司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 歴史を紀行する

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    その土地が持つ歴史的背景と、その人の性格や思考を結びつけて考えるのがこんなにも面白いとは。
    歴史への興味が一層湧いたとともに、日本各地に足を運びたくなった。

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    2020年12月17日
  • 項羽と劉邦(下)

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    【感想】
    大好きな『キングダム 』後の中国がどうなっていくのか知りたい。漢の成り立ちの部分について勉強したい。という思いがあった中で、どうせなら、面白く勉強したいと思い、司馬遼太郎さんの『項羽と劉邦』を手に取った。

    司馬遼太郎さんの作品は読み切ったものでいえばこれが3作目で、これまでに『太閤記』と『最後の将軍』を読んいてその史実を踏まえ面白く物語をつくる才能に今回も大の期待をして読んだ。上・中・下を約1週間でら読めたのは、挫折しやすい僕からすると希少であり、この作品の面白さから来るのであろうと感じた。

    本作で私が注目して読んでいた点は大きく二つあり、一つが「秦の衰退と漢の勃興」、もう一つが項羽と劉邦という2人の「リーダーシップ」のあり方である。

    秦の衰退と漢の勃興
    キングダムで見てみてきた嬴政の創った国が約15年で滅んでしまうのは非常に心痛いことであった、取りわけ、当時先進的であった法家思想を取り込んだ政治の仕方は非常に革新的であるために残念である。その中で趙高のような権力者を作ってしまったのだが、いかんせん、帝国自体が史上初であるため、この程度のミスは半ば仕方のない失敗であるとも思えた。秦が成立した時点で早く崩壊してしまうことは、ほとんど決まっていたようなことであると思われるが、漢が勃興したことに関して言えば、より多くの偶然が重って成されたことであると感じた。

    リーダーシップ
    項羽と劉邦という相対する2人のリーダーが登場するのである。項羽は圧倒的武力と経験、莫大な部下、良い家柄と完璧に近い男である。ただ、この項羽が天下を取れなかったということが面白かったところで、それ以上に部下に伸び伸びプレーをさせ、愛嬌とルックスを売りにした劉邦が勝利したのは、全ての人へ勇気を与えるのではないかと感じた。48歳まで一介の侠であった劉邦が高祖となったことで、僕もこれからまだまだ狙うチャンスがあるんだと言うことを再認識できた、そして、劉邦が行った部下に対するマネジメントの数々やその姿勢は大きな事を成し遂げる際の一つの頼れるロールモデルであると思う。


    【要約】
    韓信の躍進と劉邦のジリ貧具合が映る前半部分。中盤以降では広武山で戦いにおける両軍の対峙、そして最後の垓下の戦いへと話が大きく動いていく。その途中途中で、新たな登場人物や、彼らにまつわるエピソードが登場するなどしてストーリーに厚みを増していく構成となっている。
    【引用】
    P16
    -出来そこないの田舎侠客、沼沢のなかの泥ぶなのような草賊の親分。
    というのが、劉邦も自認しているかれの前半生であったが、その経験で学んだことといえば子分や兄弟分に対する信しかなかった。

    P167
    ひるがえっていえば、項羽の幕僚にはこの少年程度の者もいなくなっていたのである。

    P242
    むかし、かいとうがわしに説いたとおりの結果になった。あのときあの男の言葉どおりにしておればこういうばかなはめにならずに済んだろう。(韩信)

    P260
    馬上天下を得ても、馬上で天下を治めることはできない。(陸賈[リクカ])

    P261
    高祖の愛嬌は道理だとわかればひどく従順になることで、その配下からみればかれの魅力はこのあたりにあったのに違いない。

    P348
    劉邦のような立場の男は、たとえ側近を相手に韩信のことをこぼしても、なにかの形で韩信に伝わってしまうのである。

    ☆ずっとずっと強かった項羽軍が最終盤に細くなるのは、虚しく、先日読んだ『老人と海』で激闘の末に獲ったオオカジキが鮫に食われていくのに近い感覚を覚えた。

    P384
    しかも四面ことごとく楚歌であった。
    →四面楚歌、、、こういうことだったのか。

    P389
    彼女が舞いおさめると項羽は剣を抜き、一刀で斬りさげ、とどめを刺した。

    〜あとがき〜
    P401
    この大陸の場合、周辺からさまざまな暮らしの仕方を持った民族が間断なく流入しつづけたということを見ねばならないであろう。具体的情景としては、農業だけしか知らなかった民族に、牧畜を専業とする民族が接触してくると、長靴を穿くことや、動物の腱を干して弦をつくること、あるいは干肉つくり、乳製品を食べることなどが教えられる。

    P404
    中国史は、ふしぎなところがある。後代のほうが文化均一性が高くなるのは当然であるとして、知的好奇心が衰弱することである。後漢の末ごろからいわゆるアジア的停頓がはじまり、その停頓が、驚嘆すべきことに、近代までの長い歴史のなかに居すわりつづける。
     が、いわゆる先秦時代からこの時期までの中国は、べつのひとびとによる社会であったかと思えるほどにいきいきしている。

