司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 関ヶ原(下)

    Posted by ブクログ

    西軍は負けてしまったが、戦の内容としては、かなり良いところまで行ったんだなと思った。大谷吉継の最期にグッときた。

    家康は人がほしいものを与え、「利」や飴と鞭をうまく利用する。家康の方がすべて上手で、西軍が勝ったところで乱世は終わらなかったかもしれない。

    それでも、この戦の「義」は三成にあったと思うし、死ぬ最期の瞬間まで、その姿勢を貫き通す姿がとても尊かった。

    0
    2023年11月16日
  • 翔ぶが如く(十)

    Posted by ブクログ

    征韓論から西南戦争までを書いたもの。当初「時代小説」だったものが著者の興味が膨らみ方向転換したことで、最終的には「歴史伝」になった不思議な書。
    歴史は、歴史学のように資料に残る事実のみで「科学的風」に分析、解釈することが正解とされる。しかしこの著者は、資料を「詩的」と評される歴史人物への共感と、自らが生きる現代社会への経路の想像によって、歴史を紡ぐ。これは小説というジャンルでは許される技法であるが、歴史書としては「違法行為」とされる。しかし本書を読み感じたのは、「歴史の事実など、本当にとらえられるのか」「人間にとって『歴史』とは何か」である。この大長編でありながら夢中で読める本書は、現在「司馬史観」と揶揄されるこの作風の魅力と、今を生きる我々にとって歴史とは何なのかを根本的に問うてくる。

    古来、一万人の大軍で、経済のことをほとんど考えなかった軍隊は史上西郷軍だけである。これは革命軍というより壮士気分の集合体か、単に暴動的な一揆勢に過ぎない。金欠した西郷軍は「西郷札(軍票)」をつくったり、南九州の公人を拷問したり、殺害して公金を奪った。そのなか、桐野は楼閣に通いつめ三人もの遊女を落籍させていた(西郷札で払った)47

    『西郷隆盛ゃ イワシかジャコか タイに追われて逃げてゆく』西南戦争中、政府軍の警察隊と鎮台兵で流行った戯れ唄。タイは「鯛/隊」。この当時使われ始めた「隊」という言葉は「庶民/百姓の兵」という意味だった。これの最初は「奇兵隊」。武士の兵は「組」だった。警察隊と鎮台兵は百姓など平民出身者が多かった。101

    和田越の決戦で初めて西郷は前戦にたった。そこで政府軍の戦いを見て「あの百姓町人の兵隊の強さを見よ」「これで、外国の軍隊が攻めて来ても大丈夫」と言った132

    宮崎八郎亡き後を継いだ協同隊の崎村常雄主幹は、和田越で西郷の解散命令が出た時、隊で会議を開いた。切腹などの案が出た中で、崎村は「投降して捕虜になり、裁判を受ける」と決裁した。切腹などは文明の野蛮を象徴しているし、民権を旨にする我が隊の理論に反する。文明・民権を考えれば潔く捕虜になり、その後堂々と裁判で自分たちの立場を主張するべきである。とした。これはこの時期の日本では注目すべき動態と言える。143

    突囲するため深夜に登山を始めた西郷軍。西郷も四つん這いになり岩を登った。その時西郷は「夜這いみないだな」と一言言って、敗残兵たちは多いに和んだ157

    薩摩帰還の山中行軍での西郷の出で立ち。竹の籠に乗り、浴衣を着、脇差だけを帯び、『言志録』一冊。そして竹筒に焼塩を入れていた。焼塩は陣中で牛を屠って食べる時のため170

    桐野利秋。彼は光り物が好きで刀などを金銀こしらえして、また香水も使っていた。かれは痛快なほど無内容な男だっただけに、外観を飾ることに、子供か未開人のように関心があった。西郷は村田新八から送られた海外制の豪華な金時計を持っていて、これを落とした。桐野はこれを異常に欲しがった。西郷は逃走中落として「拾ったものにやる」といった。それを拾った兵士がいたので、桐野はこれを300円(現在の価値で700万)で買った。この期に及んでこんなことをしている桐野には気味悪さをも覚える173

    桐野は城山に入った時も、野戦病院を遅い、対処していた政府側役人が残した礼服とシルクハットを盗み、身につけた208

    実は西郷は切腹に否定的であった。薩摩武士は戦死こそ崇高と考えていた229

    この10巻になる書ては女がほとんど出てこない。芦名千絵が前半出てくるが、いつの間にかドロップアウトした。これは著書が大衆小説⇒歴史小説⇒歴史そのものを描く、と連載中、興味が移っていき、「維新前後の歴史では女子供が端役」であった事実から捨てられたのではないか367(解説)

