司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 尻啖え孫市(下) 新装版

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    木下藤吉郎に請われ織田勢に荷担した孫市だったが、「信長にだまされた」と飛び出し、なんと信長最大の敵・石山本願寺の侍大将を引き受ける。
    信長に「尻啖わせ」戦国を駆け抜けた快男児を活写する痛快長編。

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    2016年11月17日
  • 尻啖え孫市(上) 新装版

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    織田信長の岐阜城下に真っ赤な袖無羽織に二尺の大鉄扇、「日本一」と書いた旗を従者に持たせた偉丈夫がふらりと姿を現した。
    その名は雑賀孫市。
    鉄砲三千挺の威力を誇る紀州雑賀衆の若き頭目だった。

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    2016年11月17日
  • 翔ぶが如く(九)

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    ネタバレ

    物語は西南戦争のまっただ中。
    激戦の末に田原坂を失い、物資と人員を欠いた薩軍は、それらを潤沢に補給できる政府軍に押され始めました。

    この間、西郷隆盛さんは「神輿」であって、薩軍を指揮した様子は全くありません。
    西郷さんが指揮をしないでも、優秀な参謀らが何とかしているってならまだしも、基本的にノープランなうえに、全体を見渡せない人が上に立っている。
    これはやっぱり、兎狩りで森で転んで、頭を強打してからの西郷さんはおかしかった…って説が正しいのかな?
    みんなの命がかかっているのに。

    政府では、西郷さんが征韓論で下野した直後と西南戦争の際に大量の警察官を雇用したとは聞いていたけれど、当時の警察は

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    2023年03月12日
  • 韃靼疾風録 (下)

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    久しぶりに読み返してみました。

    素朴な女真族が大明帝国との争いを繰り広げながら、太祖ヌルハチ、大宗ホンタイジの突然の死去で、このまま萎んでいくかと思いきや、李自成による明帝国の滅亡から、美女陳円円を李自成に奪われた恨みで、山海関を開けてしまった一瞬のタイミングを捉えて、次々と明晰な手をうっていく若き睿親王ドルゴンの智謀は実に爽快です。

    それにしても、あの時、山海関が開かなかったら、「清」という大国は存在しなかったわけで、ということは、その大領土を相続した、今の中華人民共和国も無かったわけで、誠に歴史の偶然の不思議でありますな。

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    2016年11月10日
  • 街道をゆく 42

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    おそらくメインであったろう鎌倉のパートより横須賀のパートが面白く感じられた。今まで鎌倉何度も行っていて、まつわる歴史も中学日本史程度には知っていたはずだけど、あぁあの土地でこんなドラマが!あの事件にはこんな繋がりが!と今まで知らずにいたことがもったいなくて仕方ない。横須賀の方は全然行ったことがないので、ぜひ行ってみたいなぁ。旧帝国海軍についてのストーリーは目から鱗。歴史って知ってると知ってないとだと人生で感じられることの深みが全く変わってきますね!!

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    2016年11月10日
  • 翔ぶが如く(八)

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    ネタバレ

    今回は大久保利通さんは、まったく出て来ず。
    明治10年2月の西南戦争の状況が描かれていました。

    つまり、青竹1本で落とせると思っていた熊本城を攻めて、高瀬で3回官軍と戦って「あれ?なんだか思っていたよりも苦戦じゃん!味方増えないじゃん!」って薩軍が思うところまで。

    今のところ、官軍側で飛びぬけてダメダメなのが、乃木希典さん。
    長州ってだけで地位を得た人で、やっぱり愚鈍でリーダーには向かない人物として描かれていました。

    この巻の乃木さんは、若いとはいえ、命令されたことしかできない視野狭窄人間で、失敗すると後始末よりも前にすぐに死んでおわびをしようとする使えない困ったタイプね。

    巻末に熊本

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    2016年11月08日
  • 幕末

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    ネタバレ

    幕末を舞台に暗殺者たちが主人公の物語を集めた短編集。

    もちろん小説ではあるのだが、こんなにも暗殺者のエピソードがあるのは驚き。

    井伊しかり、龍馬しかり、大久保しかり、幕末の動乱の側には必ず暗殺者が付いて回ることを実感させられる。

    筆者は暗殺が人のかざかみにもおけぬほど嫌いと言っているが、だからこそ暗殺者たちのことを良く理解し明らめ描いたのだろうか。
    倒幕派、佐幕派、どちらにもそれぞれの言い分、正義がありそれを信じて動いた結果が暗殺という形に現れた訳で仕方のない必要悪とも言えるのかもしれない。

    大河のような表舞台の歴史エンターテインメントだけでなく、このような歴史の裏の顔もまた面白いもの

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    2016年11月06日
  • 翔ぶが如く(七)

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    ネタバレ

    いよいよ物語は明治10年。
    西南戦争の年に入りました。

    西郷隆盛さんの暗殺を指示されたと思われる薩摩出身の政府方密偵が複数鹿児島に現れたことや、白中に運搬することを決められている火薬を太政官政府が夜間にこっそりと鹿児島から運び去ったことを引き金に、私学校の一部の後先を考えないタイプが政府の火薬庫を襲撃。
    ついに西郷さんも動かざるを得なくなってしまいました。

    薩摩藩士はお隣の熊本と違って議論をする文化があまりなく、とにかく勢いのあるヤツ、何かあったら命を顧みずに討って出るタイプが好まれる傾向があったそうだけど、それが結果的には知識のない感情優先タイプを量産したってところがあったように思う。

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    2016年11月04日
  • 項羽と劉邦(中)

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    漢文の授業でやった「鴻門の会」がついに!
    白文を読んだ後なので司馬遼太郎の臨場感あふれる書き方にさらに引き込まれました。

