あらすじ
逆転劇なるか!? カンニングから始まったその作戦は、クラスメイトを巻き込み、思いもよらぬ結末を迎える(逆ソクラテス)。足の速さだけが正義……ではない? 運動音痴の少年は、運動会のリレー選手にくじ引きで選ばれてしまうが(スロウではない)。最後のミニバス大会。五人は、あと一歩のところで、“敵”に負けてしまった。アンハッピー。でも、戦いはまだ続いているかも(アンスポーツマンライク)。など短編全5編の主人公はすべて小学生。デビュー20年目の新境地ともいえる本作は、伊坂幸太郎史上、最高の読後感! 2021年本屋大賞第4位。柴田錬三郎賞受賞作品。
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小学生高学年目線で紡がれる5篇。過去の追想だったり、現在進行形だったり設定は様々ですが、一貫して気持ちのいいラストに着地するのがお気に入り。「磯憲」のセリフがいちいち胸に刺さって期せずして涙腺が刺激されるのも良き
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短編集。
一つひとつの読後感がとても良く、得した気分になれた。ほっこりするエンタメなんだけど、我が身を振り返るきっかけにもなる。ノスタルジーもありつつ。
表紙の絵がなんだかジョジョっぽい。
・逆ソクラテス
先入観を取っ払う。小さいけどすごく重要なところに真剣に向き合う小学生たち。そんなことを主軸にストーリーを組み立てて面白くできるのがほんとすごい。
10年以上前に書かれた作品だったんですね。
・スロウではない
ドン・コルレオーネが好き。「うむ、では。はい。消せ。」
リレーの練習とかリアル。渋谷亜矢がものすごく腹立つように描かれているのが良い。
ラストがすごく好きだった。
・非オプティマス
先生の語りは惹きつけられて、一気に読んでしまった。自分の行動を振り返らせられた。
ラスト、良い。
・アンスポーツマンライク
バスケの疾走感が見事。
事件の時の描写もスピード感と臨場感があって、すごく良かった。
・逆ワシントン
小学生が主人公らしい、ハートフルな作品。
ラストの家電売り場の人が誰なのか分からなかった。
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「ぼくは、そうは、思わない」
先入観で何もかも決めつけるのではなく、自分の意見はしっかりもつべき
正直な人は得も損もする、けれど真面目な人は人に応援される
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なんというか、学びの多い一冊だった。
心の中に留めておきたい言葉がたくさんあった。
最初短編集だと知らなくて読んでて、「逆ソクラテス」の少年たちの話がもう少し長く読みたかったな、と寂しくなった。
敵は先入観。
私は、そうは思わない。
この先の人生で役に立ちそうな大切な言葉を教わった!
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少年時代の思い出。誰にでもあるクラスでのやり取り、人間関係のねじれ、これをインサイト深く小さなも物語にし、かつそこに著者の価値観、譲れない一線を含めた短編集。物語の書き込みにリアリティがあり、登場人物ひとりひとりの言動に深い洞察があるので、テーマや物語に一切突飛さやダイナミズムはないが読ませるし、心に訴えてくる。個人的にとくに彼の価値観に共感するものがあるので良い小説だと思った。
Posted by ブクログ
「敵は、先入観だよ」
5つの全ての章でこのテーマを元に進められていた。
無意識をおこる先入観から相手を決めつけ、その先入観から相手を評価してしまっていると感じた。
とくに、最後の逆ワシントンは真面目な人が損をし、要領のいい人が得をするような今の世の中で、真面目で約束を守る人間が勝つという小さな逆転がよかった。
どの章も違う面白さがあり、どれが1番なんかなんて決められなかった。しかも、それそれの章が独立しているかと思いきや、繋がっている部分があり、伏線回収がおもしろい!!
