司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 「明治」という国家

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    何度目かの再読。維新から明治新政府=近代国家成立と、安易に捉えがちだが、西郷の西南戦争ひとつを取っても内戦とは言え新政府は死力を尽くした上の薄氷勝利。廃刀令や版籍奉還・廃藩置県で武士階級を取っ払い、富国強兵の名の下、「中央集権国家」の樹立を目指し、近代国家の象徴とも言うべき「大日本帝国憲法発布」まで、維新から僅か22年。260年間の鎖国から目覚めて以降、にわかに外国語を学び会得した付け焼刃のコミュニケーションで他国の政治・経済・憲法・法律を学び、憲法という国家運営の支柱を創出した。僕はこの一連の行為に日本人として強い誇りを持つ。ゆえに改革を謳う政治家とついつい比較してしまう。時代変われど改革の

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    2017年03月15日
  • ビジネスエリートの新論語

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    やっぱり司馬遼太郎さんはすごい。
    1つ1つの言葉に意味がちゃんと込められていて、そこから紡ぎ出される文章がなんて深いんだろう。
    60年前に書かれた本とは思えないほど、現代でも通用するところが多いし、歴史を感じることもできる。
    文章で生活して行ける人は、本当にすごいと改めて思わされた。

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    2017年03月14日
  • 世に棲む日日(三)

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    p.45 高杉の自己評価を受けて
    「ちょうど酒をまだ入れていない瓢箪のようで、尻の据わりもわるく、またしめくくりも無い。いうならば、江戸っ子がいういわゆるゴロツキ野郎なるものか」と、おもしろおかしく自分を嘲っているが、かといって自己嫌悪でもなく、虚無思想の徒でもなく、また絶望という気分に自己愛の甘美さを見出す男でもなかった。かれには元来、絶望という感覚がなかった。なかったのは、天成なのか、または現実を大肯定する儒教によってその精神を形成していたからか、それとも前途に絶望を感ずるのは知恵のないあほうがみずから掘るおとし穴だと思っていたのか、どうやら後者らしい。かれの当時、絶望という日本語がなかっ

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    2017年03月02日
  • 胡蝶の夢(三)

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    ネタバレ

    ポンペの帰国から、14代将軍、徳川家茂の死までの本巻。
    後半は幕末に活躍したビックネームか連ね、本筋ではないが動乱の行く末に無知な自分には興味を以って読み進めることができた。
    相変わらず膨大な資料をかき集めた内容、時に電話をかけての取材もされているようですね。あえて難を言えばフィクションとノンフィクションの境がわからないことかな。

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    2017年09月30日
  • 城塞(下)

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    ネタバレ

    大坂の冬の陣・夏の陣を、戦が始まるきっかけから大坂城落城まで描いた歴史小説。
    2016年大河ドラマ「真田丸」の予習として読んだ。
    主人公は小幡勘兵衛という牢人で、後に軍学者となる人物。彼は、戦の表舞台には立っていないが、徳川方の間諜として豊臣方に入り込んでいた人物であるため、両者を行き来しつつ狂言回しとして物語を進めていく。でも、途中で時々、全く登場しなくなり、誰が主人公だっけ?となることも。司馬小説ではよくあることだけど(いわゆる「余談だが現象」)。

    たまに勘兵衛が、恋人お夏のために豊臣方に肩入れして徳川を裏切りそうになり、その場面だけはグッとくるものがあるのだけど、最終的には打算と私利私

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    2017年02月16日
  • 城塞(中)

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    ネタバレ

    大坂の冬の陣・夏の陣を、戦が始まるきっかけから大坂城落城まで描いた歴史小説。
    2016年大河ドラマ「真田丸」の予習として読んだ。
    主人公は小幡勘兵衛という牢人で、後に軍学者となる人物。彼は、戦の表舞台には立っていないが、徳川方の間諜として豊臣方に入り込んでいた人物であるため、両者を行き来しつつ狂言回しとして物語を進めていく。でも、途中で時々、全く登場しなくなり、誰が主人公だっけ?となることも。司馬小説ではよくあることだけど(いわゆる「余談だが現象」)。

