伊坂幸太郎のレビュー一覧
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口を付け、飲んでみる。コーラの味が少し、マイルドになり、美味しい。
うん、美味しい、と内心で呟きながらも、やはりどこか、昔飲んだものとは異なっているようにも感じる。記憶というものは、常に変化し、誇張や嘘が混じるものなのだ。
今回、このエッセイの序盤に、「仙台という街の大きな流れのようなものが観測できるかもしれない」と大きいことを書いたにもかかわらず、最終的には、小さな喫茶店の、ミルクコーラなどという、強末な話題になってしまい、少々、ばつが悪い気分ではある。
ただ、様々な物が新しくなり、消えゆく中で、ミルクコーラが残ってたよ、というのもそんなに悪い話ではない。 -
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ネタバレ面白かった。まさか超能力バトルだとは。2005年の話なのに、憲法改正は割とタイムリーな話でもあり、「おっ」と思った。
なんていうか、映像的だし読みやすい反面、登場人物がなんかアニメキャラみたいだなーと思った。超能力バトルだからかもしれない。弟の彼女、ふわふわした子だなと思ってたのに実際には結構考えているタイプだったりとか。職場で「っち」付けで呼ばんだろう、しかも「っち」はフルの名前にはつけなくないか。さとっちとか、短縮形+っちをつけるイメージ。まあそんな議論はどうでもいいんだけど。
あとまさかの途中で終わると思わなかった。読むのを何度も中断しても話がわかりやすいから読みやすかったな。続編も読み -
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ようやく読んだ積読本。
村上春樹作品の十八番と言えば美味しそうな食べ物と性描写、伊坂作品の十八番と言えば最近は生々しい拷問と大きな権力への対抗。
作者はこの作品で何を問いかけたいんだろうと疑問に思う。
最初に読んだ「死神の精度」の衝撃が凄すぎて他の作品も色々読んできたが、最近はとてもメッセージ性が強くそれをとてもポップに描いているので逆にモヤモヤする事が結構ある。
世の中への不満を天邪鬼的に飄々と描かれると逆に重たくなる。
最初は少し気分が重くなり、中盤は流石伊坂作品と高揚し最後は何だかなあって感じで読み終わった。
良くも悪くも一気読みしてしまう伊坂作品。 -
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読み始めてすぐに思ったことは、この物語は伊坂さんの処女作オーデュボンの祈りを想い起こさせるファンタジー小説なんだろうと言うことだ。
はじめのほうは物語の展開が全く読めない。かと言って読みにくいかと言うとそうでもなく、どんな展開を見せてくれるのか期待に胸を膨らませて読み進めていった。
ぼくの視点と、猫のトム君の視点からこの物語が語られる。猫や鼠が喋ったり、鉄国と呼ばれる国が出てきたりで、中盤まではこのストーリーは破綻せずにしっかりと収束することができるのだろうかと心配になるほどだった。
トム君たち猫と人間たちが暮らす街が、鉄国との戦争に負けたことで鉄国の兵士たちに占領されてしまったというの -
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ネタバレ『浜田青年ホントスカ』からはじまる不思議な短編集。まずは謎の相談屋の話。
『ギア』ではセミンゴがキモすぎて、実在するのかググりながら読み、
『二月下旬から三月上旬』は不安な気持ちになりながらも先が気になって仕方なく一気読み!
(でも何が起こっていたのか解説というか、謎が全部繋がるのを期待してしまったけれど、説明はなかったです。。)
『一人では無理がある』がちょっと粋なサンタシステムのお話で楽しく読めました!
『彗星さんたち』も市川くんの仮説が面白すぎて最高!
『後ろの声がうるさい』は全体のかるい受け皿、繋がりの回収って感じでした。
ちょっと伏線回収を期待しすぎたかもしれない!
構えずにもっと -
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表紙がとても綺麗で手に取りました。
二十四節気は知っていても、それをさらに三等分した七十二候は知らない人が多いのでは?
わたしも今回初めて知りました。
雉始雊(きじはじめてなく)というように、動詞で示されているのが、分かりやすい。
どれも現代人にも理解できるもので、時代が変わっても季節の移ろいは変わらないものだなと思います。
この本では、二十四節気の春夏部分を抜き出し、また、各節気の真ん中の七十二候をタイトルに各自が短編をお書きになっています。
思えば、短い作品は触れてこなかったので、どれも不思議な余韻を残す終わり方で、こちらの想像力や読解力を掻き立てるなぁと短編の面白みを初めて知りま -
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善と悪をグラデーションで捕らえた作品。
魔女狩りのような規律化で秩序を維持しようとする平和警察の考えにも頷ける部分はあるが、やはり極端な制御とそれによる反発とは不可分な関係にあると思う。
楽観的かもしれないが、公権力がそれなりに緩く作用している日本だからこそ保たれている秩序もあるんじゃないかなと。
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SとSを束ねれば極力な磁力を生み出せるがその分反発も大きい。自然界では、両極端にあるSとNが近づくことで安定した状態が保たれている。だからこそ社会の考えも、一つに揃えない(揃わない)のが自然な状態だと私は思う。
無意志で群れる大衆に強い嫌悪感を抱いていたのに、
自分もあくまでその一員であ