あらすじ
三百億円の損害を出した株の誤発注事件を追う「猿の話」。ひきこもりを悪魔祓いで治そうとする男の「私の話」。やがて交差する二つの話を孫悟空が自在に飛び回り、「SOS」をめぐる問いかけが物語を深化する。世界最強の猿からユングまでを召還し、小説の可能性に挑戦した、著者入魂の記念碑的長篇!
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Posted by ブクログ
この作品も大好きになりました。
なんだか奇妙なお話なのですが、胸に残るフレーズがたくさんあって、毎度のことながら、伊坂幸太郎さんの優しさ溢れる作品になっていたような気がします。
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「私の話」と「猿の話」が交互に語られまして、察しの悪い読者は、最初ドギマギしてましたけど、「猿の話」がずっとファンタジーなのに対して、「私」の話はどうやら「私」に不思議な能力あるの?っていうじわじわ展開。
最後は絡み合うんだなと思って、読んでましたけど、軽く裏切られました…けど、面白い。
助けられない事象に自己嫌悪を抱いてしまう心情を掘り下げられて、染みる。
そして、あとがきで知ることになる(事前に情報入れとかない私が悪い)本書は五十嵐大介氏の「SARU」とリンクされてるんです!!
本書で置いていかれてた私の「はて?」は回収されるのか!?
Posted by ブクログ
株の誤発注、その原因をさぐることから始まる物語。過去や現在、誰の語りかが混乱する感じで読み進める。最後に全てがつながり、ここでつながってたんか〜と納得。人のSOSに敏感な人は自分の存在を証明したい人。わかる気がするなぁ〜。主人公同様、人を助けたいと首をつっこむが結局何も出来ず終わる、「自分のできることをやるしかない」に共感。
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SF感というか、不思議感が強かった。
それまで、新潮文庫や角川文庫のものばかり読んでいたためかそれらと比較するとそこまで、、という感じだったが、2人の男の話の繋がり(孫悟空の語り方)には見事に引っかかった。
猿の話のつど気になる語り口調の謎が途中ですっぽり解消できてスッキリ感があった。
Posted by ブクログ
まったくの無関係だった登場人物たちが、ラストスパートにかけて一気に繋がって完結していくのが伊坂幸太郎作品の良きところですなあ。この物語のあらすじを説明するにあたって、絶対に他人に伝えても理解できないような内容なのに、読み始めたらその意味不明な状況を理解しながら読み進めている自分がいて不思議。続きが気になりすぎて最後らへん一気に読破してしまいました。
Posted by ブクログ
やっぱ伊坂幸太郎はおもしろい。人の話、猿の話最後は全てがつながる。孫悟空がちょいちょい…どころではなく、ほぼ孫悟空の話。
引きこもりの少年、堅物の五十嵐さん、アカペラコンビニのひと。結局は孫悟空。
Posted by ブクログ
2009年の伊坂幸太郎氏の作品。
2000年初頭の奇想天外なエンタメ作品を彷彿とさせる先の読めない作品でした。
相変わらずの軽妙な語り口、個性的なキャラ、そして想像もつかない結末。
ってか、悪魔祓い、株の誤発注、西遊記、これらの要素が絡むエンタメ作品って、想像できますか!?
