司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 世に棲む日日(二)

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    本書を読むまで詳しく知らなかった吉田松陰。
    漠然と政治結社のような印象を持っていた松下村塾は全然違うものだったし、切れ者と思っていた松蔭は究極なまでに無邪気だったし、またその最後も実にあっけなかったり。
    この先どこかで長州の歴史に触れる機会があった時に、これらを知っていると知らないでは大違い。
    まだまだ読まなければいけない本がたくさんあると痛感しています。

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    2019年12月29日
  • 菜の花の沖(四)

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    ネタバレ

    歴史背景紹介が少々多めとなっています。
    なので嘉兵衛の生きざまを追いかけたい人にとっては
    少々退屈に感じてしまうかもしれません。

    もっとも個人的な意見ですが
    ある程度解説が入ってくれた方が
    助かる身でもありますので
    程よい一休みという具合に楽しめました。

    ついぞ嘉兵衛はいわゆる幕府にかかわることになります。
    それは嘉兵衛が従来関わってきた
    商売とは勝手が違うものとなることを
    意味してきます。

    本来は深入りするつもりはなかったのでしょうが
    彼にはあくなきほどの好奇心と情熱があります。
    抗うことはできなかったのではないでしょうか。

    ついぞ北へと本格的に舵を切っていく嘉兵衛
    これからどう繁栄

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    2019年12月14日
  • 峠(中)

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    いよいよ物語が動き出す
    動乱の時代が幕を開ける中、継之助も藩のため立ち上がる

    しかし、作中でも言われているように、継之助ほど先を見通し、日本の行く末を読める男が、自らの藩のためだけにその能力を振るうこと、惜しいと感じた

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    2019年11月28日
  • 竜馬がゆく(六)

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    7巻が読み終わって6巻を登録していなかったのに気づきました。6巻って、どんなだったかなあ。長編になると1巻前のお話も、昔のことのように思えます。読書とともに歴史を歩む醍醐味です。

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    2019年11月20日
  • 夏草の賦(上)

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    土佐の国から四国制覇を目指した戦国武将、長宗我部元親が主人公。若き彼は武将としての自信に乏しく、誰よりも臆病だった。が、その短所が戦への慎重さをもたらし工夫を欠かさず、戦前の外交を重視した。戦の勝敗はその前の準備で決まることを彼は十分に知っていた。

    しかも、元親が気にするのは目の前の対戦武将だけではない。四国から遠く離れた織田信長に目をつけ、その配下の明智光秀のそのまた配下武将から嫁を取り、それをきっかけにして織田家の威を武器にする。

    そんな元親の苦労が実り、長宗我部家は領土を拡大。元親は四国を統一し、その勢いで天下統一の候補者として台頭することを夢想する。が、織田信長もまた元親を利用して

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    2019年11月13日
  • 新装版 アームストロング砲

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    幕末という時代に翻弄された名も残らぬ人々の物語。京での動乱に巻き込まれて命を落とすもの、佐賀藩の洋式軍備に命を削り発狂してしまうもの。必死に生きた人々の息吹を感じながら、暗い時代も感じる悲しさ。先に不安を抱きながらも、明日はよくなるのではと必死に生きたのだろうと感じ、不安がそこまでない現代の有難さを感じつつも、日々を大切に生きる大切さを感じた。

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    2019年11月06日
  • 幕末

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    あとがきにあるが初期の作品であり、想像するにまだアシスタントは少なかったろう。しかし、自力で歴史を調べたのであろうがその濃密さは後の作品同様で細やかなエピソードでも取り上げ暗殺者達の生き様とその時の状況を浮き彫りにしている。それぞれが短編でありながらも有名無名を併せ数多くの人物を登場させ読み応えがある。
    田中顕助のみ3編に登場しているが、作者がよほど気に入ったか、あるいは自叙伝やインタビューなど多くの資料が残っており書きやすかったからか。最後の攘夷志士がとても程よい笑いもあり悲壮感ありで殊更味わい深い。

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    2019年11月02日
  • 菜の花の沖(三)

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    ネタバレ

    ついに飛躍していく巻となります。
    だけれども、松前は嘉兵衛にとっては
    あこがれとともに、課題の残る場所となりました。

    この中には、私たちがこれから
    変えていかないといけない部分があります。
    それに関しては今も騒がれていることで
    必ずその負の連鎖は立たないといけないでしょう。

    彼が史実上どのようになっていくかは知っていますが
    これからが楽しみです。

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    2019年11月02日
  • 竜馬がゆく(五)

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    長州は苦しい時代へ。薩長の関係を考えると、どうしてここから、あの幕末を迎えるのか、まったく謎です。まだ機が熟さないって、あと三巻しかないですよ!