    たまに勘兵衛が、恋人お夏のために豊臣方に肩入れして徳川を裏切りそうになり、その場面だけはグッとくるものがあるのだけど、最終的には打算と私利私

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    2017年02月16日
  • 胡蝶の夢(二)

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    松本良順が師であるポンペと医学校を開校するところから画期的病院の開院までの第二巻。その描写の多くはおそらく作者の空想であるが、玄関の門前で転倒したとか、最早かなりの創作です。ただ、根拠のない空想ではなく、良順や伊之助などに関する史実を丹念に集めて作者なりの像を作り上げて丁寧に描いるようであり、とても説得力がある。良順と伊之助は作者にとても好かれている様子ですね。
    歴史物の宿命だが、読み物として作る上で仕方がないところだが事実と空想が分かるといいのにと考えてしまう。作品の後の少し長めのあと書きが読みたいと思う。

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    2017年02月07日
  • ビジネスエリートの新論語

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    司馬遼太郎が昭和30年に出したサラリーマンについてのエッセイ。当時は福田定一という本名名義だったとか。歴史上の名言を一言上げた後、サラリーマンに関する考察を述べる形式の前半が主。後半に自身が新聞記者になるまでの経緯を同僚・先輩に絡めての話を掲載。後に日本史を中心にした歴史小説の大家になった人だが、出てくる名言はむしろ西洋の名句か当時の近現代のそれらばかり。彼の教養がいかに凄いか驚かされる。またさらにサラリーマンに関する諸考察は2017年現在においても思い当たるものばかりで全く色褪せない。短い彼のサラリーマン生活は苦悩であり、そこから出てきたものだという。そう。サラリーマンは実力のそれより運か運

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    2017年02月18日
  • 城塞(下)

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    多少の着色はあろうが、家康の思慮深さと人身掌握術を見れば大坂夏の陣は当然のごとく東軍の勝利になるのだが。
    この翁が見ていたのは、その戦の先にあることだったのか…改めて恐ろしい御仁である。
    彼が経験してきた70年と言う歳月がここまでの策謀を張り巡らせる智謀を備えさせたというべきか…

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    2017年01月29日
  • ビジネスエリートの新論語

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    ネタバレ

    司馬遼太郎が文字通りサラリーマンの時、サラリーマンの立場で書いた作品。非常に示唆に富んでおり、感心させられる。思わず、その通りと、一人相づちを打ってしまう。

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    2017年01月22日
  • 胡蝶の夢(一)

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    相変わらずの濃い内容に圧倒されます。いつもながらに余談が多く、深みが増します。故に読むのにも時間がかかりますね。
    主人公、伊之助は相当な変わり者。作者が取り上げた伊之助はどのように立ち回るのか期待しながら読み進めたいです。勝海舟等、ビックネームがどう絡んでくるかも楽しみの一つですね。

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    2017年01月17日
  • 城塞(中)

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    大阪冬の陣がメインの中盤、真田幸村、後藤又兵衛を中心とする浪人たちと、大坂城内の譜代家臣たちとの関係と大坂城を仕切る女性たちの心理描写が面白い。家康はその状況を逐一情報を入手し、幕府を安定化せるために策を巡らす。
    大御所と言われるだけのことはあり、判断根拠が卓越している。
    幸村も家康もどれだけ情報を入手できるかが、勝敗のカギを握ることを知っているが明らかに、規模が異なる。ただただ面白い…

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    2017年01月13日
  • ビジネスエリートの新論語

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    司馬遼太郎が本名で公刊した名言随筆サラリーマンを再刊したもの。後年の大作家の覚悟などがうかがえて、興味深いものでした。

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    2017年01月12日
  • ビジネスエリートの新論語

