あらすじ
大学入学のため引っ越してきたアパートで、最初に出会ったのは黒猫、次が悪魔めいた長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。標的は――たった一冊の広辞苑。僕は訪問販売の口車に乗せられ、危うく数十万円の教材を買いそうになった実績を持っているが、書店強盗は訪問販売とは訳が違う。しかし決行の夜、あろうことか僕はモデルガンを持って、書店の裏口に立ってしまったのだ! 四散した断片が描き出す物語の全体像とは? 注目の気鋭による清冽な傑作。第25回吉川英治文学新人賞受賞作。
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ブータンの国民性(因果応報だから悪いことはしない、生まれ変わりはあるから死と恐怖は別物、自分のことよりも他人のことを祈る)、倫理観が曲がった若者、出会いと運命、といったテーマ設定が面白かった。
他人に興味がない麗子さんが、琴美と河崎、ドルジに出会って、助けれる人は助けるといった信念を持つようになったのに感動した。
意外と外国語習得の極意も散りばめられていたので英会話実践してみたくなった。
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河崎、ドルジ、琴美の物語の終盤に巻き込まれる椎名の話。
高校卒業後、上京したてでまだあるべき自分がないなかで、何か刺激的な香りがする河崎にどことなく惹かれてしまう気持ちはすごくわかる。
読者としては、そんな素直でどことなく頼りない椎名の考察や言動が頓珍漢であることにいじらしさを感じつつも、彼らの物語を受け入れ、人間的に成長したと思う。
実家に帰り、家業を継ぐのかもしれないが、頼りがいのある椎名になるのではないか、と個人的には考えている。
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伊坂幸太郎さんの『アヒルの鴨のコインロッカー』、です。
大学進学のため仙台に引っ越してきた椎名は、アパートの隣人である青年・河崎と出会います。河崎は椎名に親しげに接し、ボブ・ディランの歌をきっかけに会話を重ねた後、「広辞苑を盗むために本屋を襲わないか」と呼びかけます。椎名は半ば流される形でこの計画に加わり、モデルガンを持って書店に向かい、本屋を襲います。
一方、物語と並行して二年前の出来事が描かれます。仙台でペットショップに勤めていた琴美は、ブータン人留学生のドルジと恋人関係にあり、穏やかな日常を送っていました。その頃、仙台では動物を標的にした連続虐殺事件が発生しており、琴美は犯人グループと夜の公園で偶然出会い、彼らに狙われることになります。
当時、琴美とドルジの周囲には河崎という青年が存在しており、攫われそうになる琴美を助けてくれていました。また、河崎はドルジに日本語を教えてくれる存在でもありました。しかしその後、河崎は病を苦に飛び降りてしまいます。広辞苑は、日本語教師である河崎とドルジの繋がりを表現しています。
さらに、ペット虐待犯を追う過程で、琴美は彼らが逃走しようとする車に跳ねられ、命を落としてしまいます。琴美は死の直前、少し先の未来でドルジが犬を助けるために車に飛び込む場面を夢に見ていました。
現在に戻り、椎名はペットショップの店長・麗子から真実を聞かされます。椎名が隣人として接してきた「河崎」は、実際には河崎本人ではなく、ドルジが河崎の名を名乗っていた存在であることが明らかになります。
ドルジが広辞苑を手に入れようとし、本屋襲撃を計画したのは、琴美を死に追いやった本屋ではたらいていた犯人・江尻に辿り着くためでした。その目的のため、彼は河崎を演じ続けていたのです。
琴美を理不尽な暴力によって失い、さらに友人であった河崎も病で亡くしたドルジは、異国の地で深い孤独と悲しみを抱えていました。彼は、琴美から教わった「神様の声」であるボブ・ディランの歌を心の支えに、復讐を決意していました。ただし、その復讐の方法は直接的な暴力ではなく、犯人の江尻を捕らえて木に縛り付け、その行方を自然に委ねるというものでした。
物語の最後、椎名はドルジとの別れの場面で、ボブ・ディランの「風に吹かれて」を流したラジカセをコインロッカーに入れ、「僕たちは神様を閉じ込めてみたんだ」と呟きます。
ボブ・ディランはまだ歌っているだろうか、と。
…アヒルと鴨は、見た目がよく似ているのに、実は違う存在です。しかし、知らない人や遠目で見ている人には、区別がつきません。アヒルだと思って見ていたものが、実は鴨だったことはあります。
そして、椎名は最後に善悪の判断をつける存在である神様をロッカーに閉じ込めました。いろいろ考えさせられますよね。
伊坂幸太郎さんの代表作って本屋大賞をとった『ゴールデンスランバー』何でしょうけれど。
私はこの作品すごいと思います。
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序盤に起きるさまざまな出来事は「どうして?」と思うことばかりで、悶々としながら読み進めていましたが、途中から物語がピタッと繋がり、その驚きも倍増しました。
『アヒルと鴨のコインロッカー』という不思議なタイトルも、読後には「なるほど」と思える伏線回収があり、忘れられないタイトルになりました。
別作品の登場人物とのちょっとした繋がりもあり、思わず嬉しくなりました。
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本書に限らず、伊坂幸太郎さんが描く会話が本当に大好き。やけに遠回しな伝え方や、皮肉めいた表現。会話を紡ぐ登場人物同士の関係性を読者に想像させ、小説の素晴らしさをしみじみと感じる。
それだけが伊坂幸太郎さんの魅力ではないのだけれどするすると文字を浴びせられ、どんどんページを捲らされるのが気持ちいい。
「現在」の時間軸で頑なに河崎の名前を出していないことや、容姿の端麗さに関する記述が乏しいことから、「二年前」の河崎とは別の人間なんだろうなとは思っていたけれど、本当にそうだとそれはそれでびっくりするし、納得する。
これは自分の解釈だけど、はじめに椎名と河崎が会話した場面で、
「実は、俺は死から、復活したんだ」
「不死の状態から」
と河崎(ドルジ)が話していることについて。この時のドルジは精神的にも肉体的にもブータンと日本の間で揺蕩っていたから、死んでも生まれ変わるというブータンの考えを心から信じる事ができていなかったのではないかなと思う。だからこそ、最後の場面により心を奪われた。神様には、ドルジの行動はバレていないし、二人は必ずまた会えるよ。
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やられた!
