司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 殉死

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    ネタバレ

    作者が乃木希典を題材にここまでの長編を書くからには興味をそそる要素があったからであって、それはやはり明治天皇の後追い自死があったからであり、しかも妻も含めてとなるとその人間性を詳しく探求したくなったのでしょう。
    第一部は「坂の上の雲」でも詳細に描かれた旅順攻略を中心とした、司令官として害をなすほどの極まる無能さで、作者も憤りを隠さず描いており、読み手にもその悪手に憤りを感じる。犠牲になった当時の兵員達のことを思うと悲痛です。
    第二部は割腹自殺にいたる動機を作者の想像を交えて描かれる。昭和初期の人物、山鹿素行を崇拝し、その図書「中朝事実」を将来の昭和天皇に強要するほどの熱の入れよう、それはやはり

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    2020年02月24日
  • この国のかたち(五)

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    この巻では、神道について、もしくはそのほか日本における宗教について丁寧に描かれている。
    自分の身の周りにある、お寺と神社の違いなど、何となく日常で疑問に思っていたことや、生活習慣の中に溶けていた様々なことがらを、朧げながら時系列に沿って体系的に理解することができた。

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    2020年02月18日
  • 歴史を紀行する

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    この本が書かれた(連載された)のが昭和43年なので「街道をゆく」が始まる3年前にあたるようです。「私自身は小説さえ書いていればいいという簡単明瞭な暮らしを愛する者」だと司馬さんは後書きに記しているように、この頃はこうした紀行文は滅多に書かなかったようです。これがきっかけとなって「街道をゆく」シリーズに繋がったのかな…と感じました。いわば「街道をゆく」の第0巻の趣がありました。

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    2020年02月14日
  • 坂の上の雲(六)

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    司馬さんの名著「坂の上の雲」もいよいよ後半へ。戦況が段々と複雑になってくるなか、黒溝台会戦でのロシア軍の攻勢、それを防ぐ秋山好古の豪胆な態度。いよいよバルチック艦隊との対峙が...。

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    2020年02月13日
  • 竜馬がゆく(二)

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    【感想】
    まだまだ出だしの第2巻ながら、個人的には少しばかり箸休めの期間かのように感じました。
    というのも、この本では黒船到来から開国⇒攘夷運動などにつながる推移ではあるものの、その時代背景の描写に終始しており、主人公である竜馬の動きが特に見られないからでしょう。
    とはいえ、こういった時代背景や世論の推移は、今後の幕末物語を読むにあたり決して飛ばすことの出来ない大切な項目のため、初見の方はしっかり読んでおいた方が良いと思います。

    個人的には、暗殺時に共に最期を迎えた中岡慎太郎とのやり取りと、共に脱藩して後に海援隊の一因ともなった沢村惣之丞の人物描写だけでオナカいっぱいです。

    あと、余談です

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    2020年02月12日
  • 翔ぶが如く(一)

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    ネタバレ

    p.194-195
    かれは一方では自分のつくった明治政府を愛さざるをえない立場にあり、一方では没落士族への際限ない同情に身をもだえさせなければならない。矛盾であった。

    矛盾を抱えたまま、西郷隆盛はどのような道を歩んで行くのか…。残り9巻。ゆっくり楽しんでいこうと思います。

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    2020年02月06日
  • この国のかたち(三)

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    毎回、多岐にわたる一つのテーマについて詳しく出自などを掘り下げていかれるのだが、これが大変勉強になり、かつ面白い。個人的には、甲冑についての記述が、初めて知ることだったため余計に入り込んで読めた。

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    2020年01月31日
  • 新選組血風録 新装版

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    燃えよ剣を読んですぐに
    手に取った一冊。

    いろんな角度から新撰組を見ることができて
    とても面白かった。
    時系列通りではないので、各話があちらこちらで少しずつ交わり、『あれ、あのときの!』と行きつ戻りつ読み進めました。
    土方サイドからの燃えよ剣もよかったけれど、
    こちらを読んで、あの時代を生きた人々が少しだけ身近に感じられました。

    2020.01.28

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    2020年01月28日
  • 項羽と劉邦(中)

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    ようやく劉邦を中心に話が回りだし、小説としては盛り上がってきた…が、劉邦は良いとこあったか?と思うほどの活躍(がないぶり)。ちょこちょこ「寛容さだけが取り柄」みたいな話が出てくるのが面白い。ここからどうやって項羽を倒して漢の皇帝となるのか、引き続き下巻が楽しみ。

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    2020年01月21日
  • 菜の花の沖(六)

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    ネタバレ

    ついに読み終えてしまいました。
    故郷に足を踏み入れたいがために言語習得に
    熱を入れ、相手側からくる不条理には
    敢然と立ち向かった嘉兵衛。

    それはひとえに幼い時の経験が
    ものを言ったのだと思いますね。
    そうでなければここまで「庶民」としては活躍しませんもの。

    そのひたむきな心は当初は嘉兵衛たちに好意を
    持っていなかったものさえも変えてしまいました。
    (その後のほかの日本人の漂流時は
    その人は厚遇で彼らを救います)

