司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 国盗り物語(三)

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    【感想】
    1~2巻から続く斉藤道三編の終結、3巻からは道三の種である織田信長と明智光秀を中心に物語は進んでいく。
    天才とは言え、予め地盤がある信長と、それと比べて徒手空拳で苦汁を舐めながら流浪の身でのし上がって行く光秀。
    こんなところから、本能寺の変の序曲は流れていたのだなーと読んでいて思った。

    斉藤道三をはじめ魅力的なキャラクターがあふれるこの時代だが、終盤から頭角を現してきた木下藤吉郎にやはり目がいく。
    目立ちすぎず、能力をひけらかすこともせず、悪く言えばゴマをすってのし上がって行くその処世術は、現代でも非常に有効活用できるものだなぁ。
    勿論、秀吉の工夫や細心あっての話だけども、「能ある

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    2019年01月22日
  • 街道をゆく 1

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    ついに禁断の大長編に手を出してしまった。
    タイトルから徒歩で旧街道を旅しながら歴史に触れる紀行番組のようなものを想像していましたが、実際には車で移動しつつ、名所旧跡というよりはその土地の歴史背景や人物に想いを馳せる内容でした。
    それはそれで面白いので、ゆっくり読み進めようと思う。

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    2019年01月14日
  • 新装版 歳月(上)

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    本流の薩長ではない肥前佐賀藩の出身ながら明治新政府の司法制度のほとんどを作り上げた男、江藤新平。上巻は江藤が脱藩、帰郷、蟄居を経て明治新政府に登用され、司法卿(当時の法務大臣)として改革を成し遂げつつも、征韓論を巡って大久保利通と対立するまでを描く。正義感が強く、時の権力者にも盾突きつつも、同時に34歳になるまで世に出られなかった焦りを抱えた野心家でもある複雑な人物として描かれている。下巻が楽しみ。

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    2019年01月13日
  • 菜の花の沖(二)

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    徐々にのしがっていくところ。

    リスクをとって = 生命をかけて、そして、やりきらんと、物語は先には進まんのですな。

    そして、クルーを弟にすればいいかっていうところ、なかなか味わい深い。

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    2019年01月04日
  • 菜の花の沖(六)

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    最終巻。

    突如、拉致され、交渉、政治物語に。

    最後になって、国を背負ってる意識 → 大物感出ちゃうんだけど、ビジネスマンとしての円熟期は描かれず。^^; 読んでる感じでは、 4 → 6 に飛んで、あれ?っていう。

    そ、そういう話じゃないのか。

    そして、家業を息子でなく、離れた弟に継がせちゃうところとか、考え方が進んでる。

    でも、他の兄弟や息子はどう思ったんだろう?

    そして、嘉兵衛のいなくなった次代であっさり高田屋が失速しちゃうんだけど、その辺の関係者の心情も描いてほしかったなー。

    まぁ、でも読んでよかった。

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    2019年01月04日
  • 菜の花の沖(一)

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    高田屋嘉兵衛の子供時代。

    どんどん居場所がなくなって、村から出なくてはならないところが何とも切ない。
    加えて、現代にも通じる日本の文化的風景を感じてしまうところが更に切ない。

    しかし、この奥さん、芯が強いな。出会う女性で男の運命も変わるような。

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    2019年01月04日
  • 夏草の賦(上)

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    ネタバレ

    「では千翁丸殿を」
    どうする気か。わずか五歳のあの子を戦場につれてゆこうというのは、ゆくゆく自分のような臆病者にさせぬための早期鍛錬のつもりなのか。
    「そのおつもりでございましょうか」
    (ならば反対したい)
     とおもった。物のあやめもわかぬ五歳の幼童を戦場につれて行ったところでなんの鍛錬にもなるまい。
    「ちがう」
     と、元親はいった。鍛錬や教育のつもりではない、という。
    「当然、物におびえ、敵の声におびえ、銃声におびえるだろう。どの程度におびえるか、それをみたいのだ」
    「みて?」
    「左様、見る。見たうえで、ゆくすえこの児にどれほどの期待をかけてよいか、それを見たいという興味がある」
    「怯えすぎ

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    2018年12月24日
  • 花神(中)

