【感想・ネタバレ】火星に住むつもりかい?のレビュー

あらすじ

「安全地区」に指定された仙台を取り締まる「平和警察」。その管理下、住人の監視と密告によって「危険人物」と認められた者は、衆人環視の中で刑に処されてしまう。不条理渦巻く世界で窮地に陥った人々を救うのは、全身黒ずくめの「正義の味方」、ただ一人。ディストピアに迸るユーモアとアイロニー。伊坂ワールドの醍醐味が余すところなく詰め込まれたジャンルの枠を超越する傑作!

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

現実的だけど現実的じゃない、ありえなくもない世界の話。
怖すぎるけどどうなるのか気になって仕方なかった。

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2025年01月12日

Posted by ブクログ

タイトルからは想像出来ないお話。
正義について考えさせられる1冊。
ちゃんと伏線回収して、伊坂幸太郎の話は安心して読める。面白かった。

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2024年08月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

平和警察の制度を「集団心理の怖さ」と平たくまとめてしまうのはどうにも雑な気がするので、ちょっと噛み砕いて解釈したい。
根本には強権力による抑圧体制、恐怖政治があるのであり、「制度の否定が身を滅ぼしかねない」という思惑が個人レベルに存在する。それは裏返すと「制度の肯定は自身の安全に繋がる」事なのであり、少なくともうわべでは、現状の肯定が個人レベルで加速していくことになる。加えて本作のような相互監視社会においては、さらに現状否定は抑圧されざるを得ないだろう。ただ、本作の設定で面白いのは、この平和警察制度はあくまで各地で順次試験導入されているものであり、抑圧から免れたい市民は宮城県から引っ越してしまえば良い、という条件が与えられていることだ。即ち、彼らは望んで宮城県内に住み続けている事になる。市民を繋ぎ止めているのは、やはり「極悪人が処刑される」という事に対する熱狂や享楽意識であったように思う。こうした排外意識への熱狂は、正義の大義名分やマジョリティ側の制度、強権の後ろ盾があると尚、後ろめたい感情を正当化する拠り所がある事によってその感情がエスカレートする事がよくわかる。作中序盤で沢山例に挙げられていた中性の魔女狩りはまさしくそうだし、ナチ党ファシズムやスターリン政権下にも似たような風潮はあっただろうと思う。また作中の処刑シーンから察するに、処刑が行われるのはせいぜい2ヶ月に4,5人程度といった具合だっただろうから、政令指定都市仙台市民の多くにとっては、「自身が処刑される」あるいは「身近な、何の罪もない人が処刑された」という経験とは関係がなく、実在する都市伝説を傍観している感覚だっただろうから、余計に熱狂が加速したのではなかろうか。
「悪の討伐」によってスカッとしたい!という感情は我々が潜在的に持つものであり、皮肉にもこの本の感想にすら「最後スカッとしたかった」「みんなで倒す展開が見たかった」といった物がチラホラ見かけられるのもそれを示していると思う。時にこうした大衆意識を逆手に、ポピュリズム的な偏向統治が進行する危険性も認識しておかなければならないなぁ、と思った。

真壁が述べていたように、弱者強者が入り混じって不確定であるから安定しているのであり、強権によって正義/悪を確定すると、正義の暴走を招くということもよく示されていたと思う。そうした暴走の極地として「処刑をされた事が危険人物である何よりの証拠」であるという風なトートロジカルな言説もいくつか見られた。

正義/悪は限りなくグレーで確定するものではなく、どちらか一方に行き過ぎていた時に調整する、程度のことしかできないのだ、と振り子になぞらえて締めくくられる諦観的なラストはとても腑に落ちる物があった。やっぱり真壁すき、すき、大好き。かっこいい。高橋一生とかが演じてくれないかな。かっこいい。

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2024年05月22日

Posted by ブクログ

伊坂ワールド全開であるなと感じた。良い意味で。
伊坂幸太郎が好きなので贔屓目に見ているところはあるかもしれないが、話の持っていき方や伏線回収の仕方など、今回も惹き付けられ面白かった。

魔女狩りをコンセプトに現代に投影して描かれた「平和警察」という機構は酷く悲惨な制度であると感じたが、よくよく考えるとさほど今私たちが生きている時代と変わらず、物語はあえてそれを皮肉ったものではないかとも思った。
SNSやメディアなどで映し出された1部の情報であたかも相手の全てを知ったかのように錯覚し皆で寄って集って批判をぶつける、一方通行の集団行動。私人逮捕などが正義と唄い活動している逮捕者も居るくらいで、規模や時代背景は違えど、「魔女狩り」や「村八分」といったものは常に人間の防衛反応・潜在意識としてあるのではないかと感じた。
ひとつの良いことを偽善だと言い炎上する点や、自分に被害が加わらなければ人は残酷になれるという点など、処刑を見届ける民衆の狂気の描かれ方はなんら誇張した表現ではないと私は思う。

