あらすじ
大学入学のため引っ越してきたアパートで、最初に出会ったのは黒猫、次が悪魔めいた長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。標的は――たった一冊の広辞苑。僕は訪問販売の口車に乗せられ、危うく数十万円の教材を買いそうになった実績を持っているが、書店強盗は訪問販売とは訳が違う。しかし決行の夜、あろうことか僕はモデルガンを持って、書店の裏口に立ってしまったのだ! 四散した断片が描き出す物語の全体像とは? 注目の気鋭による清冽な傑作。第25回吉川英治文学新人賞受賞作。
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序盤に起きるさまざまな出来事は「どうして?」と思うことばかりで、悶々としながら読み進めていましたが、途中から物語がピタッと繋がり、その驚きも倍増しました。
『アヒルと鴨のコインロッカー』という不思議なタイトルも、読後には「なるほど」と思える伏線回収があり、忘れられないタイトルになりました。
別作品の登場人物とのちょっとした繋がりもあり、思わず嬉しくなりました。
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本書に限らず、伊坂幸太郎さんが描く会話が本当に大好き。やけに遠回しな伝え方や、皮肉めいた表現。会話を紡ぐ登場人物同士の関係性を読者に想像させ、小説の素晴らしさをしみじみと感じる。
それだけが伊坂幸太郎さんの魅力ではないのだけれどするすると文字を浴びせられ、どんどんページを捲らされるのが気持ちいい。
「現在」の時間軸で頑なに河崎の名前を出していないことや、容姿の端麗さに関する記述が乏しいことから、「二年前」の河崎とは別の人間なんだろうなとは思っていたけれど、本当にそうだとそれはそれでびっくりするし、納得する。
これは自分の解釈だけど、はじめに椎名と河崎が会話した場面で、
「実は、俺は死から、復活したんだ」
「不死の状態から」
と河崎(ドルジ)が話していることについて。この時のドルジは精神的にも肉体的にもブータンと日本の間で揺蕩っていたから、死んでも生まれ変わるというブータンの考えを心から信じる事ができていなかったのではないかなと思う。だからこそ、最後の場面により心を奪われた。神様には、ドルジの行動はバレていないし、二人は必ずまた会えるよ。
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やられた!
過去と現在を行き来するストーリー構成
最後はどこか希望があるような明るいラストで良かった。といっても完全なハッピーエンドというわけではないけれど
動物が傷つけられる描写が苦手な人には苦しいところがあるかも、、わたしは虐待の描写の部分は流し読みしました。想像すると読めなくなっちゃうと思ったので、、
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偶然が悲劇を生んでしまったことに胸が痛んだ。この悲劇と時の流れによる関係者の変化に驚いた。人生の目的を失ってしまった河崎は脆く儚かった。
琴美は怖かっただろうな、天国で河崎と平和に痴話喧嘩してたらいいな
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十数年ぶりの再読。面白いけどちょっと重い内容だなという印象があり、なかなか読み返す機会がなかったが、全国高校ビブリオバトルの動画を見て久々に手に取った。結果、この本は再読必須だと痛感。
物語は現在と二年前が交互に語られていくカットバック形式。現在と過去のつながりが分かってくる一方で何か引っかかりを感じる。それは物語の序盤でちょっとした「仕掛け」が施されるからなのだが、物語終盤までその種明かしはされない。初見ではこの種明かしで「やられた」、と思いながらすべてがつながっていく爽快感が得られる。そして再読では結末を知ってるが故にそれぞれの人物描写や言葉の重みを感じた。
初めて読んだときは学生だったのでピンとこなかったが、今読むと麗子さんの変化が一番刺さる内容だった。年を重なると何となく変化に対して億劫になったり、守りに入ってしまうなと感じる。でも、芯となる価値観を変えなければ行動や考え方を変えたり変わったりするのは恐れる必要のないことなんだろうなと思った。
全体を通して悲劇的な内容もあり重く感じる部分もあるが、悲壮感は少なく軽やかさえ感じるのは伊坂作品ならではだと思った。理不尽な出来事もそれをどう捉えるかは当事者次第であり、世の中が押し付けてくる正論など関係なく自分が選ぶのが正解なんだというのが伊坂作品の自分なりの解釈である。
改めて思ったがタイトルが秀逸だし、神様の閉じ込め方がとてもいいなと思った。