    〜解説〜

    P418
    『項羽と劉邦』に充満する多彩な「典型群」は、我が国と遮断された無関係の外国人ではなく、かつて日本人に人間社会とはなにかを反芻させ、さまざまな思考に資する「実例」の役割をつとめた。
    →解説に書かれている通り、「左国史漢」が平安時代より教科書であったことを鑑みれば、これらを学ぶことは、日本史における実力者達の思考や考えのもとをインストールできることになる。とりわけ、夏目漱石を含め、文豪家の方々が書いたことから考えると、文壇に入っていく上でも、必読であったと改めて思える。

    P425
    つまり「可愛気が、劉邦の中で光っている。それが大きな光体になって劉邦の不徳も無能も、すべておおい晦ますほどの力をもっている、と蕭何はおもいはじめた」のである。

    P425
    「劉邦は、土俗人ならたれでも持っている利害得失の勘定能力をそなえていたが、しかしそのことは奥に秘めて露わにせず、その実態はつねに空気を大きな袋で包んだように虚であった」。

    p425
    劉邦は「韓信のみるところ、愛すべき愚者という感じだった。もっとも痴愚という意味での愚者でなく、自分をいつでもほうり出して実体はぼんやりしているという感じで、いわば大きな袋のようであった。置きっぱなしの袋は形も定まらず、また袋自身の思考などはなく、ただ容量があるだけだったが、棟梁になる場合、賢者よりはるかに優っているのではあるまいか。賢者は自分のすぐれた思考力がそのまま限界になるが、袋ならばその賢者を中へほうりこんで用いることができる」のである。

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    2020年12月15日
  • 関ヶ原(中)

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    関ケ原の前哨戦がメイン。

    『功名が辻』にも出てくる有名な評定や、こちらもよく知られている「犬伏の別れ」などのエピソードが登場する。

    ここでも三成は知恵者だが肝心なところが抜けている、言わば「策士、策に溺れる」さまが描かれている。

    さらに黒田官兵衛の九州での進撃も。

    これらが全て「関ケ原」なのだろう。

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    2020年12月14日
  • 大盗禅師

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    鄭成功や由井正雪が生きた時代、徳川幕府が完全に安定する前の微妙な時代を描く。
    馴染みの薄い時代なので新鮮なのと、幻術渦巻くファンタジー全開の世界観が楽しくて一気読み。
    「浪人は生きていること自体が悪いのだ」「小役人ですら傲慢な政権は勢いがある」というセリフが印象に残りました。
    尻切れトンボの結末は、まぁしょうがないか…

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    2020年12月14日
  • 街道をゆく 38

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    旅の目的地に合わせて読むことにしているシリーズ。少し冗長だがアイヌの歴史や言葉に深く触れていて面白い。

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    2020年11月25日
  • 新装版 箱根の坂(下)

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    司馬遼太郎といえば一番好きなのはやはり『燃えよ剣』。司馬遼は古い文献から破片を集めそこから人となりやストーリーを想像し気持ちが盛り上がったところで一気に書くそうだ。あとがきにそんなことが書いてある。そして謎に包まれた北条早雲の人生を取り上げた。人生40年の時代に早雲が歴史に現れるのは応仁の乱後の45歳。そして88歳まで駆け抜ける。早雲の凄さは農民の幸せを考えて統治した初めての政治家ということ。室町末期の公家崩れや田舎侍を倒しまくるのは正直迫力がない。そして人生の全盛期が50歳以降だから戦に燃える若き血も恋も冒険もあまりない。本当はもっと弾けて欲しいのだが司馬遼太郎はいつものように抑えて書く。それでも面白いのは早雲が足利将軍家側近の名門家にありながら、義を尊び、守護大名制度をぶち壊し下克上も辞さない戦国時代の幕を開けた当事者だからだろう。

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    2020年11月22日
  • 項羽と劉邦(上)

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    横山光輝氏の漫画版を読んでいたので物語視点では
    違いのない感じだが、秦帝国、陳勝の乱についての
    歴史的視点で深く改めてで楽しめました。

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    2020年11月16日
  • 風神の門(上)

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    本棚に著者の作品が自然と増えている、独特の歴史背景や歴史観に引き込まれてきたが、著書は作風が違うこれはこれで非常に面白い、ワクワクしながら冒険活劇を読んでいるよう、子供の頃NHKでの人形劇「真田十勇士」を観ているような懐かしさに引き込まれた。

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    2020年11月13日
  • 功名が辻(四)

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    功名の形は人それぞれ。
    現代でも通じる生き方。
    必死にがむしゃらに武功だけを求めていくだけじゃ、限界も見えるし、先が閉ざされることもある。
    細く?長く生きた成功例。ただ、成功してもまたその先は沼。

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    2020年11月03日
  • 竜馬がゆく(二)

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    竜馬を通した幕末史

    自らの生き方を模索する竜馬と、彼を取り巻く土佐藩士、国家変革の遠因となった土佐藩の階級体制などが生き生きと描かれています。

    竜馬自身の物語だけでも大変面白いのですが、動乱の時代に生きた人々の様子を通して、様々なことを考えさせられます。

    学生時代にこの本を読んでいれば、もっと歴史が好きになれたかも。

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    2020年11月01日
  • 「明治」という国家[新装版]

