司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 人斬り以蔵

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    表題作の他、大村益次郎さんなど歴史上の人物を題材にした短編が合わせて8篇収められていました。

    特に人物の妙を感じたのが古田織部さんを扱った『割って、城を』でした。

    織部焼が好きってのもあるんだけど、そこらへんに転がっているたいしたことのない茶碗を織部さんが己の手に納めて「たいしたもの」と言うことで価値を造りだし、しかもわざと割って金でつなぎ自分の作品としちゃう傲慢さを若いお兄ちゃんが否定するシーンが印象的でした。

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    2019年05月30日
  • 街道をゆく 3

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    本書で紹介されている熊本、鹿児島の魅力と歴史は知らなかったものばかり。
    少し前に3年ほど九州で過ごしたのに、全く行く機会がなかったことが悔やまれます。

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    2019年05月11日
  • 街道をゆく 1

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    ネタバレ

    日本人はどこから来たのか。司馬さんがこの島に住む人々が辿ってきた生き様をたどる「街道」シリーズ。

    古代、中世、近世それぞれの時代のそれぞれの人の生き様が目に浮かぶよう。

    43巻を読んでから、1巻に戻って読んだ。
    須田画伯がご健在で嬉しい。

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    2019年05月11日
  • 人斬り以蔵

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    亡くなった祖父の部屋から頂いてきた。

    元々幕末の龍馬を取り囲む人たちが好きなので、以蔵の話を目当てに読み始めたら、あれっ以蔵が出てこない。大村益次郎?と、そこで初めて短編集ということに気づく。
    有名どころやそうでない人たちが幕末や戦国時代を生き抜いた短編集。
    司馬遼太郎の小説は、登場人物が実在するにしろしないにしろ、
    そこに生きていたんだと圧倒的に感じるところが面白い。

    一番刺さった話は美濃浪人。
    井上聞多は知っていたがこの人の生涯のことは全く知らなかった。
    井上聞多が幕末を生き、明治に活躍することができた理由の一つの話だが、井上聞多側ではなく命を救った側の話だから面白い。
    私たちが教科書

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    2019年05月10日
  • 花神(上)

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    ネタバレ

    明治維新に軍師と言える人がいたとしたら、この人なんだろうなぁ。日本の戦を工業的、近代的に変えた人だと思う。

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    2019年05月06日
  • 新装版 箱根の坂(下)

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    室町時代(応仁の乱)から戦国時代の幕開けまでを生き切った北条早雲について焦点を当てた小説です。時代の移り変わりにいち早く対応する姿は今読んでも参考になるなと思いました。

    上巻の感想にも書きましたが、応仁の乱後の京都・関東の流れを手軽に知りたいひとにお勧めできます。

    信長の野望等の戦国時代にフォーカスしたゲームで早雲の名前は後北条家の説明に多く出てきます。しかし、ゲーム内では既に死去していて謎の多い人物という印象でした。

    伊勢家の末流であった伊勢新九郎が歴史の舞台に駆け上がるまでとその背景がわかり、新しく感じ面白い作品でした。

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    2019年04月20日
  • 空海の風景 下巻 (改版)

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    予想よりずっと面白かった!
    他の司馬作品同様、空海より作者の方が目立ってる(?笑)のがユニークだけど、空海ほど遠い時代の人物を主人公に小説を書くならば、このやり方が1番良いのかもしれない。空想でしかわからないところは空想だと言い切っているところが司馬遼太郎らしい。
    民族社会性を超越した普遍的存在であるところに、空海の天才たるゆえんがあるということ、そのような普遍的存在は日本の歴史において他にいないこと、よくわかった。(私もそんな超越的普遍的存在になりたい。)
    描かれる長安の都がすてきすぎて、西安に行きたくなった。

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    2019年04月14日
  • 新装版 軍師二人

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    表題作を最後に配した短編8作品。どれも織豊時代、名のある大名に抱えられ、戦乱の世を生きた士が登場する。時に「雨おんな」などのように女性を主にした艶っぽい話があるが、何といっても有名無名の牢人が活躍する話が良かった。大大名とは言え軍立てする侍大将が必要であったが、その力のある牢人を巧く使いこなせる大名は少なかったようだ。「軍師二人」で、豊臣家が大坂夏の陣で滅亡するのは有能な牢人の進言を受け入れられなかった豊臣嫡流の狭量さが招いたことであった。司馬史観を割引いて考えても、そのように思えてならない。

