司馬遼太郎のレビュー一覧
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いよいよ大詰め。
自分が知る日本になる礎ができる直前。
多くの人の命と思いをかけて。
心を打たれながら本に入り込んでいたら、
日課のPodcastでちょうど紀州藩と海援隊の話があった。
本は竜馬寄りだけど、Podcastは歴史を今の視点で見て語られているから、
より竜馬側は海賊的な悪どいやり方だと語られていた。
情はない。
そして、そもそも実は海援隊も竜馬も航海技術はあまりなかったとのこと。中途半端だったとも。
なるほど。
本に書かれたことが正しい話だと思い込み過ぎていた。
他の角度から見ることも大切。
人が変われば、時代が変われば、見方が違う。
日頃の仕事や考え方にも取り入れなければと -
Posted by ブクログ
ネタバレ昭和34年という高度成長期に差し掛かる頃に書かれた司馬遼太郎の直木賞受賞作。
大衆文化が拡大した時代に提供されたエンタメにも関わらず、移ろいゆく知識人も惹きつけただろう文学的香りのする作品。
本小説の世界は、信長から秀吉の時代の忍者の世界。梟はむろん忍者を指す。
葛籠重蔵と風間五平(石川五右衛門)という伊賀忍者二人に木さると小萩というくノ一の男女が織りなす忍者の世界、独特の人間関係のスパイラルを描く。
忍者の美学に殉じる重蔵が妙に魅力的に映る。伊賀を抜け、武士を志向した五平がよい対比になっている。と同時に、下忍の黒阿弥や敵の甲賀忍者洞玄など魅力的な脇役がよいバランスで描かれる。そしてそこかし -
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主人公である十四代沈寿官氏は、秀吉の朝鮮出兵で全羅道南原に攻め込んだ島津兵が撤退する際に、一緒に薩摩まで連れてこられた一族の末裔。
島津家は移民たちが定住した苗代川を藩立工場にし、薩摩焼の希少性を保つために、白薩摩を島津家御用以外では焼くことを禁じ、黒薩摩も御前黒は一般に流通することを禁じた。御前黒は、黄金の梨地が沈んだような玄妙な黒もので一子相伝の口伝とされていた。十四代沈寿官氏が御前黒の釉薬を探す話に触れられているが、山奥の人を訪ねて何度も足を運び、老齢のその人を背負って山へ登り貴重なその土を掘り当てるという、金脈を掘り当てるようなロマン溢れるエピソードだった。