過去と現在を行き来するストーリー構成
最後はどこか希望があるような明るいラストで良かった。といっても完全なハッピーエンドというわけではないけれど
動物が傷つけられる描写が苦手な人には苦しいところがあるかも、、わたしは虐待の描写の部分は流し読みしました。想像すると読めなくなっちゃうと思ったので、、
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偶然が悲劇を生んでしまったことに胸が痛んだ。この悲劇と時の流れによる関係者の変化に驚いた。人生の目的を失ってしまった河崎は脆く儚かった。
琴美は怖かっただろうな、天国で河崎と平和に痴話喧嘩してたらいいな
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十数年ぶりの再読。面白いけどちょっと重い内容だなという印象があり、なかなか読み返す機会がなかったが、全国高校ビブリオバトルの動画を見て久々に手に取った。結果、この本は再読必須だと痛感。
物語は現在と二年前が交互に語られていくカットバック形式。現在と過去のつながりが分かってくる一方で何か引っかかりを感じる。それは物語の序盤でちょっとした「仕掛け」が施されるからなのだが、物語終盤までその種明かしはされない。初見ではこの種明かしで「やられた」、と思いながらすべてがつながっていく爽快感が得られる。そして再読では結末を知ってるが故にそれぞれの人物描写や言葉の重みを感じた。
初めて読んだときは学生だったのでピンとこなかったが、今読むと麗子さんの変化が一番刺さる内容だった。年を重なると何となく変化に対して億劫になったり、守りに入ってしまうなと感じる。でも、芯となる価値観を変えなければ行動や考え方を変えたり変わったりするのは恐れる必要のないことなんだろうなと思った。
全体を通して悲劇的な内容もあり重く感じる部分もあるが、悲壮感は少なく軽やかさえ感じるのは伊坂作品ならではだと思った。理不尽な出来事もそれをどう捉えるかは当事者次第であり、世の中が押し付けてくる正論など関係なく自分が選ぶのが正解なんだというのが伊坂作品の自分なりの解釈である。
改めて思ったがタイトルが秀逸だし、神様の閉じ込め方がとてもいいなと思った。
複雑だけど良い
動物が痛めつけられている描写はすごく不快で、犯人が最終的にどうなったか分かるまでとても長く感じた。
途中、過去から現在へ場面が変わって全ての話がつながった瞬間は、伊坂作品の良さを感じられて良かった。
それぞれの場面での人の顔や風景までイメージの沸く読みやすい作品で、かつストーリーも満足度の高いものだった。タイトルの伏線回収までしっかりされており、気持ち的には晴れないけれど、スッキリ読み切れた感じ。
河崎の正体は伏線も多くて分かったけど、琴美は死んだと思わせて生きてる? とか、麗子を信じるなとか黒幕? とか色々予想できて面白かった。
裏口が悲劇に繋がってるとか、アヒルと鴨の話とタイトルの繋がりとか、あーこれも繋がってくるのかーと伏線の回収がすごいなと思った。
シッポサキマルマリの持ってきた数字選択くじの番号がコインロッカーの番号かと推理したけど別の思惑だった。
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安定の面白さが秘められた伊坂さんの作品でした。久しぶりに読めてやっぱり伊坂さんの本が好きだなと今回も再確認しました。全くの別世界の話だと思ってた内容の伏線の回収の仕方に新鮮さがありました。人物の重なりあった二つの物語、癖があり面白かったです。
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似た者同士最期まで仲良くやっていこう。そんなフレーズが聞こえてくるようだ。
話の掴みや展開、仕掛けがことごとくハマっていたと思う。二つの視点からなる物語が重なっていく。著者の名著の一つ、拝読させてもらいました。
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時間かかったけど読み終わった。
過去と現在を交互に行き来しながら進む、途中重なる部分もありながら後半伏線回収が凄かった。
川崎が結構感覚が鋭くて好き。
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伊坂幸太郎先生特有の、時間軸を変えて話が進んでいく物語。
自分が主人公だと思っていたら、他でも話が進んでいて、思わず「なるほど!」となった。
どんでん返しという程か?とは思うが、騙されてしまったんだろうと思う。
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面白いって見て買ったけど、あらすじを読んで広辞苑を奪う話って面白いの?と思いながら読み始めた。
ただの広辞苑奪う話じゃなかった、面白かった。過去と現在が段々繋がっていく感じが心地良かった。
☆4.2
2025.1.4
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名作を量産する作者なので間違い無かったです!
