あらすじ
世界的振付家・久我一臣にインタビューをすることになった、編集者の水野果耶と記者の長瀬一平。久我の半生を辿りつつ、戦前戦後の日本バレエを紹介するつもりだったが、彼が語る過酷な戦争体験は、二人が思ってもみなかった縁を掘り起こしてゆく。芸術と戦争を通し、過酷な運命に希望を見出す人々に迫った、入魂の輪舞曲(ロンド)。
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一昨年に読んだ、バレエを題材にした別の作家の小説が自分には合わなかったため、「またバレエか」と思いながら読み始めた。しかし、その印象はすぐに覆される。
本作は500ページに迫る大作であり、目を覆いたくなるほど悲惨な戦争やシベリア抑留が描かれている。読んでいるあいだ、感情を大きく揺さぶられ続けた。
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極限状態における「バレエへの情熱」と、「戦争の惨さ」の対比が凄まじく、ずっしりとした読み応えがあった。
特に戦後の満州やシベリアでの過酷なサバイバル描写は、現在のウクライナや中東の戦争と重なる部分があり、単なる過去の歴史としてではなく、現代にも通じる生々しい痛みとして深く胸に迫ってきた。
また、重厚な人間ドラマにとどまらず、真実に迫っていくミステリー要素が絶妙なフックとなり、中盤以降の一気読みに拍車をかけた。
そして何より、翠が過酷な運命の中でもずっと想い続け、最後にようやく出会えた結末には深く救われた。極限の泥臭さと、確かな希望の光が味わえる文句なしの傑作。
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村山作品をそこまで読んでいないので、断定するのは恥ずかしいが「風よ あらしよ」を上回る著者渾身の大傑作と思っている。全体プロットと主題、誰に何を語らせるのかの塩梅、そして主人公たる記者の水野果耶と長瀬一平、世界的振付師の久我一臣、水野果耶の祖母さかゑの4者それぞれの生い立ちと思いから浮かび上がる、時代に翻弄されても諦めないそろぞれの夢がタペストリのように交錯する大河小説であり、涙無しでは読めない感動作。
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ものすごいものを読んだな…と読後しばらく呆然としてる。バレエの話かと思いきや、もっともっと奥底のもので、歴史とか勉強したけど、全然たりてないな、もっと戦時のこと知らなくては行けないなと思った。そしてもう二度と繰り返してはいけないということも。若い世代に伝えていかなくてはならないし、
書いてくださって、読ませてくださってありがとうございますと言いたいくらいすごかった。
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バレエと戦争がどのようにリンクしていくのか…想像を遥かに凌ぐ物語。
若き従軍看護婦の翠、さかゑ、美代子、雪絵、鞠子たちの健気さに胸が張り裂けた。また生死の狭間で彼女たちが交わす新潟弁も涙を誘う。シベリア抑留を知り、点と点が線になる…華麗な着地も感動的。
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バレエといえばロシア。
ラーゲリといえばロシア(シベリア)。
過去にロシアで起きたことが、今に繋がっている······。
詳しくは知らなかった現実をこの本で知りました。戦争を潜り抜けてきた一人の男性と当時の従軍看護婦たちの現実がすさまじかったです。
それぞれの上司の編集長から、ボリショイ・バレエ団の来日に向けてなにか面白い企画を、と命じられた長瀬一平と水野果耶。2人が最初に話を聞くことになったのは、世界で5本の指ともいわれる名振付家、久我一臣でした。彼の人生の話を聞くことは、戦争体験を聞くことでした。
本当に声もでないほど残酷なのが、戦争なんだと思いました。戦争が終わってもまだ悲惨なことが続いていたことを、ここまで詳しくは知りませんでした。この本を読むことで、戦争が人を人でなくしてしまうことが、よくわかりました。読んでいて辛い場面もたくさんありました。正しさの基準を変えてしまう恐ろしさも感じました。
何があってもやってはいけないことが戦争。
今、本当にそう思います。
DANGERとDANCER。
一文字違いの言葉が伝えてくれることを、しっかりと読むことができてよかったです。
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もう十数年前に亡くなっている祖父は満州にいたと聞いたことがあるし、数年前に亡くなった血が繋がっていないけれども私にとっては本当の祖母だった祖母は戦時中学校で竹槍で敵を突く訓練をしたと言っていたことを覚えている。
その時代に生きていた人たちにとって第二次世界大戦がどのような影響を持つものだったのか、今はもう物語としてしか知る術がなくなりつつある。
読みながら、もし祖父母が生きていてくれたのなら、私はきっと当時の話を聞きに行っただろうなと思った。
戦争が起こると悲惨な状況になる、という知識はあっても、それが実際に自分に近しい人に起こったことがあり、いつ自分の身にも降りかかってきてもおかしくないということを、私はこれまでほとんど意識することなく生きてきた。
