司馬遼太郎のレビュー一覧
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山内一豊は、武将としては大きな器ではないが、妻の千代が類まれな政治センスと能力がある人で、夫を上手にたてながら陰から様々な手助けをする。人は個々の資質を比べれば優劣が明らかになってしまうけれど、人と人との関係では、重要なのはそういう個人の資質以上に、お互いの相性なのだなあと思う。
もし一豊がもっと才能豊かな人であったり、利口な性質だったら、妻や家臣の意見など積極的に聞こうとはしなかっただろう。そうなれば、千代のような賢妻がいたとしても、かえってそれが邪魔になって夫婦の関係はうまくいかなかったに違いない。
この作品は、山内一豊が土佐一国の大名になるまでの立身出世の物語がメインテーマだけれど、戦国 -
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伊右衛門はもはや残りの春秋の多くもない生涯であるが、この最後の世の変動を機会に一国のあるじになりおおせてみたいと思っていた。(おれは太守、千代は太守夫人)という、まるで子供っぽい夢ではあったが男の生涯など、思ってみればその子供っぽい夢がかれを駆けさせる原動力になっているのではあるまいか。(p.86)
(ひととは強欲なものだ)と、千代はぼんやり考えた。一代できずいた身代は一代かぎりでほろぼせばよいのに、晩年になればいよいよそれを永世にのこそうという気持ちが強く動くようであった。特に大名家業というのはそうであった。家が滅べば、家臣は禄をうしなって路頭に迷う。この家業に関するかぎり家をつづかさねば、 -
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北条早雲その誕生たるや・・・。
鞍作りを生業とする伊勢新九郎、8代将軍足利義政の弟義視の申次衆を勤めてはいるが、義視の存在は無力そのもの、申次衆と言ったって秋の蚊ほどの力もない。
早雲以前の伊勢新九郎長氏時代が描かれている巻である。
40半ばまで世間に知られることもなく過ごした早雲、司馬さんは、早雲以前の新九郎時代に感心がつよく、さらに新九郎の思想形成に大きく影響した―というよりも早雲を生みあげたというべき―室町期の世情と応仁・文明の乱につよく心をひかれたと書いている。
時は応仁の乱の糸のような原因のうちのひとすじ、将軍継嗣問題が起こっているそのとき、司馬史観も光り、言うまでもなく興味深い。