読みやすい。
タイムシフトしながら点と点が繋がる感じ。それがストーリーのみならず、ちょっとした描写にも掛かってくる細かさにびっくりです。
タイトルが何の比喩かと謎でしたが、、うーん、なるほど笑
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途中まで展開が読めませんが、前半の奇行の意味が後半でわかった時の気持ち良さは、まるでガツンと頭を叩かれたような衝撃です。
ただ、話全体としては少し暗めです。
読み終わって、決してハッピーエンドではないのだけど、どちらかというとハッピーエンドなのかな?といった印象です。
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過去、現在が交互に描かれ、段々と重なり合っていく様子が少しずつ真相に近づいていく感じがして引き込まれる。どちらにも出てくる人物、片方にしかいない人物、なぜ片方にしかいないのか?など想像を膨らませながらどんどん読み進めてしまった。おもしろい!
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唐突な始まりから、一体どんな物語が始まるのだろうとワクワクしながら読み進めた。
読むほどに登場人物が愛おしく思え、やがて訪れるであろう結末に胸を締め付けられる思いだった。
爽やかで、切ない読後感を味わえました。
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謎が多いカリスマのあるキャラクターの書き方がとても上手いなぁと。最初は嫌味な奴という印象だけど、徐々にもしかしたら良い奴かもと思わせる描き方に引き込まれる。
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すらすらと読めました。
映画も見てみたいけど、中々映像化難しい様な気もしますね。
大学生の椎名が引っ越してきたアパートで出会う河崎との奇妙なストーリー。
現在と過去を交互に交えながら、話は進み、最後には、、、、
本を読み終わった後には、ボブディランの音楽が聴きたくなるのでは。
そんなお洒落で、少し切ない本です。
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時間軸と視点が静かに交錯しながら、最後に一枚の深く美しい絵になる――そんな“やさしい衝撃”をくれる物語です。
読み進めるうちは、少し不思議で掴みどころのない展開が続きますが、終盤になるにつれて、それまでの違和感がじわじわと意味を持ちはじめます。そして、すべてがつながった瞬間の余韻と切なさは、伊坂作品の中でも屈指のもの。
この作品の特異な魅力は、「人の記憶」「正義」「無関心」など重たいテーマを扱っていながらも、どこか軽やかで、ユーモアすら感じさせる語り口にあります。それゆえ、読後には温かさと哀しさが同時に残り、登場人物たちの静かな生き様が深く胸に刻まれる。
決して派手な物語ではないのに、なぜか何度も思い出してしまう。そんな“静かに強い”作品です。
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初めは少し身近でゆっくり展開する物語なのかなと予想していたけれど、結末というか真相になるほどと思った。
過去と現在が交互に描かれている理由を何も考えずに読み進めていた、それで良かったのかも。
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現在の椎名視点と2年前の琴美視点の2つの時間軸の物語が交互に流れ、物語の行く末を少しずつ示唆しながら進み、嫌な方向に進むんだろうなと思いながらも、違うといいなと胸をざわざわさせながら読み進めました。大筋はかなり序盤で予見できるし、思ったほどのどんでん返しはなかったですが、次々ピースがはまっていくような物語の展開がよかったです。
琴美視点のラストは救いを感じさせる部分もありましたが、悲しい展開と現在のドルジに二人から受けた影響を感じるのが切ないです。
ブータンの死生観ならどう感じるのだろうかと思いました。
Posted by ブクログ
ハラハラドキドキ。
最後の展開は全く予想できませんでした。
今まで読んだ他の伊坂幸太郎の作品に比べると、話のスピード感が速くなかった感じがします。
Posted by ブクログ
不穏な雰囲気にドキドキしながら読み進め、後半のどんでん返しに驚き、終わり方の不安定さにモヤっとした。
新人賞受賞作だったのね。展開の衝撃はけっこう大きいし、キャラも魅力的。引っ越したアパートで出会った人と、いきなり本屋を襲撃して広辞苑を盗むという展開も惹きが強い。
描写は細かく、時間軸の移動でも全ての伏線が回収されてて、それらが符合するのは読んでいて爽快だった。
しかし気持ちのいいラストではないので、あまり好きにはなれなかったな。