司馬遼太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
今まで歴史小説というものを難しそうという理由でずっと避けてきた。
司馬遼太郎という名前は勿論知っていたが、読んだのはこれが初。
(この本はたまたま頂いたので読み始めた)
恐る恐る読み始めてみると、やはり最初はわからない用語が多く出てきて世界観に没入するまで時間がかかった。
ただ、全体の1/3を過ぎる頃にはもう夢中。
主人公の才蔵が男が1度は憧れるような男。才蔵を取り囲む女性キャラクター達もとても個性があっていい。
こういう作品は敷居がものすごく高いものと思ってたのだが、娯楽作品としてとても読みやすい。
久しぶりに時間を忘れてい夢中になってしまった。
早く下巻も読みたい。
物語の感想は下巻を読み終わった後に書こうと思う。 -
Posted by ブクログ
ウクライナ情勢に関連して増刷され平積みになっている司馬遼太郎の作品。坂の上の雲、菜の花の沖でロシアについて書いた司馬遼太郎がその時に触れたロシアの一側面をまとめている。
司馬遼太郎といえばモンゴルというイメージが私にはあるのだけれど、そのモンゴルという大地、草原地帯の遊牧民との関係性からロシアの国家観を描いている。
クリミアから中央アジア、シベリアへと続く草原地帯における遊牧民から圧迫を受け続け、次第に克服し内部に取り込んでいく過程が、ロシアの非ヨーロッパ的なアイデンティティとして通奏していて、ロシアのユーラシア主義はここから続いているということがわかる。ロシアのシベリアへの進出はアメリカにおける西部開拓と似ているところがあって原住民を野蛮に蹴散らしていくようなところもあったという。しかしながら、ロシアの遊牧民への扱いもだいぶ酷いのだけれど、中国はさらに酷いのも驚く。本来なら距離的に近い中国がこの草原の支配を確立していてもおかしくないのだけれど、清朝が漢族の国家でなかったゆえに、漢族の優位性を押し出す政策を強く押し進めた結果、シベリア・モンゴルの取り込みは失敗してロシアの大地となった。
日本はそのロシア人がシベリアまで進出してきた毛皮業者が食料を求めてやってきたころからの接点が生まれていて、鎖国政策ゆえにけんもほろろに断っている。ただ千島列島あたりに漂流した日本人がロシア人に匿われ、サンクトペトロブルクまでつれていかれて皇帝に会ってもいたりする。それほど当時のロシアは日本と交易がしたかったということのようだ。
それにしてもロシアはモスクワ、サンクトペトロブルクというヨーロッパ的な顔を西側社会にはみせているけれど、実際にはシベリアまで東側に大きくウイングを広げているのであって、その内実はシベリア進出、遊牧民との戦いの感性が強く残っている国家なのだとも思う。その意味でロシア人の感覚を我々(特に日本人)の感覚で安易に測ってはいけないのであって、中国だけでも厄介なのに、もう一つ厄介な国が隣国にいることを日本人は忘れてはいけないとも思った(ただ気軽に煽ることは避けた方がいいとも)。
その点、朝鮮半島・韓国とは上手くやっておいた方がいいとは思うのだけど、亀裂は深く悩ましい。 -
Posted by ブクログ
下巻、高松城の水攻めから、天下統一のために家康を懐柔させるところで幕は閉じる。個人的には九州征伐、北条征伐を行うところまでは進めて行って欲しかったところではある。
しかしその後の朝鮮出兵ともなると、権力に魅入ら、闇を纏い、最後には枯れ衰える秀吉を描くことに、著者は抵抗があったのかも知れず、話の盛り上がりに欠けるところが見えていたのかもしれない。
信長に見出されたことで開花した自身の能力を最大限に発揮して、他の者との違う視点と工夫で戦を展開していく姿に読者は引きずり込まれ、さらに後半ともなると、他者に対する気配り以上の演者として(それは信長に仕えたから養えたものなのかもしれないが)振る舞う姿に、やはりどこか憎めなさが認めら、その点で話の潮時を押さえていたのかも知れない。
著者は秀吉自身に「おれの天下も、あの狂言できまったわさ」と言わしめ、秀吉の人生そのものを狂言として喩えさせている。
人生において、つまらぬプライドや意地により、自身だけでなく、多くの人に迷惑をかけてしまうことが多々あるだけに、相手の予想を上回る立ち居振る舞いにより、物事を円滑に進めていければなあとしみじみと思わされてしまう。
誰しも頭で分かっていても、そういう事が出来る人物は稀有であり、逆に憐れを通り越して凄味が出てくるのであろう。 -
Posted by ブクログ
主人公は信長というよりも光秀なのではないかと思われる。また、主人公ではないが、細川藤孝は影の主役に位置付けられる。
ただ、信長にしろ光秀にしろ、斎藤道三の弟子であり後継者として位置付けられている。その意味で、この物語はやはり道三よる国盗りについての話だといえる。すなわち、道三は美濃という国を盗ったがそこまでであり天下は盗れず、それを受け継いだ信長は多くの国を盗ったが天下を盗る寸前で道三のもう1人の弟子である光秀に討たれ、光秀が一時的にではあるが天下を盗った。その意味で、この物語は信長と光秀に交代しつつ、道三による国盗りという点では一貫していると言えるだろう。