司馬遼太郎のレビュー一覧
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【感想】
1~2巻から続く斉藤道三編の終結、3巻からは道三の種である織田信長と明智光秀を中心に物語は進んでいく。
天才とは言え、予め地盤がある信長と、それと比べて徒手空拳で苦汁を舐めながら流浪の身でのし上がって行く光秀。
こんなところから、本能寺の変の序曲は流れていたのだなーと読んでいて思った。
斉藤道三をはじめ魅力的なキャラクターがあふれるこの時代だが、終盤から頭角を現してきた木下藤吉郎にやはり目がいく。
目立ちすぎず、能力をひけらかすこともせず、悪く言えばゴマをすってのし上がって行くその処世術は、現代でも非常に有効活用できるものだなぁ。
勿論、秀吉の工夫や細心あっての話だけども、「能ある -
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ネタバレ「では千翁丸殿を」
どうする気か。わずか五歳のあの子を戦場につれてゆこうというのは、ゆくゆく自分のような臆病者にさせぬための早期鍛錬のつもりなのか。
「そのおつもりでございましょうか」
(ならば反対したい)
とおもった。物のあやめもわかぬ五歳の幼童を戦場につれて行ったところでなんの鍛錬にもなるまい。
「ちがう」
と、元親はいった。鍛錬や教育のつもりではない、という。
「当然、物におびえ、敵の声におびえ、銃声におびえるだろう。どの程度におびえるか、それをみたいのだ」
「みて?」
「左様、見る。見たうえで、ゆくすえこの児にどれほどの期待をかけてよいか、それを見たいという興味がある」
「怯えすぎ -
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ネタバレ劉邦の元にたくさんの優秀な人材が現れる。
項羽にあまり重用されず劉邦の元に行き大仕事をなす韓信。劉邦の右腕として、様々な戦略を考える天才軍師張良。また、誰彼構わず官位をくれる劉邦を頼りに属することになる陳平など。魅力的な人物ばかりが登場した。
一方項羽は自分の親族にしか良い官位は与えず、亜父と慕っていた范増をも陳平の策に溺れ手放してしまう。いつでも弱音を吐いたり、すぐ意見が変わる劉邦だが、そんな男だからこそと仲間になる人たちがいて、リーダーシップとは面白いなとより感じた。
まだまだ項羽の勢力は衰えていないのでここからどう劉邦が天下を取るのか、しかし、だんだんと心が離れていく項羽兵。方向性の違う -
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"司馬遼太郎さんの本。乃木希典さんは、日露戦争の英雄として記憶していた。靖国神社脇にある遊就館の展示イメージが強烈に印象に残っている。(乃木希典大将は戦死者ではないので、靖国神社に御霊はない。)
本作品では、軍事としての能力が著しく欠けており、家系、人脈、人柄から陸軍大将という地位にあり、日清戦争時に第三軍司令官として旅順、203高地へ赴任したとある。結果的に多くの戦死者を出すことになる難攻不落の要塞攻略に、正面突破の命令しか見いだせなかった無能な軍人として描かれている。
歴史は語る人により、見方が大きく変わるものである。多くの書物を読むべき理由のひとつがここにある。" -
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司馬遼太郎短編集
☆英雄児
・・・河井継ノ助の生涯を描く。『峠』のダイジェスト版のようなもの。
☆慶応長崎事件
・・・幕末、長崎で起きて英国人殺傷事件。海援隊の菅野、佐々木に嫌疑がかけられて、龍馬があわてるという筋。
☆喧嘩草雲
・・・幕末もの。けんかっ早い田崎草雲と絵師の話。絵師であり、剣術使いでもある主人公。様々な挫折を経て、足利藩の責任者となって、官軍に味方して闘うことに。
「自分は何者か」ということを追求し、迷い続けた男の話。
☆馬上少年過ぐ
・・・東北の雄、伊達政宗を描く。母に疎まれた少年時代の話は悲しい。この物語の中で目をひくのは、父・輝宗だろう。政宗を後継者と決めつつも。家内で反 -
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「坂の上の雲」の主要人物として登場する乃木希典のその後を描いたスピンオフ作品。
司馬遼太郎による軍人、乃木の評価は著しく低い。「坂の上の雲」でも本小説でも、日露戦争の対旅順要塞での無策ぶりの描写は痛烈だ。
そもそも乃木という人は、軍に求められるのは戦略や戦術ではなく精神主義と考え、軍司令官として自身の失敗を「自死」で片付けようとする傾向にあった。そんな人間は軍を含めて、組織の管理者としては無責任すぎて、不適切だ。が、外部の国民や天皇からすれば、彼の死を恐れない部分が軍人としての潔さ、カッコよさに見えた。
そして、乃木は夫婦そろって明治天皇の後を追って殉死する。日露戦争では2人の息子を亡く