村山由佳のレビュー一覧
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初版は文鎮本というほどのボリュームだそうだが、文庫でも合計700ページ余り。一気読みはできないがグイグイと引き込まれた。ジェンダー視点から知った本書であるが、伊藤野枝と平塚らいてふとの関係や、明治大正のジェンダー問題がフィクションではあるがリアルに感じられる。本書は伊藤野枝伝ではあるが、大杉栄をはじめ、彼らを取り巻く人物像の視点より多角的に描かれており、またその周囲の人たちも生き生きと描き切っており、その上で彼らとの関係もリアルに感じられる。大杉栄はアナーキストということで一歩引いてみていたが、フィクションではあるもののある程度史実に沿った流れでもあり、この時代の活動家の生き方を学べた。時代は
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『あなた、歌手になりたくはない?もしも、一日中ずーっと歌っていることが許されるんだったら、そうしたい?』
さて、どうでしょうか?
“歌を歌うことを職業とする人”、それが『歌手』です。昨今、カラオケが津々浦々まで広がったこともあって場所さえ選べば好きなだけ歌を歌うことが誰にでもできる時代になりました。しかし、それを職業として、そのこともって生活を成り立たせていくことは全く別のことです。それは並大抵なことではありません。
『歌手』という職業は、星に例えられ『スター』と呼ばれたりもします。しかし、夜空に何万年何億年と輝き続ける星々とは違って『歌手』の生命は限られています。
『今、あの舞台 -
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高校生の時に読んで、衝撃を覚えた。
なぜなら私にも思い当たる節があったから。
小さい頃の嫌な記憶は今も心の奥に鮮明にあって、ふとした瞬間に私を苦しめる。母のことが大嫌いで家族が大嫌いな時期があって、家に帰りたくなかった。大人になって実家を離れてからは、適度な距離感を保てている。一緒に出かけることもあるし旅行に行くこともある。母のことが好き。親孝行したいとも思う。
だけど母のような子どもの育て方はしたくないし、うちの家族のような家庭も絶対に作りたくない。そう思っているのに私が子どもを作れないのは、私には母の血が流れていて 似ている部分があるからだと思う。なりたくない、したくないと思っている事を -
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2024.10
流行り?の毒親的お話なのかな、と思いながら、読み進めたけどもっともっと広範囲な深いお話で。母と娘にとどまらず、妻と夫、彼女と彼氏、父と娘、、
とにかく心的描写がリアルすぎて、なのか、個人的に私に思い当たる描写がありすぎるのか。
主人公に感情移入しすぎながら、どんどんと読み終えてしまった。多分、共感しない方がいいところも、とにかく共感しすぎてしまった。辛くなるほどに。
誰かに対しての反抗心で、自分を傷つけることも、そんなこともあったなと。
自分も親に言われたこと、小さな時の嫌だったことはとても覚えている。嫌なことほど覚えている。今は小さな子がいる身として、自分の子のそういうマ -
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最初は猟奇的な殺人が題材のエログロな話かと思っていたが、読み進めるたびに「どうも違うぞ」と気づいた。「定」という1人の少女が世間を騒がせた「アベサダ」になるまでの彼女の人生を、彼女と関わった様々な人々の目線から読者に伝えている。定は自分のことを理解してくれる人を求めていた。本を読み終わったとき、その読者、多くの人が定を理解する人になっていることを彼女はどう思うのだろうか。本を読んで作者の意図に気付いたときは鳥肌が立った。
作者の物語の書き方にも魅せられた。話し言葉で物語を繋いでいくから、ついつい語っている人に引き込まれてしまう…480ページも苦ではなかった。
人を愛することは、苦しい事だと思う