あらすじ
大学入学のため引っ越してきたアパートで、最初に出会ったのは黒猫、次が悪魔めいた長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。標的は――たった一冊の広辞苑。僕は訪問販売の口車に乗せられ、危うく数十万円の教材を買いそうになった実績を持っているが、書店強盗は訪問販売とは訳が違う。しかし決行の夜、あろうことか僕はモデルガンを持って、書店の裏口に立ってしまったのだ! 四散した断片が描き出す物語の全体像とは? 注目の気鋭による清冽な傑作。第25回吉川英治文学新人賞受賞作。
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Posted by ブクログ
読んだのがかなり前なので再読。
独特の世界観と衝撃の展開に一気読みしてしまった。
そして読み終わった後は、切ない気持ちでいっぱいになった。
河崎の正体は伏線も多くて分かったけど、琴美は死んだと思わせて生きてる? とか、麗子を信じるなとか黒幕? とか色々予想できて面白かった。
裏口が悲劇に繋がってるとか、アヒルと鴨の話とタイトルの繋がりとか、あーこれも繋がってくるのかーと伏線の回収がすごいなと思った。
シッポサキマルマリの持ってきた数字選択くじの番号がコインロッカーの番号かと推理したけど別の思惑だった。
Posted by ブクログ
登場人物への感情移入、小説への没入感(ハラハラ感)、ストーリーの内容どれも良かった。
こういう叙述トリック系の小説を読むのが好きで、この作品を読んだ時も、人物がはっきりした時におおお!と感嘆した記憶がある。しかも、読んでる途中でもしかしたら気付くことができたかもしれないとも思えてしまう。それくらいにヒントが散らばっていた。
動物虐待の3人組については流石にしつこ過ぎないか!と思ったし、動物虐待が飽きたから、次は人間行くかとはならんだろと、多少の無理感は感じられた。
だがこの小説で伝えたいところはここではないので、全くどうでも良いのだが、まあ感想なので。。
読みやすさ5
没入感4
感情移入4
衝撃感3
登場人物の好み5
Posted by ブクログ
正直に言うと、最初の方はあまり合わないな…と思いながら読んでいた。どこか力の抜けた現代パートと、不穏な過去パートが交互に進むも、とても読みやすい。
なんとなくそうなのかなと疑いながら読んでいたのでそれ自体にはそこまで驚きはしなかったものの、本がなくなった理由など、細かい伏線は見落としていたので納得感があった。さりげなく新聞を読ませるのは(彼も、これを考えた伊坂先生も)上手いな〜と鮮やかさにため息が出た。過去と現代が繋がってからはとても面白く引き込まれた。
彼は自首したのか、帰省から戻った椎名はどんな選択をするのか。彼らの道がもう一度交差することはないのだろう、という寂しさと乾いた爽やかさが残っている。
それにしても、どのように映像化したのだろう…。
Posted by ブクログ
「一緒に本屋を襲わないか」という奇妙なセリフ。
相場は大体、ギャングのように銀行ではないか?と思いつつも、既にモデルガンを手にしているところから物語は始まった。
現在と二年前の世界線が交互に描かれる。
交互に描かれるこそ、判明していく数々の謎。
二年前に登場していた人物の成長の様子。
個人的にはギャングシリーズで登場した、喫茶店の響野と祥子の名前が出てきたのがワクワクしたね。
そして何より河崎(ドルジ)の正体には騙された。このトリックは、凄い。見抜けない。
これぞまるで叙述トリック。
ただ、読み進めるにつれて、琴美が死んでしまったことは、悲しいし、辛かった。生きていて欲しかった。
どんでん返し!という結末ではないけれど、最後、ずっと行方が分からなかった、殺されているのかと思っていたクロシバが無事に生きていてくれたことは嬉しかったなぁ、あのクロシバは、あの時のクロシバなんだろうか、はたまた、河崎?琴美?誰かの生まれ変わりなんだろうか。
Posted by ブクログ
現在と2年前と交互に進められるお話し。
2年前、ペット殺しの犯人を目撃してしまい、狙われてしまう琴美に、いつ襲われてしまうのだろうか?犯人達の言っていた方法で襲われてしまうのだろうか?と怖くなってしまった。
ドキドキ、ゾクゾク、しながら読んで言ったのに、琴美の最後に納得がいかなかった。河崎に助けられ、難を回避したのだから、生きていて欲しかった。
現在のドルジには、すっかり騙されて、やられた〜と思った。