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    2019年10月29日
  • 菜の花の沖(二)

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    ネタバレ

    彼が船乗りなのに関わらず
    決して言葉が荒くないこと。
    そう、彼は貧しさゆえに受けた不条理を知っているから。
    痛みを知っているんですよね。

    だからこそ決して部下をいびって
    育てようとはしないのです。
    これ、現代でもできない人がいますよね。
    不条理な扱いをしても、部下は育たない。
    でも力を持つと人はおかしくなるのよ、よくね。

    最後のほうには嘉兵衛はついに故郷に帰ります。
    因縁の場所。
    だけれども恥じない活躍をした嘉兵衛を
    決して故郷は残酷な扱いをしませんでした。

    そして、もうそれは不相応な縁談を
    ほかの兄弟に取りつけることができたのです。
    それはひとえに派手な活躍でなくても
    部下を大事にした

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    2019年10月26日
  • 竜馬がゆく(四)

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    時代の流れを待つ竜馬。半平太をはじめとする他の志士たちに苦難の時が流れても、じっと自分の出番を待つ。英雄って時の流れが目に見えるんだなあって実感します。いつ竜馬の機は熟するんだろう。待ち遠しく思いながら、四巻終了です。

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    2019年10月21日
  • この国のかたち(四)

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    この巻では、「統帥権」という事について最大の稿を割いている。

    筆者の言う、日本らしからぬイデオロギーを持った唯一の時代が昭和の初期に存在し、自国の本当の国力や軍事力を考えないまま戦争に突入し、敗戦国となった日本。

    戦の勝国になったか、負国になったかという問題ではなく、三権を超越する権力として統帥権を操り、暴走の徒と化す一部の人間達(陸軍参謀本部等)によって、日本が如何に狂騒の時代へ突入したかにスポットを当てている。

    兎にも角にも、この巻では「統帥権」という言葉が印象に残る。

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    2019年10月12日
  • この国のかたち(一)

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    国、日本人というものを構成するに至った歴史的背景を探るとともに、他国との比較なども含まれている。
    そして、著者の私感や意見なども随所に折り込まれ、著者の取材と研究の素晴らしさ、ひいては「司馬 遼太郎」観の集大成とも受け取れる。

    日本という国、日本人というものに対して、実は誠に浅薄な知識しか持っていない私達世代には、歴史書などよりも読みやすく、とても良い書籍だと感じる。

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    2019年10月12日
  • 菜の花の沖(一)

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    ネタバレ

    実在の人物をもとにした作品。
    彼は貧困がゆえに自分の家では
    過ごすことができませんでした。

    そこで他の家での居候となりましたが
    ある選択肢を取ったがゆえに
    いわれのない仕打ちを受け、ついぞ
    その集団から追い出されてしまいます。

    失意の彼は地元を出て、ある場所へと行きます。

    確かにつらい描写はありますが
    文章にそんなに重々しさはないので
    あっという間に読めてしまうんですよね。

    ちょっと型破りな、いわゆるかわいげのない男
    だけれども、愛する女性の前では
    弱いのよね。
    なんかほほえましい。

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    2019年09月26日
  • 空海の風景 下巻 (改版)

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    ネタバレ

    唐から帰ってきました。
    最澄との確執や、嵯峨との関係、長安への想いなど、見てきたのか?と思えるほどの圧倒的な教養量と考察力。

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    2019年09月19日
  • 花神(中)

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    この巻では長州藩という藩に焦点が当たります。とりわけ政治家・桂小五郎の活躍が興味深いです。桂は剣の腕こそあれ、それを使って派手なことをしたのではありません。藩士(時には過激派の者まで)の意見を聞いて調整し、蔵六のような優れた智者を抜擢することで、「倒幕」という大きな目的へ藩を動かしてゆくのです。それは、決起を起こし長州藩を倒幕論に方向転換させた革命家・高杉晋作、武器の買い入れで初めは失敗するが、幕長戦で長州藩を勝利へ導く軍略を見せた技士・大村益次郎(蔵六)とは個性の違うものです。様々な意見を虚心に聞き、集団の合意や意思決定をはかり、目的の実現のために人材の登用や物資の調達を行う桂の政治力が面白

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    2019年09月13日
  • 空海の風景 上巻 (改版)

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    ネタバレ

    小説というより伝記のような感じ。いかに空海が天才だったかと、いかに唐に渡るのが大変だったかが伝わってくる。
    橘逸勢が良いキャラ。

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    2019年09月09日
  • 花神(下)

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    大村益次郎。

    大村益次郎は大村益次郎になってもやはり村田蔵六から変わらない。

    村田蔵六のままの大村益次郎と、桂小五郎、西郷隆盛、シーボルト・イネ、そして有村俊斎。

    司馬氏の幕末でも竜馬の土佐、脱藩志士、通史的でもなく、慶喜の幕府、朝敵側でもなく、新撰組の幕府、会津側でもなく、桂小五郎・高杉晋作の官軍、長州だけでもない幕末が手に取るように見れる。

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    2019年08月24日
  • 夏草の賦(下)

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    長曾我部元親本人の物語だが、正妻となる菜々の視点から話がはじまる。

    同じ美濃出身、かつ、妻・母としての生き方だけではつまらない、自分の動きで世を変えたいと思う菜々にかなり感情移入した。
    しかし、そんな菜々でも長曾我部家の妻母としてしか、結局生きられていない。
    途中で元親に戦に関する意見を求められても、論理的に考えられておらず感情的な意見を述べる。

    女性を主人公にした司馬遼太郎の本が読んでみたいなぁ。

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    2019年08月18日
  • 新装版 歳月(下)

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    終盤の河野敏鎌裁判長のカッコ悪さは如何ともし難い。大久保利通の残酷さは、まだ、より高次の政略のため、と理解できなくもないけれど。
    もし、江藤新平が生き延びていたら、日本史はどうなっていただろう。大久保には歯が立たなかったにせよ、紀尾井坂以降、外交で随分活躍できたのではないかと思う。数多の才能が天寿を全うせずに朽ちたことを思うと、生き延びることの価値を改めて思う。

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    2019年08月11日