司馬遼太郎のレビュー一覧
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上巻では医師としての村田蔵六(のちの大村益次郎)を描いていたが、桂小五郎など様々な縁があって長州軍の重要ポストに就任し、軍人人生としてのスタートを切っていく。この蔵六がそれまで戦争未経験者であるのみならず、武芸、喧嘩等の類いも触ったことがないという背景が興味深い。あくまで医師として、学者としての道を歩んできた人間が軍事の道で力を発揮するのである。この点が、一貫して軍事教育を受けてきた上で軍人として功績を残した「坂の上の雲」の主人公である秋山兄弟とは異なるところである。ある分野を極めた者が、他分野においても成功するという現象は非常に興味深い。
後半は第二次長州征討戦記となるが、通勤の行き帰りに読 -
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・嘉兵衛は、遂に船頭となり、実績を積み、巷の評価を上げ、いよいよ千石船の建造に取りかかる。そんな中でも過去、苦い思い出しかない故郷を大切にする。
・兵庫の北風屋のビジネスモデルは興味深い。無料のサービスで船乗りを惹きつけること、それは当時の情報を集める手法であった。
・国産木綿は江戸初期から広まる。木綿を作るための肥料として蝦夷からの鰯が登場してから綿の取れる量が増えた。保温性と耐用力をもった衣料を身につけることができるようになり、「木綿以前」とくらべて日本文化が大きく変わった。(人口増?)
・日本社会の上下をつらぬいている精神は、意地悪というものであった。「意地悪・いじめる・いびる」といった -
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花にまつわる幻想小説集。
「司馬遼太郎」になる前、新聞記者時代に本名で書かれていた作品たちだそうで…。
司馬遼太郎の根底は、<わかりやすさ>なのだなと思った。
「花神」読んでから、しばらくどっぷりつかっていた司馬遼太郎なのだけど、どの作品でもシンクロできるというか、シンパシーを感じる人物であり、シーンがあった。過去に生きた人たちなのだけど、人間である基礎というものはゆるぎないものであると感じてきた。
それがようするに<わかりやすさ>なのだろう。
いや、人としての軸を明確にしている、といえるのかもしれない。
花が題材なので、妖艶で耽美な短編だ。
が、そこには赤江瀑のよ -
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長宗我部元親の嫡男、盛親の不運続きの生涯。元親が晩年情熱を失ったため、長宗我部家は世代交代が上手く進まなかった。そこに太閤秀吉の死、そして元親の死と続き盛親が大名となるが、すぐさま関ヶ原の戦いを迎え、東軍徳川方につくため使者を送ったが関所を通過できなかったため、西軍石田方につき周囲に翻弄され何もできないまま敗戦し浪人の身となった。年が経ち猫は牙を向き虎となり、自分を賭けるため大坂の陣に挑む。この戦いを読むのは初めて。真田幸村・後藤又兵衛といった猛者が大坂城の豊臣秀頼の元に集結。有名な真田丸とか出てきてわくわく。大坂方が不利な状況をわかっているのに、最後の戦いで一旗挙げるため、智勇の限り全てを出
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関ヶ原、城塞、戦雲の夢と同時期、東軍がわで関ヶ原の終戦を迎えた勇将達の豊臣家滅亡までのサイドストーリー。合わせる事で同時期のパノラマが浮かび上がる感あり。長編に無い日常のスナップにより、東西無い時代の漢たちの清々しい息づかいを感ずる事で来た、色までも清々しく。渡辺甚兵衛了、夏の陣にて藤堂高虎に帰参した猛将の侍大将の胸毛、小説らしい時代小説の小片に、本来の司馬遼太郎さんの、生な人としての感覚が滲んでいるのかも。実に艶がありますね。桑名弥次兵衛の下りも、同一の合戦を戦雲の夢で両方向から語る場面に。古田織部、最後のクーデター構想、更に他の書籍求めたい。
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☆☆☆2011年4月レビュー☆☆☆
司馬遼太郎の初期の短編集。
なかでも、戦国時代の幻術使いを描いた『果心居士』の幻術が面白かった。司馬の考えでは、人の迷信にすみつく幻術使いは、戦国時代までは存在し、記録にも残っているらしい。筆者の手で、その不気味な姿がありありと浮かんでくる。司馬氏は『妖怪』という小説でも幻術使いを扱っているが、次第に人々が合理的精神をもつようになると、こおような幻術使いは生きられなくなったようだ。
松永久秀や、筒井順慶といった戦国大名も、「さすが!」という豪胆さを見せ、非常に読み応えがある作品。
☆☆☆2018年7月レビュー☆☆☆
前回読んだときから7年も経つのかと思う -
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ネタバレ高校時代の歴史の教科書を引っ張り出して調べたところ、ゴローウニン事件の説明として以下のようにあった。
1811年、国後島に上陸したロシア軍艦の艦長ゴローウニンが、日本の警備兵に捉えられて箱館・松前に監禁された。ロシア側は翌年、択捉航路を開拓した淡路の商人高田屋嘉兵衛を抑留した。嘉兵衛は1813年に送還され、その尽力でゴローウニンは釈放され、事件は解決をみた。
何とも無駄のない文章…昔コレ読んで何でこの人商人やのにこんな最果ての地でウロウロしてたのかすっごい気になってたけど背景を知ったら納得する。上記の説明を読んで、ますますこの話の続きを読みたいと思った。 -
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司馬さんの著作だから、相当なる取材に基づいて書かれているのだろうと思われるが、後の高田や嘉兵衛が此の様な人だったのか、と改めて思い知った。次巻を探さねば。******************************ブクオフの\105棚から発掘。実際は、学生の頃、地元の有名人を書いた本というコトで読んではいるのだが、日曜朝のFMの番組で、小川洋子さんが取り上げていたので読み返してみようかと、探したところ、棚にあったので購入した。唯ねぇ、6巻まであるんだよね、今更、新刊で買おうとは思わないし、安く揃えてから、読み始めようかと思う。以前、F・まろさんが鈴鹿の有名人の大黒屋光太夫のコトを話してくれたの
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出版社/著者からの内容紹介
激動する時代の中でただ剣のみを信じ、史上類ない酷烈な軍事集団を創りあげ、男の美に殉じた新選組副長土方歳三の壮絶華麗な生涯
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新撰組ファン必見の歴史小説。
新撰組を題材にした話は多いですが、私はこの話の沖田さんが好きです。
ふざけながらも強い沖田さんタイプが好きなので。
最期の黒猫が切れなかった無念さが読んでいて悲しくなりました。
この話を読んでもっともっと新撰組が好きになりました。
というよりも、土方さんが好きになりました。
真っ直ぐな道を進みつづける姿は最高です。