    上野西郷像。西南戦争を起こして征伐された西郷が、それほど時間を置かず東京の中心地に銅像にされ、その除幕式には政府高官も出席した。このことに在日中の外国人たちは驚愕した370(解説)

    0
    2023年11月18日
  • 国盗り物語(二)

    Posted by ブクログ

    前編で弾けまくった主役の庄九郎こと斎藤道三。その魅力的なキャラにガッチリとハートを鷲づかみにされた私は即、後編も読み切った。
    戦に初めて鉄砲を用いたのはなんと庄九郎からではないか。長篠の戦いからと思ってたけど。
    その信長の父信秀もマムシの道三に劣らずインパクトのあるキャラ。その2人の戦での駆け引きが面白くてぐいぐい引き込まれる。さあ次は成長していく信長の物語が始まります。

    0
    2023年11月08日
  • 城塞(下)

    Posted by ブクログ

     大阪の夏の陣での攻防が描かれる。攻める側と守る側のそれぞれのドラマが繰り広げられる。登場人物は多いがそんなに混乱することもなく読み進めることができた。

    0
    2023年11月07日
  • 対談 中国を考える

    Posted by ブクログ

    陳舜臣さんの言う処の 談天半天 であります。学生時代からの友人 司馬遼太郎と語る、中国のあれやこれや、1978年頃の対談ですが、色々な気づきを与えてくれる対談です。曰く、中国の方々は、ほとんど日本の歴史を知らない、魏志倭人伝ぐらいか。おそらく明治維新以降の歴史を少し知っている程度では、という指摘もあり、なんとも味わい深いものがあります。★四つです。

    0
    2023年11月04日
  • 功名が辻(四)

    Posted by ブクログ

    とても興味深く読んだ。
    山内一豊が土佐の地を家康から拝領した理由、高知という名付けの意味、高知に入ってからの一豊と千代のすれ違い。
    幕末、薩摩、長州と並んで勤王の志士をたくさん生んだ土佐だか、その背景は前者の二つとは違うような気がした。司馬氏の見解を聞いてみたいと思った。

    0
    2023年10月21日
  • 新史 太閤記(上)

    Posted by ブクログ

    豊臣秀吉の逸話と言えば色々あるが、それを凝縮して描かれている。国盗り物語などとを読むと、順番はどちらでもよいが、知識や内容が繋がり初めて余計に面白い。

    農民の出など色々とあるが、このように分かりやすく、読みやすい物語となると歴史がより一層面白く感じるのではないか。

    0
    2023年10月20日
  • 翔ぶが如く(八)

    Posted by ブクログ

    西南戦争が遂に始まったが、作戦といったものも特に無く、その内実は実にお粗末であったという事は意外だった。薩摩士族は、当時最強の武士、まさにラストサムライ達、というイメージがあったので本当に意外だ。
    佐賀の乱など、その前の諸々の内乱こそ早々に新政府軍に鎮圧されたが、今回は西郷さんを中心に一枚板で政府軍と死闘を繰り広げる…という展開にはならないのだ。
    戦場には煮え切らない何かがあり、西郷さんのやる気の無さが見え、両者銃器の差があり、両者不慣れがあり、官軍に対する農民の不満もありと…複雑な状況。士族の反乱、と一言で言えない部分が非常に細かく描かれている。
    余談として。詳しくは知らないが乃木希典が旗を失くす事に関してかなり細かく調べてあり、なんだろうかと思っていたら、夏目漱石のこころに関する事件なんだと。

    0
    2023年10月20日
  • 街道をゆく 1

    Posted by ブクログ

    231019048

    「街道をゆく」始まりの書。古代の人々の営みと変わりゆく現代。江戸、幕末などさまざまな時という縦軸と場所という横軸とを組み合わせていく。

    0
    2023年10月19日
  • 世に棲む日日(一)

    Posted by ブクログ

    ▼はじめに読んだのは恐らく中高生の頃。その後の30年間くらいの間に少なくとも1度は再読しているはず。ただ、確実にこの10年は読んでいなかったので、軽い気持ちで再読。


