司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 司馬遼太郎短篇全集 第一巻

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    同人誌時代の作品を「無人島から瓶に入れた文書を海に投げるようなものだった」と(のちに和田宏に)語ったが、第2作『「国宝」学者死す』の主人公は貧乏だが国際的な魚類学者。戦争突入で、それまで漁師から只で提供されていた「売り物にならない魚」も入手困難となり研究に支障…戦後、漁礁調査で遭難し「貴重な学術資料」を瓶に詰めて誰かに拾われないかと送りだそうとする。作品にかける司馬の思いは同じか。出世作『ペルシャの幻術師』は専攻知識を活かし、小説ならではの人命の大浪費。『兜率天の巡礼』宗教新聞記者経験を活かす。結末大焚焼

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    2019年03月07日
  • 司馬遼太郎短篇全集 第二巻

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    昭和33年は『梟の城』で直木賞を受賞、翌年は、みどり夫人と再婚し、社を辞しプロ作家となるのを決意した年。プロ作家は(生計上からも人気維持からも)短編小説(つまりオチのある話)を供給しなければならない。戦後最大のベストセラー『竜馬がゆく』は幕末の佐幕・倒幕の記述にビジネス感覚をもちこんで斬新だったが、本巻の作品群も舞台は戦国時代だったり商業地大阪だったりビジネス(金銭・貸し借り・損得にこだわる)感覚をテーマとすることで共通する。忍者を人材派遣ビジネスと捉えた『下請忍者』は『カムイ下伝』先駆/古事記神話題材も

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    2019年03月07日
  • 司馬遼太郎短篇全集 第三巻

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    本格的に作家デビューした翌年の昭和35年、長編『上方武士道』『風の武士』(ともに週刊誌)、『戦雲の夢』(月刊誌)、中編現代もの推理小説『豚と薔薇』(週刊誌6回連載)を発表しつつ、この12編を書いた(ほか第1巻の同人誌時代の作品も商業誌披露)/倒幕と恋愛感情を関連させる『丹波屋の嬢さん』『みょうが斎の武術』『壬生狂言の夜』『黒格子の嫁』。『外法仏』『牛黄加持』は仏教知識(密教関連)を活かした。明治維新(あるいは類似して関ヶ原など)を転機に一変した道義=ライフスタイルというテーマが多いが、やがて昭和維新を追求

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    2019年03月07日
  • 新装版 箱根の坂(上)

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    いつ始まったのかもわからない、なぜ始まったのかもわからない応仁の乱に翻弄される京の人々。
    天皇の側近、伊勢氏の屋敷の片隅に小屋を建て、鞍作りで細々と暮らしを立てている新九郎。

    彼の立身出世物語のはずなのだが、10年ほどの歳が流れて、今のところまだ出世はしておらず、箱根にもたどりついていない。
    上巻の主役は応仁の乱だったかもしれない。

    今川家の嫡子を生んだ妹の千萱に呼ばれ、駿府へと向かうところで次巻に続く。

    頭が切れ、肝が据わっているけれども、所詮本家本流にはなれない身分。
    欲を持たず、目立つことなく、ひょうひょうと生きる新九郎の内心の思いは、本人にもわからない。
    そんな彼がどうやって歴史

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    2019年03月06日
  • この国のかたち(一)

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    やっぱり、司馬遼太郎の文体が好きだ。
    電車通勤の時間に、読書の体力が残っている時にだけ読むから、まだ3巻目しか読めていないけど。日本の国の歴史に対する深い洞察、きっと著者の読書量は半端ないんだろう。
    陸軍士官として戦争を経験したがゆえに感じたこと。当時の雰囲気。それらを後世に残してくれたことを感謝。

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    2019年03月02日
  • 街道をゆく 2

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    朝鮮半島の歴史と日本との関係がメインの巻でしたが、殆ど知らなかった内容ばかりで非常に興味深かった。
    韓国人と日本人の国民性の違いをこのように理解して互いに受け入れれば、昨今の関係ももう少しマシになると思う。

