伊坂幸太郎のレビュー一覧
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ネタバレ本作を読んで最も心に残ったのは、成瀬・響野・雪子・久遠の四人のやりとりに漂う、穏やかで揺るぎない信頼関係でした。言葉を交わすたびに、互いを尊重し合う姿が感じられ、読んでいる自分までその輪の中に入れてもらえたような温かさがあります。
中でも中心となる成瀬は、まさに“頼れるリーダー”そのものでした。状況を冷静に読み、仲間の気持ちを誰よりも理解し、鋭い判断力で道を開いていく姿は、ページをめくるたびに「さすが成瀬だ」と唸らされます。特に、雪子の元夫である地道の裏切りをあらかじめ見抜き、あえて仲間に引き入れたうえで偽の会議情報を流す場面は圧巻でした。
しかしその一方で、地道の携帯に盗聴器が仕掛け -
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伊坂幸太郎第一期の集大成といった作品。
高校生の由紀夫には父親が四人いる。
ギャンブル好きに女好き、博学卓識、スポーツ万能。
個性溢れる四人の父親と暮らす由紀夫が遭遇するのは、
知事選挙、不登校の野球部員、盗まれた鞄と心中の遺体。
次から次へと巻き起こる事件と深まる謎。
まさに思いもよらぬ物語が駆け巡る。
まさに自分が心打たれた伊坂幸太郎の世界が全て詰まった物語である。
現実的にはあり得ない設定。
むしろ今なら倫理的なことをとやかく言われるのかも。
とは言え、そんなあり得ないをありにしてしまうその手腕が伊坂幸太郎。
こういうオフビートでもないけどそういう感覚にさせてくれる世界観、
まさに唯 -
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ネタバレ螺旋プロジェクト作品
嫁姑、遺児同士の対立の2篇で構成された作品
シーソーモンスター
専業主婦が国家スパイという設定がありそうでなかなか見てこなかったので自分としてはすごく新鮮で楽しめた。その姑も実は、、というのも面白かった。
その対立している2人が腕を競うように尋問していくシーンがシュールさと残虐性が混ざって一番好き
自分を嫌悪する姑が自分と同じ境遇で、写鏡であることの皮肉が効いている
スピンモンスター
人口知能による支配の物語
人工知能ウェカセラリの破壊を目指す
構図としてはゴールデンスランバーやモダンタイムズに似てて個人対国家で懐かしさがあった。
内容がシリアスでいつもの軽 -
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まさか自分が「痴漢は死ね」ってワードで泣くことになるとは思わなかった…!!
先の展開が読めないドキドキ感がいっぱいで進んでいくストーリー。「もうダメだー!」「詰んでるよー」と思ってしまうけど、主人公のことを応援したくなってる自分もいて、臨場感いっぱいだった!!!
読み進める中で、三浦が出てきたあたりから、ギアが一つ上に入ったような感覚で、ストーリーがグイグイ進んでいき、自分がページをめくってるのに、なぜか受動的な感覚に陥るくらい、勝手にページが進んでいくような錯覚すら覚えた。
ラストはまさかのまさかで、そんなことになるなんて思ってなかったから、痛快で爽快な展開だった!!! -
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短編集。
一つひとつの読後感がとても良く、得した気分になれた。ほっこりするエンタメなんだけど、我が身を振り返るきっかけにもなる。ノスタルジーもありつつ。
表紙の絵がなんだかジョジョっぽい。
・逆ソクラテス
先入観を取っ払う。小さいけどすごく重要なところに真剣に向き合う小学生たち。そんなことを主軸にストーリーを組み立てて面白くできるのがほんとすごい。
10年以上前に書かれた作品だったんですね。
・スロウではない
ドン・コルレオーネが好き。「うむ、では。はい。消せ。」
リレーの練習とかリアル。渋谷亜矢がものすごく腹立つように描かれているのが良い。
ラストがすごく好きだった。
・非オプティマス -
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いや、やはり伊坂幸太郎だ。
これでもかと言うぐらいエンタメに振り切った伊坂幸太郎は最強だ。
そう久々に思わせてくれた作品ではないだろうか。
『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX』に続く殺し屋シリーズ最新作。
やることなすことツキに見放されている殺し屋・七尾。
通称「天道虫」と呼ばれる彼が請け負ったのは、
超高級ホテルの一室にプレゼントを届けるという
「簡単かつ安全な仕事」のはずだった。
時を同じくして、そのホテルには
驚異的な記憶力を備えた女性・紙野結花が身を潜めていた。
彼女を狙って、非合法な裏の仕事を生業にする人間たちが集まってくる。
今回の舞台はホテル。
次から次へと湧いて出て