【感想・ネタバレ】DANGERのレビュー

あらすじ

世界的振付家・久我一臣にインタビューをすることになった、編集者の水野果耶と記者の長瀬一平。久我の半生を辿りつつ、戦前戦後の日本バレエを紹介するつもりだったが、彼が語る過酷な戦争体験は、二人が思ってもみなかった縁を掘り起こしてゆく。芸術と戦争を通し、過酷な運命に希望を見出す人々に迫った、入魂の輪舞曲(ロンド)。

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Posted by ブクログ

もう十数年前に亡くなっている祖父は満州にいたと聞いたことがあるし、数年前に亡くなった血が繋がっていないけれども私にとっては本当の祖母だった祖母は戦時中学校で竹槍で敵を突く訓練をしたと言っていたことを覚えている。
その時代に生きていた人たちにとって第二次世界大戦がどのような影響を持つものだったのか、今はもう物語としてしか知る術がなくなりつつある。
読みながら、もし祖父母が生きていてくれたのなら、私はきっと当時の話を聞きに行っただろうなと思った。

戦争が起こると悲惨な状況になる、という知識はあっても、それが実際に自分に近しい人に起こったことがあり、いつ自分の身にも降りかかってきてもおかしくないということを、私はこれまでほとんど意識することなく生きてきた。
そういう日本に生きてこられた幸運に胡座をかいているだけではなく、幸運を幸運にとどめず今後もこの状態が続くことが約束されるように行動しなければいけないと思った。
私に出来ることは選挙に行くことと、こういう本を誰かに勧めることくらいしかないけれど。

私の義母も「征子」さんという。
もちろん戦時中生まれだ。
戦前の小説家が戦前の生活を描いたものを読むと人々の生活は今と変わらなくて、その間にあった戦時中がいかに特殊なものだったかを思い知る。
親は子に付ける名前に願いを込めるものなのだろうが、この名前を付けるような状態であったことを思うと、本当に怖くなる。

村山由佳さんの小説は、読んでいる最中も読み終えた後も色々なことを考えるきっかけをくれる。
私のものの見方を変えてくれる。
そしてもちろんそれだけでなく、物語を物語として楽しませてもくれる。
一臣の物語、翠の物語、果耶の物語、一平の物語。
それぞれがその人なりの人生で、でも、どんな時代であっても人が人を慕わしく思う故の営みは繰り返されていくものだということに、救いを感じ、あたたかな気持ちで読み終えることができた。
とてもよい小説だと思った。

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2026年03月19日

Posted by ブクログ

プロローグ

壮絶にして壮大なる幕開け
そこは、正しく“DANGER ZONE”

ここに突入した瞬間にもう抜け出すことは出来ない
そう、最後まで見届けるまでは


決して目を逸らしてはいけない、、、



本章
『DANGER』壮絶なる輪舞曲に★5
『PRIZE』に次ぐ村山由佳さんの最新作

雑誌の編集者である、元バレエ経験者の果邪と
記者の長瀬が元バレエダンサーで現世界的演出家の久我の半生をインタビュー形式で追っていくと、
そこには壮絶なる過去が

そして、その過去と現在とが邂逅した時、偶然が
生み出した奇跡と感動の物語を解き放つ

糸は繋がっていたのだ!!

だたその糸を手繰り寄せたのは、素晴らしい登場人物たちだ


上野水香のボレロが観たい

そう思った!




エピローグ

いつものように一人掛け用の安楽椅子(登場23回目)で本書を読み終えた

“DANGER”と“DANCER”

綴は1字違いだが、当然その意味合いは大きく異なってくる
“危険”と“ダンサー”
一見、相反するようだが、実は表裏一体でもある
ダンサーにとって、怪我は命取り
正に“DANGER”故にだ



私の脳内のDANGER ZONEは、どこにあり
この先どうなってしまうのか!?
“DANCER”のように、華麗に何処かに羽ばたいて
ほしい


最後に切にそう願った(¯―¯٥)8v!




                     完

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2026年03月18日

Posted by ブクログ

第二次世界大戦での上海・満州での様子と、シベリア抑留の過酷な状況を描いた作品。
振付家・久我一臣と、戦時中看護婦だった翠の語る戦争は、言葉では言い表せないほどの苦しみを感じるものでした。
過酷な状況下で、死んだ方が楽になれると思いながらも、歯を食いしばり生き抜くことを決めた覚悟。
とても悲惨な状況に目を逸らしたくなるのに、読ませられてしまう物語の吸引力に凄まじいものを感じました。内容はとても重たいのに、村山さんの言葉選びや表現が心地良く、とても読みやすかったです。
久我氏から語られる戦争から、バレエへの想いと思いがけない縁への結びつきにつながるストーリーはさすがでした。戦争について、忘れてはならない悲劇を胸にきざむことができた内容でした。

