村山由佳のレビュー一覧

  • 星々の舟

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    わかってはいるけれど。
    振り返れば、何度そう思いながらもしてしまった、あるいはせずにやりすごしてしまったことか。

    もどかしさや孤独感をふくめ、それでも過ぎてゆく日常。
    家族それぞれの感情が、すうっと入ってきた。たとえば自分とは違った感じ方、受け止め方であったとしても、近くを流れるようななめらかさで。
    これはどういうジャンルと説明すればいいのだろうと思っていたけれど、「あとがきにかえて」を読んで、ああなるほどと納得がいった。
    もし、兄妹の恋という部分だけで刺激的でスキャンダラスな恋愛小説かと通り過ぎてる人があるなら「ちょっと」と呼び止めてみたい。
    父の「名の木散る」でぐんと深みと重みが増す。

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    2024年05月13日
  • はつ恋

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    キュンとする作品でした。
    と言っても、青春ラブロマンスではなく、
    恋の駆け引きでもなく、日常を切り取って描いた作品でした。
    なんかホッコリしました。

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    2024年05月02日
  • 雪のなまえ

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    プロローグ 夢と自由と
    新天地/美しい眺め/人間の学校/名前/サイダーの泡/
    一人前の仕事/寄り合いの夜/訪問者/起き上がり小法師/
    エピローグ 雪のなまえ

    「夢の田舎暮らし」を求めて突然会社を辞めた父。母は東京に残り、不登校になっていた小五の雪乃は父と共に曾祖父母が住む田舎で暮らすことに。

    雪乃の心はほぐれていけるのか、読んでいると息が詰まることもあったけれど、少しずつ緩んでくる感じがあるとほっとした。

    母の本当の思いにも触れることができて良かった。最後に残ったのは『雪のなまえ』って何のこと? さて……

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    2024年03月31日
  • ありふれた祈り おいしいコーヒーのいれ方 Second Season IX

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    ネタバレ

    おいコーの最終巻が出たと知って買ってみたら、実に前作から7年も経っていた。全然話覚えてないだろうなーと思いながら読んでみたら所々朧気に覚えていた。ショーリがオーストラリア行ってたのは知らなかったあたり、前作も多分読んでないけど、シリーズを追っていた身としては結末だけはちゃんと読破したい。

    ショーリが命の危険にさらされるなんて想像もつかなかった。途中であれ?これ恋愛小説じゃないの?て思った。25年も経つと自分自身も子どもから大人になっているからか、そのまま素直に読むだけでなくて深読みして味わうことができるようになった。

    最終巻読めて良かったです!

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    2024年03月29日
  • 雪のなまえ

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    久しぶりに良い本に出会いました。
    この本の良いところは子どもも大人も都会も田舎も悪く書きすぎず、よく書きすぎていないことです。 
    「都会はギスギスしていて、田舎は優しい」「子どもは純粋で大人は頭が堅い」「子どもは失敗ばかりして、大人は完璧」「柔軟でポジティブな人は良くて理論的でネガティブな人はダメ」そんな描かれ方をしていないところが気に入りました。
    この本に登場する大人は危ういし、他人を傷つけたり、自己防衛しすぎるところもあります。主人公・雪乃の両親はそれぞれ弱みを見せすぎていると思います。でもそれが人間らしくて私は良いなと思いました。隣の芝生は青く見えるけど年齢に関わらず完璧にできる人なんて

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    2024年03月31日
  • 雪のなまえ

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    「つらいことから逃げてもいい」
    これを言ってくれる人が自分の周りにいるのだろうか?とこの本を読んでまず思いました。

    ○○なことがつらい、○○をしたくない、と耳にすると多くの人は「もう少し頑張ってみよう!」「大丈夫、どうにかなるよ!」とか言う人が多いと思います。

    目の前から逃げることは良くないと一般的には思われるけれども、「自分のことを守るために逃げるのなら我慢しなくていいんだよ」、と今悩んでいる苦しんでる人たちに伝えてあげたいと思いました。

    逃げようとするのは負けの選択肢ではなく、生きるため・勝つための選択肢!