そういう日本に生きてこられた幸運に胡座をかいているだけではなく、幸運を幸運にとどめず今後もこの状態が続くことが約束されるように行動しなければいけないと思った。
私に出来ることは選挙に行くことと、こういう本を誰かに勧めることくらいしかないけれど。
私の義母も「征子」さんという。
もちろん戦時中生まれだ。
戦前の小説家が戦前の生活を描いたものを読むと人々の生活は今と変わらなくて、その間にあった戦時中がいかに特殊なものだったかを思い知る。
親は子に付ける名前に願いを込めるものなのだろうが、この名前を付けるような状態であったことを思うと、本当に怖くなる。
村山由佳さんの小説は、読んでいる最中も読み終えた後も色々なことを考えるきっかけをくれる。
私のものの見方を変えてくれる。
そしてもちろんそれだけでなく、物語を物語として楽しませてもくれる。
一臣の物語、翠の物語、果耶の物語、一平の物語。
それぞれがその人なりの人生で、でも、どんな時代であっても人が人を慕わしく思う故の営みは繰り返されていくものだということに、救いを感じ、あたたかな気持ちで読み終えることができた。
とてもよい小説だと思った。
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プロローグ
壮絶にして壮大なる幕開け
そこは、正しく“DANGER ZONE”
ここに突入した瞬間にもう抜け出すことは出来ない
そう、最後まで見届けるまでは
決して目を逸らしてはいけない、、、
本章
『DANGER』壮絶なる輪舞曲に★5
『PRIZE』に次ぐ村山由佳さんの最新作
雑誌の編集者である、元バレエ経験者の果邪と
記者の長瀬が元バレエダンサーで現世界的演出家の久我の半生をインタビュー形式で追っていくと、
そこには壮絶なる過去が
そして、その過去と現在とが邂逅した時、偶然が
生み出した奇跡と感動の物語を解き放つ
糸は繋がっていたのだ!!
だたその糸を手繰り寄せたのは、素晴らしい登場人物たちだ
上野水香のボレロが観たい
そう思った!
エピローグ
いつものように一人掛け用の安楽椅子(登場23回目)で本書を読み終えた
“DANGER”と“DANCER”
綴は1字違いだが、当然その意味合いは大きく異なってくる
“危険”と“ダンサー”
一見、相反するようだが、実は表裏一体でもある
ダンサーにとって、怪我は命取り
正に“DANGER”故にだ
私の脳内のDANGER ZONEは、どこにあり
この先どうなってしまうのか!?
“DANCER”のように、華麗に何処かに羽ばたいて
ほしい
最後に切にそう願った(¯―¯٥)8v!
完
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第二次世界大戦での上海・満州での様子と、シベリア抑留の過酷な状況を描いた作品。
振付家・久我一臣と、戦時中看護婦だった翠の語る戦争は、言葉では言い表せないほどの苦しみを感じるものでした。
過酷な状況下で、死んだ方が楽になれると思いながらも、歯を食いしばり生き抜くことを決めた覚悟。
とても悲惨な状況に目を逸らしたくなるのに、読ませられてしまう物語の吸引力に凄まじいものを感じました。内容はとても重たいのに、村山さんの言葉選びや表現が心地良く、とても読みやすかったです。
久我氏から語られる戦争から、バレエへの想いと思いがけない縁への結びつきにつながるストーリーはさすがでした。戦争について、忘れてはならない悲劇を胸にきざむことができた内容でした。
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表層的な"バレエ"の綺麗さを脱ぎ捨てて、極限状態の中で生と死がぶつかり合った魂の物語。人の醜悪さ、そしてその生々しさに何度も目を覆いたくなり、血が沸騰するかのような怒りが何度も湧き上がった。読むのをやめたいと思った。でも、頁を捲る手は止まらなかった。そして読み終えた今、胸を抉るような痛みを知った。正直後悔をしている。それでも顔を背けてはならない。私たちは知らなければならない。見なければならない。
これは、生きた物語だ。
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戦前、戦時中にもバレエを踊り続けた日本人。
名振付師の久我一臣から話を聞き記事にするため
雑誌編集部に所属する水野果耶と長瀬一平は
久我一臣を訪ねる。
バレエのことは詳しくわからないが
書かれていることをイメージして読み進めた。
ダンサーが頭の中で華麗に踊っている。
戦争の色が濃くなってきたところから
物語の重厚さが増した気がする。
満蒙開拓団の過酷な運命を辿る話は
松原文枝さんの
『刻印 満蒙開拓団、黒川村の女性たち』を読み
少しの知識はあったが
それでも、『DANGER』は強く心に残る一冊となった。
村山由佳さんは中日新聞のインタビューで
「感情的な涙は、波紋が収まるのも早い。
冷静に戦争のディテールと向き合ってもらい、
読者のより深いところまで言葉を届けたかった」と語る。
今回も知るきっかけを作ってくれた一冊と出会えたことが嬉しい。
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ボリショイ・バレエ団が来日公演をすることになり、その前年に主催の新聞社系列である出版社の社員が提灯持ち的な記事を書くことになった。1人は週刊誌で週替りの取材を、もう1人は月刊誌で日本バレエ界の大物である久我一臣に取材し、これまでの彼の足跡を辿る。だが、久我へのインタビューは思わぬ方向に展開し、2人は戦争がもたらした深い傷跡に向き合うことに……。
