例えば「恥ずかしさ」という誰もが持っている感情について人物の会話で哲学させること、例えば「引きこもり」といった社会問題を御伽噺を交えてファンタジックにしてしまうこと、伊坂マジックが詰め込まれた良作だと感じる。伏線回収や緻密さに少し物足りなさは感じたが発想力は評価できる。そもそも「取り憑かれた」男性が『西遊記』を交えて語る未来が、現実は合ってるようで少し違っていること自体が、作者不明で様々な口頭伝承や書物を複合して作られた『西遊記』の成り立ちそのものを表しているようで、メタ的な見地でも楽しめる作品。