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衝撃的だった。
叙述トリックに完全にしてやられた。
映画も見たけど、原作の方がずっと良い。
ラストはどうなんだろうって思ったけど、それ以外は衝撃的に良かった。
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面白すぎる 2つの場面が交互に語られるから、共通部分を探しながら読むのだけど。思いっきり裏切られる。ユーガトとフーゴを読んだあとだったので、ハッピーエンドを期待してたけど。作者らしい。読んでて面白いように裏切られる。
複雑だけど良い
動物が痛めつけられている描写はすごく不快で、犯人が最終的にどうなったか分かるまでとても長く感じた。
途中、過去から現在へ場面が変わって全ての話がつながった瞬間は、伊坂作品の良さを感じられて良かった。
それぞれの場面での人の顔や風景までイメージの沸く読みやすい作品で、かつストーリーも満足度の高いものだった。タイトルの伏線回収までしっかりされており、気持ち的には晴れないけれど、スッキリ読み切れた感じ。
河崎の正体は伏線も多くて分かったけど、琴美は死んだと思わせて生きてる? とか、麗子を信じるなとか黒幕? とか色々予想できて面白かった。
裏口が悲劇に繋がってるとか、アヒルと鴨の話とタイトルの繋がりとか、あーこれも繋がってくるのかーと伏線の回収がすごいなと思った。
シッポサキマルマリの持ってきた数字選択くじの番号がコインロッカーの番号かと推理したけど別の思惑だった。
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面白いって見て買ったけど、あらすじを読んで広辞苑を奪う話って面白いの?と思いながら読み始めた。
ただの広辞苑奪う話じゃなかった、面白かった。過去と現在が段々繋がっていく感じが心地良かった。
☆4.2
2025.1.4
Posted by ブクログ
名作を量産する作者なので間違い無かったです!
読みやすい。
タイムシフトしながら点と点が繋がる感じ。それがストーリーのみならず、ちょっとした描写にも掛かってくる細かさにびっくりです。
タイトルが何の比喩かと謎でしたが、、うーん、なるほど笑
Posted by ブクログ
途中まで展開が読めませんが、前半の奇行の意味が後半でわかった時の気持ち良さは、まるでガツンと頭を叩かれたような衝撃です。
ただ、話全体としては少し暗めです。
読み終わって、決してハッピーエンドではないのだけど、どちらかというとハッピーエンドなのかな?といった印象です。
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過去、現在が交互に描かれ、段々と重なり合っていく様子が少しずつ真相に近づいていく感じがして引き込まれる。どちらにも出てくる人物、片方にしかいない人物、なぜ片方にしかいないのか?など想像を膨らませながらどんどん読み進めてしまった。おもしろい!
Posted by ブクログ
唐突な始まりから、一体どんな物語が始まるのだろうとワクワクしながら読み進めた。
読むほどに登場人物が愛おしく思え、やがて訪れるであろう結末に胸を締め付けられる思いだった。
爽やかで、切ない読後感を味わえました。
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謎が多いカリスマのあるキャラクターの書き方がとても上手いなぁと。最初は嫌味な奴という印象だけど、徐々にもしかしたら良い奴かもと思わせる描き方に引き込まれる。
Posted by ブクログ
すらすらと読めました。
映画も見てみたいけど、中々映像化難しい様な気もしますね。
大学生の椎名が引っ越してきたアパートで出会う河崎との奇妙なストーリー。
現在と過去を交互に交えながら、話は進み、最後には、、、、
本を読み終わった後には、ボブディランの音楽が聴きたくなるのでは。
そんなお洒落で、少し切ない本です。
Posted by ブクログ
2年前と現在がストーリーが進行すると繋がる。書店を襲う手伝いをするという描写から始まるが、それも今後伏線になってくるところが面白かった。タイトルがどういう意味かも読み進めるとわかってくる。
Posted by ブクログ
現在と2年前、別々の話しが段々と1つの物語へと繋がっていく
そこで明かされていく冒頭に書かれている本屋を一緒に襲った理由
読み終わった後に、もう一度椎名と河崎が最初に話していたところを読むと、最初は意味がわからなかった発言も理解できます
全体に言えることで、読者が勘違いしていた部分の回収が本当に見事
そしてラストに向けて、切なさが募る展開
