司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 故郷忘じがたく候

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    司馬遼太郎著「故郷忘じがたく候」を読みました。

     司馬遼太郎作品は久しぶりで、じっくり読み味わいました。

     3編からなる短編小説で、タイトルの「故郷忘じがたく候」は、16世紀朝鮮の役で日本の薩摩へ陶器の技術を手に入れるために拉致された朝鮮の民の子孫の運命を描いた作品でした。

     彼の作品の中では、現代に生きている人を扱った唯一の作品だそうです。

     ちなみに、この子孫の方は健在で、先日テレビにも出ていて、この本を読むきっかけにもなりました。

     この人の語った次のような言葉が載っています。

     「あなた方が36年をいうなら
      私は370年をいわねばならない」

     この言葉はソウル大学の学生に語った言葉だそうです。

     日本統治下の圧制をいうなら、秀吉の朝鮮出兵のときに日本に連れてこられた自分たちはどうなのかという重い言葉だそうです。

     彼の言葉だからこそ、韓国の若者たちにも届いたのでしょう。

     やはり歴史というものは、学ぶことに意義があるのだと改めて感じました。

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    2013年01月24日
  • 夏草の賦(上)

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    菜々さんの軽率っぷりが笑える!司馬さんの書き方もユーモラス。元親さんは、ほんとは臆病と言えるとこがすごいな。

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    2013年01月19日
  • 幕末

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    幕末とひとくちに言っても生き残って栄達を手にした人については
    美談が山のようにあっていかにも偉人伝のように語られ
    歴史の教科書にすら名前が残っている。
    ただ、「そんないい話ばっかりなわけないじゃん」とナナメから観てしまう人間にとっては
    この本に描かれた景色こそ幕末だったんだと思えてしまう。

    ひとかけらの運やタイミングのズレ以外に彼らの明暗が分かれた理由がなさそうなところがまた、何とも言えない遣る瀬なさ。

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    2013年01月19日
  • この国のかたち(四)

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    一つの話題について淡々と語り始める司馬遼太郎、ランチの誘いを断り
    読みふけってしまった。
    李朝と明治維新はなるほどと。
    同僚に朝鮮民族が多いので、なんだか根本から知れる気がして非常に勉強になる。

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    2015年07月14日
  • 翔ぶが如く(七)

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    脚色されているんだろうけど、130年前実際にこの人達が存在して、各々が悩み苦しんだかと思うと胸が詰まりそうになる。。。

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    2013年01月15日
  • 菜の花の沖(六)

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    高田屋嘉兵衛さんを主人公にしたお話の最終巻です。
    嘉兵衛さんがゴローニン事件のとばっちりでロシア船に拿捕されちゃって、その後ロシア側のおじさんと心を通じ合い(向こうのスパイになったとかではないよ!)日本側に幽閉されていたゴローニンさんを解放し、日本とロシアの間にわだかまりをつくらずに事件を解決しました。
    何があっても、人を信頼しようとする嘉兵衛さんの姿は素晴らしかった♪

    でも高田屋は結局、蝦夷地(北海道)が幕府の直轄地から松前藩に返還された後、松前藩に仕返しをされて、潰されちゃうんだよね。
    このお話では、かなり松前藩はダメダメな自分さえよければ藩になっています。
    実際は、どうだったんだろうね。

    嘉兵衛さんは、ゴローニン事件の解決後かなり心身ともに衰弱しちゃって、故郷の淡路島に戻って一生を終えます。
    高田屋の滅亡を知らなくて良かったかも。
    大変だったろうけど、素晴らしい人生だと思いました。
    らじも見習います!

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    2013年01月11日
  • 翔ぶが如く(四)

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    【本82】佐賀ノ乱から始まる大久保の対応は冷徹だが、西南戦争に向けた準備なのだろう。注目すべきは「勅許」という魔法が通用し始めたこと。

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    2013年01月06日
  • 風神の門(上)

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    梟の城の方が完成度は高い。新聞連載のためか、盛り上がってはとぎれ、盛り上がっては途切れを繰り返すが、さすが遼太郎先生、最後までしっかり読ませる。何歳でこれを書いたのだろう。

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    2013年01月05日
  • 十一番目の志士(上)

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    高杉晋作に見出だされた剣豪が幕末に暗躍する話。創作とは思えぬほど主役にテロリストとしてのリアルな個性あり。

