司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 城塞(中)

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    真田幸村登場から、大阪冬の陣、そして夏の陣に差し掛かるまでの中巻。この巻から読み始めてもあまり違和感なく楽しめそう。
    作者が豊臣方の目線で描いていることを差し引いても、家康の上方への謀略とそれに伴う“むごい仕打ち”が凄まじい。既に寿命がつきかけている年齢に達しているとはいえ、跡取りのため、近親のため、徳川100年のための執念。悪名間違いなしの騙し行為を知り、家康を悪い意味で思いを新たにしました。
    物語の中で唯一中立的な思考で登場する曲者、小幡勘兵衛の思考も読者目線で興味深いし、幸村の痛快な知略、後藤又兵衛の大らかな言動も人生訓となりそう。
    豊臣方の淀殿始め女史共の不甲斐なさと、それぞれの人物像

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    2018年02月04日
  • 夏草の賦(上)

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    ネタバレ

     長曾我部元親について改めて知ろうと思い再読しました。最初に読んだのが文春文庫の旧版第9刷、1980年の学生時代でした。今更ながら司馬遼太郎は冒頭から面白い!岐阜城下で一番の美人とうわさの菜々が、土佐の元親に輿入れする話は笑ってしまいます。菜々は後に明智光秀の重臣となる斎藤利三の娘(史実は利三の兄、石谷頼辰の義理の妹らしいですが)として生まれ、信長がまだ天下布武に遠く、元親も土佐一国すら切り取り途中の時期に、遠交近攻策の政略結婚に嬉々として嫁ぎます。隣家の光秀が縁談を持ち込み、信長も菜々に立派な嫁入り仕度を指示し、秀吉も祝賀に訪問と役者が揃います。
     司馬遼太郎はいつもの様に、長曾我部氏や本拠

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    2018年02月04日
  • 殉死

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    ネタバレ

    ちょうど坂の上の雲を読んでおり乃木将軍の人となりに
    興味を持ったということと、中学の時に国語の教師が明治帝の崩御の際に
    殉死した軍人がいたということとその時の描写を授業で語っていたのを
    意外と強烈に覚えていたので乃木大将がなぜ殉死(しかも奥さんを伴って)
    へと向かったのかを知りたくて読んでみました。

    ただ、司馬遼太郎は一貫して乃木希典という人物に批判的なので
    坂の上の雲と殉死しか読んでいないのでは司馬フィルターを通してしか
    乃木希典という人物を捕らえていないことにはなるのですが
    この本自体は様々な人の証言や状況証拠から経緯を追っており
    読み応えがありました。
    陽明学の流れを組んでの殉死だとは

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    2018年02月04日
  • 翔ぶが如く(八)

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    薩摩軍は遂に鹿児島を出発、熊本城を目指す。熊本鎮台の司令長官谷干城は籠城を決意、西郷を戴く桐野利秋、篠原国幹らは綿密な作戦計画も無く城を責め立てるが・・・?

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    2018年02月01日
  • 翔ぶが如く(四)

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    ネタバレ

    佐賀の乱での江藤新平の暴発、晒し首から、征台に至る国内外の駆け引きまでの4巻。作者が文中に記しているとおり、西郷隆盛という存在が本人の意思とは無関係に周りに与えた影響を描いており、知識欲を満たすものと考えれば良書であるが、読み物といえば話が進まず退屈すると思われ、後者をやや重視する自分としては読後はなんだかホッとする気持ちになる。

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    2018年03月05日
  • 翔ぶが如く(一)

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    以前、鹿児島に住んでいた時に読んだので、15〜16年振りに再読。御一新が成就して新たな時代がスタートし、盟友の西郷さんと大久保さんの関係に距離が出てきた。最後にあった師匠とも言える島津斉彬公のお話は興味深く、征韓論は斉彬公のアジア同盟構想からスタートしたことは、なるほどと思わせることはあり、久しぶりに照国神社に行きたくなった。