    あと、個人的に雪乃の名前の由来がとても素敵で、いつか子供ができたときの名

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    2024年02月27日
  • ありふれた愛じゃない

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    個人的にはかなり気に入った。現実と若干かけ離れてる感はあるものの、行ったことのないタヒチの情景を思い浮かべながら、時に自分が主人公になった気分になったり、刺激を求める自分にはうらやましく感じたり。物語に入り込んで楽しめた。

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    2024年02月23日
  • もの書く人のかたわらには、いつも猫がいた NHK ネコメンタリー 猫も、杓子も。

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    とてもとても良かった、今まで読んだ猫にまつわる本の中で1番良かった。最後の養老孟司のパートの1番最後の節が本当に好き。

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    2024年02月18日
  • 風よ あらしよ 上

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    ネタバレ

    伊藤野枝中心かと思いきや
    当時の前衛的グループの群像劇
    真偽はわからないが
    リアリティがある。
    青踏、の時代は政治的な自由だけでなく
    性に関しても自由さを求めていたとは
    戦う女性がテーマだろうが
    当時はこんなに戦ってたのかい


    上巻ではまだ大杉栄が顔を出した程度
    下巻の期待をしてしまう


    ついでにさりげなく恩までうりつけるあたり老獪としかいいようがない

    懐に飛び込んできた窮鳥を助けてやらねば、という侠気に自ら酔っ払っているだけで、全体重をかけてよりかかってくるようなノエの激情に流されているというのがほんとうのところだろう。

    情緒的なところもありながら、それに流されない理知を持っている、

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    2024年02月12日
  • 夢のあとさき おいしいコーヒーのいれ方 X

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    やっと…やっと…!!って感想。笑
    恋に盲目になっていく勝利に激しく共感した。頭ではわかっているのに、他人が同じことをしていたら軽蔑するのに自分も相手に酷い態度を取ってしまう。あるよねー。笑

    以下良かったフレーズ

    こんなふうに、何かきれいなものを見つけた時や、嬉しいことがあった時、映画や本に感動したり、誰かのひとことに心動かされた時…今のこの思いを伝えたい、分け合いたい、と願う気持ちの強さはそのまま、その人に注ぐ想いの強さなんだろう。

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    2024年02月12日
  • もみじの言いぶん

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    読みました、買ってよかった。村山家のもみじちゃん視点で語られるお話。写真がすごく綺麗で、この形態ですごくありがたいなと思った。

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    2024年02月11日
  • 天使の柩

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    恋愛っぽい話なのかなと思っていたら、
    恋愛までは行かず(今のところ)
    男とも女とも父とも娘とも違う
    あやうくて美しい情や互いを思う気持ちに心があったかくなった。

    最後の書評にもあったけど、
    この物語のどんな結末になって傷つこうとも「出会わなければよかった」とは思わない前向きさ、素直さ、強さに改めて心が洗われた。

    この物語と出会えて良かった。

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    2024年02月09日
  • 翼 cry for the moon

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    素晴らしい!話の展開がとても大胆かつスムーズで、のめり込んで読んでしまった。
    村山由佳さんの書くお話は、辛い境遇で育った人がよく出てきますが、このお話もそう。で、過去の自分とどう折り合いをつけて未来に向かって進んでいくのか。そういうところを丁寧に丁寧に流れるように描写してあるから、感情移入しやすいのかな。
    これ、ハリウッドの映画になってもおかしくない。

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    2024年02月07日
  • 雪のなまえ

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    いろんなことに気づいてしまって遠慮したり、どうしたらみんなにとって1番良い形になるのかばっかり考えて踏みとどまってしまったり。気付いているのに余計なお世話かなって気付かないふりをしてみたり。そういう癖がついてしまった私は、人に深入りしないことや当たり障りなく居ることを選んで、それが楽だと決めつけてる。それを良しとしてる自分も、なんて冷めてるんだ、意気地なしなんだって思ってる自分もいる。

