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Posted by ブクログ
読み終えた今、妙に納得というか、開き直りに似た爽快感と、こうラストを持ってくるのか〜!さすがすぎる〜!という伊坂さんへの尊敬と、色んな気持ちが渦巻いています。振り子の喩え、凄すぎませんか。
魔女狩り的な世界、伊坂さん自身が「怖い」と仰っていたもの、覚悟して読みました。「死神の浮力」と同様、読み始めは怖くて辛くてやり切れない気持ちでしたが。もしかするとの正義のヒーロー出現か、に期待しながら、あれよあれよという間に物語にのめり込んでしまいました。
勝手に始まる国家の制度。胡散臭いけど事件を「起こしそう」な危険人物の公開処刑。当然冤罪が疑われる。けれど実際に何百年も続いた魔女狩りの歴史が、この物語を完全なフィクションとして割り切れない不気味さを残す。何が恐ろしいって、それを見に行く群衆の姿。私たちもこんなに醜くなってしまうの?「人間が人間らしく振る舞えるのは、群れていない時だけだ。」(P450)伊坂さんの的を射た一言にはいつもハッとさせられる。
とにかくこの救いようがないような状況から、どうしたら無実の人間を救えるのか。安心できる世界に変えていけるのか。そもそも可能なのか。願いながら読みました。
そこは伊坂さん。等身大の人間の持つ小さな正義感というか勇気というか少なくとも誠実さが、報われるような余韻を残す描き方をしてくれています。世界への悲観で物語を終わらせない。
他にも語りたい事がありすぎるくらい色々考えさせられました。面白くてちょっと熱くなってしまいました笑。ぜひご一読を!
Posted by ブクログ
読んでいる間、こんなに気持ちが上がったり下がったりした本も珍しい。
「平和警察」という名のもと、街中の監視カメラ、密告、公開処刑。無実の人間さえ疑われれば容赦なく追い詰められていく世界。
特に序盤の理不尽でサディスティックな描写は辛く、「もう読むのをやめようかな」と本気で思った。
そんな中、ようやく正義感のある人たちが現れてホッとしたと思えば、また絶望。今度こそ本物の正義の味方が現れた!と喜んだり、怪しい人物を勝手にヒーローだと予想したり……。とにかく作者に気持ちを振り回されっぱなしだった。
やがて明らかになる「正義の味方」の姿もよかった。特別な能力を持ったスーパーヒーローではなく、怖がり、迷い、葛藤する普通の人間。その人物がなぜ立ち上がったのかが丁寧に描かれていて、とてもリアルに感じた。
そして終盤。
あれほど「この人、大嫌い!」と思っていた人物に、最後の最後で完全にやられた。
まさか、そう来るとは。
途中で何度も出てくる「擬態」という言葉も、読み終わってから振り返ると印象が変わる。
また、宝くじに当たったことから人生が思わぬ方向へ転がっていくエピソードも妙に心に残った。いつか宝くじが当たる前提で生きている私としては(笑)、高額当選しても絶対に誰にも言わない!と改めて心に誓った。
怖くなったり、腹が立ったり、絶望したり、ホッとしたり、痛快だったり。感情が忙しい一冊だったけれど、最後まで読んでよかった。
「平和」のためなら、どこまで許されるのか。「正義」を決めるのはいったい誰なのか。
読み終わった今はただ一つ。
日本に「平和警察」が誕生しませんように。
Posted by ブクログ
伊坂幸太郎の物騒な話は大体ハズレなく面白い。
前半は平和警察の暴走ぶりやそこに属する各人の暴虐さが生々しく、正直胸糞悪いパターンの物語かと思っていた。登場人物は多かったが、それぞれキャラクターが立っていて、特に真壁は面白かった。ただ、こいつは実はこっち側で、などなどおそらく一回だけでは全ての伏線を理解できていない感じがあったので、何度か読み直したいところではある。
偽善や一面的な勧善懲悪を風刺しているとは分かっていつつも、平和警察の人間が死んでも因果応報と思ってしまったり、分かりやすく息子のために無謀な取引に応じる母に同情したりと気づいたら読者も本作の世界に片足を突っ込んでしまっているような体験が新鮮だった。
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