伊坂幸太郎のレビュー一覧
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伊坂幸太郎さんの作品は今回が初めてです。
事前に少し下調べをして、その時の気分でこの本を選びました。
織田一真のキャラクターやテンポの良い会話はもちろん、藤間さんの課長が語る人生の教訓(ミッキーマウスが手を振り続けるくだり)が特に印象的でした。
2人とも個性的ですが、「こういう人、いるよね」と思わず微笑んでしまうような親しみやすさがあります。多くの登場人物が出てきて、いたるところに伏線が張り巡らされているので、これは確実に「もう一度読むことになる作品」になりそうです。
終盤のボクシングの熱狂は、まるでジェットコースターで一気に駆け抜けるようなスピード感で、気がつけば読み終えていました!
読み飽きない仕掛けがたっぷりと詰まった、大満足の一冊でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ伊坂幸太郎というと、『重力ピエロ』の最初の一文、「春が二階から落ちてきた。」の何たるマジカルなことで有名であると思うが、この『残り全部バケーション』はその反対、最後の一文があまりにもマジカルである。まあそれは小説なんだからそうだろう、と言いたくなる諸君もいるかもしれないが、そんなことを一瞬忘れてしまうくらいには最後の一文がマジカルなのだ。なんだか、ニクい。「焼き肉屋だったら承知しねえぞ」。伊坂幸太郎が書く世界はよくデザインされている。「警察」がいないのだ。なにもかもが目に見えないくらいの細い糸で繋がっていて、それが切れるようなことがない。はじめは何もないと思っていたところに糸が「あった」ということが適当なタイミングで適当に知らされる。あまりにも完璧なのだ。あれはプロットがしっかりしていないとできないだろう。実に、彼の書く世界は文学の力とか可能性とかそういうものに満ち溢れているし、彼自身、心の底からそれを信じているに違いない。現実ではそれは死んだ世界かもしれないが、文学の上では生きた世界なのだ。残り全部バケーション、あとは描かなくてもわかるでしょう?
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ネタバレやっぱり人間生きていればなんとかなるんだから、醜態を晒してでも生きて生き抜かなきゃいけない
伊坂幸太郎の物語はそれをよく感じさせてくれる
青柳が逃げて生き抜くことを選んでくれたのが嬉しかった
大きすぎて姿の見えない何者かが迫ってくるストーリーはハラハラしてとっても楽しく読めた
そこに散りばめられた伊坂節っていうのかな??
ちょっとふふっと笑える会話がところどころにあってそれがとても好き
全部の伏線を綺麗に掻っ攫う他の作品も好きだけど、風呂敷畳みきらないスタイルのラストが物語に似合ってた
森田がすごく素敵なキャラで好きだった、、生きてくれてたらきっと青柳屋!してくれたんだろうな〜
丸く収まるハッピーエンドではないかもしれないけど、大満足の1冊だった! -
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『マリアビートル』に続き、天道虫こと七尾のお話。
今回も、高級ホテルの一室にプレゼントを届ける
ただそれだけの簡単な仕事だったはずが、やっぱりそうはいかない。事件に巻き込まれ、ホテルから出られなくなってしまう。
テンポがよく、登場人物は多いのに、それぞれの個性がしっかり立っていて魅力的。次から次へと状況が動くので、一気読みでした。
そして途中で「兜」の名前が出てきた瞬間、ちょっと泣きそうに。殺し屋シリーズを追いかけてきた読者には、こういうつながりがたまりません。
善と悪が入り混じり、ひっくり返り、「えっ!」と思わず声が出てしまう場面も。
高校生の息子にストーリーを話したところ、読みたいと言うので貸してみたら、息子もまったく同じ箇所でびっくりしたらしい。
作者の誘導に、親子そろってまんまとハマっています。
メタリックなカバーがとてもかっこよく、どうやらその表紙も読んでみようと思うきっかけになったようです。これから伊坂作品を共に楽しめそうです。 -
