村山由佳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
今までバレエに興味が無かったがこれを読んでちゃんと動画を観てバレエの理解を深めたいと思った。
日本のバレエの歴史も知らなかったが、勿論どんな分野のものも、歴史を語るには戦争という存在は否が応でも存在する。
過去を語る振付師の語りと、同時に描かれる戦時中の描写。とても痛ましく苦しい現実である。どんな人にも戦争の傷が生々しく残っている。
90年代の設定の作品だが、それが戦争体験を聞ける最後の年代だったのだと思う。
聞き手(狂言回し)の主人公がやけに軽い(チャラい)のは戦争を体験した人との乖離を描くためか(読者の代弁者という役割もあるかもしれない)
体験した人々は語りたくないかもしれない人も多かろうが、戦中を生きた人々の話を子や孫が聞けた最後の時代だったのだろう。
これから先、このようなフィクションでも反戦を訴え続けるべきだし、このようなフィクションを通して実際の現実について国民一人一人が調べ知るべきだと思った。 -
Posted by ブクログ
この本は……
ヤバいし、すごいし、考えさせられた(三大クリシェ)
はぁ?
ダメです。そんな言葉で語ってはいけません。
舐めてます、バレエ、戦争、シベリア抑留を!
今日は終戦記念日ですね。
戦後81年目。
「終戦」と言ってもそれで終わりではなかった、始まりでもあったのだ。
シベリア抑留と言う過酷な状況に追い込まれた人達が居たことを忘れてはならない。
この本にはその状況に追い込まれた若者達(衛生兵や従軍看護婦)の記録が鮮明に描かれている。
舞台は満州。
私の祖父は陸軍歩兵隊としてそこで活動したらしい。
散々聞かされた。
写真などの記録も残っており、まさに銃を撃ちまくってる衝撃的な写真もあった。
祖父はそこで撃たれ負傷した。
そしておそらくここで描かれている衛生兵や従軍看護婦達に世話になったのであろう。
その人達はシベリアへ拘束されたのに祖父は負傷したおかげか帰国出来た。
愕然、とした……
なんて恵まれてたのだろうと。
でも想像するにどちらも凄まじく過酷な環境だった事に変わりはない。どちらの方が恵まれてた、とかの問題では無いとは思うが……この本を読んだら帰国出来た祖父は運が良かったのだと分かった。
私を通して子ども達に伝える事はしてる、でも事実しか伝わらないと思う。
そこに物語が無いから。
心から訴えるには物語が必要だと思う。
自分達のご先祖さまのリアルと共に、この本を添えたい。
2026.夏
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Posted by ブクログ
バレエ界のイイ話を連載するために企画された、あるバレエダンサーの生い立ちを追うルポルタージュは、いつしかソ連参戦後の満洲とシベリア抑留の壮絶な理不尽さに主題が移っていく。特に翠たち看護隊員がソ連兵の標的になる描写は悲惨極まりない。そんな中でも、一臣のバレエ経験、バレエの底しれぬ魅力が一臣と翠のかすかな希望の縦糸になっていく。またその記憶が、聞き手である若者世代の果耶と一平に受け継がれ影響を与えていく。登場人物それぞれの心の動きと決意が伝わってくる、文章の力に圧倒された一冊でした。
また、この物語における「現代」は1990年代前半で、一臣も知っている限りを話す決意をしてくれるが、先の戦争の従軍経験を語ってもらうにはこの設定がギリギリなのかなと思う。
今現在では、もう直接その記憶を聞くことはほぼ叶わないし、存命の方がいたとしても、その体験が過酷であればあるほど口を閉ざしてしまう傾向は強いだろう。記憶を語り継ぐことが難しくなる時代だからこそ、こうした史実をベースにした物語で、「そこに生きていた人たち」の存在を描いてくれることはますます大切になる思うし、今後も(村山さんに限らず)そんな作品を期待したい。 -
Posted by ブクログ
人間と動物。尊厳と愛情。
『エルザ動物クリニック』を舞台にした、人間と動物そして尊厳と愛情。
院長の梓、看護師の雅美や絵里香、そして深雪と動物の『命』を無下にせず、人間と同じ尊厳を持っていると、クリニックに来院する動物や飼い主に伝えているのではないかなと思った。
そこで思い出したこと。昔飼っていたハムスターが大怪我をしてしまい、動物病院へ搬送した時に命を預かることの『責任』がないと飼えないと気づいたこと。
この時に初めて動物病院に赴き、小さな身体を治療をしてくれたのを見ていたシーンを呼び起こたのは
今回の物語と重なった部分がある。
「誰かが面倒を見てくれる」と人に委ねているのではなく、自身も動物に気にかけて欲しいこと。
動物にも『命』が存在して、天寿を全うするまでに『生きる』。
怪我や病気は人間とは違い動物特有のことが多い。
だけどその『命』を私たち人間がバックアップして育てていくことって、人間同士一緒に住むと同じで『責任』だと、気づかされた。
全5話からの物語は、人間と動物との間にある尊厳と愛情を、より深く綴らて心を揺さぶりました。