村山由佳のレビュー一覧
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本書は、戦争や戦後のシベリア抑留の悲惨さを強烈に記している。
男性バレエダンサーと一人の女性看護士が紡いだ物語。
運命と簡単に言ってはならない、時代に翻弄されながら生き延びた二人。何も罪のない若者達が、こんなに悲惨な目にあっていたんだと改めて痛感した。
現代と過去の記憶で場面が切り替わるストーリーで、悲惨過ぎて目をつぶりたい場面も多々あったが、次々変わる展開が気になって時間を忘れ読み耽った。
第二世界大戦中、日本は何をやったのか、日本国民はどうだったのか、シベリア抑留とは?戦争後も?ソ連とはどういう国だったのか、色々考えさせられた。
未來永劫、戦争の悲惨さは語り継がれていかなくてはならないと感じた。 -
Posted by ブクログ
村山由佳さん著「DANGER」
現時点での著者の最新作にあたる作品。
この作品、凄く丁寧に作られている。
まず文字のフォント。
過去と現在(現在と言えど1990年代)の二時代が平行して描かれていく中で書体のフォントを使い分けしながら、ある局面では全ての行の段を上下一文字ずつ排除する事で、どの時代の誰目線の物なのかと強調している。
物語もさることながら、この1冊に絡む校正校閲や出版社の方々のアイディアと力量が凄いと感じさせられた。
物語も素晴らしい。
戦争が大きく関わる物語。
当然生死が一番大きく関わってくるのだが、その時代のその土地での日本軍の生き方、女性の生き方、現地人やロシア人の関わり等々。
戦争が終わったにも関わらず、内地にいた一般人達が味わったであろうその屈辱や痛み、苦しみ、悲しみが凄く伝わってくる。
戦争を題材とした小説は結構読んできているがこの作品は一味違う。
戦争が終わり、自分達はどうなってしまうのか?
遠く離れた土地で異なる言葉や文化、同じ境遇の仲間も徐々に失っていく中で果たして日本に帰れるのか?
捕虜として暮らす生々しさ。
辛さ、寒さ、貧しさ、不安さ…
極僅かに、時に感じられる喜びの瞬間…
もし自分がその立場だったらと想像してみても、自分自身の実体験としっかりと落とし込む覚悟すらないことに気付く。
とんでもない過酷さであり環境下だ。
この作品の異質さを強く感じさせられた。
そもそも捕虜として囚われたその時代を生々しく描いた作品は意外と少ないのではないだろうか?
そしてタイトル、果たして「DANGER」とはなんだろうか?
過去に戦争に携わった方々の生身の言葉に触れ、戦争を知らない世代が戦争がない時代に生きている事に幸せを噛み締める。
それは知見を得て比較してこそ強烈に噛み締められる幸せの味。
何一つ知ろうともしないで幸せを語る人は見る人から見れば的外れ。時に「DANGER」だろう。
幸せに対義する、正反対にあるものを知らない、知ろうともしないのだから幸せという言葉自体の意味が軽い。
正反対の物を知れば知るほど幸せという物に対して深さでの比較ができ、幸せと感じられる味わいも格段に違うだろう。
そうした辛い経験をした方々に対して、または幸せの対義を知っている方々に対して、自身の理想論的な幸福論を振りかざす、その浅はかな心や言動がなによりも「DANGER」なのではないだろうか?
自分のこじつけかもだがそう感じた。
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動物に関わる物語は、やっぱり村山さん!
院長の梓は、もう村山さんそのもの!
ウサギであれ、インコであれ、保護された犬や猫であれ、
とにかく命を救おうと必死になる。
そして、その命を守る飼い主にも必死で接する。
たとえ、言葉が乱暴でも、ぶっきらぼうでも、
真摯に対峙する姿は、胸を打つ。
動物と向き合う心構えを、これでもか!
というくらいに強いメッセージを感じる。
深雪がつらい体験から、少しずつ心を開き、前向きに生きようとする姿にはウルウルした。
「前を見て・・・」のラストもすごくいい!
松の葉がお茶になるのは初めて知った。
ハーブなどもとても勉強になった。
本の中に、あちこち村山さんがたくさん表現されていた。
続編、でるかな?
映像化も見たいな! -
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『やっと二人っきりになれたと思ったら、あたし一人きりなんだもの。』
泣いた。
解説を読むまで、本作品は全くのフィクションだと思っておりました。阿部定事件も、評伝小説という言葉も知らず、知識がないため、すべて創り物だと思いながら読んでいました。実際の事件を小説としているのですね、、たまげた。すごい作品に出会ってしまった。
上巻に続き、わからない読めない言葉がたくさんありました。勉強になります。
純愛です。ほんとに。
この猟奇殺人の事件について、予備知識もなにもない私には、まっすぐな恋愛小説のように感じました。
彼女が望んだのはずっと二人キリでいられること。
叶えられない現実に、より彼の沼に溺れ狂わされてしまう。
ただ、二人キリ、それを願って、
気づけば、彼のいない、二度と彼に会うことのできないたった一人キリの人生に。
2026.9.5-2026.9.8 -
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お話の主要な場面に「猫」が登場するアンソロジー。
内容はミステリーだったり、エッセイだったり。。
どれも秀逸で、面白く読むことができました。
最初の作家さんの、親の影響で猫を飼っていて、仕事の中で余命いくばくの猫に遭遇して・・のお話も良かったし、ミステリー好きとしては、ロックの仲間割れを招いた猫の話、離婚話で持ち上がったある疑惑から、猫が切欠で現実味が帯びる話はゾクッとするものがありました。
その中でも、一番好きなのは、野良ちゃんを見守るご家族のエピソードが詰まった、感動&笑いのお話。とても良かったし、私がポチっとしたこの電子書籍代も、猫ちゃんの治療の還元に役立てば大変うれしいです笑 -
Posted by ブクログ
人間30年40年50年と生きてくりゃ 思い出したくないこと、人に言いたくないこと、言えないこと たくさんあるものだ。けれど、自分の家族について その「いろいろ」を、どのくらい把握しているものだろうか? いやもちろん、家族だからって 「いろいろ」を知っていなければならないってものでも無いけれど。家族であるからこそ あえて パンドラの箱を開けたくない、深く覗き込まない、…みたいなところもあるんじゃないかしら。 深く知りたいという愛もあれば、知らずにおくという愛もあるよね。
心に深い傷を負っていても 見上げれば どこまでも蒼い空、愛される存在であると同時に 誰かを愛する存在でもあるから。自由と引き換えに 孤独を背負う覚悟を決めて また歩き出す。 -
Posted by ブクログ
上巻の展開もかなりおもしろかったのだけど、後半はさらにスリリングさが増していく。
夫・孝之があまりにしょうもないし、情けない。
自己保身しかなくて、事故で彼の身に起きたことは、ある意味、自業自得というか・・・、因果応報というか・・・
それに対して、妻・涼子はかっこいい。
泥棒猫の美登利も含め、女性たちは修羅場になってもキモが据わっていて、何というか、男前だ。
性描写はかなり官能的だし、ドロドロ感もハンパない。それなのに、読後感は不思議なほど清々しい。
タイトルの「ロウ」とは「漕ぐ」という意味のようで、「人生を自分の力で漕いでいく」ことがこの小説のテーマなのかな。
だから、読み終えてたどり着いたところが清々しいのだと思った。