伊坂幸太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
若林少年みたいに、ちょっとした脇見運転で起きてしまう事件がある一方で、小山田俊がネットで見つける犯行声明や、実際にその人が起こそうとする事件もある。
この二つって一見同じ「事件」に見えるけど、実は全然違うものなんじゃないかと思った。
作中でも触れられていたけど、自分はやっぱり、前者みたいな「本人にそのつもりはなかったけど起きてしまった事件」の方が、後者の「明確な意図があったけど未遂に終わった事件」よりは、まだ情状酌量の余地があるんじゃないかと思う。あくまで個人的にだけど、この対比は結構印象に残った。
あと、この作品で一番印象に残ったのは、陣内の「先入観のなさ」。
自分も武藤と同じで、小林少年のことをどこか危ない存在として見てしまう感覚は正直あった。でも陣内は誰に対しても同じ態度で接していて、その裏表のなさがあるからこそ、自然に関係を築けてるんだと思う。
小山田俊のことも「観察対象」じゃなくて普通に「友達」として見てるのが、その象徴だと思った。
ここでふと思い出したのが、先入観とか思い込みをテーマにしてる作品。
火車は、自己破産って誰にでも起こりうるもので、その人が怠けてるからってわけじゃないっていう話。
野良犬の値段も、ホームレスって特別な人がなるんじゃなくて、誰でもなり得るっていうのが印象的だった。
今回の作品も陣内、武藤、永瀬を中心とした非常に個性がある登場人物達が多く読んでて楽しかった。ラーランドカーク聴こうかな。 -
Posted by ブクログ
⭐︎3.4
面白くてサクサク読めた。
後半は怒涛の伏線回収!
全部の話が繋がってるんだけど、その繋がり方が面白くて、何回もページを行ったり来たりしちゃった。
豊田さんの話は一番救いがあるというか前向きで、老犬との関係構築もほっこりする。
黒澤の話も、人生をうまく生きてるなあって感じ。
でも、河原崎と京子の話はお先真っ暗で、、
それがスパイスになって面白いんだろうけど。
どれだけ暗い河原崎の話でも、豊田さん目線で出てくる河原崎は、まだ救いがあるように見えるのが面白い。
(実情を知っている身からすると、救いはないんだけど)
注意事項としては、読むときは一気に読んだ方がいい!
最初は登場人物が誰で、どういうストーリーなのか頭に入りきってないので、日数をあけて読み進めると「あれ、この人って何の人だっけ?」みたいな現象が起きる(笑) -
Posted by ブクログ
見知らぬ男に自宅で拘束されるという不穏な冒頭で一気に世界観に入り込むことができた。
拷問して真相を吐かせようとする描写は読んでいて身が竦む思いだった。
真実を伝えても真実だと思って貰えず拷問されるどうしようもなさが気の毒だった。
拷問や事件のような重いテーマではありつつも登場人物同士の掛け合いは今まで読んだ本の中で一番面白かった。
上巻の終盤では拓海が安藤商会があるとされる盛岡に向かう新幹線の中で井坂幸太郎の書いた原稿を読んでいたが、意味があるのか?と思うシーンが多くあった。佐藤民子がペディキュアを塗る描写などなくても良さそうな描写が下巻でどのように伏線として回収されるのかが楽しみだ。
その他にも桜井ゆかりの狙いや佳代子が様々な手を使って拓海を監視する理由、暗号を検索して姿を消した五反田の行方など気になる点が多くあり、下巻を読むのが楽しみだ。
作中に作者自身をモチーフにしたキャラクターを登場させるのは斬新で面白かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ初めての伊坂幸太郎作品。
全体的にメタ目線な本文と、細かく分かれた章ごとに切り替わる点において脳が置いていかれてしまい、この著書に慣れるのには時間がかかりそう。
ただ、この三つの短編をひとつの作品として出す上で著書としては 少し手を加えた 匙加減で成し得たというのが凄すぎる。
そんな天才的な筆と独特なセンスにファンが多いのも納得。
映画監督でいうクリストファーノーランっぽさを感じた。
現段階では好きとはまだ言えないけど、何作品か読んで慣れていきたいな〜
"私はあの時に学んだ。落ち着いていれば、どうにかなるものだ。"
こんなセリフでふと思い出したのは
小学生の頃、当時から忘れ物が多くてよく掃除時間に使う白い三角巾を忘れいた。担任に見つかるとチェックをつけられて通知表に反映される(記憶が正しければ)ため、忘れた日には逃げ回っては見つかって怒られたものだった。
ある日、三角巾を忘れた日にふと思いついて逃げ回ることはせず三角巾なしで当たり前のように受け持ちの場の掃除を友達と談笑してやっていると、なんと担任は忘れ物の存在に気が付かなかった。ここで私はこの学びを得た。
その後、昼休みによくやっていた隠れんぼでも私がよくやるようになった小技は 隠れない ことだった。敢えて机で昼寝をしているフリをしていた。鬼は 隠れている人 を探しているからその小技がバレるまではしばらく捕まることはなかった