    でもこの作品を読んで、それも私のいいところだし才能かもしれない。って受け止められて。
    だけど、頭で考えてばかりいないで素直に踏み出してみよう。そんな気持ちにもさせてくれた。
    そして踏み出したらやっぱり面白く変

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    2024年02月06日
  • 雪のなまえ

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    2月1冊目
    暖かい言葉が散りばめられていた1冊
    いじめで学校に行けなくなった主人公が
    曽祖父の田舎へ移住して成長して行く話。
    両親の気持ち
    曽祖父、曾祖母の気持ち
    同級生の気持ち
    どれを取っても優しくて優しくて
    所々涙がほろりと零れました。
    主人公も優しくて強い。
    抱きしめてあげたい。
    冬の1冊にぴったりでした。

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    2024年02月03日
  • もう一度デジャ・ヴ

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    ネタバレ

    序盤から、由佳姉さんはとてもスピリチュアルな方なのではないかと思った。
    そしてあとがきを読んで確信した。
    しかもこの文庫本が発行されたのは1998年。
    今よりもずっと前世についての知識は浸透してなかったはず。
    とても興味深く読み、そして楽しめた。

    “真に愛した男と一夜を過ごすことが、人の道にはずれたことだとはどうしても思えなかった。人の道に外れるとは、夫がしていることを言うのだ。”

    おりんがはやてと関係を結ぶことを頑なに拒むシーン。
    若くないから。
    10も離れているから。
    いやだと言っても思う通りにするのであろう?
    これらは全てエゴだ。
    そのエゴを見透かしたはやては一言、
    「いやなのか?」

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    2024年01月29日
  • 【新装版】BAD KIDS

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    新装版ということで、これは再読しなければ!と思い読みました。高校生の頃読んだ時より、今読んだ方が第1章がセンセーショナルに感じました。青春小説という言葉は不似合いな感じがします。

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    2024年01月26日
  • はつ恋

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    ネタバレ

    解説を書かれているのが小手鞠るいさんなのが、まず最高。
    冒頭で小手鞠の花が出てくるところも伏線のようで嬉しい。
    小手鞠さん同様、私もこの小説を読んで初めてわかった。
    私も恋愛体質である。
    でも、人生を幸せに生きるために、それっていいことなんじゃないかなとも思う。

    ハナちゃんがちはるちゃん夫婦と合う席に同席するシーン。
    そしてそれをちはるちゃんが望んでいる事実。
    これらを含めたラストシーンは夢のようだった。
    でも、可能性は0じゃないということも教えてくれた。
    ずっと持っていたい一冊。

    ”一緒に過ごせるのはあと数時間。でも離れてもこの関係が終わるわけじゃない。終わらせないと感じるしその努力もす

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    2024年01月24日
  • 星々の舟

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    叶わない恋、叶わなかった恋、人の倫から外れた恋…と、恋愛小説がメインテーマのアンソロジーでありつつ、最終話、父・重之の戦争の話が出てきたところで思わず涙してしまった。
    恋愛模様だけではなく、家族愛や母親の無償の愛がそこかしこに感じられて、そしてどのストーリーにもさりげなく出てくる花々の描写が美しくて、あっという間に読み進められる内容だった。

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    2024年01月16日
  • てのひらの未来 おいしいコーヒーのいれ方 Second Season:アナザーストーリー

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    アナザーストーリーっていいですよね。
    主人公目線でしか見れなかった出来事を、また別の人の視点で見ると全然違うものに見えてきたりして。

    悲しい出来事の中心にいた勝利の気持ちは苦しくなるほど見てきたので、周りの人がどう感じていたのか、どうしてあの場にいたのかとか、その真相がわかって、ほっとしたというかぐっときました。
    たくさんの人に愛されている勝利は幸せ者ですね。

    最終巻のその後のエピソードもあってうれしかったです。

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    2024年01月14日