そんな中で立ち上がれる勇気ある人(今回で言う物語の久慈)をヒーローと称え敬うわけではないが、素直に認められる世間でありたいなと感じた。

タイトルにあやかるのであれば、
まだ地球も捨てたもんじゃない。と言ってもらえるように。

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2025年02月01日

ネタバレ 購入済み

やっぱり伊坂さん作品

拷問に近い取調べ、サディスティックな人の集まりが公僕たる警察官であること…
なんたかいつもの伊坂作品と違っていて、読むのが不安になっくる。
それでも読み進めていくうちに正義の味方が現れて
…と思ったら、失敗したり人を殺しちゃったり、くもゆきが怪しい。
最後の最後になって、ようやく…
いえ、最後の最後まで読者の気持ちを引きつけて放さない、自分にとっては傑作です。
面白かった!伊坂さん、ありがとうございます。

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2022年04月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

伊坂作品にしては心重たい部分が長くて疲れる本だった。

平和警察とは名ばかりの一般市民に対して魔女狩りを行う世の中に対して、ちょっとした正義感から立ち上がる1人の青年を描いた物語。
揉み消された平和警察の横暴を始めとして伏線の散りばめ方と回収のスマートさは伊坂幸太郎健在と言ったところ。

真壁鵠太郎という敵側に置いておくには些か魅力的すぎるキャラクターが最終的には黒幕の1人であるあたりは伏線で裏切りを重ねながらも大事なところは押さえているな、という感じ。

まさかタイトルが「不満があってもこの世で生きていくしかないよね、まさか火星にでも住むつもり?」みたいなニュアンスとは思わなかったけど。

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2025年09月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

たしか解体全書で伊坂幸太郎ご本人が一番好き?自信作?って言ってた気がするので読んでみた!
そんなに数多く作品を読んでるわけじゃないけどかなり拷問の描写がきつくてちょっとびっくりした。
ずっと大学生の子がヒーローだと思ってたから、まさか死んじゃってると思わないし、全然別の人がヒーローの正体だったりあの人が本当は……みたいなずっと面白い そんで読みやすい
平和警察なんかできたら終わりだよー

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2025年09月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

監視社会のディストピア。
伊坂作品の中では特に暗めな気がする。他の作品と比べるとコミカルというかユーモアチックな文章が少ないから?

真壁が魅力的。警察内の中の唯一のまとも人。
飄々としてるけど罰せられない程度に薬師寺の権力の乱用に反抗したり、嗜めていた。
刑事部長を最初から最後まで馬鹿にしていたけどそれもブラフなのは流石だと思った。

薬師寺の最後として自分がこれまでやってきたことが帰ってきた感があったすこしすっきりした。

監視社会はたしかにテロ対策として効果はあるかもしれないが、目的がテロを目論む人たちの謙虚ではなく、この物語のように体制に反発する人、考えをもつ人たちを黙らせることにシフトして独裁というか、人々の考えを統率して自由を奪うことになるんだ、と考えた。

そもそもそれぞれ監視するようになるとつながりというかコミュケーションを結ぶことができないようになり、孤独感のある社会になりそう。

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2025年08月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

途中まで読むのがしんどくて、読むスピードは落ちていたが、後半はどういう終わり方をするのか予想できず読む手が止まらなかった。
そして気持ちいいくらいの伏線回収。「そういえばそんなのあったな」の連発。手のひらで転がされている感覚に近かった。
最後まで読んで初めて面白いと思う話だった。

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2025年08月02日

Posted by ブクログ

伊坂幸太郎らしい作品。SFと言ってもいいかも。
タイトルの「火星に住むつもりかい?」は平和警察という魔女狩りが横行するその世界で、その現状が嫌なら火星にでも住むしかないんじゃない?という意味だが、舞台となっている架空の日本で繰り広げられる事態が想像であってもあり得なさ過ぎて、この舞台の方こそ火星での出来事じゃないの?と思ってしまうくらいあり得ない設定だ。
しかし考えてみると、例えば遠く離れたアフリカの独裁国ではもしかして同じような事が起きているかも?すぐお隣の拉致問題が解決していないお国では密告も奨励されているようだし同じような事があるのでは??最近世界を掻き回しているいる超大国の大統領は本作と同じような事を絶対にやらないと誰が保証できる???
そう。今の日本では起こりえない事かもしれないが、世界は本作と似たような事になるかもしれない危うさを孕んでいる。
もしも世界がそうなったらどうしよう...。火星とは言わないがせめて月に移住できるような環境が整うまで、こういう事態が現実にならないことを祈るばかりだ。

