村山由佳のレビュー一覧
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できたらこんな素晴らしい人間関係と環境下にある動物病院で働きたい。特に院長のキャラが良すぎて元気も強さも優しさももらえる。
猫、犬、インコ、うさぎ、馬と、どんな話にも厳しい現実や悲しみもたくさんあるけどきちんと向き合い、どうすることが1番動物たちにとっていいかがきちんと描かれている。
ロビンと久栄は結果良かったけどやっぱり老老介護は相手が動物でもとてもしんどいだろうと思う。
天国で自分の名前を言う時に、きっとうちの子なら「僕、かわいいです!」って言うだろうなぁと微笑ましいやら切ないやら。
お仕事物語だけではなく、深雪と土屋のほのかな恋愛を感じられるのも楽しい。
どの話も涙が出るけどあったかくて -
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広告代理店に勤める43歳の京子は、3歳年下の美容師、孝之と結婚して13年。
穏やかな日々を過ごしているように見えていたが、なんだかお互いに遠慮しあっていた。
ただ、これといって大きな不満はなく、いい関係でいると。
そんな時に孝之のお店のアシスタントとして美登利がお店に通い出したのをきっかけに、夫婦ともにモヤモヤし始める‥。
緩やかにモヤモヤしていく感じがたまらなく良い。
美登利のあざとさというか、若さが強いというか‥。
こんな可愛くて自分のことをたっぷり褒めてくれて気が利く子、男の人は悪い気はしないよなぁと思いつつ、女からするとパートナーの近くにいてほしくない存在だろうなあとも。
結構ドロド -
Posted by ブクログ
ネタバレ著者名も他の著作名も聞いたことがなかったのですが、装丁に惹かれて手に取りました。
偶然出会えて手に取ってよかった、とても面白い作品でした。
編集者という仕事は、著者に寄り添い、著作をより良くしていくものだと分かったけれど、自分には到底できない仕事だなと感じました・・ここまで、相手に尽くすことができるだろか。
千紘と佳代子が距離を縮めていく様子は、読者としては楽しくもあり、佐藤編集長が言うように危ういと感じるものでもあり、ハラハラしました。
佳代子は、自分の作品=子供と、それを受け取る読者以外へのあたりの厳しさがあまりにひどすぎると感じました。「その欠点に見えるものもまた、その人の大事な個 -
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村山由佳さんの作品を読むのは初めて。
読む前は「直木賞を取りたい!」という単純なエンタメ小説なのかと思っていたけど、予想のつかない展開にどうなるのだろうと引き込まれた。
作家・出版社・書店員が一冊の本を生み出すまでに注ぐ情熱や葛藤、直木賞の選考方法や出版業界の裏側までが、作家自身の視点から描かれていて、それだけでもとても興味深くて面白かった。
村山さん自身が直木賞の受賞者だからこそ、賞の光と影、裏側の空気までもがリアルに伝わってくる。
フィクションでありながら、村山さんの本音や体験が巧みに織り込まれているのでは…と思わせるようなリアルさがある。
どこまでが本音で、どこからがフィクションなの -
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いじめを受けて、学校に行けなくなった雪乃。
そんな雪乃を見て、父親である航介は仕事を辞め、妻の英理子を東京に残して、祖父が暮らす長野で雪乃と新生活を、それも今までやったことのない農業を始めることに。
母親は東京で、父親は長野で農業を、雪乃はまだ学校に行けないでいるが…。
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学校に行けなくなった、ではないと思う。
学校に行くことをやめた、ではないかと思う。
ずっと惰性で続ける方が楽で、適当に誤魔化すことのほうが簡単。
でも我慢する心は確実に疲弊していって、気付かないうちに壊れてしまう。一度壊れるとなかなか治らない。
そうなる前に、学校に行くことをやめることができた雪乃はとても偉くて強い