村山由佳のレビュー一覧
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わかってはいるけれど。
振り返れば、何度そう思いながらもしてしまった、あるいはせずにやりすごしてしまったことか。
もどかしさや孤独感をふくめ、それでも過ぎてゆく日常。
家族それぞれの感情が、すうっと入ってきた。たとえば自分とは違った感じ方、受け止め方であったとしても、近くを流れるようななめらかさで。
これはどういうジャンルと説明すればいいのだろうと思っていたけれど、「あとがきにかえて」を読んで、ああなるほどと納得がいった。
もし、兄妹の恋という部分だけで刺激的でスキャンダラスな恋愛小説かと通り過ぎてる人があるなら「ちょっと」と呼び止めてみたい。
父の「名の木散る」でぐんと深みと重みが増す。 -
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ネタバレおいコーの最終巻が出たと知って買ってみたら、実に前作から7年も経っていた。全然話覚えてないだろうなーと思いながら読んでみたら所々朧気に覚えていた。ショーリがオーストラリア行ってたのは知らなかったあたり、前作も多分読んでないけど、シリーズを追っていた身としては結末だけはちゃんと読破したい。
ショーリが命の危険にさらされるなんて想像もつかなかった。途中であれ?これ恋愛小説じゃないの?て思った。25年も経つと自分自身も子どもから大人になっているからか、そのまま素直に読むだけでなくて深読みして味わうことができるようになった。
最終巻読めて良かったです! -
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久しぶりに良い本に出会いました。
この本の良いところは子どもも大人も都会も田舎も悪く書きすぎず、よく書きすぎていないことです。
「都会はギスギスしていて、田舎は優しい」「子どもは純粋で大人は頭が堅い」「子どもは失敗ばかりして、大人は完璧」「柔軟でポジティブな人は良くて理論的でネガティブな人はダメ」そんな描かれ方をしていないところが気に入りました。
この本に登場する大人は危ういし、他人を傷つけたり、自己防衛しすぎるところもあります。主人公・雪乃の両親はそれぞれ弱みを見せすぎていると思います。でもそれが人間らしくて私は良いなと思いました。隣の芝生は青く見えるけど年齢に関わらず完璧にできる人なんて -
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「つらいことから逃げてもいい」
これを言ってくれる人が自分の周りにいるのだろうか?とこの本を読んでまず思いました。
○○なことがつらい、○○をしたくない、と耳にすると多くの人は「もう少し頑張ってみよう!」「大丈夫、どうにかなるよ!」とか言う人が多いと思います。
目の前から逃げることは良くないと一般的には思われるけれども、「自分のことを守るために逃げるのなら我慢しなくていいんだよ」、と今悩んでいる苦しんでる人たちに伝えてあげたいと思いました。
逃げようとするのは負けの選択肢ではなく、生きるため・勝つための選択肢!
あと、個人的に雪乃の名前の由来がとても素敵で、いつか子供ができたときの名 -
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ネタバレ伊藤野枝中心かと思いきや
当時の前衛的グループの群像劇
真偽はわからないが
リアリティがある。
青踏、の時代は政治的な自由だけでなく
性に関しても自由さを求めていたとは
戦う女性がテーマだろうが
当時はこんなに戦ってたのかい
上巻ではまだ大杉栄が顔を出した程度
下巻の期待をしてしまう
ついでにさりげなく恩までうりつけるあたり老獪としかいいようがない
懐に飛び込んできた窮鳥を助けてやらねば、という侠気に自ら酔っ払っているだけで、全体重をかけてよりかかってくるようなノエの激情に流されているというのがほんとうのところだろう。
情緒的なところもありながら、それに流されない理知を持っている、 -
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いろんなことに気づいてしまって遠慮したり、どうしたらみんなにとって1番良い形になるのかばっかり考えて踏みとどまってしまったり。気付いているのに余計なお世話かなって気付かないふりをしてみたり。そういう癖がついてしまった私は、人に深入りしないことや当たり障りなく居ることを選んで、それが楽だと決めつけてる。それを良しとしてる自分も、なんて冷めてるんだ、意気地なしなんだって思ってる自分もいる。
でもこの作品を読んで、それも私のいいところだし才能かもしれない。って受け止められて。
だけど、頭で考えてばかりいないで素直に踏み出してみよう。そんな気持ちにもさせてくれた。
そして踏み出したらやっぱり面白く変 -
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ネタバレ序盤から、由佳姉さんはとてもスピリチュアルな方なのではないかと思った。
そしてあとがきを読んで確信した。
しかもこの文庫本が発行されたのは1998年。
今よりもずっと前世についての知識は浸透してなかったはず。
とても興味深く読み、そして楽しめた。
“真に愛した男と一夜を過ごすことが、人の道にはずれたことだとはどうしても思えなかった。人の道に外れるとは、夫がしていることを言うのだ。”
おりんがはやてと関係を結ぶことを頑なに拒むシーン。
若くないから。
10も離れているから。
いやだと言っても思う通りにするのであろう?
これらは全てエゴだ。
そのエゴを見透かしたはやては一言、
「いやなのか?」 -
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ネタバレ解説を書かれているのが小手鞠るいさんなのが、まず最高。
冒頭で小手鞠の花が出てくるところも伏線のようで嬉しい。
小手鞠さん同様、私もこの小説を読んで初めてわかった。
私も恋愛体質である。
でも、人生を幸せに生きるために、それっていいことなんじゃないかなとも思う。
ハナちゃんがちはるちゃん夫婦と合う席に同席するシーン。
そしてそれをちはるちゃんが望んでいる事実。
これらを含めたラストシーンは夢のようだった。
でも、可能性は0じゃないということも教えてくれた。
ずっと持っていたい一冊。
”一緒に過ごせるのはあと数時間。でも離れてもこの関係が終わるわけじゃない。終わらせないと感じるしその努力もす