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2025年04月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

伏線回収がよかった
最初から最後まで伏線と回収があった。
文自体は読みやすかったけど、人が多すぎて読みづらかった
真壁さんが死体を使って偽装死したのかな?
映画で見たい作品だと思った
ビターエンド

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2025年03月12日

Posted by ブクログ

私も大きな力によって知らぬ間に使われている存在なのだろう。きっと私の命なんてそこら辺の虫よりも低い。見えてから潰す、自分の足で潰す、なんてまだ上級で、私なんてきっと会ってもないのに、その人自身でもなくさっと指をあげることで他の誰かが動いて潰されるのだろうな。

でもそれもその人にとっての正義で、私が正義だと思っていることと同じくらい真っ直ぐに思っているのかもしれない。

ほんとうに人が多過ぎる。多いからこそいろんな思想があって、まとめる人が出てきて、まとめられる人が出てくる。

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2025年02月27日

Posted by ブクログ

確かにディストピアだった。あまりことの重大さを感じさせない登場人物達に若干の恐怖を感じつつ嫌な気持ちを引きずりながら読み進めた。
最初から最後まで飽きる事なく読めた。が、世界の仕組みがどうしても怖すぎる。このストーリーの世界の人達は今の私達とは違う価値観で生きている。似ているようで全く違う。もう別のステージになっている。実際に主人公達と同じ世界の仕組みの中で生きていかなくてはいけなくなったら…もう恐ろし過ぎる。
誰が犯人だとか、どういう手口だったのか、動機は、など全部どうでもいいと思えてしまうくらいこの世界に適当している人々に恐怖を感じた。
そんなことを言っていて、自分も同じ状況下に置かれたらどうなるか。きっと今考えたって意味のないくらい流れに流されて気付かぬ間に感覚が変わっていくのだろう。と思えてしまうのがまた恐怖を感じる。
本当にこんな世界になってしまうのなら火星に住むしかない。

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2025年02月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

仕事終わってからの時間でちょっとずつ読んでたから登場人物がわけわからなくなった所はあったけど、すごく面白かった。
「世の中は良くなったりしないんだから。それが嫌なら、火星にでも行って、住むしかない」っていう真壁が発した言葉が伝えたかったことなのかなって思った。正しいとか正義とか偽善とかなんなんだろう

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2025年01月26日

Posted by ブクログ

斬新なストーリー、こういうの大好き!
集団心理や洗脳、思い込み、1番怖いのは人間....。
「磁石のようにS極とN極があることで均衡を保ち、安定するもの」という表現に納得。
魔女狩りって本当に本当の意味で怖い。

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2024年11月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

平和警察という名の実質魔女狩りが行われるようになった世界。危険人物と疑われると取調べという名目の拷問が行われ、実際に危険人物かどうかは問題ではなくなる。

長いのと、前半は特に登場人物が多すぎる!笑
伊坂幸太郎さんあるあるなのかもしれないが、登場人物が多くて伏線のようにさらっと出てくる。
元々の設定自体が警察という正義であるはずの機関が悪のようになっているいやーな設定なので、もはや誰がやられたときにスカッとすればいいのか(笑)
終盤は伊坂幸太郎さんらしく鮮やかな伏線回収。
スッキリ終わることができ、個人的に好きなキャラだった真壁さんが生きてたので良かった。

P.S.当時20歳のぼくりりによる解説が載っているが、同じ本を読んでこうも感想が違うのかと衝撃を受けました(笑)

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2024年11月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

伊坂氏による2015年の発表作品。

国家(平和警察)が市民を疑心暗鬼にさせ、火のないところに煙を立たせるかのような、ディストピア風テイストの小説。

洒脱な会話描写はいつも通り。いわゆる第二期のモヤモヤな進行ながら、最後はやや明るめな結末が特徴か。

・・・
そうですね、本作、まず感じたのは「ゴールデンスランバー」に似ているかな、というところでしょうか。

「ゴールデンスランバー」は主人公青柳が、突然爆破殺人の罪に着せらせるというものでした。その視点は一人称的に描写され、主人公が信じていたものが眼前で次々と崩れてゆく・信じられなくなってゆく様が、背筋を凍らせるかのような作品でありました。

