彩瀬まるのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
両親の離婚後、疎遠だった父親が亡くなり、実家であった洋館を相続することになった漫画家の女性“
明日香”。彼女は遺品整理をしながら、家族だった人達の記憶を辿っていく。懐かしくも忌まわしさもある記憶は、彼女の実生活へ影響を与える。
漫画家として自立していた彼女は、歳下の下積演劇男子を養っていた。円満だった彼との関係は崩れ、自身の作品も翳りを見せる。
不在は、父親の不在の表現なのか、もっと漠然と愛する者愛してくれる者の不在なのか、少し中途半端かな。お話は面白く読みましたが、父親が彼女に相続させた意味が読み取れないのは残念。幼児期の父親らしい男の子の存在が(幻覚?)その理由なのかもしれないけれど、その存在が、他の部分は現実的なのでちょっと浮いちゃうかな。
彩瀬さんの他の作品を読んでみたいと思います。 -
Posted by ブクログ
"不在"とは、本来ならばいるべき場所にいないことを意味する言葉である。すなわち、はなから存在しないものに対しては使わない言葉だということができる。
お父さんは、お兄ちゃんを一番に愛してた
私は一番になれなかった
選ばれなかった
必要とされなかった
愛されなかった
そんな想いを胸に抱えたままの明日香。
だけど、明日香は気づく。
「愛は花だ。運がなければすぐに枯れるし、腐ってなくなってしまう。だけど咲いていたことまで否定しなくたっていい。なくなったからって、偽物だったわけではない。昔、きれいな花が咲いていた。それでいいんだ。」
明日香と父の間には、一時美しい花が咲いていた。今は"不在"だけど、たしかにそこにはあったのだ。
愛ってなんだろう。独占欲庇護欲忠誠心。何をどうすれば互いに愛し合っていることの証明になるのだろう。
自分と相手は他人だ。だから"愛"の形だってそれぞれだ。同義として捉え、相手が自分と同じように愛を与えてくれないと嘆くのは間違っている。
結局私たちは、たった一人とたった一人で生きていく。だけどそれはけっして悲しいことではない。