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    2019年04月06日
  • 大盗禅師

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    鄭成功について読みたいと思っていたが、由井正雪と同時代とは言え結びつけるのは虚構と解説にある。初に「この小説は由井正雪が主人公」と言うが、真のヒーローは鄭成功。主人公・浦安仙八は流されているようでもあり、仙将軍と称えられるほど勇猛狡智でもある。彼でも蘇一官という女体かもしれない不思議なキャラに惑わされた。人物の大きさが魔術を為す。若書きであるだけ性戯の魔術性を信じてるような。「倭国人は義によって命を捨てて名を遺すことを知らない」と言われても国外戦争は懲り懲り。
    大名坊主・松平能登守は所領を返上して支配階級の規律に異様な警告

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    2019年04月01日
  • 胡蝶の夢(三)

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    ポンペは、ただ一人で長崎の医科大学7教科を教授した(彼の学生時代のノートを頼りに)比類がない。しかし主人公伊之助が彼の蔵書を勝手に読むのが不快で、ついに放逐した。その主人・松本良順もストレス解消の面もあったろうが遊女が好きで、葵の御紋服を与えるとは只事でない。しかし「落籍して妾とする」という便法をあらかじめ施しておいたことによって助かった(この時代らしい)。伊東玄朴は家定の死の直前に招致され「まる二日しか保たないでしょう」と断言し、的中したことで自身と蘭学を評価された。誰しも人格に多少の欠点はあるしかし

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    2019年03月21日
  • 新装版 箱根の坂(中)

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    未だ箱根にたどりつかず、舞台は駿府と丸子。
    義忠の子どもはまだ幼く、遠縁の今川新五郎範満が駿府城に居座って実質的に駿河の支配者となっている。
    彼の後見は関東公方の扇谷上杉家。

    今川の嫡子であり、伊勢家の血を引く竜王丸を守るため、早雲は駿河に行く…のだが、これが11年間も守備一辺倒なわけです。
    竜王丸の命が奪われないよう、丸子の館に住まわせ警護する。
    自分は江戸や鎌倉からの兵を駿河に入れないよう沼津の城に住み、関東各地の情報収集に余念がない。

    生まれの良さだけで土地を治めることができない世の中になりつつある。
    早雲はそれを見極め、急速に力をつけ始めた国人、地侍、そして農民を大切にするよう

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    2019年03月20日
  • 空海の風景 下巻 (改版)

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    唐からの帰国以後の空海を同時代の天台宗の開祖である最澄と対比しながら描いている。

    何しろ千数百年前の人物なので、資料も少ない。それを丁寧に調べてこうだったのではないか、という推量をしていく。大変な作業と思うが、司馬遼太郎氏だからこそ書けた作品と思う。

    現代でもその息吹を残す超国家的な1個の天才。高野山へ行ってみたくなった。

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    2019年03月20日
  • 関ヶ原(中)

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    小山評定までが中巻である。

    読み進めるほどに、読むのがだんだんと遅くなってきた。
    それは物語が退屈なのではなく、石田三成が魅力的に書かれているからである。
    関ヶ原の戦いの結果は皆が知るところであり、石田三成の敗北となる。

    読み進めるということは石田三成の敗北に近くなるということで、彼の敗北を見たくないけれど先が読みたい。そんな感じ。

    しかし石田三成のような小大名が日本の歴史を決める大戦を主導したということは驚くべきことであるように思える。

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    2019年03月18日
  • 殉死

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    久しぶりの司馬遼‼︎
    幕末から明治を生きた乃木希典。

    相変わらずのしつこいほどの余談と描写(フィクション含⁇)に人物像がどんどん浮かび上がり、あまり馴染みのない明治時代でも興味が止まらなかった。

    乃木希典。
    幕末前後の長州の奥の奥の信念を持ち続けた人物ならではの『劇的』(作者談)な人生、人物像に深く感じ入るところあり。

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    2019年03月17日
  • 新史 太閤記(上)

