あらすじ
伊坂幸太郎の人気シリーズが新装版で登場!
小学生の娘を殺された山野辺遼・美樹夫妻は、犯人への復讐心に燃えていた。そんな二人の前に現れた謎の男・千葉。彼は遼の「死」を判定するために訪れた死神だった。行動を共にする千葉と夫婦を待ち構えていたのは、想像を絶するほど凶悪な殺人犯の罠で――。飄々とした死神を引き連れて、夫婦の危険すぎる復讐計画が始まる!
単行本 2013年8月 文藝春秋刊
文庫版 2016年7月 文春文庫刊
文庫新装版 2025年3月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫新装版を底本としています。
新装版には、新たに「著者特別インタビュー」が収録されています。
また、新装版にあたり加筆修正をしています。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
面白かった!!死神•千葉の無気力な感じが好き
犯人は因果応報になってめでたしだったけど、山野辺さんが死んでしまったのは悲しかった。でも終わりはこれだから良かったんだろうな。
Posted by ブクログ
死神第二弾で今度は長編小説で期待して読みました。とても面白かった。
山岸の言動行動は人間の感覚からはかなり乖離していて達観しているように感じた。これは今の現代人に取り入れる所も沢山あると思う。所々で引用される著名人の名言もチョイスが良かった。犯人本城のサイコパス度には読んでいて不快感を感じたが最後には最高の復讐を果たし気持ちの良い終わり方で読後感は最高だった。
伏線回収もしっかりしており読み応え抜群。死神の精度から読むことをお勧めする。
Posted by ブクログ
長編、長いようで一瞬で読み終わった。
死ぬことはこわくない、怖いけど、こわくない、と言いながらも実際の潜在意識は怯えている、その感覚は私にも薄らある。死ぬというだけ、別世界にいくだけ、そういう風に捉えてはいるけど、未知でどうなるのかは誰にも分からないことって理由が人間に恐怖を植え付けるんだろうな。
千葉が大活躍だったし、明らかに怪しい存在であるのに最後まで信じたのは、音楽以外の何にも興味がなく空気を読まない飛躍しすぎている発言、その千葉の人柄(人ではない)に救われたんだろうな。あからさまなアンパンマンみたいな人からの救いより、気遣いなど何もないその正直すぎる態度に救われることもある。
夫の方は死んでしまったけど、サイコパスにも対峙できる術もあるんだな。死んだからといっても一概に不幸とは言い切れない。死んでもどうにもならないっていうより、たとえ死んでしまってもどうにかしたい意思を見た。
Posted by ブクログ
俺は今日、この日を摘んで生きていくしかない
すっかり千葉のファン
千葉がいるから7日間は安心して読める
山野辺に対して「晩年も悪くなかった」という台詞
前作で奥入瀬に行ったときの「下流のほうも、悪くなかったぞ」を感じて嬉しかった
というか対象者に興味ないはずの千葉が確実に山野辺との7日間はそのあるのかわからない心に刻まれてるんだと思って涙が出た
でも山野辺に「可」出したのもコイツだしな...とも思う、憎めない男(?)である
本城はどうか20年間鰐に齧られ続けていてほしい
人はいつか死ぬ
それが決まってるだけでもありがたい
「あなたは一生死なないよ」なんて言われることのほうが
よっぽど絶望だ
Posted by ブクログ
たぶん1番好きな作品、前作「死神の精度」の続編。死神の視点から見る人間という生き物と価値観にハッとさせられ、ちょっとズレたやりとりにクスッと笑える。読後はしばらく雨と音楽が恋しくなる。
Posted by ブクログ
千葉さん、緊迫の場面でそらに和む。
とても良き。
寿命還元キャンペーンがまさかあのような結末になろうとは思いもせず、溜飲が下がった。
有り得そうもない展開ばかりだけど、千葉さん主人公だし、アトラクション並みのスピード感なのでエンタメ小説としてとても楽しめた。
伏線回収が少し緩いかなと感じたが、あとがきを読み納得。
Posted by ブクログ
伊坂幸太郎作品の物語の展開があまり得意ではないけど、千葉の魅力がページを捲らせてくれるおかげで終始楽しめた。テンポいい展開の読めなさはもちろん、山野辺の最後とか本城の死の判定とかのオチも軽快だった。死神シリーズの続きがでてくれないかと思うばかり。
Posted by ブクログ
死神がいることで安心する物語はあんまりないと思う
こんな刺激があればもっと楽しいだろうなとおもう
あと千葉さんが、あくまで死神であることを普通にラインを引いているのが、おーってなった