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特長的なのは二つのストーリーが次第に交錯してゆくところ。
一つ目の話は、イタリア公認の悪魔祓いの「エクソシスト」遠藤二郎の話。
かつて憧れだった近所の「辺見の姉さん」の子の眞人の引きこもりにつき、この「姉さん」から相談に乗ってほしいと依頼を受けたもの。
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もう一つの話は、ロジック・因果を突き詰める五十嵐真の話。
彼は300億円の株式誤発注の原因を探るということでシステム会社から証券会社へと派遣されるという設定。
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どちらも、軽妙で冗談だか本気だかわからん会話をベースに話が進みますが、これらを結ぶのが「西遊記」の孫悟空。このあたりはかなーり、奇妙。
ただ最終的には、「じっくり耳を傾けること」「話すこと」みたいなテーマが見え隠れしてきたと思います。
人の心理や感情を一方的に判断するのではなく、観察や会話から徐々に理解しよう、みたいな。
また、私のキャリアのスタートが証券会社向け勘定システムの開発ということで、誤発注ネタはちょっと厳しくも楽しく読みました(証券コードと単位株をキーにしてチェックロジックを入れるべき云々、心の中で突っ込みを入れる等)。
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ちなみにですが、解説で栗原裕一郎氏が述べている通り、2007年の『ゴールデンスランバー』以降を第二期とし、『モダンタイムス』『あるキング』『バイバイ、ブラックバード』などを「モヤモヤシリーズ」「肩透かしもの」と呼ぶそう。本作『SOSの猿』もこちらに属します。
どうも、当初からのファンはこの作風がどうも好みではないとか。
あーね、あーね。確かに分からなくもありません。エンタメのどストライク、とはちょっと違います。
何というか、より深いテーマに抵触するように感じ? 個人的には違った意味で好きですが。
『モダンタイムス』は国家という大きな装置が暴走したら?という仮定はAI時代の昨今、あり得なくもない未来だと感じます。
『あるキング』は逆らえない運命や、それに対する自己の構え、みたいなことを考えさせます。
『バイバイ、ブラックバード』はそうですね、確かに奇妙な小説でした。ただこちらも、五股男性が逆らえない運命が見えるなかでもベスト?を尽くすという意味では『あるキング』と似通っています。
もし本作を読んで「伊坂幸太郎って言われるほど面白くない」と感じたかたは是非デビュー以降2007年頃までの作品を読んでいただきたいと思います。
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ということで伊坂作品でした。
旅行中に読んでおり、記憶がおぼろげなところを頭から記憶を絞りながら書き留めました。失礼しました。
Posted by ブクログ
積読になっていたものをようやく読み終えました。作品自体は2012年初版発行ということで、これまで出会っていなかったのが奇跡のようです。※私は文庫本で読みました。
猿の話と私の話が織りなすように展開され、初めはてっきり同じ時間軸で物語が進行しているものと思っていましたが、、、
私の話は現実的な、それと比べどこか現実味のない猿の話。読み進めた人だけが知れる世界観がここにはあります。
私は仕事の合間に少しづつ読み進めましたが、時間が許すのならなるべく一気に読みたい内容でした。
Posted by ブクログ
伊坂幸太郎さんにしては珍しいなと思う点が二点あり、おもしろい作品だなと感じました。
「猿の話」の章では主人公視点ではなく語り手視点で物語が語られます。私の感覚ではとても珍しい印象です。語り手が読者に語りかけるような記述もあり、物語から少し距離を感じる場面が序盤は多いです。私は、物語の世界観に100%没頭できる方が好きなのでこの点には少し冷めました。終盤で語り手が誰なのか分かり、それも必要な要素だったのだと思えてすっきりしたので最後まで読むことをお勧めします。
もう一点は、読者の意識が「敵対心」や「危機感」に集中しないこと。敵に対する嫌悪感や場面の危機感を大いに煽り、最後に意外な伏線をすべて回収しながら勧善懲悪を果たしてスッキリするのがザ・伊坂幸太郎作品だと思っていました。本作品では勧善懲悪はあるものの、意識は常に「これは何が真実なんだ?」というような疑問に持っていかれます。その上、悪役は退治されても読者の1番の疑問に対してはっきりとした回答は述べられません。煙に巻かれたような感覚です。その分、クライマックスを迎えるにあたって読者が色々な可能性を考えられる。その点で面白い作品だと感じました。
これまで読んだ作品と少し異なるように感じた点もありながら、登場人物の母親たちの会話などにはユーモアと示唆に富んでいて、伊坂幸太郎さんらしい場面もみられるのでオススメです。