    ▼やはり、面白い。幕末の、長州藩の、吉田松陰と高杉晋作が主な題材で、第1巻は全部、吉田松陰。ものすごく頭が良くて真面目で憂国の志士。だが同時に底抜けに明るくて礼儀正しくて、あんぽんたんのように人をすぐに信じて騙されて、歩くコメディのようにやることなすこと詰めが甘く不運でことごとく失敗する世間知らずのお坊っちゃんでもある。


    ▼司馬さんは証言や手紙から、その「明るく礼儀正しく騙されやすく不器用」というところに愛を感じたんだろうなあ、という奇妙な青春物語になっています。吉田松陰は、一部戦前皇国史観的な考え方の中では、「聖人」だったようで、その名残か、この小説は初出当時一部の人から「松蔭を冒涜している」と怒られ、司馬さんには殺害予告まで来たそう。とんでもない話ですね。

    0
    2023年10月15日
  • 新装版 戦雲の夢

    Posted by ブクログ

    男の天とは自分のもって生まれた才能を天に向かって賭けること。

    さて、そんな気概が自分にあるのやら?

    ただ、ないなら松の枝に縋りつくべきではないのだろう。

    0
    2023年10月15日
  • 菜の花の沖(一)

    Posted by ブクログ

    大阪と江戸の関係
    農村部の閉鎖性
    江戸時代の商品経済の成立ち
    樽廻船と檜垣廻船
    武家と商人の関係
    等
    江戸の仕組みを知る機会となった。

    0
    2023年10月07日
  • 功名が辻(三)

    Posted by ブクログ

    秀吉の死と家康の蜂起。歴史の転換点に山内一豊の妻千代の機転。特に石田方の書状を未開封のまま家康に渡すようにする才覚は秀逸と感じた。
    最後の一文「事実、山内対馬守一豊といえば、大物でないにしてもすでに小物ではない」は司馬節が効いていてグッときた。
    女性を主人公にした大河ドラマも多いが、北政所を主人公にするのも面白いのではと思った。

    0
    2023年10月02日
  • 坂の上の雲(七)

    Posted by ブクログ

    筆者のバイアスはあるにせよロシアという国の素情を理解できた気がする。あくまでこの小説から読み取るロシアは掠奪の歴史であり、小村寿太郎がはっきりと「ロシアの建国精神は土地掠奪である」と言い切っているのもなかなかの衝撃だった。
    ただしあくまで小説であり、別の書物からもロシアの歴史や日露戦争を公平な目で学んでみたい。

    0
    2023年09月27日
  • 関ヶ原(下)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    関ケ原の戦い。その結末を知っていても、細かいことは知らずにいた。実は戦をする前に勝敗は決していたともいえる。  
     幼いころからテレビで見ていた時代劇はたいていが潔癖な正直者正義漢が勝つものだった。しかし、この戦国時代はもっともっとどろどろの義や恩よりも利や保身を探って動く実に腹黒い政治力によって生き抜き合戦があったようだ。
     そんな中で西軍の大谷吉嗣や島左近たちの命を惜しまない男気のある戦いぶりは実に爽快だった。その家来たちも負けるとわかっていながら大将の「逃げよ」という勧めにも従わず、堂々と死地に赴いていく。この潔さは胸をうたれ、深く余韻が残った。
     一度は逃げた石田三成もかくまってくれた農民に被害が及ぶのを憂い、やがて東軍の追手のもとに身を捧げている。皆、いさぎよく死んでいく。
     現代は生きてるだけで儲けものという言葉をよく聞く。もちろんそういう時代である。だが、この小説の時代は死ぬことの美学があり、あっぱれな死に様は名誉尊厳とともに後々の今になってもなお、息づいている。
     もしこの時代に将軍としての身分があったなら、自分は決して家康のような切れ者にはなれないし、悲しいかな石田三成のように生き下手で人間感情に鈍い武将であったと思う。できれば友情、義を重んじいさぎよく死んでいった大谷吉嗣に憧れる。決して小早川のような後代数百年後まで馬鹿にされるような将軍にはなりたくなかったと思う(わからんけど)。
     最後の初芽と黒田 如水を登場させてこの物語を締めくくったのは血生臭い戦の物語をそこそこきれいに洗い流してくれたように思う。
     上巻は8日間で。中巻は3日。下巻はほぼ1日で読んだ。

    0
    2025年10月27日
  • 坂の上の雲(六)

    Posted by ブクログ

    話が横道に逸れだし、物語に冗長さが出てきたが日露戦争が佳境に入ってきた。ウクライナ侵攻中の現代に読んでいるせいかどうしてもロシアを偏見じみた目線で見てしまうが、自分の感覚を大切に次巻に進みたい。

