司馬遼太郎のレビュー一覧
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生涯に渡り狂言を華麗に演じた秀吉。自分自身をも騙し切って相手を喜ばせることが人に取り入る時のコツなのだなと学ばせてくれる。とはいえ並大抵の人間では出来ないこと。そのため底抜けに明るく演じている時でさえ背筋が凍るような恐ろしさを感じたり感じなかったり。
司馬先生の描く秀吉は一貫して好感度に溢れている。おそらくこれを読んで秀吉を嫌いになる人はいないだろう。
くるくると七変化の如く感情というエネルギーを爆発させうまく自己表現している。そして見ている者の心を摘む。出世する人は昔も今も変わらないと思わせられる。
『夢のまた夢』で終わる辞世の句は、農民の身分から知略と愛嬌で天下取りまでのし上がった、 -
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司馬遼太郎 「 街道をゆく モンゴル紀行 」新潟から 旧ソ連のハバロフスク、アムール川、イルクーツクを経て、モンゴルのウランバートル、ゴビ草原を巡る紀行
生えっぱなしの草により生きるモンゴルの遊牧者と 草地を田畑に変えて生きる中国の農耕者の生き方の違いが、中国文明を受け入れないモンゴルと 異民族を野蛮と蔑む中国の長年の争いになっていることが読みとれる
モンゴルは中国を嫌い、長年にわたる中国との関係を断つため、旧ソ連との関係を深め社会主義国化したが、旧ソ連は モンゴルの世界的英雄チンギスハンを侵略者として憎み、モンゴルではチンギスハンはタブーとされているという複雑な関係
草の匂いにモ -
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ネタバレ『梟の城』司馬遼太郎(新潮文庫)
忍者といえば現代ではショッピングモールで手裏剣教室をやっていたり、城跡でパフォーマンスをしていたりといった存在だけど、実際の忍者はどんなはたらきをしていたのだろうか・・・。
忍の道にいる人の名前が知れ渡ってしまっては忍べないから、歴史の表舞台に出てくることはないんだけど。
本作は忍者小説でありながら、ひじょうに「人間臭い」忍者の物語だ。
忍の道を極めようとする葛籠重蔵と、忍の道を捨てて士官する風間五平、くノ一の小萩と木さるを中心に話が展開する。
冷酷非情が常であるはずの忍者が相手を殺すことに躊躇したり、色恋沙汰に陥ったりする。
信長に伊賀の里を滅ぼされた恨み