Posted by ブクログ
【2023年90冊目】
「この人は天才だな」と思うなんてことは、そう稀にはない。私は伊坂幸太郎さんの作品が好きで、何作か拝読している。読んだのが随分前のことで、内容はあまり覚えていないのに、確固たる自信を持って好きな作品だと言えるものもある。
今作。主に二つの時系列で物語は進む。家電量販店に勤める遠藤と、生真面目な五十嵐。二人の物語が交互に進んでいき、やがて交わる。のだが、最初はどんな因果関係があるのかわからない。もちろん各所にいわゆる「伏線」か張られていて「おっ」とは思うのだけれど核心には至らない。
極めつけは「孫悟空」の登場だ。彼の登場によって物語は加速すると同時に酷く混乱することになる。二人の視点で進む話だと思ったら三人目、それも神ごとき視点が加わる。
なのに、一切読者を混乱させない。私は読解力がさほど高い方ではないので、すぐに分けがわからなくなる。だからこそ、この作品と著者のすごさに慄かされる。置いていかれることがない。小説アレルギーを少しずつ克服し始めています……!みたいな方にぜひ読んで欲しい。面白さと、自信がつくと思う。
好きなキャラクターは雁子さん。誰よりも強い。多分、語られなかった過去にいろいろあったんじゃないかと思わせられるキャラクター。スピンオフがあったらいいのにと思わせる人。
伊坂幸太郎さんは誇るべき日本の天才小説家であると、改めて思った。その理由を上手く言語化できなくて、申し訳ないと思う。精進します。
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ひきこもり青年の「悪魔祓い」を頼まれた男と、株誤発注事故の原因を調査する男、そして、斉天大聖・孫悟空。彼らは魂を救えるのか。五十嵐大介「SARU」と対をなす物語。
Posted by ブクログ
二つの話がつながってくるまで、正直つかみどころがわからなかったけど、後半は、一気に読みました。評論家の栗原裕一郎さんの解説まで読むと、わかってくるところもあり。ただ、私にとっては、他の作品に比べて、ちょっとわかりにくいところが多かったです。
Posted by ブクログ
伊坂幸太郎大好きなんです。
結構読んでます
今回は置いていかれました。悔しい
ただ
『分かる、と無条件に言い切ってしまうことは、分からないと開き直る事の裏返しでもあるんだ。そこには自分に対する疑いの目がない。』にはハッとさせられた。
また間を開けて挑戦します!
Posted by ブクログ
読み進めれば面白くなるのかなと思いつつ、珍しく、読みどころが?な感じでした。
物語の本筋とは大分ズレるけど、システムの不具合をなぜなぜ分析するあたりは面白い。
私は元SEなので、なぜなぜ分析には泣かされましたが、事務職の現在では、これが品質を上げる良いやり方であることを知っています。
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本作は伊坂作品の中ではかなり挑戦的に感じた。
わかりやすい回収などよりも、少し疑問を残すような展開が多く、伊坂テンプレとは異なる印象を受けた。
また、日常内に奇妙な展開が起こるのはいつも通りなのだが、今回はかなり奇妙な展開が多かっただった。リアルの中に過剰量のファンタジーが混ざっているような展開で、どこで説明が入るのか待っていたが、最後まで説明はなかった。
なお、五十嵐さん作の漫画:SARUとの競作とのこと。関わりはあまりなさそう。
Posted by ブクログ
例えば「恥ずかしさ」という誰もが持っている感情について人物の会話で哲学させること、例えば「引きこもり」といった社会問題を御伽噺を交えてファンタジックにしてしまうこと、伊坂マジックが詰め込まれた良作だと感じる。伏線回収や緻密さに少し物足りなさは感じたが発想力は評価できる。そもそも「取り憑かれた」男性が『西遊記』を交えて語る未来が、現実は合ってるようで少し違っていること自体が、作者不明で様々な口頭伝承や書物を複合して作られた『西遊記』の成り立ちそのものを表しているようで、メタ的な見地でも楽しめる作品。
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『良くも悪くも伊坂ワールド』
現実ともファンタジーともどちらとも言えない世界観で2場面で展開されて行く様は個性的だし、何が起こるのだろうと言うワクワクで読み進めては行けた。
2場面での出来事が繋がってゆく構成もワクワクさせられたが、その分期待値が上がってしまい越えられなかった感じはあり読後感にひたれはしなかった。
良くも悪くも伊坂ワールドで、それを楽しみたい人には向いているが、シンプルにミステリーを楽しみたい人には読みづらいし物足りないかと思う。
Posted by ブクログ
終盤までは結構読むのが辛かった
猿の話の文体が苦手で…
でもラストスパートで伏線を巻き取っていくのは気持ちよかった!段ボールの壁で悪者を捕まえました!でも良かったのに、そうしなかったのはなんでなんでしょう?株にフォーカスするため?
