伊坂幸太郎のレビュー一覧
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死神から見た世間を千葉と一緒に覗き見することが出来たような感覚の物語だった。千葉にも、人間味があると言うには少し足りないものがあるけど、好きなもの嫌いなものがはっきりしていてどこか親近感や愛着を沸かせるようなキャラクターだったからこそ作品がより面白くしてくれたんだと思う。加えて一つ一つの物語を追って、最後のお話にたどり着いた時、「あ、そういうこと」ってストンと理解できる伏線の回収がすごく好きだった。劇的じゃないけど、今まで登場してきた登場キャラクター達にまた出会えた気がした。
この作品、実写映画もあるけどそれもそれなりに原作を遵守した作品だったので、原作の本を読んだあと物足りなかったら実写映 -
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本当に面白い。衝撃もきっちりあり、ほろっと泣いてしまってもおかしくない展開もあり、傑作とはまさにこのことだなと思った。
椎名、河崎、琴美、ドルジ。まさかそう交差するとは思わなかった。途中自分でも予想を立てながら読み進めてはいたけど綺麗に裏切られた。彼らの物語がどう終わるのか、明言されていないのもいい終わり方だと思う。
琴美やペット殺しの最後が納得いかないという人もいるだろうけど、世の中そんなもんなんだ。痛快に劇的に終わることの方が珍しい。
「善いことも悪いことも、やったことは、全部自分に戻ってくるんだ。今は違っても、生まれ変わった後で、しっぺ返しがくる」 -
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ネタバレトイストーリーの車バージョンみたいな世界観で、楽しかった!
普段クルマを運転する人の方が、より楽しめるように思う。
車目線の物語を今まで読んだことがなかったけれど、例えば「享、公園行かないほうがいいよ!」と思っても、登場人物の人間たちの行動を止めることができないのは車たちも読者も一緒なので、車たちと同じ目線で読み進めることができて、新鮮だった。
細見氏のようなかっこいいキャラも出てくるし、謎解き要素もあって飽きずに読めるし、蛙の置物とか予想できなかった伏線が回収されて、やっぱり伊坂幸太郎さんの作品は好きだなと再認識する。
私の愛車は作中に出てこなかったけれど、それでもこの本を読んだら車への -
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砂漠というタイトルが良い。
北村視点の話だけど、北村が特別優しいわけではないし、自分のことを語りたがらないのも良かった。4年間の回想が断片的なのも、気づいたら周りの人間が変化しているのもリアル。
西嶋のような人と大学で会えて友達になれたら、最高だと思う。
「その気になればね、砂漠に雪を降らすことだって、余裕でできるんですよ」
この言葉が物語の最初の方で出てくるのが、後々聞いてくるし身に染みてくる。
そして物語の最後に、
「あの時は良かったな、オアシスだったな、と逃げるようなことは絶対に考えるな。そういう人生を送るなよ」
という学長の言葉が出てくるのも良い。
明日も砂漠で、砂漠に慣れすぎないよう -
Posted by ブクログ
ネタバレもう伊坂幸太郎大好きになりますね。なぜ今まで、読んでなかったのかが不思議なくらい面白い。
作品の群像劇、出てくるキャラクター、そして所々センスの溢れるセリフ達、どれを取っても一級品です。
特に好きなセリフは泥棒黒澤の言った
「人生については誰もがアマチュアなんだよ。」
「誰だって初参加なんだ。人生にプロフェッショナルがいるわけないがない。」
このセリフはとても心に響いた。
それぞれの登場人物は異なる人生を歩んでいるのだが、順風満帆に進むのではなく、計画は頓挫し、挫折しながら進んでいく。彼らが人生のプロフェッショナルであるなら、ミスなく進んでいくはずだが、そうではない。
そして、何事も金さえあれ -
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巻末の伊坂先生の言葉
伊坂先生ってやっぱりすごいです。この方の日本語には文章には、どういうわけか人の涙腺を緩める力があるんです。
1ページにすとんと収まる後書きだけで、私が上巻で感じたこと全部当てられててびっくりしたし、優しい内容に感動するしで・・・感情が溢れるんですよ。