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    2018年01月27日
  • 翔ぶが如く(七)

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    いよいよ物語は時代の核心に近づいていく。熊本、萩における不平士族の蜂起を鎮圧した政府は薩摩を怠らなかったが・・・。

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    2018年01月23日
  • 翔ぶが如く(六)

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    この第六巻は西南戦争の勃発する1年前の明治9年が描かれているが、前半は地方官会議や島津久光について書かれている。後半は太政官への不平不満を抱く士族たちが、ついに立ち上がり熊本で「神風連の乱」が爆発する。

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    2018年01月15日
  • 城塞(中)

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    牢人達が大坂城に集いだすところから、冬の陣が終わって和議が成るまでの話。
    上巻に続き政治的な人々の動きが中心に描かれている。
    誰がどういうつもりで行動したかが丁寧に書かれており、それらの上で事態が動いて行ったのだというのが分かる。
    戦のシーンは映像では見せ場として派手に演出されるが、本作ではむしろさらっと描写されている印象。が、その戦の成り行きもまた、一人一人が様々に考え動いたという視点から見せてくれる。

    上巻で主人公役をしていた小幡勘兵衛は、流石に有名な牢人・大名達の前では出番を減らしていた。
    意外にも牢人集の中で比較的出番の多かった真田幸村や後藤又兵衛ですら、中心的になるような描き方はさ

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    2018年01月13日
  • 花神(下)

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    大村益次郎って誰だっけレベルでしたが、そういう、学校の歴史授業ではサッと通り過ぎるような人たちで、日本の歴史はできてるんだなと。明治維新も、こういう風に進んできたんだと、再確認。もう一回じっくり読みたい。「世に棲む日日」も読みたい。

    イネの心情の描かれ方も、司馬さん、女心わかるんですか…とちょっとキュンとした。。

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    2018年01月13日
  • この国のかたち(一)

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    章により面白さに差があるためつまみ読みで良い。
    統帥権や参謀本部の項目は面白かった。
    「昭和ヒトケタから同二十年の敗戦までの十数年はながい日本史のなかでも特に非連続の時代だった」に同意。

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    2018年01月08日
  • 翔ぶが如く(五)

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    征台論の機運の高まりのなか、大久保利通は清国へ渡る、李鴻章との交渉を行わずに平和的解決を模索するが・・・。

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    2018年01月03日
  • 翔ぶが如く(四)

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    征韓論をめぐって西郷隆盛に続いて官を辞任した司法卿の江藤新平が突如、佐賀で叛旗を翻す。その際の西郷を恐れる大久保利通の迅速な決着とは。さらに征韓論に反対する大久保利通、西郷従道らは「台湾征伐」へと動き始める。これは・・・?

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    2017年12月24日
  • 峠(中)

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    ネタバレ

     時刻が、移った。
     会議はまとまりがなく、だらだらとつづいている。
     継之助はもう、議事の進行に興味をうしない、柱にもたれ、煙管のやにをとったり、ふかしたりしている。
     そのうち会津藩の秋月悌次郎がやってきて、
    「どうもあれだな、これはまとまらない」
     と、小声でこぼした。
     継之助はぷっと一服吹き、
    「まとまらないんじゃないんだ。どの藩もはじめから意見などもっていないのだ」
    といった。
     たしかに内実はそうらしい。しかし会津藩としてはどうしても抗戦へまとめてゆきたいという願望がある。
    「そのように言われちゃ、実も蓋もない。かれらはこのように集まってきている。集まってきているということ自体、

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    2017年12月17日
  • 峠(上)