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    2019年02月28日
  • 果心居士の幻術

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    前にも読んだことはあるが、最近、司馬遼太郎記念館へ行った際に、ちょうど忍者や異能の者を特集展示していて、この『果心居士』も取り上げられていた。再読したくなったもの。
    『一夜官女』のあとがきにもあったとおり、司馬はさまざまな歴史の精霊たちとつきあっていたが、そのうち、妖かしに類するものの特集だ。

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    2019年02月10日
  • 空海の風景 下巻 (改版)

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    ★3.5だがおまけで。
    何より一番の驚きは空海という人物が人間臭いという感想を抱かされたこと。正直に言って聖徳太子的な眉唾的存在かと思っていたのですが、最澄含めて必ずしもそうではなく、結構文献からその人となりが推察できることに素直に驚愕。
    その上でですが、やっぱり幕末あたりのこの作家の作品と比べると少し浅いというか濃密さが足りない、そこはやはり遠い昔ということかもしれず。
    でも空海の嫌らしさが垣間見えて結構楽しめました。

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    2019年02月09日
  • 街道をゆく 5

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    やはり小説家だけあって話が面白い。田中克彦が出てきたのには驚いた。さらに、モンゴル語の辞書でモンゴル語を学習していたということは初耳であり、他の紀行には出てこなかったような気がする。

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    2019年02月04日
  • 韃靼疾風録 (上)

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    明から清へ、中国王朝交替の激動を描く長編小説。前半はアビアと庄助の恋愛が、後半は激闘のアクションシーンが見せ場になっていて、上下巻で千ページを越える長編ながらまったく飽きさせない。 著者あとがきに曰く、「人も事件もことごとく数奇である」。

    漢族、女真族はもちろん、日本、朝鮮の比較文化論としても面白い。

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    2019年01月31日
  • この国のかたち(五)

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    この巻では、「神道」、「鉄」について多くが書かれている。

    古のこの国の人々は、自分たちが生きていく、また生活していく上で「自分たちを生かしてくれるもの」、即ち、大地や空、山や川、海などの自然こそが最も尊い存在である事実を感じ、奉って来たのだろう。
    神道は、その思想を興した者を崇めるわけでなく、また本尊といった物なども無い。
    自分たちを生かしてくれる自然、そして、その自然が実らせる豊かさこそ、唯一崇高なものだということなのだろうか。

    そして、「鉄」であるが、「鉄」が出現したこと、精錬技術の向上が、生活と文化、農や工などの労働に対しても、大きな進歩の一役を担ったことは言うまでもない。

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    2019年01月30日
  • ロシアについて 北方の原形

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    北方四島への関心から20年ぶりに再読。司馬さんがこれを書いてから30年以上経ち、ジャパンアズナンバーワンは遠くなり、ソ連は崩壊しています。歴史書ではないし、参考文献もありません。でも、司馬さんの縦横無尽で俯瞰的な視線は、今も魅力的です。ロシアについて書かれていますが、他の作品同様、日本のかたちも模索しています。ただ肝心の北方四島の記述が浅いのが残念。

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    2019年01月25日
  • 街道をゆく 1

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    ついに禁断の大長編に手を出してしまった。
    タイトルから徒歩で旧街道を旅しながら歴史に触れる紀行番組のようなものを想像していましたが、実際には車で移動しつつ、名所旧跡というよりはその土地の歴史背景や人物に想いを馳せる内容でした。
    それはそれで面白いので、ゆっくり読み進めようと思う。

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    2019年01月14日
  • 新装版 歳月(上)

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    本流の薩長ではない肥前佐賀藩の出身ながら明治新政府の司法制度のほとんどを作り上げた男、江藤新平。上巻は江藤が脱藩、帰郷、蟄居を経て明治新政府に登用され、司法卿(当時の法務大臣)として改革を成し遂げつつも、征韓論を巡って大久保利通と対立するまでを描く。正義感が強く、時の権力者にも盾突きつつも、同時に34歳になるまで世に出られなかった焦りを抱えた野心家でもある複雑な人物として描かれている。下巻が楽しみ。