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    長州藩に属する蔵六が指揮官として石見、浜田藩を撃破していく話。本来農民出で医師をしていた蔵六は戦を率いていく武士になったという何ともマルチなタレントを発揮していく。学問はしたくてするもの、人間の機微が大切、坂本竜馬と同時代、桂小五郎に見込まれた、毛利元就、ペリー、高杉晋作等司馬は幕末を記するのが得意だと思う。上巻とは違った展開で面白い。

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    2018年12月16日
  • 項羽と劉邦(中)

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    ネタバレ

    劉邦の元にたくさんの優秀な人材が現れる。
    項羽にあまり重用されず劉邦の元に行き大仕事をなす韓信。劉邦の右腕として、様々な戦略を考える天才軍師張良。また、誰彼構わず官位をくれる劉邦を頼りに属することになる陳平など。魅力的な人物ばかりが登場した。
    一方項羽は自分の親族にしか良い官位は与えず、亜父と慕っていた范増をも陳平の策に溺れ手放してしまう。いつでも弱音を吐いたり、すぐ意見が変わる劉邦だが、そんな男だからこそと仲間になる人たちがいて、リーダーシップとは面白いなとより感じた。
    まだまだ項羽の勢力は衰えていないのでここからどう劉邦が天下を取るのか、しかし、だんだんと心が離れていく項羽兵。方向性の違う

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    2018年12月12日
  • 新装版 播磨灘物語(1)

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    ・彼は自分に勇気があるとは思っておらず、勇気のなさを補うには着実に事をやる以外ないと思っていた。
    ・竹中半兵衛のような男がでてきたということ自体、戦国乱世ということが、ただ単に欲望がむらがり衝突する世界というのではなく、欲望が蒸留されて一個の文化現象のようなものが出はじめていることを証拠立てているのかもしれない。
    ・ものを考えるのはすべて頭脳であるとされるのは極端な迷信かもしれない。むしろ人間の感受性であることのほうが、割合としては大きいであろう。

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    2018年12月09日
  • 義経(下)

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    私がこれまで描いていた義経像とは、まったく違う義経が描かれており新鮮で面白かったです。

    子供のまま成人になってしまい哀れに感じるほど政治感覚がない本書での義経は、うっすら記憶に残っている大河ドラマの義経とはかけ離れていました。

    この本から、周りの反応がおかしいなと感じたら、直す直さないは別にして自分の行動を反省するのは重要なことだと再認識しました。

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    2018年12月05日
  • 殉死

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    "司馬遼太郎さんの本。乃木希典さんは、日露戦争の英雄として記憶していた。靖国神社脇にある遊就館の展示イメージが強烈に印象に残っている。(乃木希典大将は戦死者ではないので、靖国神社に御霊はない。)
    本作品では、軍事としての能力が著しく欠けており、家系、人脈、人柄から陸軍大将という地位にあり、日清戦争時に第三軍司令官として旅順、203高地へ赴任したとある。結果的に多くの戦死者を出すことになる難攻不落の要塞攻略に、正面突破の命令しか見いだせなかった無能な軍人として描かれている。
    歴史は語る人により、見方が大きく変わるものである。多くの書物を読むべき理由のひとつがここにある。"

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    2018年11月25日
  • 馬上少年過ぐ

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    司馬遼太郎短編集
    ☆英雄児
    ・・・河井継ノ助の生涯を描く。『峠』のダイジェスト版のようなもの。
    ☆慶応長崎事件
    ・・・幕末、長崎で起きて英国人殺傷事件。海援隊の菅野、佐々木に嫌疑がかけられて、龍馬があわてるという筋。
    ☆喧嘩草雲
    ・・・幕末もの。けんかっ早い田崎草雲と絵師の話。絵師であり、剣術使いでもある主人公。様々な挫折を経て、足利藩の責任者となって、官軍に味方して闘うことに。
    「自分は何者か」ということを追求し、迷い続けた男の話。
    ☆馬上少年過ぐ
    ・・・東北の雄、伊達政宗を描く。母に疎まれた少年時代の話は悲しい。この物語の中で目をひくのは、父・輝宗だろう。政宗を後継者と決めつつも。家内で反