    そして、すべてが終わった後の
    言葉のやり取り…
    間とかもうね、グッとくるものがありましたよ。

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    2020年01月19日
  • 新装版 播磨灘物語(3)

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    膨張していく織田信長勢力圏。
    いよいよクライマックスへ。
    どんな場面でも涼やかな黒田官兵衛がカッコイイ。

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    2020年01月15日
  • この国のかたち(二)

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    国に入ってはまずその法を聞く。

    あとがきに司馬遼太郎さんも書いておられるが、古くからの日本の習俗、慣習あるいは行動の基本的な型をその大小なく書き連ねてあり、読むごとに日本の輪郭が浮かび上がってくるように思う。

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    2020年01月15日
  • 功名が辻(一)

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    10年ほど前に大河ドラマで放送されていたのを始めて知った。やはりNHKは豪華キャストで、顔ぶれをしみじみ見てしまった。
    父が高知の生まれで、曽祖父が盆暮れの挨拶に侍屋敷(武家屋敷)に行っていたと聞かされていたそうで、祖父は庭になっていた「うちむらさき」(文旦)を貰って帰ってくるのが楽しみだったという話をきいた。上士に仕えた下級武士だったようで、私も高知で生まれた。祖父が絵本を読んでくれたことを覚えているが、私が物心ついた頃になくなったそうだ。母の話では刀剣類があったが戦時中に武器になったといっていた。美しい糸かがりの鞠や人形があった。父が遅く生まれた一人っ子で高知にいる父方の親戚は少なくなった

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    2020年01月13日
  • 項羽と劉邦(上)

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    漫画『キングダム』のその後の話(もちろん、どちらもそういう想定で書かれたものではないですが)。

    始皇帝=嬴政の晩年の話から始まり、嬴政が!蒙恬が!あんなことになっちゃうなんて!というのはショックでした。。

    良くも悪くも色々なリーダーが出てきてとても勉強になります。中巻以降も楽しみです。

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    2020年01月10日
  • ロシアについて 北方の原形

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    10日ほど前、インフルエンザに罹患。もともと、4歳の娘がインフルでした。一方こっちは風邪が酷かった。保育所に復帰する為の治癒証明を貰いに行った小児科で、「一応自分も」と、検査したところ、陽性。(ちなみにその小児科は、人に薦められて行きつけにしているのですが、大変に優秀で親切です。堪らず大人も行きつけにしてしまっているくらい。東横線横浜よりゾーンの方は是非お薦め)
     早期発見のおかげか、あまり高熱が出ず、暢気な療養でした。インフル休暇のお陰で、「しばらくは仕事が慌ただしくないのでゆっくり読書もできるな」、と色々考え「カラマーゾフの兄弟」の再読を年末年始の楽しみにすることに。長らく買ったまま手を触

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    2020年01月07日
  • 新装版 播磨灘物語(4)

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    備中高松城の講和までの流れについて,実はよく理解してなかったことも判明。安国寺恵瓊の立ち位置についての解釈も興味深かった。
    残りのページ数でどこをどうやるのか心配してたら,こう終わるのか。あくまで播磨灘物語なんだな。

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    2020年01月06日
  • 新装版 播磨灘物語(3)

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    荒木村重の逃亡についての描写は,なんとなくだが司馬さんの理解が正しいように思う。司馬さんも描ききれてないようにも読めたが。

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    2020年01月06日
  • 新装版 播磨灘物語(2)

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    播磨の状況,というのが実はよく分かってなかったことを認識した。
    山陽道がどこをどう通ってて,どこが宿場町だったのかすら理解してない自分がいる。

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    2020年01月06日
  • 歴史と視点―私の雑記帖―

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    前半は筆者が戦車部隊にいた頃の回想、後半は調べた歴史に関する内容など。歴史に触れた編の時代や場所はまちまちで、雑記帳とあるとおり本になるまでには至らなかったものと思われる。下調べの結果をまとめているだけあり、それぞれ短編ながら面白い。
    何となく文章からは好きだからやってるような印象を受けた。

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    2020年01月05日
  • 菜の花の沖(五)

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    ネタバレ

    一応言っておきましょう。
    本編はないといっても過言ではありません。
    もう一度言いましょう、本編はほぼほぼありません。

    その代わり、ロシアに関してのこれでもかという解説が
    でてきます。
    要するに、北の地は漁業資源としても
    稀有だったわけでして、そこで二国間が考えの相違により
    拿捕合戦になったのは必然だったのだと思います。

    しかしながら利潤ばかり追求すると本当に
    ロクなことがないものです。
    同乗者に一人いたみたいですよ。
    ただし…途中で亡くなったようですが。

    そのあとの拿捕事件に関しても
    なんか名前だけは聞いたことがありますね。
    なんか考えさせられるものがありますね。
    言語が違う、文化が違う

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    2020年01月04日