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    昭和30年に司馬遼太郎が新聞記者をしていた時代の本。「サラリーマン」という職業について、今でもあてはまることが多い。女性の働き方の部分は時代が変わって今と状況が違っていると思うが、男の仕事については60年経った今でも通じることが多いと思う。後半になると、司馬遼太郎らしさが出てくる。歴史という中に見た普遍的なものを見る目など、面白く読める。

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    2017年01月06日
  • 新選組血風録 〈改版〉

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    かつての再読。15の異聞短編集。時間軸で進むのではないが、連作と言ってよい。解説は、角川文庫の解説より興味深い。連載と同年に「竜馬がゆく」「燃えよ剣」の連載が始まっていたというのは驚き。2017.1.1

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    2017年01月02日
  • 歴史と視点―私の雑記帖―

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    司馬遼太郎さんの、エッセイ集。
    電子書籍で読んだのですが、まず不満があって。それぞれの文章の初出がどこにも明記されていない。
    まあ、良いのですけど、やっぱり良くない。気持ち悪い。明記して欲しいなあ、と思います。

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    僕は司馬遼太郎さんは好きなので。
    エッセイや旅行記や対談本なども、基本、好きです。
    そんなにハズレがありません。
    その代わり、もう随分読んでいるので。新鮮味は特にありません。
    それでも時折、司馬遼太郎さんの文章というか、言葉が読みたくなります。

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    いろいろな文章が入っていますが、まあ、いちばん印象に残るのは、
    司馬さん自身が第二次大戦の末期に陸軍兵、それも戦車の下士官とし

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    2016年12月07日
  • 翔ぶが如く(十)

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    西南戦争の終結から、翌年の大久保利通さんの暗殺まで。
    大久保さんが殺された翌年に大久保さんの犬だった川路利良(警察にとってはエラい人)も病死していました。

    司馬さんの本は小説というよりも研究論文なので、とてもお勉強になりました。
    ちゃんと反対意見なども載せているから、それほど偏っているとも思わない。

    ただ、この本を読んで西郷隆盛さんって人がますますわからなくなったよ。
    確かに討幕のときは大きな仕事をしたんだろうけれど、その後は同郷の仲間ばかりを依怙贔屓して、目の前の自分や仲間に関わる問題にのみ異常にのめり込んで、全体を見ることができない人って感じ。

    なんだかんだで大久保さんを筆頭とする元

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    2021年08月28日
  • 尻啖え孫市(下) 新装版

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    木下藤吉郎に請われ織田勢に荷担した孫市だったが、「信長にだまされた」と飛び出し、なんと信長最大の敵・石山本願寺の侍大将を引き受ける。
    信長に「尻啖わせ」戦国を駆け抜けた快男児を活写する痛快長編。

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    2016年11月17日
  • 尻啖え孫市(上) 新装版

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    織田信長の岐阜城下に真っ赤な袖無羽織に二尺の大鉄扇、「日本一」と書いた旗を従者に持たせた偉丈夫がふらりと姿を現した。
    その名は雑賀孫市。
    鉄砲三千挺の威力を誇る紀州雑賀衆の若き頭目だった。

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    2016年11月17日
  • 翔ぶが如く(九)

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    ネタバレ

    物語は西南戦争のまっただ中。
    激戦の末に田原坂を失い、物資と人員を欠いた薩軍は、それらを潤沢に補給できる政府軍に押され始めました。

    この間、西郷隆盛さんは「神輿」であって、薩軍を指揮した様子は全くありません。
    西郷さんが指揮をしないでも、優秀な参謀らが何とかしているってならまだしも、基本的にノープランなうえに、全体を見渡せない人が上に立っている。
    これはやっぱり、兎狩りで森で転んで、頭を強打してからの西郷さんはおかしかった…って説が正しいのかな?
    みんなの命がかかっているのに。

    政府では、西郷さんが征韓論で下野した直後と西南戦争の際に大量の警察官を雇用したとは聞いていたけれど、当時の警察は

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    2023年03月12日