    紀信と周笴の最期がまさに壮士なり。
    2人ともかっこよかった…

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    2016年10月24日
  • 新装版 最後の伊賀者

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    忍者がなぜそのような暮らしをして、術を身に着けたのかを勉強するため。
    司馬遼太郎が地元関西の郷土史家の側面を持っていたことが印象的。

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    2020年04月03日
  • 街道をゆく 42

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    司馬遼太郎の「街道をゆく」シリーズの三浦半島編である。どのシリーズも実際の街道を訪ねるというものではなく、自身の作品に登場してくる地域や人物に関連付けて、思いを語る紀行となっている。「三浦半島記」では、鎌倉幕府、三浦一族、横須賀と小栗上野介忠順、軍艦三笠と何度か足を運んでいる土地だけに興味を持っているテーマが多く、大変面白かった。

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    2016年10月17日
  • 功名が辻(四)

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    愚直で正直者の伊右衛門が軍議での功を讃えられ土佐一国を食む。運もあるがやはり千代の存在が大きい。残念ながら24万石はその器量には大きすぎたらしく、種崎浜の悲劇となる。史実は少し違うようだが、この逸話で物語全体の印象か大きく変わります。千代が察知して悲劇を未然に防いてくれると願いつつ、はらはらしながら読み進めました。その後何事も無かったように“あとがき”は進みますが、これを境に一豊と千代の確執が深まったことでしょうね。
    今回も戦国武将の逸話が散りばめられ濃密て読み応えがありました。知的好奇心を存分に満たしてくれる作者の作品を貪り読みたくなる衝動に駆られます。

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    2016年10月16日
  • 草原の記

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    著者が大阪外国語大学の蒙古語学部出身というのは有名な話だが、本書は1992年刊行だから著者にとって最晩年の作品と言える。司馬さんはなぜ、数々の日本の歴史小説を書き終えた末に、遊牧民の文化を切り取る紀行文に取り掛かったのか……?
    その意図を正確に知ることはできないが、刊行された90年代初頭はちょうど世界中で社会主義政権が求心力を失い、西側のライフスタイルが世界中に広がっていこうとしていた時代。そこで司馬さんは、そこから失われていくであろう「人間の美徳」を、かつて猛威をふるいながらも時代に消えていった遊牧民の歴史を振り返ることで、私たちに示したかったのではないか。
    寡欲であること、モノに執着しすぎ

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    2016年10月07日
  • 風神の門(上)

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    司馬遼太郎を読むのは久しぶりです。

    あの時代のことをほとんど知らないし、忍者のことも知らなすぎて友人の話についていけず、読むことに。
    才蔵が佐助とともに豊臣方につくのかーってことも知らなかったです。というか、伊賀忍者って徳川方だと思ってましたんで。

    昭和の時代小説、司馬遼太郎らしい文体であり作品であると感じます。

    高校生あたりの頃は司馬遼太郎もえろしょうせつの分類に入るかと誰にも言えなかったのですが(ピュア)、なんとも思わなくなった自分は大人になったもんだと関係のないことを考えたりしておりました。

    さあて、下巻買ってくるか!

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    2016年10月02日
  • 韃靼疾風録 (下)

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    上巻で主役となっていた庄助が、この下巻では歴史の一点景の様に後方に退き、恰も歴史そのものが主人公の様相を呈する。
    著者の巧まざる手練手管に、歴史は華々しく躍動し、読者はその渦の中に放り込まれ、時代の空気を共に呼吸するかのよう。
    教科書などでは、元―明―清と中国史を教わるが、実際は明と清との間に「順」という王朝が「三日天下」のように存在したことを、この作品で知った。
    さらに、順王朝の崩壊には、明の武将の帰趨がキーポイントとなり、その動機が女だったとは。
    歴史の「おかしみ」に思いを新たにしたこともこの作品の効用?
    それにしても、このころの中国民族(漢人、女真人など)の何と美しく、なごやかなものだっ

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    2016年09月14日
  • 韃靼疾風録 (上)

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    題名からしてとっつきにくく、しかも舞台が中国ということで、司馬遼太郎の長編で唯一未読のこの作品を手に取った。
    漂着した女真の王族の娘を国に送り返す命(めい)を受けた平戸藩士庄助が、明から清へと変転する中国の歴史をその内側で体験する歴史巨編。

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    2016年09月14日
  • 歴史を紀行する

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    元は昭和40年代に連載されたエッセイをまとめたものだそうだが、これが長期連載となった「街道をゆく」の原型になったんだろうなぁと思う。

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    2016年09月08日
  • 新装版 アームストロング砲

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    司馬さんの主人公に肩入れする長編とは違い、短編ゆえに淡々とした文体。
    一見、清張さんの歴史短編と読み間違いほど。

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    2016年09月07日
  • 韃靼疾風録 (下)

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    平戸藩松浦家の軽輩・桂庄助は、領地内の島に漂着した女真人の娘・アビアを祖国まで送る命を受けます。
    遥か韃靼の地で、庄助らは、歴史の大転換に巻き込まれていきます。
    様々民族の文化や、気質の違いも興味深く描かれ、何といっても話のスケールが大きくて、わくわくします。
    こういう話を書ける司馬さんって、凄い方なのだなぁと改めて思わせる作品です。

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    2016年08月30日
  • 城塞(下)

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    ネタバレ

    圧倒的に徳川方が強かったのか...と思っていたら、実は冬の陣でも負けそうな場面があった。関ヶ原からの十数年経つと、戦を経験してきた年代が亡くなり、それより若い世代が戦を未経験で、徳川方も将となる人が不足していたようだ。

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    2016年08月16日