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    2012年12月28日
  • 菜の花の沖(三)

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    ネタバレ

    江戸幕府は、東蝦夷地をアイヌを奴隷のように酷使することによって一方的に搾取することしかしない松前藩から直轄地へとチェンジ!
    その直前に幕府の要人と偶然親交を結んでいた嘉兵衛さんに大きなチャンスがやってきます。
    しかし、それはハイリスク&ハイリターン。

    もちろん嘉兵衛さんは突き進むんだろうな…。
    いろんな意味で大きな流れが時代を新しい局面に向かわせようとしている力を感じました。

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    2012年12月25日
  • 空海の風景 上巻 (改版)

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    ほとんど空海については予備知識もなく読んだ。
    俗名が「佐伯真魚」であった(らしい)ことさえ、知らなかった。

    その時代や、空海の人となりについて、司馬遼太郎的解釈かもしれないけれど、イメージができてきた。

    上巻は、空海の唐での留学生活までが描かれる。
    同じ遣唐使船で渡った最澄とは、境遇から人柄まで、対照的。
    「弘法筆を選ばず」という言葉ひとつで、勝手にストイックな人物というイメージを持っていたが、むしろ溢れる才能を見せ付けることに躊躇しない、あくの強い人物であったようだ。

    読んで楽しいのは、やはり唐へ渡るあたりから。
    文章もいきいきとしてくる。
    一緒に唐に渡った橘逸勢との関わりも加わって、「小説的」になってくる。

    「小説的」ということで言うなら、不思議な小説だと思う。

    「いまさらあらためていうようだが、この稿は小説である。」(一、p31)
    「この章では、少年の空海が、奈良を出て長岡へゆくことになっている。」(二、p59)

    上のように、この本が小説であることを、あちこちで自己言及している。
    読者を歴史の現場にまるで立ち会わせるかのような書き方をするものとは一線を画している。
    資料を読み、識者の話を聴き、そしてゆかりの土地へ行き、そうしたなかから立ち上がってくるものを掴み取ろうとしているこの叙述の意図はよく理解できる。
    司馬遼太郎の作品は、この間やっと『坂の上の雲』全巻を読んだだけだ。
    だから、本書のような作風が、空海という伝説に彩られた、古代の人物だからわざわざ選び取られたものなのか、それとも司馬が歴史ものを書くときに特有なものなのかはわからないけれど・・・。

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    2012年12月24日
  • 街道をゆく 6

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    沖縄・先島が特殊だというなら、薩摩や津軽など、明治時代の廃藩置県前の日本列島の他のエリアと比較すれば、特別に特殊というわけではないと主張しているのは、さすが司馬遼太郎という感じ。

    確かに、例えば言葉を事例にすれば、沖縄語も津軽弁も薩摩弁も同じ系統の言葉であるとしながらも、標準語とは全く別の言葉であって、お互い会話は成り立たないだろう。

    私の想像では日本列島の住人は、明治政府による大日本帝国という近代国家ができる前は、自分は日本人だと思っている人は少なかっただろう。薩摩人であり、長州人だと思っていただろう。それも我々が無意識に今感じている近代国家のそれとは大分違っていたのではないかと思う。そもそも大多数を占める農民の人たちにとっては、支配者が誰だというような状況だったかもしれない。

    沖縄が特殊だとすれば、沖縄は日本列島の中でも距離的に他のエリアとは大きく離れたエリアであり、それが要因で、鉄の導入の遅れなどが原因で文明化が他の日本列島の地域(例えば今の近畿地方)よりも数百年遅れ、国家が形成されてからは、主に明代の中国と朝貢国の立場をとっていた点かもしれない。

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    2012年12月23日
  • 新装版 播磨灘物語(3)

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    竹中半兵衛が松寿丸を助けるところと、官兵衛が牢から奇跡の生還をするところに感動。信長の世が長くないことを見抜いているところもさすが。頷きながら読んでしまいました。

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    2012年12月21日
  • 十一番目の志士(下)

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    天堂の読者が知る得る最後の仕事が儚い。壮大な死を予想していただけに空虚であった。勇ましい剣豪は時代に作られた化身で、元来、根は優しい人だったのかと下巻を閉じ思った。

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    2012年12月18日
  • 菜の花の沖(二)