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先入観は敵であると共に味方であると思った
確かになと思うことが自分にはあったからだ
SNSの名前をその日の気分で変え続けていたら
変な名前の人は自分だと新しく知り合った人もすぐ分かってくれる
何でもこれ買ってこれ欲しいこれちょうだいと
とりあえず言ってみる癖がある
色々な事最初は変わってるって言われるけど
慣れてきたらみんなさほど気にならなくなるらしい
まさに自分は先入観に守られて人と仲良く生きてけてると思った。
Posted by ブクログ
伊坂さんが十年前から構想してた子供達が主役の作品。子供から見た小さな世界の表現力、言葉遣いなどにも意識を向けないといけない為に作成するのに膨大な時間がかかったらしい。その難しさが伝わらない程いつもの伊坂ワールドを発揮していて、かつ読みやすかった。無知を知ることが大事だと唱えたソクラテスに対し、自分は知っていると勘違いしている先生を逆ソクラテスと表現し、その先生に対し、先入観を壊す為に子供達が奮闘する。自分にもどこかしら先入観や主観的な意見で答えがないものでも自分と違う意見だと否定してしまっている場面があったからこそ、自分の先入観を一旦消してみて受け入れる。自分の意見があるならそれを周りに合わせない。「そうは思わない」と言う魔法の言葉を使おうと思う。磯憲や久保先生の指導、謙介のお母さんの子育ては自分を見直すきっかけになった。過去のことについて追求し、非難するのではなく今に向き合うこと、向き合い方を自分の目で見て判断すること、評判の大事さ、何も持たない我々への心の持ち方の大切さ。1テーマごとに人生の教訓のようなものを持ち合わせていて過去にない伊坂作品だった。桜の木を切ったワシントンの話を正直者は報われる信念と結びつけたり、アンスポーツマンシップをリスタートの機会と結びつけたり、ドンコルレオーネのゴッドファーザーを勇気の源として結びつけたり、伊坂ワールドと教訓の融合も見ていて飽きなかった。
Posted by ブクログ
僕はそうは思わない
作者が伝えたいこのフレーズの意味を最後まで読んでしっかりと理解してとても腑に落ちました。自分自身がどちらかというと真面目に生きて損をする側の人間であると思っているので、この本はそういう気持ちを持ってネガティブになってしまった時にこそまた読み返して勇気づけてもらいたい作品でもあるなと思いました。
Posted by ブクログ
以前伊坂さんの作品を読んだ時は読みやすくて気になる小説を書く人だなぁとしか思わなかった。
しかし、この作品は伊坂さんの人となりが出ている作品だった。芯をしっかり持っているが、それを周りに押し付けない、それでいて、様々なことにおいて色んな視点から物事を見ることが出来るフラットな人であると感じた。
伊坂さんの内面を知ることができるような作品で嬉しかった。伊坂さんの内面を垣間見たことで、他の作品も読んでみたいと興味が湧いた
Posted by ブクログ
Audibleにて拝聴しました。
伊坂幸太郎さんの凄さを改めて実感した1冊でした。
どれも美しい短編でしたが、「アンスポーツマンライク」が私は1番好きです。歩くんが1歩を踏み出すシーンが本当に印象的でした。そしてその「アンスポーツマンライク」のその後を、「逆ワシントン」で更に強めるサプライズ。非の打ち所がない傑作短編集です。
Posted by ブクログ
わたしは、そうは思わない。 読んだ後、早速使ってみた。自分は自分が思うことを信じること、そしてそれを声に出してみることもまた違う何かをもたらしてくれそうだと感じた。娘の話、母親に対する反論をちゃんと受け止めなくては、と思った。 伊坂さんならではの世界観、やっぱり読書はいいなぁと思った。
匿名
面白かった。
伊坂先生の作品の中では珍しい感じの方なんだろうか。
物騒な事件もほぼないし、読んでてさわやかな気持ちになれた。インタビューもおもしろかったな。
Posted by ブクログ
伊坂先生の作品の中では異色かも。
主要人物達が学童だなんて初めてかもしれない。初めてみたい。
...時間を経て大人になっていくお話もあるが。
「いやな奴」が出てくる。
小学生にいがちな「いやな奴」。
そして、作中にうちの子供と同じ名前の子が出てきて
またその性格もうちの子と似ているのだ。
幸い「いやな奴」ではなくフィクションといえホッとした。
子供世界は狭い。
ものすごく狭い。
クラスが世界の全てのような世界。
その中でうまく立ち振る舞いながら社会性を身に着けていく(と思ってる)
ただ、幼さゆえの根拠なき迫害や異質な物を排除しようとする事が起きる。
(まぁそれは大人になってもなくならないのだけれど)
そういう場面でどう立ち振る舞えばよいか、どう立ち向かえばよいか、
フィクションとはいえ(しつこい)娯楽としての参考例のような物がここにしるされている。