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     顔を少しあげ、谷の向こうの天を見つづけている。吉沢の存在を無視していた。この男の知的宗旨である陽明学の学癖のせいか、つねに他人を無視し、自分の心をのみ対話の相手にえらぶ。たとえば陽明学にあっては、山中の賊は破りやすく心中の賊はやぶりがたし、という。継之助はたとえ山中で賊に出遭うことがあっても、賊の出現によって反応するわが心のうごきのみを注視し、ついでその心の命ずるところに耳を傾け、即座にその命令に従い、身を行動に移す。賊という客体そのものは、継之助にあっては単なる自然物にすぎない。
     吉沢の存在も、自然物である。いわば、そのあたりの樹木や岩とかわらない。
     眼前に難路がある。これも、継之助の

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    2023年11月06日
  • 翔ぶが如く(三)

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    来年のNHK大河ドラマは「西郷どん」幕末の主人公西郷隆盛を描くそうなので、司馬遼太郎さんの長編歴史小説「翔ぶが如く」を読み直し始めたが、流石の司馬作品。西郷と大久保の議論は征韓論をめぐって右往左往する。

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    2017年12月11日
  • 翔ぶが如く(二)

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    2巻の筋は、なんと西郷の征韓論をめぐり逡巡する人物達を描くのみで少しも進んでいない。故にあまり楽しめる内容ではないが、それでも興味をもって読み進める。
    作者が、物語というより、維新後に活躍した人物像をその行動を元に推察した歴史と人物研究の書という体です。
    歴史を動かした人物とて、思想の微妙な違いでの好悪により派閥が出来、暗殺等手荒で確実な方法を望んだり、武力で脅す強硬派や温厚で協和を好み時間をかけて和をなす穏健派が出来、今の政治情勢と何ら変わらないものが根底にあると思う。
    作者の緻密な取材とそれを元に人物像をその背景と照らし合わせて作り上げ、表現していく粘り強さにあらためて敬服する。

    以下

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    2017年12月09日
  • 馬上少年過ぐ

    ネタバレ 購入済み

    長編にならなかった伊達政宗

    司馬遼太郎が短編の筆を折ったのは、作家デビューして10年が過ぎたころ-その後3編の例外はある-、同じころに「街道をゆく」が始まる。『馬上少年過ぐ』に収められた7編のうちの4編はそうした昭和43年から45年に書かれた。残りの3編は、同じ新潮社から以前に出た『鬼謀の人』からの転載である。
    短編集の表題となった『馬上少年過ぐ』は隻眼の武将伊達政宗の晩年の漢詩の第一句から取られた。司馬は政宗を詞藻の豊かな武人と言いながら、その凄絶な生い立ちを語っている。それは24歳の政宗が実弟の小次郎を刺殺するところで途切れ、死の前年の歌の「千々に心のくだけぬるかな」に寓意があるとして締めくくった。
    ところが、司

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    2017年12月08日
  • 翔ぶが如く(一)

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    歴史は倫理ではなく感情の結果として成るという形容のままに、維新前後に現れた天才達の心理描写を深く描いている。
    坂の上の雲でも描かれた郷土意識なくして明治時代は語れないようです。

    主な登場人物を整理して読むと理解しやすい。

    〈備前佐賀〉
    江藤新平
    大隈重信
    大木

    〈薩摩〉
    大久保利通(日本最大の策士)
    東郷平八郎
    島津斉彬
    島津久光(保守主義)
    川路利良(警視総監)

    〈公卿〉
    岩倉具視
    三条実美(さねとみ)、新国家の首相

    〈土佐〉
    板垣退助
    坂本龍馬(既に死せる)

    〈長州〉
    木戸孝允(たかよし、桂小五郎)
    井上馨(かおる)
    山県有朋
    大村益次郎(首相、暗殺)
    高杉晋作(既に死せる)

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    2017年11月25日
  • 翔ぶが如く(一)

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    来年の大河ドラマの主人公、西郷隆盛についてここのところ何冊か読んでいるが(海音寺潮五郎氏の西郷隆盛・伊東潤氏の西郷の首等)やはり司馬遼太郎作品「翔ぶが如く」に尽きますね。10年ぶりくらいに読み直しです。

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    2017年11月23日