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あんまりやった。落ち着いたストーリーで引き込まれるって感じではなかったから好みではなかった。けど最後の章はつながってく感じで面白かった!暴力はいつだって悪いのか、どうしようもないsosへの対処が命題?
Posted by ブクログ
んーーーわからん笑
伊坂幸太郎ワールドなのかなぁ。作品によって使わなければいけない頭の場所が違うんだよなぁ。きっと。
積読から調子に乗って読んじゃおう!ってなったは良いものの、続きを読もうとして毎回のように「で、何だったっけ?えっとー」ってなってしまいました。すいません。流し読みしてしまったので、また気が向いた時にリベンジします。
Posted by ブクログ
ん〜なんか不完全燃焼。ちょっとよくわかんないなあ〜とか思いつつも続きが気になって読んでみたけど、いつもの伊坂さんの読後のすっきり感があんまりないかな。架空の西遊記の人物が出てきてぶっ飛んでる感あってそこはまあおもしろい。最初、話の構成よくわかんなかったな、、〜の話で始まる感じで、'9;猿の話''は前置きとか毎回あるしなんなんだこれはってね。どこまで話したっけな〜とか、お次の回にて、とか?の連続やったけど途中から納得。実際に起きる前の眞人の話した内容ていうか予言みたいなものだったんか〜て。''暴力は悪いの?''むずかしいなあ、考えさせられた。悪を倒す時とか、ときには必要なこともあるんじゃないかなっておもう。あ〜次はすっきりするの読みたいなぁ。
Posted by ブクログ
・五十嵐大介の漫画と対になっているというのは、最後のあとがきを読んで初めて知った。そちらの方は読んでいない。
・ので、五十嵐さんのその漫画を読んだら評価は変わるかもしれないし、充分に作品を味わっていないという意味ではフェアではないかもしれないが。
・僕の読後の感想は「好ましい失敗作」というものだ。
・話としてうまくいってるとは思えなかったが、確かに「伊坂幸太郎」を読んでいる感覚はあった。何より本のあらすじを読んで、「何それ!(面白そう)」と興奮したのは確か。その興奮に見合う面白さは…僕にはなかった。
・けど「伊坂幸太郎」を読んだ満足感も確かにあった、ので嫌いではないです。
Posted by ブクログ
西遊記要素多すぎて 若干おいてけぼりに なったけど、
ストーリー自体はよかったなあ
会話の中の 何気ない言葉が好きやし
けっこう刺さるんよね
マイナスなこと考えて 考えて しまうことってあるけど 表に出さなくてもいいなら しまっとこうね 自分のためにも 周りの人のためにも
Posted by ブクログ
ファンタジー要素あって不思議な話だけど、さくさく読める
西遊記の知識があまりなくてついていけないところがあったのと、自分の読解力のなさで分かりそうで分からないような部分もあった
時系列順に読んでみたい
Posted by ブクログ
因果関係の話
孫悟空が登場して、最初何がなんだかわからない。
五十嵐の話になってなるほどってなる。
伏線がちゃんと伏線だったり、ぜんぜん違ったり、不思議な話。
面白かったけど、孫悟空の話をあんまり知らない事もあって星が3。
Posted by ブクログ
最後までなんとなく退屈で眠くなりながら読んだ。それぞれの話が少しずつ近づいてくっつくのはよかった。
・偶然と思われる事柄も、離れて大きな視点から眺めると、何か大きな意味がある。
Posted by ブクログ
猿の話と私の話 交互に綴られていく。伊坂トリック、完全に悪で完全に善 なんてのはない、悪魔みたいな分かりやすい物のせいにすると心は楽になる。2023.1.3