残念ながら、本書は学童向けの作品とは言い難いが、
かつて学童であった大人達の心の何かにふれる作品だ。
感動とかそういう安っぽい表現ではなく、うまく言葉にできない何か。
子供にはまだちょっと難しく勧め難い作品だけど
「これ面白かったよ(いつか読んでみたら)」
といえる作品。
明日、久しぶりに他県にいる友人にメールをしよう。
Posted by ブクログ
敵は、先入観。多感な時期の少年少女達が、様々な先入観に、それぞれの武器で立ち向かう5編の短編集。
大人の今でもグッとくる話ばかりだが、学生時代に出会えたら更に人生違ったものになったかもと思える作品。
繋がりも見事で、「これがあの子か」と読み返したくなる
Posted by ブクログ
小学生の視点だったが自分自身の昔の感覚を思い出させてくれた。もちろん現代の子供たちとは違う世相で育ってきたが子供の頃に感じていた正直さや正義感は今も変わらないのだなと思った。
今までと少し雰囲気は違ったが、まあ良かったやん、という読後感は健在で大いに楽しめたと思います。
Posted by ブクログ
『逆ソクラテス』
まずこのタイトルに興味を持ち、カバーイラストの美しさに魅了されて読み始めました。
最初の感想は小学生か中学生の時に読みたかったということです。少なからずこの本を読んで視野が広がったり、救われたりする子は必ずいると思いました。
次に、「偏見や先入観に基づいた思考の危険性」や「疑うことの重要性」に気づかせてくれました。
ソクラテスが説いた無知の知の逆つまり自分はなんでも知っている、知らないことはない、この先生のような「逆ソクラテス」状態の大人は沢山います。そんな大人に一矢報いる逆ソクラテス作戦。短編5作の中で1番好きでした。作中さまざまな教訓や答えのない問いが出てきて、感心したり、一緒に悩んだりそんな読書となりました。
答えのある問題提起に綺麗事や理想論で答えるのではなく、答えのない問いに結論は出せなくても自分なりに考え、意見を持つスタンスが好きです!
4作読んだ後の5作目は父親を疑いはしても虐待してると決めつけることはしなかったのがこの本を読んでの自分の成長なのかと。終わり方も部分部分で繋がっていて感動的な終わり方でよかったです!!
ふとした時にまた本棚を漁って彼らの活躍を読む時を楽しみにしてます!
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珍しい。逆転のような、大人の決めつけをひっくり返す返してくれるような。これまで読んだことがないような小説だった。予想を裏切って、私たち大人に生き方の示唆をしてくれるストーリー。どれもこれも秀作ばかり。心にしっかりとしまっておきたい。
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短編集はあまり読まないが思ったより楽しめた。タイトルにもなっている1つめの短編「逆ソクラテス」の、僕はそうは思わない、というセリフは自分らしさを守るための大切な言葉だと思った。
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子供の日常を描いた5編の短編集。
もともと伊坂さんの作品には、倫理的な問題を考えさせられることが多いのだが、本作は人生経験の少ない子供の目線で語られていることもあってか、それがより強く感じられた。
といっても、説教じみた答えを押しつけられるわけではなく、正解のない問題に向かい合っていくことで成長していく子供たち、そして大人たちの姿が描かれている。
子供向けの本というわけでもないが、子供にも読ませたい本。
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〜ができるようになった、という単純な成長ではなく、1人1人がある経験を通して自分のあり方が少し大人に近づいたような変容が見られる短編集でした。夏に読んだこともあり、夏休み明けの少し成長した子ども達の様子を覗き見したような感じで読みました。
大人を信用してもいいし、しなくてもいい。
僕はそうは思わない。反抗的に使うのではなく、価値観の違う人との意見交流の中で、自分の意思表示として使えたらいいな。
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先入観をテーマとしているためか、こういう展開になるんだろうなという予想と少し違ったように進むこともある。改めて自分の中でも「先入観」はあるものだなと感じた。
短編が5つあり、どれも小学生をメインに話が展開していく。
どの話も良かったのだが、個人的には非オプティマスに登場する久保先生の考え方が自分と似ている部分があり、親しみ深い作品。
Posted by ブクログ
久しぶりの伊坂さん、めちゃくちゃ良かった。これは人に薦めたくなる!
