彩瀬まるのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
桜の季節、東北新幹線で北へ向かう人や家族の物語。
宇都宮、郡山、仙台、花巻&新幹線で往復を繰り返す車内販売の女性が住む東京。
それぞれの町での「家族」や「ふるさと」を取り巻く事情と鬱屈を抱えた人たちの話でいい話なんだけど、何となくどこにでもあるような話で私にはあまり刺さらなかった(大半を混みあった病院や薬局で順番を気にしながら読むはめになったこともあるかもしれない)。
それにしても岩手を語ろうとすると宮沢賢治は不可欠で、出しておけばそれだけで場面が締まる。
その童話村や記念館をはじめ各地の見所を織り交ぜた作りには、コロナ禍で出来ないままの旅への思いをくすぐられた。東北にもまた行きたいなぁ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ主人公の父の死をきっかけけに遺品整理を行う。幼い頃両親が離婚して、父と疎遠になっていた明日香。家族への複雑な思いが、仕事や恋人との関係にも支障をきたす。
正直、遺品整理は、たとえどんなに親しい家族であっても、その人物が何を思い、生きてきたのか、故人との関係性や思いによって、すごく意味合いが、かわってくると思った。自分のルーツだけでなく家族のルーツや思いまで背負ってしまう。
故人に思いをぶつけたくても、もはやことばをかわせない相手。主人公はだんだん、満たされなくなり、自分で関係を壊してしまう。
家族だからこそ、恋人だからこそ。愛を求めてしまう。
「いや、家族を体の結合した一つの生き物として捉えるのでだ。主導権を握るのは、一番強い頭だけ。他の家族を自分の正しさで飲み込みにかかる人だ。」
この文の主人公の行動に、私自身が家族にもつ傲慢さを指摘されたような気がした。
本文で気になった言葉
「普通じゃないって思う人生は、困ったり、寂しかったり、大変だけど、それ以外の人生ではわからないことがたくさんわかるよ。わかったものは、あなただけのものだよ。辛いことを生き延びた先で、すごくきれいな景色を見られるよ。」
「無理に愛さなくていいし、愛されなくていいんだ。自分とは違うってそれだけを思憎むより先に遠ざかろう。私はそう、思う。」
「愛は花だ。運がなければすぐに枯れるし、腐ってなくなってしまう。だけど咲いていたことまで否定しなくたっていい。なくなったからって、偽物だったわけではない。昔、きれいな花が咲いていた。それでいいんだ。私と父との間には、ある時期、とても美しい花が咲いていた。
いつかそう思える日が来るのだろうか。タイトル「不在」。今はこのとき「いない」のであり、決して「ない」わけではない。いつかどこかに「在る」として、心が欲するものを探し求めて、道しるべとして、足掻き続けたい。そう思った。