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    司馬遼太郎の明治国家論なのであるが、明治国家そのものというよりも江戸時代からの継承について冒頭の多くを割いて述べており、実はその部分が面白かった。江戸の知識階級とそれ以外の二極分化、補佐政治、江戸時代に培われた多様性と薩長土肥のお国柄、慶喜と勝の精神構造、維新後の西郷の虚無など。その後の国造りの話はそこまで真新しくも面白い訳でもない。

    なお、講義調であるため、全般に脱線が多くやや論旨を見失いがちになるきらいあり。細かい点で、ドイツが第一次大戦に入った理由をドイツの憲法制度に置いているのは浅薄かなとも思う。

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    2020年10月25日
  • 竜馬がゆく(三)

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    竜馬がゆくが、面白くなってきた
    今までは半分義務感、勉強感で読んでいた
    感情描写がすごい
    ちょうど京都旅行の前2週間に読んでいたので、なお面白かった
    早く続きが読みたい

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    2020年10月20日
  • 義経(下)

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    現代人がイメージする主従関係、戦術、戦略は、戦国時代のもので、平安末期、鎌倉時代のそれは非常に淡白であるけとがよくわかった。
    結局、最後まで頼朝の考えを理解できなかった義経。
    天才でありながら、鈍感。登場、活躍、栄華、没落が一生のなかで如実に分かれ、最後は悲しみを抱えながら、消えていく。
    作中にもあるように人々を惹きつける魅力が義経には揃っている。
    まさに、諸行無常を体現する人物。


    欲を言えば、義経が平泉で滅亡するまでを詳細に描いてほしかった。それにしても、頼朝、戦に行かなすぎ。

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    2020年10月15日
  • 城塞(下)

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    面白かった。
    家康が細々と布石を打って
    これぐらいやらないと
    安心して死ねないよね。

    大昔、大河ドラマで欣求浄土、厭離穢土
    唱えていて
    子供心にすんごい綺麗事だなと
    思ってました。
    ここまでやってくれると清々しい。

    でも狂言回しの主人公あんまり、
    お夏だって、やっぱり。

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    2020年10月13日
  • 街道をゆく 1

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    久しぶりに読み直しました。書かれてから時間も経っているので今の学説じゃそうではないのだが、とお申し込み箇所もありますが、こういう思索をしながらの旅も良いものだと思います。

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    2020年10月08日
  • 峠(上中下) 合本版

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    神の視点で評価してはならない

    戊辰戦争における「敗者」の立場から描かれた小説。歴史の経緯結果を知っている後世の我々の立場から主人公河合継之助を評価すると、無駄な戦をして 領民を苦しめて ということは容易である。しかし、武士としての男としての 美学を貫き 一縷の逆転に望みをかけたという生き方にはやはり感銘を受ける。 結果を知っている 神の視点で評価してはならない と自戒する。
    この小説のできとして、名作ぞろいの司馬遼太郎としては 少し冗長なところがあったような気がする。

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    2020年09月07日
  • 国盗り物語(三)

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    信長・光秀編のはじまり

    道三のおわり

    史実はどうあれ司馬遼太郎の道三の成り上がりの格好良さに痺れる

    そして信長をそこまで英雄豪傑に書いていない、光秀に偏重しているところが面白い

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    2020年09月01日
  • 国盗り物語(一)

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    松浪庄九郎の成り上がり劇!油商人から美濃一国を
    治めていく手腕が痛快。結構色めいたシーンがあり、それも含めて楽しめました。

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    2020年08月31日
  • 国盗り物語(一)

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    司馬遼太郎が描く戦国の世と私が価値観を同じくしているとは、決して言えないが、面白い。ひとまとめに言うと、仏教の教理を言い散らして、スムーズな対話が交わされるなどというのが私には疑問で、僧侶ならともかく、庶民がそういう会話に進んで加わったという設定は不自然に感じた。また、当時の武士として当然であろうが、一夫多妻の実際の状況はあまり好感が持てるものではない。しかし、決闘や合戦や主従のやり取りは、私が堅物なためか、血が騒ぐように爽快な気持ちだった。読む中で、斎藤道三と自分を比べてしまうが、そもそもからして、筋骨隆々たる道三には体は及ぶべくもなく、強烈な自信もない。この頃思うのが風狂と言われた芭蕉に影響を強く受けて、遊びは存分にしているなあということだ。道三のように破竹の勢いで突進していく人生には重ならないだろう。

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    2020年08月21日
  • 世に棲む日日(一)

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    以前読んだときはただ高杉は直感的行動的な人で、短い人生を駆け抜けたという印象があったが、今回は、駆け抜けなければいけなかったというような何か悲しい側面もあるのではと思うようになった。松陰との対比、身分への葛藤や父への想いなど。
    龍馬と並んで、その人間性や考えに共感できる人物。

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    2020年08月20日