。
欧州や中近東における宗 -
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財宝が何であろう
金銭が何であるか
この世にあるものはすべて過ぎ行く
永遠なるものとは何か
それは人間の記憶である
人間はよく生き、よく死なねばならぬ
それだけが肝要で、他は何の価値もない
チンギスハーンの子孫、オゴタイハーンの言葉
大草原に憧れて、出会いに導かれて、モンゴルへ行ってきた
今でも遊牧をして生活をする人がいて
狩猟や釣りを日常的に行う人もいる
動物の糞を燃料にしてテントに泊まり、星空の下で寝、
夜明けとともに起きる
そしてまた放牧と、狩猟と、釣りをする
ビルの雑踏の中で、毎日パソコンとにらめっこしている現状とは違う、
全く違った生活を体験したくて、モンゴルの友人 -
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上巻では医師としての村田蔵六(のちの大村益次郎)を描いていたが、桂小五郎など様々な縁があって長州軍の重要ポストに就任し、軍人人生としてのスタートを切っていく。この蔵六がそれまで戦争未経験者であるのみならず、武芸、喧嘩等の類いも触ったことがないという背景が興味深い。あくまで医師として、学者としての道を歩んできた人間が軍事の道で力を発揮するのである。この点が、一貫して軍事教育を受けてきた上で軍人として功績を残した「坂の上の雲」の主人公である秋山兄弟とは異なるところである。ある分野を極めた者が、他分野においても成功するという現象は非常に興味深い。
後半は第二次長州征討戦記となるが、通勤の行き帰りに読 -
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・嘉兵衛は、遂に船頭となり、実績を積み、巷の評価を上げ、いよいよ千石船の建造に取りかかる。そんな中でも過去、苦い思い出しかない故郷を大切にする。
・兵庫の北風屋のビジネスモデルは興味深い。無料のサービスで船乗りを惹きつけること、それは当時の情報を集める手法であった。
・国産木綿は江戸初期から広まる。木綿を作るための肥料として蝦夷からの鰯が登場してから綿の取れる量が増えた。保温性と耐用力をもった衣料を身につけることができるようになり、「木綿以前」とくらべて日本文化が大きく変わった。(人口増?)
・日本社会の上下をつらぬいている精神は、意地悪というものであった。「意地悪・いじめる・いびる」といった -
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花にまつわる幻想小説集。
「司馬遼太郎」になる前、新聞記者時代に本名で書かれていた作品たちだそうで…。
司馬遼太郎の根底は、<わかりやすさ>なのだなと思った。
「花神」読んでから、しばらくどっぷりつかっていた司馬遼太郎なのだけど、どの作品でもシンクロできるというか、シンパシーを感じる人物であり、シーンがあった。過去に生きた人たちなのだけど、人間である基礎というものはゆるぎないものであると感じてきた。
それがようするに<わかりやすさ>なのだろう。
いや、人としての軸を明確にしている、といえるのかもしれない。
花が題材なので、妖艶で耽美な短編だ。
が、そこには赤江瀑のよ -
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長宗我部元親の嫡男、盛親の不運続きの生涯。元親が晩年情熱を失ったため、長宗我部家は世代交代が上手く進まなかった。そこに太閤秀吉の死、そして元親の死と続き盛親が大名となるが、すぐさま関ヶ原の戦いを迎え、東軍徳川方につくため使者を送ったが関所を通過できなかったため、西軍石田方につき周囲に翻弄され何もできないまま敗戦し浪人の身となった。年が経ち猫は牙を向き虎となり、自分を賭けるため大坂の陣に挑む。この戦いを読むのは初めて。真田幸村・後藤又兵衛といった猛者が大坂城の豊臣秀頼の元に集結。有名な真田丸とか出てきてわくわく。大坂方が不利な状況をわかっているのに、最後の戦いで一旗挙げるため、智勇の限り全てを出
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関ヶ原、城塞、戦雲の夢と同時期、東軍がわで関ヶ原の終戦を迎えた勇将達の豊臣家滅亡までのサイドストーリー。合わせる事で同時期のパノラマが浮かび上がる感あり。長編に無い日常のスナップにより、東西無い時代の漢たちの清々しい息づかいを感ずる事で来た、色までも清々しく。渡辺甚兵衛了、夏の陣にて藤堂高虎に帰参した猛将の侍大将の胸毛、小説らしい時代小説の小片に、本来の司馬遼太郎さんの、生な人としての感覚が滲んでいるのかも。実に艶がありますね。桑名弥次兵衛の下りも、同一の合戦を戦雲の夢で両方向から語る場面に。古田織部、最後のクーデター構想、更に他の書籍求めたい。