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    2019年01月13日
  • 菜の花の沖(一)

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    高田屋嘉兵衛の子供時代。

    どんどん居場所がなくなって、村から出なくてはならないところが何とも切ない。
    加えて、現代にも通じる日本の文化的風景を感じてしまうところが更に切ない。

    しかし、この奥さん、芯が強いな。出会う女性で男の運命も変わるような。

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    2019年01月04日
  • 菜の花の沖(二)

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    徐々にのしがっていくところ。

    リスクをとって = 生命をかけて、そして、やりきらんと、物語は先には進まんのですな。

    そして、クルーを弟にすればいいかっていうところ、なかなか味わい深い。

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    2019年01月04日
  • 菜の花の沖(六)

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    最終巻。

    突如、拉致され、交渉、政治物語に。

    最後になって、国を背負ってる意識 → 大物感出ちゃうんだけど、ビジネスマンとしての円熟期は描かれず。^^; 読んでる感じでは、 4 → 6 に飛んで、あれ?っていう。

    そ、そういう話じゃないのか。

    そして、家業を息子でなく、離れた弟に継がせちゃうところとか、考え方が進んでる。

    でも、他の兄弟や息子はどう思ったんだろう?

    そして、嘉兵衛のいなくなった次代であっさり高田屋が失速しちゃうんだけど、その辺の関係者の心情も描いてほしかったなー。

    まぁ、でも読んでよかった。

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    2019年01月04日
  • 夏草の賦(上)

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    ネタバレ

    「では千翁丸殿を」
    どうする気か。わずか五歳のあの子を戦場につれてゆこうというのは、ゆくゆく自分のような臆病者にさせぬための早期鍛錬のつもりなのか。
    「そのおつもりでございましょうか」
    (ならば反対したい)
     とおもった。物のあやめもわかぬ五歳の幼童を戦場につれて行ったところでなんの鍛錬にもなるまい。
    「ちがう」
     と、元親はいった。鍛錬や教育のつもりではない、という。
    「当然、物におびえ、敵の声におびえ、銃声におびえるだろう。どの程度におびえるか、それをみたいのだ」
    「みて?」
    「左様、見る。見たうえで、ゆくすえこの児にどれほどの期待をかけてよいか、それを見たいという興味がある」
    「怯えすぎ

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    2018年12月24日
  • 花神(中)

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    長州藩に属する蔵六が指揮官として石見、浜田藩を撃破していく話。本来農民出で医師をしていた蔵六は戦を率いていく武士になったという何ともマルチなタレントを発揮していく。学問はしたくてするもの、人間の機微が大切、坂本竜馬と同時代、桂小五郎に見込まれた、毛利元就、ペリー、高杉晋作等司馬は幕末を記するのが得意だと思う。上巻とは違った展開で面白い。

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    2018年12月16日
  • 項羽と劉邦(中)

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    ネタバレ

    劉邦の元にたくさんの優秀な人材が現れる。
    項羽にあまり重用されず劉邦の元に行き大仕事をなす韓信。劉邦の右腕として、様々な戦略を考える天才軍師張良。また、誰彼構わず官位をくれる劉邦を頼りに属することになる陳平など。魅力的な人物ばかりが登場した。
    一方項羽は自分の親族にしか良い官位は与えず、亜父と慕っていた范増をも陳平の策に溺れ手放してしまう。いつでも弱音を吐いたり、すぐ意見が変わる劉邦だが、そんな男だからこそと仲間になる人たちがいて、リーダーシップとは面白いなとより感じた。
    まだまだ項羽の勢力は衰えていないのでここからどう劉邦が天下を取るのか、しかし、だんだんと心が離れていく項羽兵。方向性の違う

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    2018年12月12日