久々に読んだ伊坂作品、やっぱり面白かった
Posted by ブクログ
突拍子もない謎だらけの「現在」と登場人物が織りなす青春の「二年前」を交互に描き、徐々に謎が解けていくような構成。
「ペット殺し」など描写がややグロでしたが、スラスラ読めました。
たとえ同一人物だとしても、話す言語で価値観は変わってくのだろうと思いました。
Posted by ブクログ
好きな伊坂幸太郎の小説、本屋を一緒に襲撃しようと誘われるという突拍子もないような設定から始まり、最初は現在と2年前の別別の物語が進行してゆくように見えるが、だんだんとそれらが結びついてくる。そしてさりげなくちりばめられた伏線も回収されてゆく。伊坂幸太郎の雰囲気をそのままに味わえる小説で、私はとても好きだった。
Posted by ブクログ
ミステリーとしてではなく物語の雰囲気が好き
シッポサキマルマリが可愛い
叙述トリックに綺麗に引っかかることができた
前半パートも楽しげな会話と怖いシーンで退屈せず読むことがができた
後半パートも怒涛の展開という感じでもなかったかなー
タイトル回収には少し期待をしすぎてしまっていたから反省
Posted by ブクログ
時間軸と視点が静かに交錯しながら、最後に一枚の深く美しい絵になる――そんな“やさしい衝撃”をくれる物語です。
読み進めるうちは、少し不思議で掴みどころのない展開が続きますが、終盤になるにつれて、それまでの違和感がじわじわと意味を持ちはじめます。そして、すべてがつながった瞬間の余韻と切なさは、伊坂作品の中でも屈指のもの。
この作品の特異な魅力は、「人の記憶」「正義」「無関心」など重たいテーマを扱っていながらも、どこか軽やかで、ユーモアすら感じさせる語り口にあります。それゆえ、読後には温かさと哀しさが同時に残り、登場人物たちの静かな生き様が深く胸に刻まれる。
決して派手な物語ではないのに、なぜか何度も思い出してしまう。そんな“静かに強い”作品です。
Posted by ブクログ
カットバック形式、叙述トリックってやつにまんまと騙されたな。違和感あるなと思いつつも種明かしされるまで見当がつかなかった。
序盤は物語の歩みが遅く、どこか噛み合わない感覚にウズウズしながら読み進めていたが、終盤になって一気に加速し、気づけばページをめくる手が止まらなくなっていた。
本作は、軽やかな会話とコミカルな空気感の裏で、取り返しのつかない現実が静かに進行していく物語。読み進めるほどに、過去と現在がどこか噛み合わない違和感が積もっていき、最後になってそれが「出来事の誤解」ではなく、「自分自身の見方の誤り」だったことに気づかされる。
主人公は被害者でありながら、同時に目撃者であり、知らぬ間に加害の構造に組み込まれてしまった存在でもある。違和感を覚えながらも深く問いたださず、流れに身を委ねてしまった結果、彼は取り返しのつかない側に参加してしまう。そこにあるのは悪意ではなく、無知と善意と不安定な状況だけだ。
ラストに救いは用意されていない。すべてが明るみに出ても、世界は何事もなかったかのように続いていく。ただ痛みと後悔の感触だけが、静かに読者の側に残される。綺麗事では回収されない、この冷たさこそが本作の持つ現実感だと感じた。
Posted by ブクログ
コメディっぽい雰囲気で始まり、だんだんと不穏な空気が漂ってきて、現在と2年前のストーリーが重なっていく流れはよかったな。
ボブディラン知らなかったけど、映画では主題歌になっていた。予告編を見てみたら作品の雰囲気とすごくマッチしてた。
私には主人公はあんまり魅力的な人物には映らなかったけど、この曲を丸暗記するまで何百回も聴いたんだろうなと思うと少し好感が持てた。
Posted by ブクログ
期待しすぎたかも
終盤の伏線回収は凄いけど、最終的なストーリーが魅力的ではなかった。ボブディランは知らなかったのでYouTubeで検索して風に吹かれてを聞いてみたら、コメント欄に本書のことも話題に挙げられてた。
Posted by ブクログ
正直に言うと、最初の方はあまり合わないな…と思いながら読んでいた。どこか力の抜けた現代パートと、不穏な過去パートが交互に進むも、とても読みやすい。
なんとなくそうなのかなと疑いながら読んでいたのでそれ自体にはそこまで驚きはしなかったものの、本がなくなった理由など、細かい伏線は見落としていたので納得感があった。さりげなく新聞を読ませるのは(彼も、これを考えた伊坂先生も)上手いな〜と鮮やかさにため息が出た。過去と現代が繋がってからはとても面白く引き込まれた。
彼は自首したのか、帰省から戻った椎名はどんな選択をするのか。彼らの道がもう一度交差することはないのだろう、という寂しさと乾いた爽やかさが残っている。
それにしても、どのように映像化したのだろう…。