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甥に本を読んでほしくて、朝読タイムはあるらしいので(朝読は全国共通の言葉なのだろうか?)中学生でも読みやすい本をネットで調べていたらこの本が取り上げられており、丁度、昔読んでたけど伊坂幸太郎また読みたいなぁと思っていたので、買って中学生でも読めそうか確認のためそして個人的欲求の為に読んだ。
子どもの頃を回想する短編集なので子どもに刺さるのかは分からないが、スポーツをやってることもあり、興味を少しでも持ってほしいと思った。
子ども時代には価値があり、だがそれが人生の全てでもなく、大人も子どもも同じなのだと言うことを分かってほしいなと思った。
私はここまでの印象深い小学校での出来事がないので、なんだか侘しさを覚えた。 -
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『俺ではない炎上』のあとに本作を読みました。どちらも「冤罪を着せられ、大衆から逃げる」という共通点がありながら、結末や読後感が異なります。本作の方が読者に委ねられた余白が多く、より深みを味わえました。
※以下はネタバレ要素を含みます。
『ゴールデン スランバー』において特に印象的だったのは、最後まで「真犯人は誰だったのか」「なぜ青柳が標的にされたのか」という核心が明かされない点です。国家規模の巨大な権力や悪意が背景にあることを予感させつつ、その真相が闇に包まれたまま進む不気味さが最後まで残りました。もし別作品として、この事件を仕掛けた「真犯人側の視点」で物語が描かれることがあれば、ぜひ読んでみたいです。
物語の結末は「王道のハッピーエンド」ではなかったものの、青柳が過去に関わってきた人たちとの繋がりや信頼は、どんな巨大な力をもってしても決して消し去ることはできず、温かさを感じる作品でした。 -
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舞台は東北新幹線。乗客は、殺し屋など、わけありの人たちで、それぞれの思惑が意外な形でぶつかり、交錯し、心理戦、頭脳戦が繰り広げられていきます。
個性的な殺し屋がいろいろ登場するのですが、なかでも特にわたしが好きになったのは、二人組の殺し屋「蜜柑」と「檸檬」です。
文学好きの蜜柑。
『きかんしゃトーマス』好きの檸檬。
二人は蘊蓄を交え、哲学的ともとれる言葉を口にします。
「こういうキャラクターが好きでしょ?」と作者にわたしの心を読み取られたかのように、楽しくておもしろい気持ちにさせられる二人組でした。
そのほか、興味深いキャラクターの中に、悪魔的な少年「王子」がいます。王子は、明確な答えの出ない質問を、試すように、見下すように、大人たちに投げかけます。
「どうして人を殺してはいけないの」
わたしは逆に「どうして人は人を殺してしまうのか」と、殺し合う殺し屋たちの物語を読みながら考えてしまいました。
そこで、この小説のタイトル「マリアビートル」です。
殺し屋の一人が、てんとう虫を見ながら、マリアビートルという英語での呼び名について思いをはせる場面があります。小説の中で味わったほうがいいと思うので、ここでは詳しく書きませんが、殺す側の心の中に繊細な感受性が描かれていて、いいなと思いました。
文庫本の残りのページが少なくなり終わりが近づいてもハラハラ感が増し、「これ、ページ足りるの?」「懸念していた問題は解決するの?」と心配になりながら没入して読みました。そして、無事に読み終わり「おみごとでした」と思いつつ、本を閉じました。 -
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主人公星野一彦が、見張り役の粗暴な大女とともに五股をかけていた彼女たちに別れを告げに行く。
〈あのバス〉で連れていかれるまでに。
主人公星野は自分から別れを告げにきたくせに、モヤモヤ引きずってその女性を気にかけている、
というのを5人(五股をかけてたので)に繰り返しながら話が進む。
別れるために会いに行き、
大女の繭美が何でもズバズバ言って辞書を出し、「私の辞書にはのってない」という。
そして〈あのバス〉で連れていかれるという不穏さもその都度チラリと覗かせる。
最後の繭美の行動で話を終えた所が良かった。
ふたりの数週間は、お互いを理解するのに充分な時間だったんだな、と思った。
太宰治の絶筆『グッド・バイ』をモチーフに書かれている。
おもしろかった。