Posted by ブクログ
クールでどこか奇妙な死神・千葉の物語の第二弾。
前作『死神の精度』は連作短編集という形だったが、今作はがっつりの長編。
小学生の娘・菜摘を殺された山野辺遼と美樹夫妻は、
犯人である本城への復讐心に燃えていた。
そんな二人の前に現れた謎の男・千葉。
彼は遼の死を判定するために訪れた死神だった。
行動を共にする千葉と夫婦が駆け巡る想像を絶する七日間。
設定が重い。山野辺夫婦の体験した出来事が辛すぎて
読んでいて心が抉られる。が、そこに颯爽と現れる千葉。
この存在がとても大きかった。何でかわからないがホッとできるのである。
むしろホッとできる度合いは前作よりも濃度が濃い。
だが前作のようなどこかホロッとする瞬間というものは
今作が濃厚かつ重厚なだけにどこか薄れてしまっていた気もした。
それだけ、山野辺夫妻の負った痛みが強烈すぎるのだ。
だからこそ、より生きるとは、死ぬとは、何なのか。
そんな答えの出ない問いが頭の中を駆け巡るのかもしれない。
Posted by ブクログ
幼い娘を殺した犯人への復讐を誓う夫婦と、音楽を愛する死神・千葉との7日間の犯人追跡劇。
相変わらずピントのズレている千葉(本人は至って真面目なつもり)と極限の精神状態の夫妻との会話は絶妙に噛み合わず、その様子が微笑ましくもあり、シリアスな場面が続く作中の重さを軽減してくれる。
読みながらどうしても夫妻に肩入れしてしまっていたので、犯人の『見送り』には落胆と絶望を感じてしまったけど、ある意味『可』の方が救いがなかったというか…落とし所としては納得のいく結末で安心。
人間はいずれ死ぬわけだけど、自分はどう生きたいか、どうやって生きてどう死んでいくのか…死生観について考えさせられる深い内容の作品だった。
Posted by ブクログ
『死神の精度』の続編的ポジションなのかな?また千葉に会えて嬉しかった。音楽好きで、空気読まないのに妙に鋭い、あの死神はやっぱり嫌いになれない。情報部との会話で先読みができるのもこのシリーズのいいところ。
ただ今回は内容は重め。娘を持つ身としては、読んでいて苦しくなる場面もあった。色んな意味の「浮力」なのかもしれないな。フィクションなのに、現実を突きつけられるようなリアルさがあるのが伊坂作品のすごさ。そして今回もあった、「デスクがあるならチェアもあるのか?」みたいな日常でボソッと使いたくなる迷言(名言?)がいいスパイス。読むのをやめられない面白さがあった。ただし、千葉シリーズは短編の方が向いているかもしれないな。
Posted by ブクログ
本城崇、サイコパスの見本のような男。
でもなぜ山野辺夫妻、主に作家である夫のほうにあんなにまで苦しみを与えたがるのか、娘を殺した挙げ句、その一部始終をビデオに撮って見せ、用意周到に計算して無罪を勝ち取り、復讐に燃える山野辺夫妻を手玉にとるように追い詰め、更に殺害を重ねたようにみせかけようとする、こんな悪意を
全然、関係ない人にするか?
山野辺の読者ってことが関係してるのかな。
死神の千葉が登場してからは、相変わらずすっとぼけてはいるけれど、ちゃんと仕事はまじめにするから読んでいて痛い場面がいっぱい出てきたけど、なんとか読めた。
中でも”参勤交代”の話しはワロタ。
妻の美樹が”まるで見てきたように話すのね”って言って笑ってたけど実際見てみてるんだものね。
江戸時代、いやもっと前から活動?していたんだね。
同僚の香川が本城を”可”にせず、”見送り”にしてあと20年は生きるってことにした時はなんであんな極悪人のサイコパスをと思ったけど、
ダムに車ごと落ちて腰を打ち砕かれた状態で浮力でも上がってこれず鰐に少しづつ少しづつ食べられ20年かけて死んでゆくというまさに山野辺夫妻が望んでいたことだね。
今回も千葉は大活躍だったけど(本人は成り行きでそうしてるだけって感じだけど)”可”の判定を出すから夫の山野辺はこのあと、自転車でひっくり返すた子を助けるために車にはねられて死んじゃうだよ。
今回は見送りにして美樹と穏やかな晩年を過ごして欲しかったな。
エピローグで幼稚園に勤めてつ50代の美樹と姿形を変えた千葉が(また別件の調査で)ちょっこと再会するのがなんともいい余韻だった。
Posted by ブクログ
こちらも新装版で再読。
とても重い内容。
児童誘拐殺人
人を殺せてしまうタイプのサイコパス
復讐
他の作者の方が書いたら、すごく重い内容になるはずなのに
やっぱりやっぱり伊坂さん。
悲しみや恐怖を感じるけれど、全体的にポップに読み進められる。
そしてなんといっても死神、千葉さんが最高!