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    駿遠の者は、要害を軽視し戦が起こったら三河者を戦わせている。猿=のちの日吉丸は思った「それでは三河兵が戦慣れして強くなるばかりではないか」また「当地は平和すぎる、志は伸べられぬ」。戦国武将のうちでも秀吉は最も下層から、のし上がった。僥倖もあれ出逢ったキャラを利用し、しかも利用されたと恨みを残さない利用法が成功の鍵か。多彩なキャラが登場。表情豊かは主人公の絶対条件、出世するものは凡庸な朋輩に憎まれ嫉まれる。著者は人蘯しという特性を付け加えた。美醜とは何だろう「この男は顔立ちに負け目を感じたことは一度もない」

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    2019年03月15日
  • 国盗り物語(三)

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    齋藤道三の『国盗り』に対して、織田信長は『国造り』と名付けたいような物語。p208「義戦じゃと」(道三は目を剥いた)「いくさは利害でやるものだ、必ず勝つという見込みがなければ起こしてはならぬ」この卷の結末=クライマックスでは、道三の居城であった稲葉山城を信長がついに木下藤吉郎などを使って攻略する。十八歳で父・信秀の葬儀の喪主で奇矯な振る舞いをしたのは山岡荘八『織田信長』にも同様だから唯一の資料に依っているのだろう。絵画的、映画的描写が快いが、司馬遼先生の教養に追いつかない当方は別物を思い浮かべてないか心配

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    2019年03月15日
  • 空海の風景 上巻 (改版)

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    久しぶりに司馬作品を読んでみたが、これは氏の作品の中でも少しとっつきにくい方かもしれない。真言密教の祖空海の生涯を少ない資料を基に推測を交えて描いている。

    上巻は讃岐に生を受けてから唐に渡り、密教を学ぶところまでである。私は仏教や密教の知識は全くといっていいほど無いが、現存している寺社仏閣において空海の伝えた影響がまだ色濃く残っていることがわかる。

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    2019年03月10日
  • 司馬遼太郎短篇全集 第一巻

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    同人誌時代の作品を「無人島から瓶に入れた文書を海に投げるようなものだった」と(のちに和田宏に)語ったが、第2作『「国宝」学者死す』の主人公は貧乏だが国際的な魚類学者。戦争突入で、それまで漁師から只で提供されていた「売り物にならない魚」も入手困難となり研究に支障…戦後、漁礁調査で遭難し「貴重な学術資料」を瓶に詰めて誰かに拾われないかと送りだそうとする。作品にかける司馬の思いは同じか。出世作『ペルシャの幻術師』は専攻知識を活かし、小説ならではの人命の大浪費。『兜率天の巡礼』宗教新聞記者経験を活かす。結末大焚焼

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    2019年03月07日
  • 司馬遼太郎短篇全集 第二巻

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    昭和33年は『梟の城』で直木賞を受賞、翌年は、みどり夫人と再婚し、社を辞しプロ作家となるのを決意した年。プロ作家は(生計上からも人気維持からも)短編小説(つまりオチのある話)を供給しなければならない。戦後最大のベストセラー『竜馬がゆく』は幕末の佐幕・倒幕の記述にビジネス感覚をもちこんで斬新だったが、本巻の作品群も舞台は戦国時代だったり商業地大阪だったりビジネス(金銭・貸し借り・損得にこだわる)感覚をテーマとすることで共通する。忍者を人材派遣ビジネスと捉えた『下請忍者』は『カムイ下伝』先駆/古事記神話題材も

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    2019年03月07日
  • 司馬遼太郎短篇全集 第三巻

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    本格的に作家デビューした翌年の昭和35年、長編『上方武士道』『風の武士』(ともに週刊誌)、『戦雲の夢』(月刊誌)、中編現代もの推理小説『豚と薔薇』(週刊誌6回連載)を発表しつつ、この12編を書いた(ほか第1巻の同人誌時代の作品も商業誌披露)/倒幕と恋愛感情を関連させる『丹波屋の嬢さん』『みょうが斎の武術』『壬生狂言の夜』『黒格子の嫁』。『外法仏』『牛黄加持』は仏教知識(密教関連)を活かした。明治維新(あるいは類似して関ヶ原など)を転機に一変した道義=ライフスタイルというテーマが多いが、やがて昭和維新を追求

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    2019年03月07日