他方この「火星に住むつもりかい?」では、憲兵的な「平和警察」なるものが次々と無辜の民衆を「危険人物」として処刑してゆく様を三人称的に語ります。

その視点はどちらかというと警察内部からの描写で、エリートで風変りな警官真壁をして内部批判・揶揄でもって警察内部の冷徹さを飄々と描きます。

警察が「正しい」といえばウソすら正しくなる様子が、冗談交じりにさらりと語られるなど、これまたぞっとする情景描写でありました。

・・・
さて、「ゴールデンスランバー」と似ているとしつこい位にわめいているのですが、本作の特徴といえばやはり作品のメインが誰なのかが良く分からないところでしょうか。

つまり、「正義の味方」です。

作品冒頭から顔を出し、「平和警察」を邪魔するかのようなアクションをとる良き人物。彼が誰なのか、私には皆目見当がつきませんでした。

最後15%程度のところで正体が分かりますが、さらにそこから一ひねりあるのが伊坂流。もうどうなるの?と手に汗を握らせます。

・・・
ということで伊坂作品でした。

ディストピア的な怖面白い作品であったと思います。いやあ、「金子ゼミ」が個人的にはめっちゃ恐ろしかった。

是非、「ゴールデンスランバー」と共に味わって欲しいと思います。

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2024年09月24日

Posted by ブクログ

伏線の回収は相変わらずお見事でした。

事件が次第に明らかになっていくにつれ、正義ってなんだろう?とか、集団心理の怖さのようなものを感じます。

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2024年07月15日

Posted by ブクログ

これまで読んだ伊坂さんの作品とは一味違う内容でした。
『斬首』『魔女狩り』一般人の前で行われてきた処刑が現代でも行うことで犯罪を抑制する。
斬新な考えだけど、あるかもしれないと思う説明力はさすがです!
また、事件について虫の生態と合わせて説明させることで尚理解しやすかったです!

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2024年06月20日

匿名

購入済み

残酷さを隠し持っているのが人間、正義と悪がなんなのかわからなくなってしまいました。最後はスカッとできました。

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2024年06月01日

Posted by ブクログ

大好きな伊坂幸太郎作、「火星に住むつもりかい?」(光文社文庫刊)。
将来、ノーベル文化賞作家となるのではと、私が勝手に思っている作家なのだ。
常にシュールな舞台でのミステリー、伊坂ワールドは健在なり。

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2024年05月25日

Posted by ブクログ

読書録「火星に住むつもりかい?」3

著者 伊坂幸太郎
出版 光文社

p491より引用
“「どうすることもできないよ。振り子の揺
れを真ん中で止めることはできないから。
大事なのは、行ったり来たりのバランスだ
よ。偏ってきたら、別方向に戻さなくてはい
けない。正しさなんてもとは、どこにもな
い。スピードが出過ぎたらブレーキをかけ
る、少し緩めてやる。その程度だ」”

 警察組織が力を持ち、中世の魔女狩りのよ
うな行為が行われる世の中を描いた、長編サ
スペンスミステリ。同社刊行作文庫版。
 会社におけるリストラ業務に携わっていた
男が、突然警察に身柄を勾留された。一度は
容疑を認めた男だったが、釈放後に主張を反
転させ…。

 上記の引用は、作中のとある重要人物の、
世の中に対する考えを述べた台詞。
何事も極端に動きすぎず、程々のところを気
をつけてうろうろするように、失敗したとき
の被害が少なくなるように、生きていられた
らいいですね。
まあ、刺激の少ない人生になりそうな気はし
ますが。
 疑わしきは罰し、推定有罪で人を取り締ま
る。正直恐ろしい世の中ですが、そういうや
り方をしているであろう国は、あまり上手く
いっていないように思われます。
 大勢の人が犠牲になる、あまりハッピーで
はない話の流れと、終わり方をする作品。
しかし最後には、より良くなって行きそうな
まとまり方をしているのは、作者の世の中に
対する期待と希望なのかなと思わせられま
す。

