伊坂幸太郎のレビュー一覧
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ネタバレ「春が二階から落ちてきた」という冒頭の一文は、最初はとても情緒的な比喩表現だと思って読んでいた。しかし物語が進むにつれて、それが文字通り、弟の春が物理的に落ちてきた出来事だったと分かり、強い印象を残す。
それでも春という存在は、泉にとって「冬のあとに突然やってくる春」のようでもあり、比喩としても非常に美しい。物理的な出来事と心情的な意味の両方が重なり合って描かれているのが印象的だった。
放火魔を追う展開や、街中のグラフィティを消して回る描写など、少しアンダーグラウンドな世界が垣間見える一方で、日本のどこかに実際にあってもおかしくない物語だとも感じた。
映画のキャッチコピーである「家族の愛 -
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暴言を繰り返していた夫。妻の量子はある日、ついに暴力を振るってきた夫を正当防衛のために殺してしまう。そこへ、最近、久しぶりに再会した大学時代の後輩、桂凍朗が訪ねてきて、事件は意外な方向へ進んでいく。
「なぜ、そんな名前をつけたの?」と言いたくなるような相変わらずのネーミングセンス。
『不思議の国のアリス』は子どもの頃、読んだことがあるけど『鏡の国のアリス』は読んだことがなく、ジャバウォックという言葉すら知らなかった。学校司書なのに恥ずかしい…。
そして毎回、伊坂作品はよくわからんなーと思いながら読んでいくと突然、刺さる言葉が出てくる。今回も「他人と過去は変えられない。自分と未来は変えられ -
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ネタバレ伊坂幸太郎は好きでよく読むけどこれは特に好きだった。
喋るカカシとかいうファンタジーな存在、変な島民たち、それらを変だと思いつつ順応していく主人公、すごく刺さった。現実には絶対にないのに、もしかしたらどこかにはこういう島があるのかも…と思わされた。
ちゃんとミステリーの部分もあって面白かったし、何よりキャラクターが良かった。
島に足りないものが何か、がわかったときの日比野の嬉しそうな様子で何故か泣いてしまった。日比野には幸せでいて欲しいと思った。
あと好きなのは、城山が島に着いて最初に民家を訪ねるシーン。それが桜の家だとわかった瞬間、こいつ踏むぞ、と思ったし、そのための花の種だったんだと気 -
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それぞれの短編の結末が心をスカッと、あるいはじーんとさせてくれる。それぞれの子供の未来には心がほっこりさせられて、宣伝通り、爽快な読後感がある。短編も全く世界が乖離しているわけでも、子供達が皆同じ時代を生きているわけでもなく、つながりを考察するのもなかなか楽しい。とてもよい作品。
逆ソクラテス:野球。犯罪者の息子。大人の先入観に立ち向かう、子供たちの姿が爽快な読後感を生んでくれる。「先入観は敵」、「僕は、そうは、思わない」響く言葉を得られた。
スロウではない(磯憲):リレー。いじめっこの変貌。いじめに関する自分の中の先入観にハッとさせられる。そんな世界線もあるのかと思い知らされた。
非オプテ