伊坂幸太郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
仙台。僕は仙台市の、隣りの隣りのまちに住んでいます。仙台市から南の方です。震災があって、僕のまちにも海岸線があって、ということは沿岸の集落は当然のように津波の被害を受けました。僕の父親の父親、つまり祖父は、その集落の出身で、ということは縁をたどれば、遠い親戚も居たわけです。現在その集落は内陸部への集団移転の対象区域になり、縁者たちは、思い思いにそれぞれの地で生活を再建したと“思われます”。
“思われます”…ということは、すなわち現時点において、もはや彼らの消息すら定かではありません。いまどこに暮らしているのか、などまったく知る術がありません。それぞれの立場で、それぞれが遠慮し、互いに本心を明かさずに、そっとしておこう、などと手前に都合の良い言い訳などを用意して、集団移転を期に縁が切れたと言っても過言ではない現状に至りました。同じ被災地に居ながらも、被害の度合いはさまざまです。そのことについては、著者も悩んでおられますね。被災地の住民としては、有り余るほど共感します。僕も、何もできなかったし、言えなかった。僕よりも苦しい方々ばかりなのですから。僕だって苦労はしたけれど、僕より苦しまれた方々のことを思うと、かける言葉も見つかりませんでした。
仙台という地理のコンパクトさ加減については、僕も常々思っています。一方的な膨張を良しとしない、バランス感覚というか、潔さのような、東北の人の、まちの気質であるともいえるでしょう。
コンパクトな仙台だからこそ起こりうる日常の出来事が、愛おしく描かれておりました。仙台ならでは、どこか僕自身も思い当たる節が…?
著者の本を読むのは初めて。これから長い付き合いになりそうです。仙台のまちで、いつか僕も著者に出会うことはできるかな。多すぎる見知らぬ知人の一員になれるかな。その日を楽しみに! -
Posted by ブクログ
「連城三紀彦」の短篇ミステリ作品集『連城三紀彦 レジェンド2傑作ミステリー集』を読みました。
ここのところ「連城三紀彦」の作品が続いています。
-----story-------------
逆転に次ぐ逆転、超絶トリック、鮮烈な美しさ。
死してなお読者を惹きつけてやまないミステリーの巨匠、「連城三紀彦」を敬愛する4人が選び抜いた究極の傑作集。
“誘拐の連城”決定版『ぼくを見つけて』、語りの極致『他人たち』、最後の花葬シリーズ『夜の自画像』など全6編。
巻末に「綾辻」×「伊坂」×「米澤」、語りおろし特別鼎談を収録。
どれも超高密度(「綾辻」)
普通は書けない。(「伊坂」)
驚きは屈指のもの。(「小野」)
その「技」は魔法的(「米澤」)
四人の超人気作家が厳選した究極の傑作集。
特別語りおろし巻末鼎談つき!
-----------------------
「綾辻行人」、「伊坂幸太郎」、「小野不由美」、「米澤穂信」… 四人の人気作家が選ぶ「連城三紀彦」傑作選の第2弾です。
■ぼくを見つけて
■菊の塵
■ゴースト・トレイン
■白蘭
■他人たち
■夜の自画像
■特別鼎談 ミステリー作家連城三紀彦の魅力をさらに語る--綾辻行人×伊坂幸太郎×米澤穂信
「連城三紀彦」をリスペクトしている四人の人気作家が選んだ作品だけあって、興味深い作品がセレクトされていましたね。
そんな作品の中で、イチバン好きなのは唯一既読だった『ぼくを見つけて』ですね… 誘拐された子どもから警察に電話があり、物語が進むにつれて、何が起きているのかがだんだんと分からなくなってきてという展開、、、
誘拐(本作品では、本人が誘拐されていると気付くのが9年後なんですけどね)を警察に気付かせるため、子どもが一生懸命知恵を絞る姿に泣けそうになりましたね… 切ないミステリ作品です。
その他で印象に残ったのは、明治末期の軍人の自死の謎が明らかとなる『菊の塵』と、大正後期~昭和初期が舞台で殺人事件を目撃した画商の息子が残された絵と羽織で真相に気付く『夜の自画像』かな… トリックそのものよりも、作品の持つ雰囲気がとても良かったなー
「赤川次郎」の『幽霊列車』のバスティーシュ『ゴーストトレイン』は、『幽霊列車』を読んでいれば、もっと愉しめたかも。
芸人二人の生き様が関西弁で語られる『白蘭』は、独特の関西弁の語り口で一気に読ませる巧さがあり、評価の高い作品のようですが… 個人的には、あまり好みではなかったですねー
マンションの住人の関係や経過が語りの中で次々と明かされる『他人たち』は、読み終わって んっ………。 という感じ、自分の中で上手く咀嚼できませんでした。
在庫があるので… もう少し「連城三紀彦」の作品を読んでみようと思います。 -
ネタバレ 購入済み
オマケが狂ってやがる
伊坂作品のコミカライズ。
絵柄の賜物なのか、ねっとりと陰鬱な雰囲気が漂ってくる。
ここにグンマネタはない。
押し屋、ぶつかりおじさんは野放しの世の中だが、作品はガラケー時代だからぶつかりおじさんがターゲットにするながらスマホ達はまだ居ないようだ。 -