ーーーーー

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2025年11月30日

Posted by ブクログ

理不尽とやるせなさがゴールデンスランバーっぽい。
前半、話の全体像がつかめるまで登場人物が多くて時間がかかった。
後半の伏線回収はさすがに気持ち良かった。

0
2025年11月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

公的機関による監視社会、事実が捻じ曲げられるディストピアとなった日本。
正義のヒーローが立ち上がり、最後には既存の仕組みが緩やかに破壊される。

緩やかにというのが面白かった。結局仕組みを破壊するためには、リーダーをすげ替えて既存の仕組みから新しい仕組みに移行させる必要がある。
今の仕組みに問題があるからと言って真っ向から戦ったとしても、相手がその仕組み上のリーダーであれば、よっぽどのことがない限り変えられない。
しかし、その仕組みを提唱するリーダーを失脚させ、すげかえることで仕組みを変えられる。
そんなメッセージを受け取ったように感じた。

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2025年09月21日

Posted by ブクログ

名前からは考えられないほど重いストーリー。
ディストピアに蔓延する臭気を、1人のヒーローが取り払っていくのは二十世紀少年に近いものがあるな、と。
ラストは少し無理矢理感があるが、きちんと伏線を回収して終わらせてくれるのは流石と言った所だろう。
虫は嫌いだったが、今は少し好きになった。

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2025年07月28日

Posted by ブクログ


サスペンスや怖いのが苦手、かつ、
人間的な恐怖が多いこの作品は、読むのにかなりパワーが必要でした...

でもとにかく続きが気になる展開に、
誰なのか?なぜなのか?
と考えさせられる正義のヒーロー。

苦手なタイプではありつつも、
ドキドキした気持ちで読み進めることができました

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2025年07月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

伊坂幸太郎っぽさ全開で、抑圧された社会、バラバラのピースが繋がっていく感じが楽した。一方で今まで通りというか、あまり新しさを感じられなかった

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2025年06月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

行政による監視カメラが至る所に設置され、娯楽で人を公開処刑するようになってしまった日本で、無実の善良な市民たちや身元も武器も正体不明のダークヒーローが権力に抗うディストピア小説。
伊坂先生はデビュー作の頃から警察の腐敗や独裁者の台頭を物語に織り交ぜて警鐘を鳴らしてきているが、本作はストレートに堕ち切った社会の姿を描いているように思う。いや、さすがに日本でこんなことにはならんだろ、と思いながらも読後にずっと棘が残る。下手なホラーよりよほど怖い。

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2025年05月11日

Posted by ブクログ

2024/6/14

長い作文を読んでいるような
ディストピアですね

振り子、どうにでもならない

人間が人間らしく振る舞えるのは、群れていない時だけだ。

登場人物少し多い
昆虫奥が深い

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2025年02月08日

Posted by ブクログ

正義とは?
自分にとっての正義は果たして本当に正義なのか?誰のために??何のために??自己満??

改めてそんなところを考えてみたくなる作品。

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2024年12月23日

Posted by ブクログ

ようやく読んだ積読本。

村上春樹作品の十八番と言えば美味しそうな食べ物と性描写、伊坂作品の十八番と言えば最近は生々しい拷問と大きな権力への対抗。

作者はこの作品で何を問いかけたいんだろうと疑問に思う。

最初に読んだ「死神の精度」の衝撃が凄すぎて他の作品も色々読んできたが、最近はとてもメッセージ性が強くそれをとてもポップに描いているので逆にモヤモヤする事が結構ある。

世の中への不満を天邪鬼的に飄々と描かれると逆に重たくなる。

最初は少し気分が重くなり、中盤は流石伊坂作品と高揚し最後は何だかなあって感じで読み終わった。

良くも悪くも一気読みしてしまう伊坂作品。

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2024年10月08日

Posted by ブクログ

善と悪をグラデーションで捕らえた作品。

魔女狩りのような規律化で秩序を維持しようとする平和警察の考えにも頷ける部分はあるが、やはり極端な制御とそれによる反発とは不可分な関係にあると思う。

楽観的かもしれないが、公権力がそれなりに緩く作用している日本だからこそ保たれている秩序もあるんじゃないかなと

SとSを束ねれば極力な磁力を生み出せるがその分反発も大きい。自然界では、両極端にあるSとNが近づくことで安定した状態が保たれている。だからこそ社会の考えも、一つに揃えない(揃わない)のが自然な状態だと私は思う。

無意志で群れる大衆に強い嫌悪感を抱いていたのに、
自分もあくまでその一員であると言う事実が恐ろしい。

このくらいしっかりとディストピア文学を読んだのは高校生の頃以来だ。若干ライトだなと感じる所はあったが面白かった。

亡羊の嘆

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2024年08月04日

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