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2026年03月18日

Posted by ブクログ

表層的な"バレエ"の綺麗さを脱ぎ捨てて、極限状態の中で生と死がぶつかり合った魂の物語。人の醜悪さ、そしてその生々しさに何度も目を覆いたくなり、血が沸騰するかのような怒りが何度も湧き上がった。読むのをやめたいと思った。でも、頁を捲る手は止まらなかった。そして読み終えた今、胸を抉るような痛みを知った。正直後悔をしている。それでも顔を背けてはならない。私たちは知らなければならない。見なければならない。
これは、生きた物語だ。

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2026年03月02日

Posted by ブクログ

世界的なバレエ振付家久我一臣に取材をすることになった出版社の水野と長瀬。
久我のこれまでの人生は戦争と共にある過酷なものであった。
取材をしていくうちに従軍看護婦だった水野の祖母と戦地に赴いた久我との接点も明らかになってくる。
戦争の描写は苛烈で読むのも辛かったが、戦争を知らない世代も知らなくてはいけないことだと改めて思った。

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2026年03月29日

Posted by ブクログ

私たちが生まれるたった80年前に同じ日本人に起こった話。そして今も同じように戦争に巻き込まれて人生を翻弄されている人が世界中にいる。
そんなことを実感されられた作品。
そして先人がいるから、今の私がいる。
今、できることを命燃やしてやるしかない。
そう思わせてくれる作品。

長瀬に共通できるところ、何かに特別熱中したことがなく、とりあえず目の前のことをやるだけ。

かやのように熱するものに挫折を味わって
自分を守りながら生きてる

翻弄されるなかで生きている人に出会い、追体験することでもう一度強く生きていく力をもらった
でも、

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2026年03月27日

Posted by ブクログ

壮大な物語だった。

バレエをやるために生まれてきたと言っても過言ではない久我でも、戦争からは逃れられなくて、人前で踊りを披露するのは大分後になった。
才能があっても、時代の運なくば実を結ぶことのない厳しさを感じた。
ただ、久我の場合は、後に人の目に留まり、紆余曲折あったものの大成したのは流石だった。そんな成功した彼でも、どこか寂しさや孤独を纏っているように私は感じた。

また、果耶の祖母さかゑの体験はさらに壮絶なものであり、読んでいて辛くなるような描写もあった。人は何でこんなに残酷になれるのか。自国を拡大するためなら、多人種を奴隷のように扱うことに対して何とも思わないのか。本当に嘆かわしい。
家族の反対を押し切ってまで、従軍看護婦に戻った崇高な精神の持ち主であるさかゑに対して、その後訪れる悲劇はあんまりではないか。せめて最後、祖母は報われたのだと思いたい。

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2026年03月13日

Posted by ブクログ

バレエが切り口の本だったので、読んでみましたが、なかなか本気の戦争モノでした。
これ、バレエ好きの子供が読んだら結構なトラウマレベルな気がする…

「雨と霧」と同じく、何かしらの希望やエネルギーを持って生きている人は、不思議なほどの強さを持っている。

久我さん以外のバレエ関係者はほとんどが実在の人物なので、久我さんはどなたがモデルなんだろうと思いながら読んでいました。

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2026年03月12日

Posted by ブクログ

久我氏の半生は重たく感じましたが、読むことで過去の歴史のことも知れて知識見聞が深まる本だと思いました。
ただ、内容が重い分気持ちに余裕がないと苦しくなってしまうなとも思いました。

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2026年03月04日

Posted by ブクログ

久我の歩んできた激動の時代背景が深く描き込まれていたぶん、現代パートとの温度差が気になりました。現代の場面に切り替わるたびに少し冗長な印象を受けてしまったのが残念です。過去のパートのみに絞ったより濃密な構成でも良かったのかもしれません。現代の価値観から当時の出来事を解釈しようとする描写には、少し違和感を覚えてしまいました。

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2026年03月28日

Posted by ブクログ

タイトルの「DANGER」は危険を意味する。

装幀に描かれているのはバレエダンサー。
それなのに、なぜ「DANCER」ではないのか。

読み進めるうちに、その理由が見えてくる。

世界的振付家・久我一臣にインタビューすることになった長瀬一平と水野果耶。

一臣が語ったのは、バレエの歩みだけではなく過酷な戦争体験だった。

第二次世界大戦に翻弄された人々の描写には胸を締めつけられ、この無意味な戦争が今も続く現実に虚しさを覚える。

そして、一臣とさかゑ(翠)の45年ぶりの邂逅には、込み上げるものがあった。

すべては、生きていてこそ。

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2026年03月21日

Posted by ブクログ

バレエ、シベリア抑留、性加害がテーマである。しかし、芸術論、ミステリー、戦争・性加害反対、左翼の欺瞞、メロドラマが混ざってしまって、おそらく筆者が最も取り組みたかった戦時下の性加害への焦点がぼやけしまっている感じがした。筆者が日本のなかで風化していく戦争体験をフィクションと言うかたちでも継承していくために新作を書いた、その作家としての良心は尊い。しかし、これまでの戦争文学と比較すると、戦争だけで一点突破できないところに、戦争を知らない世代の書き手としての限界は明らかに露呈していたと思う。

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2026年03月11日

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