Posted by ブクログ
2002年ワールドカップアジア最終予選の試合終了間近に、日本代表チームがPKを獲得したことでW杯出場が決まるのですが、その場面での謎を、2011年に大臣をしている男が気にするのです。そういったところから始まる、「PK」「超人」「密使」の三作からなる連作短編です。「PK」「超人」は、同じような場面で事実が異なっているところがあり、そこは大切な注目ポイントなのですが、だからといってあとではっきり解き明かされはしません。そういう投げっぱなし加減も、読み手としての自由度として捉えれば、シンプルに、読み手の読み心地のよさにつながっている要素なんだろうなとしてみても、大きく外れてはいないのだろうと思います。
なんだか、どう書いてもネタバレになってしまいそうなので、とくだん内容には触れませんが、伊坂幸太郎さんらしい、さっぱりした軽さがあって計算されていて軽妙なおかしさがあって、読むことに没入させられる力がほんとに強力な作品だったことは書いておきます。アイデアも、ところどころの発想の飛んでるところも、冗談のセンスも、外さない人だなあと毎度ながら感心してしまいます。時間を忘れて夢中になって楽しんでしまいますからねえ。
「密使」はタイムパラドクスの解説や、タイムパラドクスが起こらない場合に世界が分岐する「パラレルワールド」論について、とてもわかりやすく登場人物が主人公に教えてくれている場面があります。いわば、主世界Aと、そこから分岐した並行世界A'やA"があるとすると、メインの世界はやっぱりAの世界だとこの作品では述べられている。ここを読んでいるときに、「でも、A’の世界を生きている人が、自分が分岐した世界の住人であり、目に見えている世界がメインの世界ではないなんて気づくことなんてできやしないし、A'もA"もそこの住人はその世界こそが唯一無二のメイン世界だと前提して生きているだろうに」と僕は思い始めてしまったのです。そうしたら、なんだか、ほんとうに今の僕がいる世界が分岐していないメインの世界なんだろうか、と強い疑いが生じてきまして。
というのも、「PK」「超人」と読み終えて「密使」にはいっていく前に、一旦『岩田さん』という本に移りました。任天堂社長でニンテンドーDSやWiiを世に出した方の考え方や言葉が詰まっているすばらしい本です。60pくらいまでを読んで、さて、それじゃあ『PK』に戻ろうと、最後の「密使」を開いた一行目が、<きっかけはポータブルゲーム機の予約だった。>でした。「ああ、岩田さん!」と思ってしまった(笑)。もうひとつ、本書の解説の最後、伊坂幸太郎さんのエッセイの文章が引用されて終わるのですけれども、そのほんとうに最後の一文が<仮面ライダーがいてくれて、本当に良かった。>なんですね。僕のユーザーネームは、仮面ライダー555を連想させるものだろうと自分でわきまえているので、ここでも、「ああ、仮面ライダーかい!」と思ってしまいました(笑)。そういうところから、この世界は、主世界であるとするならなんだか嘘くさいと思ったところなのです。……とまあ、ほぼ冗談ですが、それでなくても本作品の内容は不思議なものなのに、そこに奇遇と考えてよさそうなものまですり寄ってこられると、おもしろいもんだなあ、と掃いて捨ててしまわずに、取り上げておいて書き残したくなったのでした。あしからず。 -
購入済み
短編連作だとは、、、!?
普通の長編小説を期待して購入したのですがまさかの短編連作の形式でしたので、イマイチでした。
短編って面白さがイマイチ練り上げられないなぁ。。。 -
Posted by ブクログ
初めての伊坂幸太郎
温かみのない淡々とした文章だし、なんか世界観が独自だしオリジナルな単語も多く、読みにくいかもと思いましたが、状況が細かく描写されているので脳内で想像しやすいかった
後半でこれまでの話がうまくまとまっていくタイプの構成なので好みだった!
あまりの独特の世界観で、自分とは全然考えることが違うタイプの作家なんだと思ってたんですが、解説を読んでみてそんなことなかったと思いました。戦争が怖いっていう誰もが持っている憂いをぶつけた作品なんだとわかった後だと、また見る目も変わりそうだし、諸々の真実を知った上で2回目を読んでみたらガラッとかわりそう -
Posted by ブクログ
面白いは面白いけど、もしかしてお互いの良さがちょっとずつ消えている感じでは…?阿部和重の単著を読んだことないのではっきりしたことは言えないけど、伊坂幸太郎の良いところは薄まってしまってるような。テイストはふんだんに感じるけど。
あとあまりにもご都合展開大団円という印象が拭えず、(私が読んだ他の伊坂作品もそういうものはあったのかもしれないけど、あまり気になったことはなかった)そのあたりの大衆小説とそんなに変わらないような。たしかに、「ヒーロー物」をモチーフにしているからこそご都合主義であってもみんな幸せになりましたという結末なのは分かるけど。もう一捻り欲しかった。(欲張り)