彩瀬まるのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
彩瀬まるさんの書く物語は 苦しい。
それは、目を逸らしたくなるような悲劇が描かれている訳ではない。家族、仕事、恋人…生きていれば誰もが1度は悩み苦しんだことがあるであろうこと。日々の生活の中でぶち当たる壁。5篇の短編の主人公の誰かには共感してしまうんじゃないだろうか。ただ、この主人公たちには共通していることがあると思う。それは みんな「真面目」だということ。きっとみんな生きることに不器用で几帳面で、自分の中にある「正しさ」があって他人も自分も許せない。自分で自分をがんじがらめにしている感じ。
今日のわたしは 生理痛と低気圧頭痛のダブルパンチでメンタルが弱くなっているんだ。「生きていると、一つ一つ、いとおしんできた夢が醒めていく。二人の子供はけして幸せそうではない。娘も、息子と同じくいつか私を嫌うのだろうか。」なんて一文に急に涙が込み上げてきそうになった。いや、うちの子 誰も反抗期なかっただろ。心の不調と体の不調って繋がってるよね。本の中でマッサージ師の主人公が、ガチガチに凝り固まった患者の体を丁寧に揉みほぐしながら「胃腸が弱ってるね。ちゃんと眠れてる?」ってツボを押してくれるシーン。体も心もジワーっとほぐれた患者がホロっと悩みもこぼしちゃうんだけど、めっちゃ気持ちよさそうなんだよなぁー。心身ともに揉みほぐされたい。
どの話の終わりも 奇跡的で感動的な出来事なんて起こらない。それでも「明日はちょっとだけ前向きに生きられそう」と思わせてくれるところがすき。
そしてこの本を読み終わったときに 誰もが思うであろうこと。
生クリームたっぷり乗ったおいしいおいしいパンケーキを頬ばりたいっ!!(*´﹃`*)
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Posted by ブクログ
明日町のこんぺいとう商店街を舞台にした群像劇の体裁で、商店街の7つの店舗の人々を7人の作家が描くアソート短編集。シリーズ4作目。
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寺地はるなさんと山本幸久さんが決め手となって読むことにしました。
自分のペースで楽しく読めたのは前川ほまれさんの「インドカレーママレード」です。タイトルの伏線回収も含めて好きな作りでした。
大島真寿美さんの「カフェスルス」もいつもの (?) にぎやかな関西弁によく合った世界でおもしろかった。
そして山本幸久さんの「おもちゃ屋『うさぎや』」。本巻の7店舗の人たちを見事に巻き込み、ほっこりするハーモニーを聴いているようなまとめ方。こういうゆるやかな連帯を描かせたら右に出る人はいないのではと思う出来栄えでした。
寺地さんの「サクマ手芸店」は終盤こそ読ませるものの、それまでがダイジェストのような端折り方で、いつもの心にじわじわと浸透する感じがしませんでした。超短編は寺地さんには合わないのでしょうか。少し残念でした。 -
Posted by ブクログ
「人生に行き詰まり、逃げてきた人ばかりが住み着く」とある古い借家。
およそ共感出来そうにない登場人物が出て来るのに、ふとした表情、ワンシーンに心を持っていかれている自分がいる。
家って長く居続けるものというイメージが自分にはあるのだが、この作品の舞台となる家は、変化をするまでの一時的な居場所という感じがする。
持ち主を変えながらも、生きてきた時間の重なりは増えていく一方というか、読んでいる方も、この家の持つ重さから離れられなくなってしまう。
お気に入りは「ゆすらうめ」。
これも、人殺しをしてしまった元ヤクザと、学生時代の友人であるタクシーの運転手が、偶然再会し、一緒に逃亡した先に「家」が待ち構える。
タクシーの運転手の母が、認知症を患っており、グループホームから一時帰宅するくだり。
それまで良いところのなかった元ヤクザの傾聴が、なんだか、上手くて。
人と人とのテンポって面白いなと感じた。
そこに、善や悪はない。
でも、誰かと意思疎通が叶うことで、開けていく。
終わり方も好きな一編だった。