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    ネタバレ

    兵庫でひとかどの海の男として認められた嘉兵衛さんは、創意工夫と度胸のある行動力で、ついに若くして自分の船を作るまでになりました。
    江戸幕府もここにきて制度のひずみが顕著になり、農村での自給自足主義の建前の裏で各種商業が発達し、貨幣経済が確実に浸透してきて、商品や原料を運ぶ運送業の重要性もアップ。
    ここでいちかばちかの大勝負をかける男気のあった人が、のちに大きな財を築き上げたんだね。
    でも、嘉兵衛さんの努力と根性を読んでたら、これだけやらなきゃダメなんだなぁ…って思った。
    生半可な気持ちじゃかえって地獄へ一直線。
    それと、運もなければ話にならない。
    人生って大変だけど、頑張ってみたいと思わせれくれるお話です。

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    2012年12月18日
  • 菜の花の沖(一)

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    ネタバレ

    函館旅行で屋敷跡などを見てきた高田屋嘉兵衛さんの物語。
    この巻では、淡路島の貧しい農家に生まれた嘉兵衛さんが村独特の閉鎖的システムになじめず、そのうえ他の組のお嬢さまと(結果的に)仲良くなってしまったことから過酷ないじめにあって、命からがら兵庫に出て行くまで。
    とにかく我慢と忍耐と努力で、お嬢さまと世帯を持ち、自分の人生を切り開いていく嘉兵衛さんは芯の強い人です。

    江戸幕府の弊害と、日本には「いじめ」というものが昔から当たり前のように定着していたという司馬さんの説明がわかりやすくて、とてもお勉強になりました。

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    2012年12月18日
  • 十一番目の志士(上)

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    幕末の時代の流れに翻弄されているのか自分の意志で道を開いているのか。
    丁寧な書きぶりで描写がよく思い浮かぶ。もっと語彙力があれば頭の中で鮮明に思い浮かべられるだろうにと思った。
    おもしろい。

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    2012年12月16日
  • 新史 太閤記(上)

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    昔々の某N局の大河ドラマ、若かりし頃の緒形拳が猿を、高橋某(うる覚え)という役者が織田信長を演じたのを観たのが、最初の太閤記との出会い。草鞋取りの猿が、信長の草鞋を胸に抱いて温めておいたのを信長に認められ、信長に可愛がられるようになり、出世して天下統一する筋書きで、その草鞋のエピソードがとても印象的だったのに、この小説にはそのシーンは無い、ということを初めて知った。名シーンだった、と昔の記憶で思うけれど、人蕩しの天才と、人間であれ道具であれ、性能重視、その性能を気の済むまで試したい信長のエピソードとしては、小説のほうが流石だ。でも、テレビでは放送出来ないよなぁ、あんなシーン…。
    『毛利家の秘宝』展に行った時に、秀吉の直筆の手紙があった。学問でも美術でも才を極めている毛利家の人々の筆と違い、秀吉の文字は平仮名ばかり、文章も拙く、基礎学力の有無というのはちょっとしたことで表に出てしまうので怖い、と思う反面、それを補ってなお人の心を掴む文章の典型でもあると思った。
    司馬遼太郎は、そういった資料や実際に足を使って調べ、感じた事柄から歴史上の人物に肉付けをしていき、生き生きとした人間像を作り上げ、まるでそれが史実のように再現していくのだから、改めて凄いと思った。
    下巻に続く。

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    2026年02月16日
  • 新装版 大坂侍

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     どの話も洒落ていて面白い。江戸の小話を聞いているようだ、6話とも上方(大阪)の町人と武士の駆け引きが軽妙に語られる。司馬遼太郎の長編もいいが、ここ最近読んでいる短編もまた格別に面白い。人情モノは今の時代だからこそ読む価値があるのだ。

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    2012年12月04日
  • 新装版 アームストロング砲

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    わたしの創作に多大なる影響を与えた本の一冊です。
    「歴史」というのは(幕末に限らず)有名人が巻き起こす大事件だけで出来ているわけではなくて、色んなところで色んな人が色んなことをやっている結果……なのでしょう。
    短編集ですが、『斬ってはみたが』が、一番強烈に印象に残っています。
    こういう話が、実際にいろいろあったのではないか、とすぐに思いました。
    大きな出来事の「狭間」で起こる日々の小さな出来事が、もっと知りたくなる一冊でした。

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    2012年11月29日