司馬遼太郎のレビュー一覧
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司馬遼太郎の長編時代小説の7巻目
長州と幕府の戦いを終えた海援隊,戦には勝ったもののお金に困窮するところから始まる.龍馬の人望と展望でまさかの土佐藩と手を組み,時代の活路を見出そうとする.
あくまで日本にとっての未来を考えて動く姿は周りに理解されないかもしれないが,本当にかっこいいと思った.芯のある人なのだなと今作でも感じた.一方で中岡慎太郎も行動家で「足で稼ぐ」ように各地各所へ赴き説きまわり,政治を動かす姿も感動した.
7作にもなると明治維新で活躍する偉人が続々と登場するのも印象に残った.学校で習う歴史の明治の偉人も江戸末期に坂本龍馬と接触・影響を受けて世を動かしたところが面白い.
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司馬遼太郎が描く戦国の世と私が価値観を同じくしているとは、決して言えないが、面白い。ひとまとめに言うと、仏教の教理を言い散らして、スムーズな対話が交わされるなどというのが私には疑問で、僧侶ならともかく、庶民がそういう会話に進んで加わったという設定は不自然に感じた。また、当時の武士として当然であろうが、一夫多妻の実際の状況はあまり好感が持てるものではない。しかし、決闘や合戦や主従のやり取りは、私が堅物なためか、血が騒ぐように爽快な気持ちだった。読む中で、斎藤道三と自分を比べてしまうが、そもそもからして、筋骨隆々たる道三には体は及ぶべくもなく、強烈な自信もない。この頃思うのが風狂と言われた芭蕉に影
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山内一豊と千代の一代記。
山内一豊(伊右衛門)は千代の作品である
という軸に貫かれた作品。司馬遼太郎が描く主人公に共通する快活さや明晰や、人間的魅力は伊右衛門ではなくどちらかというと千代にそれが見いだされている。
出世や功名、その前提としての主人との関係というものを当時の武士、武将がどのように捉えていたか(江戸時代以降のいわゆる忠義や礼節重視のあり方ではない)ということを繰り返し描いてくれるのですが、こういう当日の「普通の感覚」的なものは、時代をつくった英雄による物語では描きにくいし、想像しにくいわけです。伊右衛門という一人の特別の才のない武士の目線で語られるからこそ、家を興すことに対す -
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司馬遼太郎の長編時代小説の6巻目
ついに歴史でも最も有名な薩長同盟を結ぶ.自分は知らなかったが,そこにいたるまでの薩長の対立を貿易を使うことで見事に和らげ,締結にたどり着けたことに司馬遼太郎の描写によってありありと伝わった.また,同盟を結んだ後にすぐに政府から命を狙われ,命からがらにげのびたことを知り,その強靭な肉体と運に坂本龍馬の時代の人だったということがよくわかった.脚色をかなり強くしたのではないかと思ってしまうが凡そは本当なのだろう.
一方で自分の会社である亀山社中が戦にも参加し,長州藩の存亡の一助となったことも今作の読みどころであり,剣術で培われたかどうかはわからない海戦術を駆使し -
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新聞の時とは異なる一興
この小説は子供の頃新聞の連載小説として読んでいたが、大人になってまとまった小説として読むとさらなる愉悦と欣喜がわいてくるほど面白くなった。黒田官兵衛の描写は上手だ。信仰面までは深く踏み込んでいないようなのが唯一遺憾であった