子供達が主人公って珍しいなぁと思いながら読んでたけど、後書きで伊坂さんもそう書いててやっぱりそうかと思った。子供達ならではの、人間関係や行動範囲は狭いのに、体の小ささに対して何もかも大きく見える世界が、すごく上手に描かれていると思う。自然と小学生の目線で世界を見るので、小学生時代をもう一回疑似体験というか。自分の子供の頃を振り返らずにはいられないな〜面白いな〜!
読後感がとてもいい。本当にいい。すごく好きな短編集だった!
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ちょっと哲学的で、子供ながらの障害の乗り越え方とそれをサポートする大人の物語だった。
生きるために他人に合わせるのも大事かもしれないけど、じぶんの信念とか意思とかは否定せずに心のどこかに留めておこうと思った。
伊坂さんの、他の話にも別の登場人物がふわっとでてくる、遊び心いいよね。
Posted by ブクログ
正直に言うと、小学生を主人公にした小説は苦手である。胸が苦しくなる。人生経験が少ないからこその純粋さがまぶしいからでもあり、その純粋さが含み持っている残酷さと傷つきやすさが、安易に物語を楽しむことを許してくれないような気がするのだ。傷つきやすいくせに傷つきやすい、未熟なくせに自分なりに一生懸命考えて頑張る。人間という生き物の危なっかしさを、オブラートに包まずあからさまに掲げているようで、痛々しくも愛おしくなる。
この物語に出てくる少年・少女たちも同じである。作者はそういう子どもたちの姿を、温かく描き出している。どいつもこいつも危なっかしく、平気で傷ついたり傷つけたり、小さな心でたくさん悩んだり生意気を言ったりしている。物語としてほっとするような優しい結末が用意してあって、読後感は爽やかだ。いい話を読んだなって思うし、人生が本当にこんなふうであったらいいなと思う。ある種のよくできたおとぎ話。そこがとてもいい。誰にでもお勧めできる短編集だと思う。
個人的にもうひとつと思ったのは、登場する大人達だ。ちょっと善悪(子どもたちから見て)がはっきりしすぎているような印象があった。子どもも大変だけど、大人だって大変なのだ。そのあたりがもうちょっと膨らみを持って描いてくれると、もっとほろ苦いいい味になったような気がする。
Posted by ブクログ
Audibleできいたのだけど、耳からだと微妙なところがよくわからなかった。
一つ一つの話のあらすじは分かるのだけど、 作品感の関連までは聞き取れなかった。
Posted by ブクログ
「先入観」がテーマになっているので、「なるほどなぁ」「たしかに」とハッとさせられる部分がちょこちょこあった。
個人的に好きだったのは「スロウではない」「アンスポーツマンライク」。
「スロウではない」の展開は、私自身も先入観で騙された。
もし大人になってから仲良くなった人や結婚を考えている相手が、昔いじめをしていた人だったら。そのいじめによって相手が命を落としてしまっていたとしたら。たとえ本人が改心してその後は真っ当に生きていたとしても、自分は許せるだろうか?と答えの出ない問いをしばらくグルグル考えてしまった。
「アンスポーツマンライク」はシンプルに胸熱展開だったな、と。子どもの頃に言われた何気ない一言が呪いになってこびりつく気持ちはよくわかるので、歩君がリベンジのような形でカッコいい一歩を踏み出せて良かった。
Posted by ブクログ
読みながら無意識に自分の小学生時代と照らし合わせていた。これは道徳の授業で使えるぞ、教科書に載っててもおかしくないぞと思えるほど生きていく上で大事な事を学べる作品だと思いました。
しんみりするしスカッとするかと思いきや刃物や銃が出てきて急に物騒になるところに伊坂さんらしさを感じました笑
あとがきも含めてとても素敵な作品でした。