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    2018年11月23日
  • 殉死

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    「坂の上の雲」の主要人物として登場する乃木希典のその後を描いたスピンオフ作品。

    司馬遼太郎による軍人、乃木の評価は著しく低い。「坂の上の雲」でも本小説でも、日露戦争の対旅順要塞での無策ぶりの描写は痛烈だ。

    そもそも乃木という人は、軍に求められるのは戦略や戦術ではなく精神主義と考え、軍司令官として自身の失敗を「自死」で片付けようとする傾向にあった。そんな人間は軍を含めて、組織の管理者としては無責任すぎて、不適切だ。が、外部の国民や天皇からすれば、彼の死を恐れない部分が軍人としての潔さ、カッコよさに見えた。

    そして、乃木は夫婦そろって明治天皇の後を追って殉死する。日露戦争では2人の息子を亡く

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    2018年11月13日
  • 花神(上)

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    大村益次郎の医師としてどう学び成長していくのかの話。彼は少々変わりものである。女性イネをまえにしても興味を持つことなく離れていく。しかし学ぶことの貪欲さは参考になる。医師の存在意義は他人のためであり患者の貴賤を問うてはいけない。これは他人第一主義としては当然だと思う。適塾、緒方洪庵、シーボルト、吉田松陰、桂小五郎、杉田玄白、勝海舟、福沢諭吉、オランダ語から英語へ、尊王攘夷、 幕末の有名人が多く出てくる。上昇志向的なエネルギーが一杯だと思う。

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    2018年10月27日
  • 関ヶ原(中)

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    家康の策謀に対峙する兼続と三成の全国を巻き込んでの挟撃作戦。たった19万石の沢山城主が、西日本の有力大名を大坂に終結させる。いよいよ役者が揃い作戦開始。中だるみを覚悟していたが、リズムよく進む。下巻突入!

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    2018年10月27日
  • この国のかたち(一)

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    日露戦争から第二次大戦まではなかったことにしたいという
    いわゆる司馬史観の教本
    ローマ大好きな西の歴史小説家がキリスト教が嫌いなのでなく認めたくないのと同じく
    いかにも日本人な歴史
    けれどその時だけ別物だったというのはいかにも無理あると思う
    一方で
    評論でなく月刊誌の随筆なので
    論を詰めることない適当さが史観の顔することに対する憤り派の気分もわかるが
    一般大衆は歴史の中身なんざNHK大河ドラマと同じくお話としての価値しかないのが
    大学卒業が普通になっても変わらない
    この国の(この国に限らないが)かたちなんである

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    2018年10月25日
  • 空海の風景 上巻 (改版)

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    10年ぶりの司馬遼。さすがに練れた小説です。彼の眼から見た巨人空海を楽しめます。特に最澄との比較による空海の人柄の浮き上がらせ方は見事。とても楽しく読めました。

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    2018年10月23日
  • 空海の風景 下巻 (改版)

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    作者が登場人物ばりに全面に出て
    自分の見方であることを断りながら対象を描いていく
    史伝調の歴史小説
    いつものではあるが
    幕末の8倍戦国時代の3倍も昔の話だけに間合いが慎重で面白い
    最澄に対する空海の態度だとか
    薬子の乱を武即天に対比するところだとかはいつもの調子でいけるが
    宗教周りの部分はあえてひどく踏み込みが浅く
    その分全体の調子がぐだぐだでやっぱり面白い
    本来上下分冊でするようなものでなく
    まとめあげたものを随筆中編くらいでまとめるようなものだが
    それをあえてだらだらしているところが味わい深い一品

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    2018年10月20日
  • 人斬り以蔵

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    上梓されて50余年を過ぎているが、どの年齢において読んでも司馬作品には普遍的な魅力がある。著者が若きころの作品は、後の作品と比して当然に語り口も違うし、艶噺もしきりながら、それがむしろ新しさを思わせたりする。実像との合致のほどは知れないが、大村益次郎の朴念仁ぶりが人物像を一層引き立て、その功績が心に刻まれる。そのほか、近世、近代史のなかで亜流にあった人たちも、作中にどんどん登用され、人知れず時代を動かしてみせる痛快さに酔う。

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    2018年10月14日