絶好のチャンスを逃すきっかけを作ってしまったり
落ち込む山野辺夫婦に笑いをもたらせたり
山野辺夫婦の危機を救ったり。
本人はただただ真面目に仕事をして、音楽に激しく惹かれているだけ。
それだけの千葉さんが、ちょっとかっこよくて、すごく愛らしい。
最後の自転車で追いかけるシーンなんて
クスクスが止まらなくて大変だった。笑
3作目も読みたいなあ。
伊坂さんの作品によくみられる
他の作品や違う場面に登場したキャラクターを
再登場させてくれるのが、わくわくして好きです。
Posted by ブクログ
前回は短編の幾つかで千葉さんの人柄?神柄?を垣間見た。人情ならぬ神情を傾けられる思考があるのが愛おしくも感じる。神は痛みも感じず毒にも侵されないなら花粉症も無縁だろうか。病は気からと言うように花粉症ではないと強い気持ちを持つことで実は症状の兆しがあっても発症することはない人もいる。
「どうせ可なんでしょ」に抗いの気持ちが隠せない千葉さん。流れ作業で処理するお役所仕事のような考え方に嫌疑を抱き判断の根拠を見出すまで調べる姿勢は利己的なマジョリティの今にアンマッチな魅力を感じる。敵討ちの長い長い道のりがその真摯な考え方を後押しする。その加勢もあってか判断を覆す程の強力な気持ちはルールをも打ち砕く。無理と決めつけられた事でも執念が可能に変化させる結果をもたらすかもしれない。
Posted by ブクログ
死神なのに、そばにいてくれると安心するのが不思議 プロローグから重くて、なかなか山野辺夫妻に良いことがなくて、悶々としたけど、最後はスカッとできる結末で最高でした 長編なのもよみごたえありました
Posted by ブクログ
死神シリーズ2冊め。
好きなものはミュージック、嫌いなものは渋滞。
死神・千葉がやってくるとターゲットが亡くなる(かもしれない)時まで雨が振り続ける。
前作と違うのはその人とその人が人生を全うするまでを追いかけた短編だったけど
今回は娘を亡くした山野辺夫婦がサイコパスな犯人・本城を追いかけるまでの7日間の長編。
本城の『支配ゲーム』は、山野辺夫妻周辺の人たちを巻き込む思惑がなんなのか、夫妻の気持ちを弄び最終的には夫婦を懲らしめるという悪質っぷりは異常。
また山野辺が愛する著者、パスカルや渡辺一夫の言葉がこの物語のキーワードになっているのかな…死に対する真理が書かれていて、山野辺がその言葉を胸に本城に立ち向かおうとする力になっているのではないかとも思えた。
結末はジワリとくるものがあったので、実際に読んでいただきたいです。
読み終えて…改めて死神シリーズは前作の『精度』の方が良かったかも。
なので★4です。
Posted by ブクログ
読みごたえがあった。もう一冊の「死神の精度」は1人(?)の死神といろいろな人の話だったので、読み切り風だったけど、今回の「死神の浮力」は1人の人と最後までいく話。
ニュースの向こう側を少しだけ見れたような感じもあったし、自分の近くにいないタイプの人も出てきたりしてちょっと怖い気持ちもあったけど、久しぶりに「早く続きが読みたい」といいペースで読み進められておもしろかったです。
Posted by ブクログ
2006年本屋大賞の続編
死神が主人公。死神視点で「人間」の生き様が描かれる。
職業死神「千葉」の物語。
前作『死神の精度』に続く長編で。今作では、愛娘を理不尽に奪われた夫婦が、千葉のサポートのもと復讐に向かう姿が描かれる。サイコパス愉快犯の狡猾さに苛立ちつつも、最後には制裁が下される展開にホッとした。
「可、ただし延命」という千葉の判定には戸惑ったが、生きながら湖底に沈むという犯人の末路は、まさに地獄そのもの。静かに、しかし確かに「可」裁きを夫婦に下す千葉の姿に、死神の“浮力”を感じた一作だった。