    0
    2023年09月24日
  • 街道をゆく 41

    Posted by ブクログ

    青森は、一見地味な存在ではあるが、三内丸山遺跡など縄文時代の遺跡、津軽、南部、下北の歴史、または、太宰治や棟方志功などの芸術、また岩木山等の自然、浅虫温泉等々、大変な無形資産を抱える県であることが、この本を読んで実感する。
    司馬遼太郎の「街道をゆく」をずっと読んでいるが、読後にどの地域も訪れたいと思うのだが、まだ訪れたことのない青森に対してより強い気持ちを抱かせる。

    以下抜粋~
    ・明治維新後の津軽弘前における最大の事項は、この東奥義塾の建設だったといえる。
    実質的には英語習得を主とし、漢学を学ぶ学校だった。教師には、慶応義塾出の人が多かった。
    何人かの外国人教師も加わった。

    ・むかし、井上ひさし氏と東北について語り合ったとき、
    「会津は東北じゃありません」
    といわれたのがおかしかった。
    早い時期に”脱東北”した。
    弥生式の稲作文化も、関東地方とさほどかわらない時期に会津盆地に入った。

    ・江戸期、大坂や若狭に運ばれた昆布は、主として北海道のものだったが、陸奥湾の昆布も、日本海まわりで上方へ運ばれたのである。
    昆布は、上方にとってふしぎな食品である。煮物や吸物の味をつけるのに欠かせないものでありながら、地元ではとれない。

    ・「会津若松市に、薩摩の鹿児島市だったか、仲直りしよう、といってきたそうですが、断ったといいます」
    申し入れたのは薩摩ではなく長州の萩市だったようである。
    「その断り口が、斗南の人達の意向もあることだから、ということだったそうです」
    そういってくれるのがうれしい、と山僧めいた星さんがいう。

    0
    2023年09月23日
  • 関ヶ原(中)

    Posted by ブクログ

    上巻は9日かかって読んだけれど、中巻は2日と少しで読み終えた。派手な合戦に至る前のその裏で各々の諸将たちの腹の探り合い。仁と義と利とが脳裏に渦巻く中で、友情をもって不利な戦に赴こうとする将もいる。この時代、命というものはかくも重みがなかったのかと、かくもいさぎよく死を受け入れることができたものかと粛とした心境になる。
     それにしても石田三成の嫌われようは悲惨で残念でもある。何せわたくし、卵焼きは好きだけれど巨人も徳川も大嫌いで西軍ひいきの身であるからして。
     生き上手、出世上手になるにはただ、正義正直誠意だけではダメなのだ。タヌキ、狐になり腹黒くならなくてはならないのは今の世の中でも同じなのだろうか。

    0
    2023年09月23日
  • 国盗り物語(四)

    Posted by ブクログ

    物語が進むにつれて光秀の神経衰弱していく様子が色濃くなっていき、後半は心苦しい展開が続いた。信長と光秀のような相容れない性質をもつ者同士が出会った時、傷つけあう以外に道はなかったのか……。もっと尊重し合えていたら本能寺の変は回避出来ていたのではないかと、お互いの才能を認め合っていたからこそ後悔の念が残る。

    0
    2023年09月20日
  • 関ヶ原(上)

    Posted by ブクログ

    日本史上まれにみる世紀の大決戦!などとはなはだダサい書き出しをお許しくださいませ。
     以前から興味のあった本ではありますが、結末もおおよそのことも知っているから今更というのもありました。でも、今回これを読んで、裏のうちではこんなことがあったのかとぐんと興味が深まりました。まだ,上巻を読み終えたばかり、前半ペースが上がりませんでしたが、秀吉、利家が亡くなってからは一気にスピードが上がりました。
     それにしても家康というやつは賢くて腹黒くて性悪でデブで嫌な奴ですなぁ。こんなやつがその後300年間も安泰な日本の祖を作り上げたのですかねぇ。
     日本人は誠実で礼儀正しい民族だというけれど、それは一般大衆に言えることで、その昔にこんな正義感もないはかりごとだらけのまっとうでない大将が国を治めたりしたものだから、今の政治家もろくな奴がいないのかもしれない。(少し、司馬さんの大阪びいきも感じられたりして)
     さて、あと2巻楽しみに読みます。

    0
    2023年09月20日