伊坂幸太郎のレビュー一覧
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『キャプテンサンダーボルト』 阿部和重 × 伊坂幸太郎少年野球でバッテリーを組んでいた相葉と井ノ原が、大人になって再会し、蔵王の御釜を舞台にテロリストと戦う冒険譚。相葉は熱血タイプ、井ノ原は巻き込まれ体質で、関わらないようにしても結局巻き込まれる。その心理描写が面白い。村上病という架空の感染症、生物兵器、東京大空襲のB29墜落など、歴史とフィクションが絶妙に絡み合う。「村上病はあるけどない」という言葉が物語の鍵。登場人物や犬も個性的で、特に犬は自由気ままで愛らしく、『ハウルの動く城』の犬を思い出した。ストーリーは一見大味でも、伏線回収やテンポの良さに伊坂さんらしさが光る。阿部さんの作品も読ん
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Posted by ブクログ
高校生ぶりぐらいに読み返したけど、やっぱり伊坂幸太郎の中で一番好き。これがデビュー作なのすごい。5ページおきくらいに泣きそうになっていた。不思議。
ノスタルジックな世界だけど、この世界でもちゃんと悪が存在する。伊坂幸太郎の作品は、悪、不条理をがむしゃらにというよりはふわっと主人公なりの正義を持って飛び越えていく。
(言語化が難しい、、語彙力が足りない、、)(お前は逃げるよ、と言われた主人公だけど)
登場人物それぞれに正義があるところも魅力。(aはbだ、という表現も一種の正義)
逃げたくなるようなやるせない世の中でも、向き合ってみようという気持ちになれる。読後、少し世界が魅力を持って見えるよ -
Posted by ブクログ
何回目かの再読。最近いろいろな作家さんの本を読むようにしているけど、やっぱり自分は伊坂作品の世界観が好きだし、この本が好きだなとしみじみ感じた。
ジャンルとしてはいろんな犯罪が出てくるし、ミステリーに分類されるのかもしれない。けれど、この本は家族の話であり兄弟の話というほうがしっくりとくる。
初めて読んだのは大学生のころだったが、それから何年も経って改めて読むとお父さんの優しさと強さが胸にグッとくる。
「俺たちは最強の家族だ」
「おまえは俺に似て、嘘が下手だ」
深刻な状況でこんなことをさらっといえる大人っていいなと思った。
個人的にはお母さんの「気休め」と競馬場のエピソードも好きだ。
ま -
Posted by ブクログ
本当に面白いです。
終わり方としても決してハッピーエンドではないものの、最後の章「事件から三ヶ月後」では当事者たちに救いがあった事がわかり切ないはずなのにどこか穏やかなほっこりする感じがたまりません。
伏線も見事です。
事件を客観視した視点、事件から二十年後の話が前半の章で出てくるので、その後の章の事件最中の主人公視点と照らし合わせて見るとより面白いと思います。
私は一通り読み終えた後第三章まで読み直しましたが、また新たな発見が…
二十年後のノンフィクションライターって…あの人ですよね?
「森の声」で『ん?』と思って再度読んだら『やっぱりそうじゃん…』と腑に落ちちゃう箇所があるんですけどど