これは挫折と再生の物語だ。戦争という大きなものもあれば、個人的な喪失もある。それぞれがいかに克服し、乗り越えていくか。その姿に感動すら覚えた。
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バレエダンサーと第二次世界大戦、シベリア抑留。女性看護師も抑留されていたのは知らなかった。ラーゲリより愛を込めてで男性でも生存は難しかったと知り、生きて日本の地に戻れた人は奇跡だっただろう。なのに日本で死んでしまった、そんな友人がいながら生き続けた水野加耶の祖母の強さ。バレエをほぼ知らないので華やかな世界の現実を見せられ、身体を壊してもなお取り憑かれる魅力を思った。日本女子は辱めを受けたら貞操を守り自死しろと言われるのに男性は違うのか?負け戦になったときに急に生き延びろと言われても、知識があっても考えたことがなかった自分が恥ずかしい。
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世界的なバレエ振付家久我一臣に取材をすることになった出版社の水野と長瀬。
久我のこれまでの人生は戦争と共にある過酷なものであった。
取材をしていくうちに従軍看護婦だった水野の祖母と戦地に赴いた久我との接点も明らかになってくる。
戦争の描写は苛烈で読むのも辛かったが、戦争を知らない世代も知らなくてはいけないことだと改めて思った。
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壮大な物語だった。
バレエをやるために生まれてきたと言っても過言ではない久我でも、戦争からは逃れられなくて、人前で踊りを披露するのは大分後になった。
才能があっても、時代の運なくば実を結ぶことのない厳しさを感じた。
ただ、久我の場合は、後に人の目に留まり、紆余曲折あったものの大成したのは流石だった。そんな成功した彼でも、どこか寂しさや孤独を纏っているように私は感じた。
また、果耶の祖母さかゑの体験はさらに壮絶なものであり、読んでいて辛くなるような描写もあった。人は何でこんなに残酷になれるのか。自国を拡大するためなら、多人種を奴隷のように扱うことに対して何とも思わないのか。本当に嘆かわしい。
家族の反対を押し切ってまで、従軍看護婦に戻った崇高な精神の持ち主であるさかゑに対して、その後訪れる悲劇はあんまりではないか。せめて最後、祖母は報われたのだと思いたい。
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バレエが切り口の本だったので、読んでみましたが、なかなか本気の戦争モノでした。
これ、バレエ好きの子供が読んだら結構なトラウマレベルな気がする…
「雨と霧」と同じく、何かしらの希望やエネルギーを持って生きている人は、不思議なほどの強さを持っている。
久我さん以外のバレエ関係者はほとんどが実在の人物なので、久我さんはどなたがモデルなんだろうと思いながら読んでいました。
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久我氏の半生は重たく感じましたが、読むことで過去の歴史のことも知れて知識見聞が深まる本だと思いました。
ただ、内容が重い分気持ちに余裕がないと苦しくなってしまうなとも思いました。
Posted by ブクログ
戦争に翻弄されたバレエダンサーとその周囲の人々の回想の物語りだったと思います。第二次世界大戦時期の中国方面の様子、前後のシベリア方面の様子がリアリティを感じさせる描写で描かれているように感じました。
物語として適度にピークが散りばめられていて面白かったです。個人的にはちょっと長いようにも思いました。
Posted by ブクログ
500ページにも迫る超大作だった。
舞台は1992年の日本で、当時のバレエダンサーの苦悩や狂気などが描かれる小説かと思っていたが、まさか戦前・戦時下・戦後のシベリア抑留にまでわたる、壮大な運命の話だったとは驚いた。
激動の時代で、彼らの人生にはそれぞれの無数の出会いと別れがあった。過酷で凄惨な状況を生き延び、長い長い別れの先に、翠と久我さんが最後に再会できたシーンには涙が込み上げた。
ここまで語り手であった、果耶先輩の物語の始まりを予期させる終わり方もよかった。
Posted by ブクログ
久我の歩んできた激動の時代背景が深く描き込まれていたぶん、現代パートとの温度差が気になりました。現代の場面に切り替わるたびに少し冗長な印象を受けてしまったのが残念です。過去のパートのみに絞ったより濃密な構成でも良かったのかもしれません。現代の価値観から当時の出来事を解釈しようとする描写には、少し違和感を覚えてしまいました。
Posted by ブクログ
タイトルの「DANGER」は危険を意味する。
装幀に描かれているのはバレエダンサー。
それなのに、なぜ「DANCER」ではないのか。
読み進めるうちに、その理由が見えてくる。
世界的振付家・久我一臣にインタビューすることになった長瀬一平と水野果耶。
一臣が語ったのは、バレエの歩みだけではなく過酷な戦争体験だった。
第二次世界大戦に翻弄された人々の描写には胸を締めつけられ、この無意味な戦争が今も続く現実に虚しさを覚える。
そして、一臣とさかゑ(翠)の45年ぶりの邂逅には、込み上げるものがあった。
すべては、生きていてこそ。